anopara

絵は上手くなくてもよい

タイトルは客寄せを意図しています。

私は自分自身の活動に関してそうであるべきと考えており、それが正しいと思うのですが、いつも忘れてしまって上手く描けることに努力を費やしてしまうのでその戒めとして書いています。

つまり、一般化できる論理ではなくて私の場合はこう、という話です。でも、他にも当てはまる人はいるかも。

簡単なまとめ

私は趣味で創作をしているが、ただ楽しんで出来れば良し、とせず、ある程度の目標を持っている。なのでクオリティにもある程度のこだわりはある。

国内外含めて絵を描く人が増えたため技術で競う人も増えた。ビジネス的にはレッドオーシャンと言え、門外漢が絵そのもので勝負するのはかなり厳しい世界になった。

しかし、私がいつも忘れがちなことがある。 目的達成のために絵が上手いことが必須では ない ならそもそも頑張って取り組む必要性が薄いし、わざわざ新規参入が厳しいジャンルで勝負を仕掛けなくても良いのだ。

それは当たり前の話なのに、SNSで露出を増やし商業案件を貰うことが唯一のサクセスストーリーであると錯覚してしまう。日々冷静でいるために何をしたかったのか?という原初の意思は再確認しておきたい。

目的とその実現手段、およびゴール

私の目的は私が考えた世界とそこで発生するお話を何らかの形態で伝えることにある。絵はそれの補足情報の一つと考えている。あくまでも絵は主従のうちの従である。そのゴールは私が考えている話すべてを伝えきったときに完了となる。

そのお話と世界を伝える手段としては小説、漫画、ゲームなどを想定していたが、幼少期より絵を描くのが好きだったので絵も扱いたいと思っていた。褒められるのは文章だった。なので絵と文でやっていきましょう、と決めた。

なのでやっていることは小説、漫画、コミカベルの三種である。これらを目的達成のための手段として使用している。

付随する小目標とKPI

目的はお話と世界を伝えることで、それは日々実践し細かくは達成しているが、作品ができればそれでよいかというとそうではない。それではつまらないと思う。張り合いがない。

なので、KPIを「販売力指数」としていて、これを伸ばすことを小目標としている。

販売力指数とは何か?これは私が以下のように定義した指数だ。

販売力指数 = ある同人誌販売系のイベントで売れた本の冊数 / 顧客密度

顧客密度 = ある同人誌販売系のイベントに訪れた顧客の数 / 出店サークル数

つまり、販売冊数をイベント規模(≒販売機会の数)で標準化した値となる。

これはサークル(=作者)ごと、イベントごとによって変わる変数を取り入れてないので「販売力」としてはイベントやサークルを越えて評価できないのだが、同じイベントに出続けた自分自身の値を比較することで「販売力」に近い値が表現できるはず、と思っている。

詳細を書いたら長くなったので別記事に移すが、説明を省いて結論だけ述べるとこの「販売力」がその人の作品の良さとの相関性が最も高い数値である(個人事業主レベルで観測可能な事実から構成できるものとしては)と私は思っている。であるから、販売力指数が伸びていけばそれは私の作品の「良さ」も上がっていると見なしている。

この測定方法についての反論は数多あるだろうが、そのあたりについての説明は別記事に譲る。

大事なことは クオリティに一定程度こだわっている である。ただ単に楽しく創作が出来れば良い、という以上に、それを通じて自分の技量を向上させたい、より良いものを作って満足感を得たい、それをKPIを通じて客観的に確認したい、ということだ。

やりたくないこと

一方で私が 絶対にやりたくないことは絵で勝負すること だ。

第一に、既に述べたように私がやりたいことは絵を描くことではない、という強い前提がある。その上で、絵で勝負するのはだいぶしんどいと思っている。本来やりたいことではない勝負を不利な分野でやりたくない という当然のことである。これをいつも私は忘れてしまう。

なぜ不利なのか?私はどんな分野においても専門性を重視しているし、その人の専門性をリスペクトしている。例えば美大や専門学校、あるいは何らかの方法で絵の勉強と練習をしてきた人たちにそうでない人が勝負を挑むのは分が悪い。と、こう書くと権威主義的に見えるけれどもそういうことではない。あくまでも、知識と技術というのは場当たり的な局所最適化ではなく、体系的に取得するものである、ということに注目している。

あるいは、そうした絵の教育をちゃんとやってなくても天性のセンスがあれば魅力的な絵を描ける人はいると思う。そういう例を何度か見てきた。

しかし自分はどうか?正直なところ私には武器が何もない。私は絵のことをちゃんと勉強したことが無ければ、類い希な感性もないし、そもそも絵を描いていた時間もかなり少ない。

それでいてさらに、現在の世の中はイラストの世界はもはやプレイヤーが多すぎて飽和しており、国内のみならず技術を持った中国・韓国のイラストレーターが真正面から競合として立ちはだかっている。ビジネス的に言えばレッドオーシャンの極地、チゲ鍋の海みたいな感じだと思う。

絵の上手さ で殴っていくということは、そういう競合と戦うということである。私はそれは絶対にやりたくない。メガベンチャーと真正面から競合するSaaSを個人開発で今から作ります、と言っているようなものだ。そういう条件下で成功した例は時代時代でちらほらと見かけるものの、私に創作は兼業である限り趣味の範囲を脱することができない。それでは益々成功は遠いだろう。

よくイラストを描いている人たちの間で言われるSNSでバズるとか、フォロワー数がどうとか、SNSで伸びる絵を描くとか、Skebがどうとか、そういうこともしたくない。当然の帰結である。それで成果が出ることはない。ありえない。

しかしそれはイラストレーターになるための成功パスの一つではある。SNSで人気が出てフォロワーが増えて絵のPVが増えSkebが増え、いずれは商業案件に携わり、最終的に商業イラストレーターとして一定の実績を残す。一つのロールモデルのようなものではあるとは思う。だからといって皆がそれを意識するのはおかしいとも思うがこれはちょっと話が逸れるので掘り下げない。

私が絵をやっている目的はあくまでもストーリーと世界を説明するためのもので、主従のうちの従である。だから、 自分が思い描く世界とストーリーを説明できるための絵の能力が最低限あればよい。それは現時点で大体そろっていると思っている。 簡単に言うとその絵が「誰が」「どこで」「何をしている」のかが分かれば究極的にはそれでいい。それが私に取って十分な絵の技量である。

また、あまりにも絵が上手くなることでの弊害もあると思っている。ストーリーを伝える上であまりにも絵が上手くて絵に対する人気がすでに定着してしまっていると、今度それは絵がブラックハットSEOになってしまうんじゃ無いかという危惧である。つまり、表紙絵だけすごく綺麗で思わず買いたくなるけど中身はつまらなくて最後まで読めない、という作品だ。でも絵は魅力的で作品は売れる。でもだれも中身を読んでない、という。そういう状況には絶対にしたくないと思う。

やりたいこと

いい作品を作りたい。 「いい作品」の定義は人それぞれで数多の尺度があると思うが、私が思ういい作品とは、 作者が想像している独自性のある世界とストーリーが想像可能性をもって伝えられること であり、その効果的な手法は 作者自身が制作した絵と文を伴って伝えられること だ。つまりその媒体は漫画やコミカベルやゲームとなる。これが私に取っての「良い作品」であり、目指したいものである。(ここでいう「想像可能性」についても一家言ある)

そして重要な事実は、漫画やコミカベルやゲームでいい作品を作るには総合力が必要になる。 絵だけ鍛えることにうまみがすくない のである。

また、これは大変面白い事だと思うのだが総合力が必要なので プレイヤーが限られてくる 。絵がすごく上手い人、文章がすごく上手い人はそれぞれたくさん居るが、どちらもできる人は一気に少なくなる。要求されるものが多くなるほどそのスキルの共通集合は狭まっていく。

私は絵の分野でも小説の分野でも圧倒的に太刀打ちできる専門性や技術や能力は存在しないため真っ向からぶつかり合う正規戦はできないが、複数の能力の組み合わせによるゲリラ戦ならばまだ勝機があると思っている。逆に言うと持たざるものの戦い方としてそれを強いられている、とも言える。

それでもなぜ私は絵を練習してしまうのか

凝り性だから。単純に絵が上手くなることは面白い。想像した絵が出来上がったときは独特の快感と中毒性がある。あれを覚えてしまったらなかなか止められないところがある。

単純に絵を描いてネットに載せたり本にしたりして「楽しい!」と思えるならば私も絵ばっかり練習していればよい、と思っていたはず。でもそれ以上の小難しいことを考えてしまったが故に、そうではなくなってしまった。それが良いことかどうかは人それぞれ。

私って絵を練習しないほうがいいですか?

  • 趣味として絵を描くこと自体に楽しさを感じている → 絵を描き続けたほうが良いと思います

  • 絵が上手くなりたい → 絵の練習をして上手くなったほうが良いと思います

  • イラストレーターになりたい → 絵の練習をして上手くなったほうが良いと思います

  • 漫画を描きたい → 絵の練習はした方が良いと思います

  • イラストの商業案件を取りたい → 絵の練習をして上手くなったほうが良いと思います

  • それ以外 → 人それぞれ

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