コミカベル というフォーマットを考えた
コミカベルという本の形態を考えてみました。
comic novel, 略してコミカベルです。
コミコベルじゃん、と言われそうですが、最初は comicalized novel だったからコミカベルです。 ただ、 comicalized は和製英語らしいのでこのような形態になりました。
意図としては「漫画のようになった小説」であり、漫画と小説の中間的な読書体験をもたらすことを狙っています。
今のところ定義としては以下のようなものを想定しています。
- 物語が主コンテンツである
- 左とじの本である
- 横書きの文章
- 漫画のようなコマ付きの挿絵
- 文章と挿絵がシームレスに接続されている
意図
前述したとおり、漫画と小説の中間的な読書体験を狙っています。
小説は文字情報だけであるため、登場人物や物語の個々のシーンはある程度読者の想像力に委ねられます。なので、読者側の視点では、読む作品への没入感が必要です。読んでいる対象の物語が繰り広げられる世界についてある程度の前提知識を必要とします。前提知識が分からないジャンルの小説を読むのに心理的障壁を感じます。
作者の視点では、作者の意図や思い描いている情景を読者に正確に伝えるのが難しいです。これは困難であると同時に利点でもあります。曖昧な表現を読者がある程度読み取り、それぞれの読者がそれぞれにとって都合がよい近似的な解釈をしてくれます。
漫画は文字情報だけではなく絵というビジュアル情報が含まれるため、より具体的なイメージを読者に伝えることが出来ます。一方で、小説に比べると想像力の幅を狭め、解釈の余地を削ります。
つまり、読者の想像力の必要性は解釈の余地と同義であり、小説と漫画はその大小において対照的です。このパラメータを作者の考えによってより自由に制御したい、ということが一つ目の意図です。
二つ目の意図は、この方式でないと私が死ぬからです。
私は仕事をしながらこうした創作活動をしています。私の気持ちとしては自分の想像、解釈を伴ったストーリーを具体性をもった絵で説明したいです。すると適切な方法としては漫画を描く、ということになるのですが、仕事をしながら漫画を描くというのは本当に不健康な作業です。
例えば30ページちょっとの漫画を描くことを考えると、私の場合はなんだかんだで140~180時間くらいかかります。これを1~2ヶ月で仕上げるというスケジュール感で進めなければならない、という場合が多いです。仕事をしていても私の場合は30時間程度は残業をしているので、それに加えて140~180時間程度の工数を1~2ヶ月で確保する必要があります。こんなことを繰り返したら死にます。
漫画を描きたいから漫画を描く、あるいは絵を描きたいために結果として漫画を描くという人も居れば、物語を伝えるための手段としての漫画を用いている、という人も居るかと思います。私がそれですが、それをやると死ぬので持続可能な創作を行う必要があります。
ある程度ボリュームがあるストーリー、ボリュームがある描写を求めると漫画というメディアは非常にコストパフォーマンス(=描写できるボリューム/作業工数)が悪く、もっと効率的なフォーマットを利用することがあり、このコミカベルという形態は死なないために必須のフォーマットとして考えました。
なお、左とじ・横書きの本である理由は、私にとって小説は横書きの方が読みやすいという理由が大きいです。私の世代はPCに慣れ親しんできてますし、学生時代は横書きの技術書と教科書を読み、横書きの論文を書きました。横書きの方がアルファベットも書きやすいです。組版もソフトウェア的な制約で日本語縦書きよりも横書きのほうが圧倒的に恵まれています。そういった単純な理由です。
一応は日本の小説と漫画のフォーマットに敬意を表し縦書きに漫画のコマ、というフォーマットを最初は考えたのですが、この形態でレイアウトを考えてみると、私にとってはどうしても「文字の多い漫画」というネガティブな印象になってしまいました。まだ試行錯誤の段階なのでいきなり次の本から右とじ縦書きになる可能性はありますが…。
サンプル





タイトル、内容
『夕焼けは星空』
2300年代、木星系まで進出した人類の群像劇です。 舞台はSF、雰囲気は昭和平成です。1500円、A5、200ページくらいです。(値段含め変わるかも知れません) 木星系で暮らす人々、地球で暮らす人々、地球に取り残される人々などを描きます。 ガチガチのSFではなく、青春小説の舞台がSFになっているイメージとお考えください。
ちなみに以前、『夕焼けとほしぞら』
今後
今回は取りあえず作ってみた、という段階を抜け切れていません。これからフィードバックも貰いつつ試行錯誤・洗練させていく必要があると思っています。
なお、コミカベルという名前を付けたりわざわざ新しいフォーマットだと説明したりしている背景としては、可能ならばこのフォーマットがもっと広まって一般化してほしいという意図もあります。一般化しないといつまでも「何それ?」という所から説明を始めないといけないですし、働きながら創作をしていて死にかけている人も沢山いると思います。そこで漫画と小説の中間的なデザインを提供してみんなで健康的に創作をしたいね、という趣旨です。なので、みなさんもよろしければこのフォーマットで何か描いてみてください。よろしくおねがいします。
もしコミカベルという形態で本を描いて頂けるならばご報告ください。喜びます。