anopara

君たちはどのSNSで生きるか

去年はTwitterくんが色々あってXくんになり、APIコール回数制限とか誤ってアカウントを凍結したりだとか有料オプションを追加したりだとかで何かとユーザーから「改悪だ」と批判され、XくんからのSNS移住が何度も取り沙汰された一年だったように思います。

現時点でそれぞれのSNSに思う私の感想を書いていきたいと思います。

X

x.com というドメインがポルノサイトっぽくて嫌いだ。ここはブログなので正式な名称としてXと表記するが、普段は躊躇なくTwitterと言っている。「X(旧: Twitter)」みたいな表記がしつこく残っているのは、やはりXという名前に抵抗があるからだろう。イーロン・マスク氏はテスラの自動車にS, 3, X, Y (=SEXY) などという名前を付けるセンスの持ち主なので仕方がないだろうと思う。 SpaceXのロゴはかっこいいと思うけれども。

Xは確かに改悪が目立つように思うし、誤ったアカウント凍結が多いというのも同意する。しかしながら、それは詐欺や陰謀論の流布を目的としたBOTとの戦いがあるという背景を考慮すれば仕方がないと思える部分も多い。にしても、もう少し上手く出来ないものかという気持ちもあるが…。

Xはしょっちゅう不具合でダウンするようになった気がする。タイムラインが全ユーザーで何も表示されなくなるレベルのバグが頻発している。これも、いちITエンジニアとしてはどういうデプロイフローになっているのか、テストは自動で行われないのか、行われているとしたらこのクラスのバグを検知できないことは問題ではないかなどと色々思うところがある。Xはすでにインフラに近い存在であるのでこれは困ると思う。

Xの強みは公式アカウントの数だと思う。政府、官公庁、地方自治体、企業の公式アカウント、著名人、みんなTwitter上にとりあえず居るから情報収集としてのSNSでXを代替できる選択肢は無いように思う。

Misskey

特に創作をしている人たちはXからMisskeyへの移住率が比較的高かったように思う。多様な絵文字をリアクションとして送りあえる機能が創作においてゆるく感想を伝えあう機能としてとても適していた、誤ったアカウント凍結がほぼ無い、センシティブなコンテンツを掲載することに寛容な文化である、というあたりがその理由だったように感じる。

私もSNSの利用率は圧倒的にMisskeyが高くなった。絵文字リアクションが使っていて楽しいことが理由であるが、もう一つは自分のMisskeyサーバを公開したことだ。本サーバーは招待制としており、ユーザー数を少なく抑えて治安を保っている。半分Discordのように使用しているということだ。だから、これに関してはMisskey「なので」楽しく使えているということではない。

Misskeyには不満もある。サーバ運営者としてはリソースを使いすぎて維持費が嵩むということがある。私のサーバーは1日のアクティブユーザー数が20〜30人程度であるため、この規模ならばメモリ1G程度のVPSインスタンスで安く済ませたいというのが正直なところだ。実際にはメモリ4G程度が必要になっている。ただ、やりようによってはもう少しメモリ消費量は抑えられるかも知れない。

MisskeyやMastodonなど、FediverseのSNS全般の欠点であるが、Fediverseという概念自体が一般的なユーザーにとってはかなり分かりにくいものであることがあげられると思う。登録するサーバーが複数あり、いずれかに登録する必要があるが、どのサーバーからでもFediverse上のユーザーをフォローすることができる、しかしフォローしていないユーザーの投稿が別のサーバーから常に見れるわけではない、そのあたりの仕様はしばらく使わないと理解できないだろう。

Misskeyサーバーの中で最大のユーザー数を抱えるMisskey.ioに関しては、「センシティブなコンテンツを掲載することに寛容である」ということが弱点にもなっていると感じる。流れてくるイラストは例え部屋に一人の状態で見たとしてもやや不快になるような、性的でエグいものがかなり多く、このようなコンテンツを配信しているサーバーにはアカウントを作りたくないと正直思ってしまう。

ITエンジニアとしてはMisskeyの仕様自体にもいくつか不満に思っているところもあるが、それは話が逸れてくるのでここで書くのは避ける。

Mastodon

Mastodonに関しては、絵文字リアクションが個人的にとても大事な存在であるために「Misskeyのサブセット」というように感じてしまうことが多い。また、世界的に普及しているアプリケーションであるがためにスパムBOTが多数存在するようなサーバも多い。そのようなBOTからメッセージが飛んでくることもあり、Mastodon自体には正直あまり良い印象がない。

Fedibird

FedibirdはMastodonに機能追加したサービスであるが、独自機能が多いために別途項目を分けた。FedibirdではMisskey互換の絵文字リアクションを使うことが出来る。また、ローカルタイムライン(そのサーバーに登録しているユーザーの投稿のみが流れるタイムライン)が存在しないためにユーザー同士が喧嘩しにくく、治安が良いというのが利点だと思う。その代わりにフォローしていないユーザー同士の交流が生まれにくいという欠点もある。一応、fedibirdタグでの投稿がローカルタイムラインの代わりであると説明されているが、UIとしてローカルタイムラインというものが存在するという状態と比較したとき、違いはかなり大きいと感じる。

治安の良さと交流のしやすさというのは完全にトレードオフの関係にあると個人的には思っていて、どちらが良いとは一概には言えないように思う。Fedibirdは大変優れたサービスだとは思うものの、このSNSだけを使うという考えには至らない。

Fedibirdは機能の豊富さも相まって使い込めばかなり有用なSNSになると考えているが、あんまりSNSをいくつも巡回できないので私はアカウントを取ってすぐ放置してしまっている。もったいないことであると思うので、なるべく使っていきたい。

Discord

DiscordはよくSNSの一つとして紹介されるが、個人的にはこれはSNSという枠とは少々異なるように感じる。昔ながらのIRC、MSN Messenger、Skypeなどといったサービスの進化系だと私は認識している。これらは会話内容が公的であることを意図していないという点でその他のSNSとは大きく異なると感じる。

私はDiscordを作業通話(という名のゆるいWeb飲み会)ツールとして使用している。

Xからの移住先としてDiscordが紹介されることも多々目にするが、法人・個人・官公庁関連のアカウントのいずれであるかを問わず、広く情報を周知したいという目的を達成することは出来ないし、それが不可能であるからこそ広い分野の情報収集の目的としてはふさわしくない。むしろ、ジャンルや目的がかなり細分化されたツールであると感じる。

Instagram

イラストを乗せるのに適していると当初は思っていたが、フォローしていないユーザーの投稿がどんどん流れてくるのが不快であったり、独自のハッシュタグ文化が好きじゃなかったりというあたりで使わなくなってしまった。投稿するUIが冗長だと感じるというのもある。

自分がなにか発信したいという場合には一定程度使う理由を感じるが、閲覧者という視点で見るとあのサービスは事業者がおすすめするコンテンツをひたすら享受するのが基本で、オマケとして自分がフォローしたアカウント(つまり、能動的に見たいコンテンツ)の投稿も見せてあげます、というように感じられる。

Instagramユーザーで興味が持てるユーザーが少ない、あるいは、InstagramユーザーのほとんどはXにもアカウントを持っているから両方を見る必要がないということもある。

仲の良い知人でかつ、Instagramをメインに利用している人が一定数いれば使わなくもない…かな?

Threads

登録した当初は「写真が無いInstagram」という印象だった。だからあまり使う異議を見いだせなかった。

今日見たら、特にフォローしていないユーザーの投稿で不快なものが多く(陰謀論、愚痴、おっぱいの谷間を強調して I'm single だなどと書いてある、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りしますなどという文章とともにおしゃれな服を着てニコニコしている自撮りの動画を上げるなど)、中には普通に成人女性の乳首が出ている動画が流れて来たりしていて非常にしんどい。何も管理されていない無法地帯だと感じる。これは本当にMeta社というSNS大手の企業が運営しているサービスなのだろうか、とても疑問だ。現状でここを使う理由は皆無だな…と思う。

Bluesky

招待コードだけ溜まっていっていまいちユーザー数が増えないというか盛り上がりに欠けるというか…。そんなふうに感じてしまう。

サービス自体は悪くない。機能的にもXの代替と思えばそこまで不足はない。ただ、なんか物足りないんだよな…と思ってしまう。今後、活用していけば印象は変わってくるかもしれない。

Nostr

使ったことはないが、「クライアントがとりあえず投稿を複数のリレーサーバにぶち込み、生きているサーバーから投稿を取ってくる」という、管理者不在であることが目的化している発想はかなり不安に感じる。

暗号通貨もそうなのだが、「中央集権的である」ということに対して不快感を感じることが私はあんまり理解できない。Xのアカウントの誤凍結やロシア、中国の体制などを見れば中央集権的であることが嫌になるというのは理解できるが、そのために詐欺やスパムを投稿するBOTと戦うための最も強力な武器を自ら捨てるのはいまいち理解できない。

個人的にはSNSを運営している会社の方針転換により困ることよりも、詐欺行為をはたらくアカウントや陰謀論を流布するアカウント、スパムBOTなどから迷惑を被る被害のほうがずっと大きいと感じているため、管理されないことがそこまでの利点とは思えない。

というわけで

私はX、Misskey(自分の立てたサーバ)、Discordを使うことが多い。Xも不快な投稿は多いのだけどフォローを厳選すればその被害は小さく済み、結果として情報収集と情報発信の有用性の和のほうが上回るので私はXを使い続けると思う。逆に言うと、企業の公式アカウントや官公庁のアカウントなどなど、有用な情報を配信してくれるアカウントや好きなイラストレーターさんらが離れていったらXは使わなくなると思う。

一方で仲の良い人と交流するSNSとしてはMisskeyとDiscordがとても有用だと感じる。だからこの2つもXと並行して使い続けると思う。

これ以上SNSアカウントを増やす必要性は感じないが、ただ、SNSというのは「いま面白い人たちが集まっているのはどこか」という流動的な要素によっても使う価値が左右されたりもするので中々難しい所…。

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