投資のすすめ(1) 投資と投機

いつか投資について書きたいな、と思ったので書いてみる。
本記事では以下のような内容を取り扱う予定。

  • 投資ってなに?
  • 株価の歴史
  • 値動きを予測する
  • 現金貯金のリスク
  • 投資の始め方
  • 素晴らしきNISA
  • iDeco
  • 商品の見方、選び方
  • リスクとパフォーマンス
  • 信用取引
  • FX
  • 仮想通貨
  • ロボアド
  • アクティブ投信
  • 保険商品
  • 投資信託とETF
  • 現金
  • 株式
  • 債権
  • REIT
  • 国内・海外・為替ヘッジ
  • 相関と効率的フロンティア
  • 隔離貯蓄的投資運用
  • ネットの言説に反論する

最終的に効率的フロンティアから自身が望むアセット比率を決定し、実際に投資を行うまでができるようになるところを目指して書きます。

Disclaimer

この記事はあくまでも私がこれまでに独自に勉強・研究した内容を書いているのであって、専門家が執筆して編集・校閲・校正を経た出版物ほどのクオリティはありません。
妙なことを書かないように気をつけていますが、その質は保証しません。
実際の投資はご自身の意志と理解と判断に基づき行ってください。この人がこう言ってたからこうに違いない、という発想での投資は丁半博打と大差ないです。

はじめに

私はあらゆる人が投資を始めるべきだと思います。それが経済を知ることに繋がり、自分の資産形成になるからです。金融庁もそれを推奨しています。だからNISA、iDecoのように国民に投資を進めるような税制優遇があります。投資はギャンブルではありません。資産を形成するための行為です。我々の年金はGPIFによって運用され2001年以降、100兆円を超える利益を出しました。この投資方法は我々も実践可能です。世界中の国家機関と法人、個人が投資を行っています。

にもかかわらず、日本国内では相変わらず「投資は危険」「不労所得は悪」のような考えが根強く残っています。冷静に考えてください。危険で悪どい行為を世界中の国家機関やファンド、証券会社、企業、個人投資家がこぞってやっていて、どの国家もそれを規制していないというのは明らかにおかしいでしょう。要するに投資は危なくないし、皆やってる普通のことなのです。

これが納得できず、「いいや、政府や年金の運用期間は悪だ。資本家の不労所得も悪だ。政府の陰謀によって我々はつらい暮らしを強いられている」みたいに思ってしまうのであれば、あなたは陰謀論にハマってる可能性があるのでまずはSNSとインターネットをやめて1年ほど生活することをおすすめします。

一方で、投資は皆やってる行為だという話は納得できるが、個人としては投資はやはり危ない、難しい、怖い、興味はあるがわからない、という人たちを対象の読者としています。投資はふつうのことで大事なことだ。でも、怖くて危なくて不労所得はよろしくないことだ。そう思っているギャップをこれから少しずつ埋めていきましょう。投資もやり方を間違うと危ないことには違いはありません。危ないと思うこと自体は大事なので、危ないという感覚をもったまま、堅実な投資ができるようになることがここでの目標です。

投資ってなに?

まずは言葉の意味から調べましょう。基本は大事です。

投資とは、

とう‐し【投資】
1 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。「土地に—する」「若いピアニストに—する」
2 経済学で、一定期間における実物資本の増加分。
デジタル大辞泉

です。

とくに本記事の内容を鑑みた上で重要なのは

「その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと」

という意味ですね。

将来、値上がりが見込まれるなにかのために現金を突っ込む作業のことを投資、といいます。

「値上がりが見込まれるなにか」を断定的に書くことは実は難しいのですが、まあここで扱うのは「有価証券」としておきましょう。具体的に何の値段が上がるかなどという具体的なことは誰にもわかりません。「何か」が本当に値上がりするかどうかは厳密には誰にもわからないのです。

一方で投機という言葉があります。

とう‐き【投機】
1 利益・幸運を得ようとしてする行為。
2 将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額を利得する目的で行われる商品や有価証券などの売買。
3 禅宗で、修行者の機根が禅の真精神にかなうこと。師家の心と学人の心とが一致投合すること。
デジタル大辞泉

3番めの意味は知らなかったですが、「将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額を利得する」、これがここで言う投機です。

「将来値上がりが見込むもの」に対してお金を投じるのが投資、「価格の変動から利益を得ようとする」の投機です。

どっちも同じじゃないの?というように聞こえるかもしれませんが、両者は明確に違います。「投資」は値上がりを見込んでいる、すなわち自分が値上がりすると思っているものにお金を投げてるので、いちいち値動きを追う必要がないです(追ってはならない、というわけではないです。追わなくても投資はできる、という意味です)。一方で「投機」は値動きから利益を得ようとする行為なので値動きを追うことが必須です。

もし「投資をしている」という人が日々値動きを追っているとしたら、それは「投機」である可能性が高いです。

具体的な例としてはFX(外国為替取引)があります。これは為替レートの変動を読み取って利益を上げる行為でまさに投機ですが、FXをしていることを「投資」と読んでる人はたくさんいます。仮想通貨も同様に投機だと私は信じていますが、人によっては本当に資産的価値がそこにあり、値上がりが見込まれると信じている人がいるので投資か投機かの議論はちょっと難しいです。

本記事で扱うのは本当の「投資」です。比較のために投機を紹介する以外では投機を一切扱いません。私は「投機はギャンブルに近い」と思っているからです。私はギャンブルがあまり好きではないなのです。逆に言えば、投資はギャンブルではなくお金を増やすための手段としての十分な見込みと実績があるということです。

この、投機と投資の区別があまり正確になされていないのも日本で投資が嫌われる一因だと思います。株で大損こいた、FXで巨大な借金ができた、という体験談が出てくるたび「だから投資は危険なのだ。働かずして利益を得ようとする行為がよくない。正しく清く働いて貯蓄を重ねていくことが人生では肝心だ」という結論になる、というのを繰り返しているのでしょう。巨大な借金ができたり一夜にして資産がパーになったりするのは、それは投機です。投資ならばそんなことはありません。リーマンショックが起きても3.11が起きてもロシアがウクライナに戦争を売っても世界大戦が起きたときたときも、歴史が実証しています。投資した資産がパーになることがあるとすれば、地球のあらゆる資産が大規模核戦争や巨大隕石の衝突などによってすべて潰えたときでしょう。そのときには現金預金もパーになってますが。

株価の歴史

では何にお金を投げたら投資になるのか?大雑把に言えば株式がその一つだと書きました。ただ、株式も投機的に運用することは可能なのでこのあたりは注意が必要です。先走ってトヨタ自動車株に全財産を突っ込むようなことはやめてください。

まずは株価の歴史を見てみましょう。

以降のキャプチャ画面はTradingViewというサービスからの引用で、これはスマホアプリでもWebでも閲覧できて非常に便利です。無料で使い始められるので興味があればぜひ使ってみてください。機能がたくさんある上に使いやすく、これ以上に良いサービスを私は知りません。

さて、TradingViewで「DJI」というインデックスを追加してみます。ダウ・ジョーンズ・インデックス、ダウ平均株価ですね。米国の証券取引所に上場している株式の平均価格です。一番古いデータで1880年あたりからあるみたいです。

どうでしょうか。右肩上がりですね。いくつか注目していただきたいところがあります。

まず、右の株価の軸は対数です。対数軸と言われてもピンと来ない人がいるかもしれませんが、要するに加速度的に株価は上がっている、という意味です。株価は単に右肩上がりで値上がりしているだけでなく、長期的にはその上がる速度も上がっているのです。

2つ目に世界でのイベントです。例えば1924年と1933年の間で株価が大暴落している形跡がありますが、これは世界恐慌ですね。1929年に始まりました。世界恐慌の結果株価は大幅に下がりましたが、10〜20年ほど経つとその株価はもとに戻っていますね。あとは1914年から第一次世界大戦が始まりましたが、始まってからは株価は急上昇して戦後に戻っているように見えます。1941年には日本が真珠湾攻撃を行い、アメリカも第二次世界大戦への参戦を表明しました。このとき若干(対数軸であることに注意してください。当時は大幅な株安だと認識されていたはずです)株価が下がった形跡があるものの、1943年にはもとに戻っています。2005年のちょっと右側で急激に株価が下がっているのはリーマンショックです。このとき下がった株価も2012年ごろにはもとに戻っています。

ここで非常に重要な事実があります。このダウ・ジョーンズ・インデックスというのはすごく偉い人が高度な金融工学に基づいて導き出した難解な公式の算出結果、とかではありません。単に米国の株式の平均価格です。ということは、その時々に上場している株式をランダムに買っていれば、加速度的に資産は増えていくということです。

我々が働いている約40年間くらい投資していたとしましょう。1982年に投資を開始して、2022年にやめたとします。82年の平均株価は1100ドルくらいでした。今は30,000ドルを超えています。約27倍です。働き始めたときに10万円投資していたら、退職時に270万円になって帰ってくるということです(実際には2割ほど税金が引かれるので216万円くらいになってしまいます…、が、今はNISAがあります。後述)。

これはすごく魅力的ではありませんか?これが投資です。義務教育程度の知識があれば誰でも理解できる非常にシンプルで実績のある仕組みです。

そんなうまい話があるわけがない、と思われるかもしれません。でも、あるんです。そんなうまい話があるんだったら、みんなもうやってる、と思うかもしれません。やってます。企業、国家機関、年金の運用、健保の積立金、企業年金、個人投資家、銀行、証券会社、ありとあらゆる組織・個人がもうすでに投資を行っているのです。投資は誰でもやってることなのです。なぜ皆投資を行えるのか?他人から預かった金で博打を行えるのか?それは博打ではなく過去100年以上のデータの積み重ねで、資産が増えるということがわかるからです。

ではなぜ株価が上がるのか、というのは、これは人類の経済が発展しているからにほかなりません。人類はずっと経済活動を行い、富を生み出し続けています。株式というのはその企業が保有する資産や事業価値を人々が判断して値段が決まる(具体的なことは後述します)ので、大雑把に言えば人間の社会活動が続く限りは株価は増えていくわけです。もちろん、ミクロな視点で見れば中には倒産して企業価値がゼロに近くなる会社もたくさんあったわけです。そういうときは株式の価値が暴落するわけですが、平均値で見れば増えていくほうが大きかったわけです。ですから、株式の平均値に近づくようにバラバラに株式を買っていれば、総額ではプラスになるわけです。

逆に言えば、これが「株価が高くなる」という理由で「トヨタ株に全額突っ込む」ということをしてはいけない理由になります。一つの企業に全額をつっこんだとき、その企業の業績で自分の資産すべてが左右されるようになり、平均的な値動きが期待できません。トヨタに全部突っ込んでトヨタが儲かればいいですが、トヨタが不祥事を起こしたら一気に資産価値が減ります。これをいろんな株式に分けて買っていれば、差し引きの値動きはより穏やかになり、いくつかの企業が倒産してもいくつかの企業の業績が良ければ、総額でプラスになっていきます。なぜ総額でマイナスにならないのかは繰り返しになりますが株価の平均がずっと伸びているからですね。少数の株式銘柄しか保有していないとそういう効果は期待できません。

以上の議論はダウ平均株価を前提にして話してきましたのでアメリカの話になります。世界でも同じ傾向はあるのでしょうか?

イギリスのUK100株価指数は以下のような感じです(対数スケールではないことに注意)。暴騰を繰り返してますが全体的に見れば上がっていますね。詳しくは後述しますが、この細かな暴騰でも投資による利益を上げることが可能です。定期的に買い続けていれば極小値のところで安い分たくさん買うことができるから、です。

ドイツの株価指標、DAXは以下のような感じです。これも右肩上がりですね。

では本邦の日経平均はどうでしょうか。

日経平均はちょっと残念な感じになってます。バブル崩壊以降横ばいですね。これが「失われた30年」とか言われてるやつです。失われた40年、って言っても良いんじゃないですかね(もう言われてる?)。日経平均に限って言えば少なくとも右肩上がりと言い切るのは疑問かもしれません。

「おいおい、さっきと言ってることちがうやんけ。株価は上がっていくんとちゃうんか」と言われそうですが、日本の平均だけに限って言えばそうじゃない、と言えると思います。

しかしよく思い出してください。「株式を買うときは個別の少数の銘柄を買ってはいけない」というのはそういうことです。平均的というのは国家をまたいで平均的であることが望ましいということです。つまり、世界中の株式に投資する必要があります。日本だけに投資したら日本の政策がダメダメで経済成長がなかった場合(今がそうですね)に恩恵を受けられません。国によっては戦争で大きな損害を受ける可能性もあります。もちろん、アメリカだって万全では無いのです。だから複数の国家にまたがって資産を分けたようが良いのです。

「めんどくさ!!!!」って思いましたね?あなたの心の声が聞こえると同時に顔に書いてあるのが私には見えます。嘘だと思うなら鏡を見てください。書いてますね?拭いて下さい。

しかし大丈夫です。最終的にあなたがやることは、スマホアプリから銘柄を選んで数回ポチポチするだけです。お望みならば一回設定したらあとは放置で勝手にいい感じに投資してくれるようにもできます。それも後々説明しますので、まずは理論を覚えといてください。

その他の平均株価指数については面倒なので載せませんが、気になる人はTradingViewから見てみてください。左上の指標の名前を書いてあるところをクリックすると検索窓が開くので「国名 INDEX」と検索すればだいたい出てきます。例えばAUSTRALIA INDEXと検索するとオーストラリアの平均株価指数AUS200が出てきます。だいたいどれを見ても長期で見れば株価は上がっていることが解ると思います。

一回まとめます。

  • 世界の平均株価は長期的(数十年のスパン)に見れば上がり続けている
  • 世界恐慌でも戦争でもリーマンショックでも下がった株価はいずれもとに戻って上がり続けている
  • 平均の株価が上がってるんだからいろんな株式を平均的に買い集めて放っておけば平均株価に連動して資産は増えていく
  • だからそういうふうに投資すれば良い
  • これは世界中の金融機関や投資ファンド、政府機関、健保、年金運用期間、企業、個人投資家が標準的に行っているごく当たり前の方法
  • 逆に個別の銘柄を選んで買って所持すれば上記のような見込みとは違った結果になる
  • 以上が投資(の代表的な方法の一つ)であって、短期的な値動きによって大損したり借金したりするのは投機
  • 普通、皆が嫌がるのはだいたい「投機」であって、私が話しているのは「投資」

です。

今回の内容は疑って読んでください。投資はとにかく詐欺や詐欺的な商品が出回ってます。リスクが高い手法を説明せず単に儲かったことだけを強調してFXや信用取引に誘導し、アフィリリンク経由で証券口座を開かせようとする無責任な人たちも山ほどいます。だから、投資はまず人の言うことを信用しないということが肝心だと個人的には思います。自分の頭で考えて自分のカネの使いみちを決めるべきです。これができるようになっていることが大前提で、SNSでカリスマ投資家みたいな人の発言を追ってそれに合わせて売り買いして一喜一憂している人は必ず投資に失敗します。というか、それは投資ではない、ということも分かって頂けたと思います。

この記事の情報も鵜呑みにせず、本当に世界の株価は高くなっているのか、例外はないのか、年金や健保が株式を上記のような方法で運用しているというのは本当なのか、をぜひググったり本で調べたりなどしてみてください。

今回書いたことは秘伝のタレみたいなものではなくて経済や投資の本を見ればだいたい書いてあることだと思います(書いてない本もたくさんありますが)。ごくごく当たり前のことです。世界の平均の株価は長期的に見ればだいたい上がってる、だから平均株価に連動するように分散して株を買って放置して待ってれば増える。ただそれだけの非常にわかりやすいこです。

でも、2回め以降の話はこの論を前提として書いていくのでまずはこれが納得できるかどうか、気の済むまで調べておくことを強くおすすめします。

といっても、TradingViewを開いてちょっと遊んでいれば大体納得できると思いますが。