【質問#216】MT車でのシフトダウンのアルゴリズム

質問・悩み相談の回答です。

質問

こんにちは、こんばんは。
まとまった時間とお金が手に入ったら教習所でバイクの免許を取ってその勢いでバイクを買おうと考えている者です。普通自動二輪ならGB350、大型ならCB1100が欲しいです。

バイクと言ったら基本はMTで取ることになるでしょうし、私自身もそのつもりでいます。
しかし、不安材料が一つあります。
私は自動車の免許もMTで取っているのですが、シフトダウンをマスターできないまま卒業してしまったのです。
いつ、どんなタイミングでシフトダウンすればスムーズにいくのかよくわかりません。
教習所では「十分に減速してクラッチを切り、シフトダウンしてゆっくりクラッチを繋ぎアクセルを踏む」みたいな教わり方だったと思いますが(本当にうろ覚えなので間違っているかもしれませんが)、このように試してみたらギアが入らず、「ギュイイイイイイン!!!!!」という振動がシフトノブから伝わってきて壊れるんじゃないかという恐怖を味わった覚えがあります。
逆にシフトを上げるほうに関しては問題なくこなせていました。
現在MT車ではありませんが、DCT搭載のフィットハイブリッドに乗っているので、そちらでタコメーターを観察しながら自分なりにエンジン回転数、速度がどの状態でギアが変化し、どのように回転数、速度が変わっているか考えてみました。
実際のMT車ではなく、あくまで私のDCT車のフィットでの挙動になります。
シフトアップするとき
アクセルを踏む

スピード、回転数が上がる

一定の速度に到達

クラッチが切れる

ギアがnからn+1に上がる(DCTでこの表現は語弊があるかもしれませんが)

クラッチが繋がる

nよりもパワーを必要とするギアなのでエンジン回転数下がる(変速ショック?)

アクセルを踏み続ける

スピード、回転数が上がる

シフトダウンするとき
ブレーキ、エンブレ等を使用

スピード、回転数が下がる

一定の速度に到達

クラッチが切れる

ギアがnからn-1に下がる

クラッチが繋がる

nよりもパワーを必要としないギアなのでエンジン回転数が上がる

スピードを落とし続ける

スピード、回転数が下がる

…とまぁ、書いてみたらなんかできるような気がしないでもないですが、現にシフトダウンをマスターできないまま教習所を出てしまったのでやっぱり自信がありません。
シフトを上げるときはそのギアで十分速度が上がってクラッチを切り、アクセルから足を離し、回転数が下がったところがエンジンにとって変速する準備万端な感じで覚えていますが、
これが減速となると、エンジンにとって変速する準備が万端な状態ってどんな状態にあたるのでしょうか?

機械には疎く、拙い文章であるとは思いますが、ご教授いただけますと幸いです。

回答

他にも先に質問を頂いているのですが、この質問の検証を最近したので忘れないうちにこちらを先に回答させてもらいます。ご了承してくれ。

普通自動二輪ならGB350、大型ならCB1100が欲しいです。

私はこういうクラシックな感じの感じのバイクが好きでは無かったのですが、GB350を見てから何となく良さが分かるようになってきました。めちゃくちゃ売れてるらしいですね、GB350。

そういえば私が信頼しているマッスルバイクちゃんねるでGB350が紹介されていたので参考までに貼っておきます。

それ以前に丸山浩さんのレビューを見て良いなと思っていたのですが、

マッスルバイクちゃんねるの試乗動画を見てGB350はちょっとな…というやや否定的な意見に変わってしまいました。購入を検討しておられるところ水をさすような言でちょっと恐縮ですが…。

特に気になったのが

  • メーターが2眼じゃない
  • 距離計とか表示ランプ類がとりあえず付けた感があって見にくい
  • クラッチレバーがぷらぷらしてる
  • 乗り味が軽すぎて「125ccのバイクでも良いのでは」と思ってしまう
  • この乗り味、性能であれば350cc(車検あり)のメリットを感じない

という辺りですね。インド向けらしいのでまあ諸々そういうことなんでしょう。

このバイク自体が好きであれば上のどれもこれもは関係ないと件の動画で解説されてますし、私自身もそう思うのですが、上記の点を補ってあまりあるほど好きだと思えるかどうかは一考の余地があるんじゃないかなと思います。

参考までにクラシックな見た目のバイクで私がとても良いなと思ったのはカワサキのW800ですね。低回転域での排気音が私が考える昔ながらのバイクって感じでとても好きです。

えーとすみません、バイク選びの話ではなかったですね。話を戻しましょう。

いつ、どんなタイミングでシフトダウンすればスムーズにいくのかよくわかりません。

うーんこれ、MT(バイク)に慣れていると、いざ具体的にどうすればいいの?と聞かれると説明が難しいですね…。

無意識にやってるというのもそうですが、特に私はバイクだとブリッピング、車だとヒール・アンド・トゥという操作を可能な限りやるのでそれらを使わないシフトダウンの方法というのがいざ聞かれるとどうなんだっけ?と首を傾げてしまいます。

というか、ブリッピングとかヒール・アンド・トゥがそもそも何やねんと言われるかもしれないので、そのへんも含めて説明していきますね。

さて、DCT車のシフトチェンジの挙動で質問者様が観察した内容はそのままMTのシフトチェンジでも適用できるかと思います。ただ、「クラッチを切る・つなぐ」とか「一定の速度(ないし回転数)に到達」とかいうあたりがよく具体的になっていないとギクシャクすることになりそうです。このあたりを詰めていけば今回の答えが出るような気がしますね。

というわけで以下のグラフをご覧ください。


image from Ultimate motorcycling

横軸が速度で縦軸が回転数です。で、原点から5本斜めに伸びている線は左から1速、2速、…5速のギアのときの回転数ですね。クラッチが完全に接続されていればエンジンの回転はギアを通じてタイヤの回転と同期しているので、現在の選択ギア(ギア比)、エンジン回転数、走行速度のいずれか二つが分かれば残りの一つが計算できますね。ここまでは大丈夫ですかね?分からなくてもそういうもんだ、と思って下さい。選択しているギア、走行速度、エンジンの回転数のうち二つが分かれば残りの一つは計算して導出することができます。一つしかわからない場合は決定できません。

で、件のグラフはどう見ればいいかというと、例えば1速(一番左の原点から伸びる斜め線)に注目してください。速度がMPH(マイル/時)なのがちょっと気になりますがここでは本質的ではないのでどうでも良いです。例えばこのバイクは1速で8000rpmまで回すと40MPHの速度が出ることが分かります。8000rpmから横に伸ばした水平線と1速の斜め線の交点を下にたどると40MPHになりますね?そういうことです。

ここで40MPHで1速から2速にギアチェンジすることを考えましょう。1速から2速に速度がほとんど変わらない程度のごく短い時間でギアチェンジしたとすると、速度は大体一緒とみなせますね。するとどうなりますか?2速のライン、40MPHのときの回転数は5562rpmと書いていますね。1速で8000rpmまで引っ張って2速に入れたら5562rpmまでエンジン回転数が落ちるということですね。これはDCTに限らずステップATな車に乗っていれば分かりますよね。ブイーン!!!ってエンジン回転数が十分に上がってギアチェンジしたら、またエンジン回転数が下がってブイーン!!って上がっていきますね。それです。

また、エンジン回転数が0(つまりエンジンが停止状態)ならば何速に入っていようが速度もゼロですね?だから何速であっても原点では交わることになります。

以上を踏まえてシフトダウンするということはどういうことかを考えましょう。

シフトダウンするときはこれと逆のことが発生します。

5速、110MPHから減速し始めてグラフにあるとおり、90MPH, 6950rpmになったときに4速にギアチェンジするとしましょう。するとエンジン回転数は6950rpmから8000rpmに上昇しますね。この回転数の差が非常に重要なところです。 シフトダウンする時にこの回転数の差が大きいと色々辛いのです。

低いエンジン回転数を高いエンジン回転数に持っていくためのエネルギーというのはどこから出てきますか?ギアチェンジするときは普通アクセルを戻しますよね?クラッチが切れてアクセルを戻したギアチェンジの瞬間、エンジンはフライホイール他に蓄えられた回転エネルギーをもって惰性で回っているだけです。惰性で回ってはいますが各種摩擦や給排気に伴う損失(ポンプ損失)があるため急速にエンジン回転数は下がって行きます。そこからシフトダウンしてクラッチをつないでいった時、エンジン回転数はバイク(車)の運動エネルギーを奪って上昇していきます。運動エネルギーがタイヤからドライブシャフトを伝ってエンジンに逆流していくわけですね。エンジンブレーキがかかってるときはそういう現象が起こっています。

で、このシフトダウンするときにこの回転差があまりにも大きいと

  • 急激にエンジンブレーキがかかる。特にバイクで顕著で酷いとコケそうになる
  • 急激にエンジンブレーキがかかり、前側へのGが唐突にかかって不快
  • 急激にエンジン回転数が上がってうるさい、不快

ということになります。

「十分に減速してクラッチを切り、シフトダウンしてゆっくりクラッチを繋ぎアクセルを踏む」みたいな教わり方だったと思いますが(本当にうろ覚えなので間違っているかもしれませんが)、このように試してみたらギアが入らず、「ギュイイイイイイン!!!!!」という振動がシフトノブから伝わってきて壊れるんじゃないかという恐怖を味わった覚えがあります。

この「ギュイイイイイイン!!!!!」で思い当たる現象は2つあり、回転数差が大きすぎてそもそもギアが噛み合わず入らなかったか、ギアが入ったが回転数差が大きいので急激にエンジン回転数が上昇したか、そのどちらかだと思います。ギアが入ったなら後者で、いずれにしてもあまりにも急激にシフトダウンするとこのような現象が発生します。

「あまりにも急激にシフトダウンする」のより具体的な例は、ギアをあまりにも早く下げすぎたか、一つ飛ばして下げてしまったかのどちらかがほとんどだと思われます。

例えばまたグラフを用いて説明しますと、5速に入れたまま77mphあたり(④の表記があるところ)まで減速してきて4速を飛ばしていきなり3速に入れたとしましょう。この時、5速75mphでの回転数はだいたい5200rpmくらいですね。すると、5速→3速に落としたときの回転数差は8000-5200=2800rpmになります。一方でこの速度で4速→3速に落としたときの回転数差は8000-6531=1469rpmなので1段ずつシフトダウンしてきた時よりも2倍の回転数を埋めなくてはならず、するとギュイイイイン!になる可能性が高くなります(実際なるかどうかは車種によるのでやってみないとわからない)。

もっと極端な例、たとえば5速110mphから1速に落としたときはどうなるでしょうか?このグラフにはそもそも1速110mphに対応する線が引かれていませんね。こういうケースではそもそも回転差が大きすぎるのでクラッチを切っていたとしてもギアが入らないはずです。ギャリギャリギャリギャリ!とギアが擦れる音がして無理やり入れるとミッションが壊れると思います(やったことがないので分からない)。

ちなみにシフトアップのときはこういう回転数差に起因する問題は起こりにくいです。なぜならばシフトアップ時にはシフトアップ後にエンジン回転数は下がり、かつ、アクセルオフ&クラッチを切ることでエンジン回転数は勝手に下がっていくのでシフトチェンジが終わった後でクラッチをつなぐころにはいい感じのエンジン回転数に落ち着いているからです。

そしていよいよ本質的な回答に入りますが、ではスムーズにシフトダウンするにはどうすればいいか?それは、十分に減速してから1段ずつシフトダウンすれば良いのです。

またグラフを見て下さい。5速で走っていて減速していったとしましょう。この時、なるべくシフトダウンを遅らせれば遅らせるほどシフトダウンに伴う回転数差は小さくなっていきます。速度が下がるほど5本の斜線は近接しますね?近接するということはエンジン回転数の差が縮まるということですね?回転数の差が縮まるということはギュイイイインが発生しにくくなりますね?そういうことです。おめでとうございます。

何速で走っていたとしても、エンジン回転数が十分に下がるまでシフトダウンを先延ばしにすればするほど、ギクシャクしないでシフトダウンできる、と、こういう理屈になるわけですな。

私が自分のバイク(V-Strom 1050 XT)で試してみた所、1000〜2000回転くらいまで下げればどのギアからでも1段ずつシフトダウンしてクラッチをつないでいく限りはそこまでギクシャクしなかったです。もちろんこの回転数はバイク(車)によります。

その他、ギクシャクする要素としてはあまりにもクラッチ操作が雑であるとかですかね。まとめると、

  • 低回転数でシフトダウンする
  • 1段ずつ
  • クラッチを丁寧につなぐ

これらを守ればギュイイイインを避けつつギクシャクしないシフトダウンが可能になるかな、と思います。

ちなみに冒頭に述べた「ブリッピング」「ヒール・アンド・トゥ」というのは諸々の事情によってこのシフトダウンによる回転数差を可能な限り小さくして変速ショックを少なくするテクニックです。やり方としては、クラッチを切る、アクセルをちょっと煽る、ギアを下げる、クラッチをつなぐの4操作を一瞬でほぼ同時にやります。シフトダウンしてクラッチをつなぐ瞬間、下げたギアにふさわしいエンジン回転数になるようアクセルをちょっと開けて回転数を上げて調整してやる、という操作ですね。

フィットのDCTでは試したことは無いですが、ゴルフのDCTでパドルシフトによってシフトダウンするとこの操作が自動でかかります。ヴェゼルのパドルシフトでも一応自動でやってくれました。ちょっとギクシャクしてた記憶がありますが。最近はバイクでもオートシフター(ダウン方向)に対応していれば、自動でこの操作をやってくれます。

「ブリッピング」「ヒール・アンド・トゥ」をする諸々の事情というのは、たとえばカーブ進入時に予めギアを強制的に下げておいてカーブ途中のいい感じのポイント(クリッピングポイント)以降で必要十分なトルクを得るための事前準備をするなどといった状況です。

でも公道でそんなシビアなタイムを競う要素はありますか?と思いませんか?そうですね、無いですね。

無いのにやってるんですか?馬鹿の方ですか?と思われるかも知れませんが、まあ公道でブリッピング、ヒール・アンド・トゥなどという操作をやる人の殆どは、私含めただ単にそれがやりたいから、という意外に理由はないと思います。意味があるか無いか論で言ったらそもそもMTを選ぶことに現代では「ガチャガチャやることが楽しい」以外にほぼ意味が無いですし。MTでガチャガチャやりたいならブリッピングなどの多少複雑な操作をガチャガチャやりたい、という気持ちも分かって頂けるかと思います。まあ、うるせーバイクないし車が住宅街でやってるのを見かけると殺傷したくなりますが。

あと、あんまりやんちゃできないバイクや車でそういうことを頻繁にやるとエンジンやミッションにダメージが加わる可能性も無いとは言えないです。大体大丈夫だとは思いますが、CVTフルードが高温になって警告灯が付く、などというケースを動画で見たことがあります。

と、まあ、そんな感じでした。ご査収下さい。