V-Strom 1050 XTを買った

買った。

外観

オレンジx白を買った。2021年モデルが出たばかりだったが、2021年モデルの新色(下記)はあんまり好きじゃなかったので旧来から設定されているオレンジx白をチョイス。


image from suzuki

新車注文ではなくて在庫特価品の購入になったので結構安く買えた。諸経費抜きで130万円だったかな。定価は149万円くらい。中古車はそもそも弾数がゼロに等しい感じ。東京で1件、5000kmほど走ってコミコミ130万円くらいだった。だったら新車買うよね。

なぜV-Strom 1050 XTになったのか?それは過去の記事で書いたとおりだが、

  • 電子装備てんこ盛り
  • できれば2気筒
  • アドベンチャーバイク
  • 150万円以下

というバイクがこれだったからというのが第一。

最初は特徴的なクチバシと貼られているステッカーのパターンが嫌いだった。ネオクラシック、ネオレトロと呼ばるデザインの一つだと思うが、なんだかオモチャっぽいし安っぽいなという第一印象であった。ただ、やっぱりV-Stromの実車を見て、さらに走っているところも見るとかっこよく見える。デザインを理解するまで時間がかかるバイクだと思う。公式サイトの写真だとこのかっこよさは伝わらない気がする。

ただ、側面に貼られた大きなステッカーについてはやっぱり無いほうが良いな、と思っていたので納車したら剥がそうと思っていた。しかしよくみるとステッカーを貼った上からクリアを吹いているらしく、剥がすのは諦めた。何年か経ってカスタムしたくなってきたらどうするか考えようと思う。

メーター

これは後で動画に撮りたいのだが、メーターも気に入っている。

最初、メーターはフルカラー液晶が良いなと思っていた。KTM 390 Dukeもフルカラー液晶だったので。アナログメーターでもいいなと思っていた。モノクロ液晶は無いな、と思っていた。V-Stromシリーズは全部モノクロ液晶。V-Strom 1050 XTのみ黒背景に白文字の液晶。バックライトは青っぽい色。

このメーターを写真で見た時は気に入らなかったけど、カタログなどを見ているうちに気に入ってきて、実際に乗って走ってみたら好きになった。むしろこのメーターが一番良いとすら思える。

メーターの右下がグラフィック液晶(256*256ドットくらいの液晶)になっているんだけど、これが昔のポータブルCDプレイヤーとかMP3プレイヤーのリモコンみたいなんだよね。こういうバックライトが付いたドット液晶が個人的に大好きなのである。

さらに、このメーターパネルのリフレッシュレートが高くてぬるぬる動く。30FPSくらいは出てる気がする。これも液晶マニアとしては見ていて非常に楽しい。瞬間燃費インジケーターにすると横軸のバーグラフがぬるぬる動く。良い感じ。

モノクロ液晶もなんだか航空機のコックピット表示みたいで中々良いなと思えるのだった。

実用性で言うと、コントラストが高くて色数が少ないのでフルカラー液晶よりはうるさくないし、視認性も高い。V-Stromはメーターの上部、ウィンドスクリーンにアクセサリー類を装着するためのバーがあるので、スマホなどをナビとして装着する際はここにマウントすることになるだろうと思う。すると、メーターとナビが小さい視野角で並ぶが、ここでメーターパネルとナビ(スマホ)がどちらもフルカラーだとなんかウザい気がするんだよね。どうだろう?そういう意味でもモノクロ液晶で良かったと思う。

足つきと取り回し

身長176cm。足を伸ばせばかかとが地面に付くが、何も考えずに下ろすとかかとが微妙に付かない。まっすぐ足を下ろした位置にステップがあって結構邪魔。邪魔だが、長く乗っている分にはこの位置が快適なので仕方がない。このステップがなかったら普通にかかとが地面に着くと思う。私の身長・足の長さだと困るということはほとんどない。歩道を横切って道路に出る場合など、凹みの真ん中に足が来る状態で停車する場合などは多少注意が必要かな、という程度。

取り回しに関しては重量相応という感じだと思われる。自宅の駐車場が結構坂になっているが、そこもギアを入れてクラッチ切っているという状態で押して登れたので問題ないかな。ギアを入れた状態でクラッチを握って移動させると結構重い。バイクを押し引きする際にギアを入れて左手でクラッチを握り、右手をリアシートに置いて動かすということをよくやる(こうすると左側に立って取り回しして、かつクラッチをブレーキ代わりに使える)んですが、これがやりにくい。慣れがある程度必要かも。まあ、初大型という経験不足もあるだろうとは思うが。

パワー、トルク、ギア比

パワーはまだ慣らし期間なのでよくわからない。よくわからないがすごそう。

トルクはまあ大型ならこんなもんなのかな?という感じ。400cc以下のバイクと比べると圧倒的に低速からトルクが太くて選べるギアが広く、運転が非常に楽。めちゃくちゃ快適。今は慣らし期間なので回転数が4500rpmを超えないよう、やや忙しくガチャガチャとギアを変更しているが、上まで回せるようになったらもっと楽になるのだろう。

昔は車もバイクも上までぶん回したほうが楽しいだろう(だからどちらかというと低排気量のエンジンのほうが好ましいだろう)と考えていたが、なんだか最近はおっさんになったのか、ブンブン回すのも疲れたと言うか飽きたというか…。たまにブン回せればそれでよくて、普段はゆったり走りたいのでそういう気持ちともマッチしている。

あと、エンジンブレーキもかなりマイルドになった。390 Dukeは非常にエンジンブレーキが効くバイクであった。エンジンブレーキの効く・効かないは何で決まるんだろう。エンジンブレーキとは機械損失、ポンピングロス、補機類の駆動あたりでエネルギーを消費しているのだと理解しているが、これらはどれも直感的には大型バイクのほうが大きいと思う。ではなぜ390 Dukeのほうがエンジンブレーキが効きやすいのかと言えば、

  • ギア比の問題(390 Dukeのほうがローギヤードなのでエンジンでの機械損失がより大きくなる?)
  • 単に大型バイクのほうが質量が大きいからエンジンブレーキが与える(マイナスの)加速度が小さい

という辺りだと思う。なんとなく後者が支配的なんじゃないかという気がする。

バイクも車もなんでも軽いほうが良いとされがちだが、私は年を取るごとにだんだん重量級の乗り物のほうが好ましく思えてきた。重さが安定度に寄与するインパクトは想像以上にでかい。

ギア比に関してはどうとか語れるくらいの感想はまだ何も無い。まあ普通に公道(下道)を走ってる分には全速度域で扱いやすいかな…。

ローRPMアシスト

半クラで低速走行、みたいなシーンで急にエンストしてコケてしまわないように多少スロットルを自動で開けてくれる機能。これはネット上ではすごく便利!という感想が多く、個人的にも転ばぬ先の杖だから付いてるほうが望ましいと思ってた。ただ、乗ってみると正直無くても良いかな…とは思った。

後述するが390 Dukeが非常にエンストしやすいバイクであって、このバイクで慣れていたので大型の太いトルクのバイクでエンストすることなんて無いのでは…という感想だ。教習車でも一回もエンストさせなかったし。

この機能は必要な状況をECUが判断して適宜介入するということだ。クラッチレバーの所にセンサーが付いていて、停車時に半クラすると回転数が少し上がる。で、これが結構早めに介入してくる。四本の指でしっかりクラッチを握らないとローRPMアシストがOFFにならない。二本指クラッチだと回転数が上がってしまう。これがちょっと不快。まあ、先に書いたとおり転ばぬ先の杖なので慣れるしか無いかな…。

ワンプッシュスターター

これは非常によかった。セルスイッチを1回押して離すだけでエンジンがかかる仕様。プッシュスタート式の近年の車乗ってる人は「そんなもん普通じゃないの?」と思われるかもしれないが、バイクはまだ「押してる間だけセルが回る」という仕様が殆どなんですな。

スタータースイッチは今風のキルスイッチと一体になっている仕様。キルスイッチがオフになっててエンジンがかからないと焦ることは誰しもが経験すると思うが、ユーザーインターフェイス的にはまさにこれが最適解であると思うな。ちなみに390 Dukeはキルスイッチがかかっていると「KILL SWITCH」と画面に黄色背景で表示される。サイドスタンドが降りてるときも同様の表示。

ヒルホールドコントロールシステム

これはめちゃくちゃいい。坂道で停車したときにブレーキが自動でホールドしてくれる機能。ずっとブレーキを掛けてなくていいのですごく楽。片手が自由になる。

なんで片手だけかというと、これはニュートラルの時には動作しないから。だから、ずっとクラッチは握っている必要がある。あくまでも休むための機能ではなくて、坂道発進のアシスト機能なんですよ、ということなんだろうな。

ちなみにヒルホールド状態から発進するときは若干の引っかかりを感じる。私はゆっくり発進するほうだと思うので、この引っかかりのトルクに走り出しのトルクが若干負けて「あれ?前に進まない…」とちょっと焦る。ただ、すぐ慣れる範疇であるとは思うが。ちなみにこちらの機能はオフにもできる。

ブレーキ関連のシステム

IMUセンサーを利用して積載重量や道路の傾斜角、バンク角によって最適なブレーキアシスト量を決定する多種のシステムが搭載されているのだが、これの効果なのかな?ブレーキをかけるのにconfidentが持てるようになった。なんか適当に前輪ブレーキレバーを引けばいい感じに止まってくれる。前につんのめるようなこともなく、そのまま直下に沈んでいって止まるような感覚を受ける。リアブレーキ居るか?と思う。システム側がいい感じにリアブレーキを操作してくれているのだろうな。

あんまりガッツリとブレーキをかけて無いので制動性能はよく分からんが、安心感は390 Duke / スクーターよりは圧倒的に上。原付、中型バイク、大型バイクと乗ってきたがバイクって不思議なもんで大きくなるほど重量が増えてブレーキングという点では不利になっていくはずなのに、安心感が持てるのは大型なんだよな。それは良いブレーキを積んでいるからでは?と思われるかもしれないが、どのサイズのバイクだろうとブレーキよりも先にタイヤのグリップ力が限界を迎えるほうが早いはずなのでブレーキは関係ない気がする。ブレーキレバーを握った感触が安心感に寄与しているということはあるかもしれないが。では、バイクが大きくなるほど良いタイヤを履いているからかと言われるとそんなこともないと思うんだよな。よくわかんない。わかんないけど良いよ。これ。

アシスト&スリッパークラッチ

クラッチレバーは油圧式。重い。二本指で市街地を走ってると疲れてくる。もうちょっと軽くても良いんじゃないかなと思うが、あんまり軽いと半クラの調整が難しくなるので難しい所。

私はアシスト&スリッパークラッチ搭載車を所有したことしかないのだが、これでクラッチが軽くなったというならば昔のバイクってどんだけ重かったんだろう。教習車のCB400SF/NC750は普通のクラッチだと思うが、私の記憶の限りではそれらと同等の重さだと思う。

ドライビングモード

A/B/Cの3種類があり、Aが一番アグレッシブなモード。Cで走ると教習車仕様のNC750と同じような感じ。感覚的には390 Dukeのほうがよっぽど速いな、と思えるような出力カーブになる。市街地を走行するとしてもCモードで走ることは通常は無いと思う。使うことがあるとすれば不整地走行や雨の日の走行などだろうか。

Bは個人的には丁度いいという感じ。低速での微妙な速度調整もしやすいし、ちょっとひねってやればぐいぐい加速していく。

Aモードはまだ使ってない。高速走るならAモードになるんだろうか。高速もまだ走ってない。

セミカムギアトレーン

カムギアトレーン特有のヒョロヒョロヒョロみたいな高音が結構する。このエンジンに関してはセミカムギアトレーン、つまり、ギアとチェーンを両方使用している方式ということだそうで。CB400SFみたいな音がする(今のCBはカムギアトレーンじゃないらしいが、とにかく同じような音がする)。これは気になる人は結構気になるんじゃないだろうか…。

個人的には…難しい所。好きとも嫌いとも言えない。このヒョロヒョロ音(猫の鳴き声みたい、あるいは、モーターみたいな音などと言われる)を聞くと私は「壊れにくそうなエンジンだな」という印象を受ける。なんというか、ホンダっぽいな、みたいな…。積極的に好きで聞いていたいかというとそうではない。

市街地を走行しているとこの音は常時聞こえる。60km/h以上くらいで流していると聞こえないかな。

クルーズコントロール

とりあえず使い方を覚えたという程度でまだ殆ど使ってないが、確かにこれはあると一定速巡航では便利だと思う。右手を休ませることができる。早くこれで高速を走ってみたい。

バイクだと速度管理が車よりもシビアになってくることが多いと思っているので、一般道ではあんまり出番は無いかな…。田舎のだだっ広くてどこまでも続く道路をひたすら走る、みたいなシーンでもないとほとんど使わなそう。

もう一つ良いなと思ったのは、スロットルを反対方向に押し込むとそれでクルーズコントロールがオフになるという仕様。クルーズコントロールを解除するためにボタンをポチポチしたりブレーキを踏んだりしなくて良いのは便利。

総合

スズキのバイクは鈴菌とか変態とか言われてるけどこれに乗った限りはごくごく普通。至極まっとうなバイクだと感じる。めちゃくちゃ普通じゃない?これ以上に普通でまっとうなバイクってあるのか…?

「普通」というのは「面白みのないバイク」という意味ではない。信頼できる相棒としてふさわしいマシーンであるという意味である。どんなところでもどんなシーンでもこいつは操作に答えてくれる、そんな信頼感が短期間で醸成されるバイクだと思う。新車で乗り出してある程度の速度でカーブに差し掛かって車体を寝かし込んでみるときの抵抗、そこからアクセルを徐々に開けて正立した状態に戻る力、そういった一つ一つの挙動を感じる度に「なーるほどね」という納得が生まれるのだ。まるでバイクが自己紹介してくれているみたいな。あっという間にこれは完全にいいバイクだ。これ以上にいいバイクは無いんじゃないかと心から信頼できるようになった。

子供の頃からでかいバイクに乗りたい、バイクに乗って旅に出たいと夢見ていたが、それを叶えるのにまったくふさわしいバイクである。

停車させている状態での取り回しはまだ若干の不安を覚えるものの、それ以外の不安は何もない。どこでどのようにも走れると思う。(そういうconfidentがあるという話であって、実際にどこでも走れるというわけではない。オンロードタイヤだし)

あと、KTM 390 Dukeと比べてどうだったか。

鈴菌とか変態とか言われてるスズキであるが、変態度で行ったらKTMのほうがよっぽど変態だったと個人的には思う。

V-Stromに乗って分かったが、390 Dukeはメーカーが宣伝している通り、本当に刺激的なバイクだったのだと個人的には思う。「ピーキー過ぎてお前には扱えねぇよ」とまでは言わないけど。普通に走らせる分には誰でも難なくそのようにできると思う。足つき悪くないし、車体は驚きの147kgだし。

ただ、それなりに飛ばすと結構なじゃじゃ馬な面もあるんだよな。アクセルをひねればものすごいトルクをひねり出してどんどん加速していく。それを完全にコントロール下に置くのは相当なテクニックが必要で、有り余るトルクを「速いから」「楽しいから」とジェットコースターのように楽しんでしまうと、何かの瞬間にどこかに吹っ飛んで行ってしまいそうな不安感を感じる。普通に走る分には全く問題ないが、ちょっと走り込もうとしたときのconfidentはついに最後まで私の中には生まれなかった。公道を安全に走行して事故をしないで帰るのが偉いのであって、実際そのようにしてきたのでこの点で何も問題はなかったのだが、最後まで不安が拭えなかったというのはつまり私が390 Dukeを完全には扱えなかったのだろうなということの証であって、そこは残念に感じる。「扱えきれるようになるような走行をしたらダメだろう」とか言われそうだけど。いや、わかるよ。分かった上でそう思うんだよ。

普通に走行を楽しむと390 Dukeはひらひらと蝶が舞うような軽々とした運動性能を発揮してくれる。一方でV-Stromは大きい車体を操るというまた違った楽しさがある。単発のゼロ戦みたいな軽戦闘機と双発の月光みたいな重戦闘機という違いみたいなもんだろうか。その2つのうちどちらに惚れ込んで乗るかはその人次第だ。

最後に、少しだけ話した390 Dukeのエンストの話を。

390 Dukeは本当にエンストしやすい。ちょっと気を抜くとすぐにエンストし、エンストするとプラグがかぶってしまうのかすぐに再始動出来ないこともしばしば。これは自分が下手くそなんだろうとか、単気筒エンジンはこんなもんなんだろうとか思っていたが、やっぱりこのバイクが特別エンストしやすいのだと思う。

ちょっと前に非常に興味深い動画を見たんです。

これはBMW G310というバイクがなぜエンストしやすいのか?を考察した動画ですが、何気なくこれをみてすごくびっくりしたんですね。なぜか?これ、いろんな音が390 Dukeとめちゃくちゃ似てるんですよ。セルを回したときの音、エンストした瞬間の音、エンジン音、スロットルとエンストする瞬間の挙動。なんかすっっごい390 Dukeと似てる。

で、390 DukeもG310もインド生産らしいんですね。DukeはBajajというところが作ってるらしくG310はTVSモーターカンパニーが製造しているらしい。

動画内では「日本車と違ってこれはエンストしそうな瞬間にスロットルを開けたり年調を濃くしたりという制御を行っておらず、したがってエンストしやすい。これは設計開発の思想の問題で不具合ではなく仕様ではないか」という考察がなされてますが、それを聞くとなるほどーと思いますね。

日本車に乗ると確かにエンストしそうなごく低回転になると「粘り」があるんですよね。でも390 Dukeにはそういったものが全然なかった。よくわかんないんですけど、多分メーカーは違えど同じインドのメーカーなので採用しているECUユニットや制御プログラムの類が同じだったりするんじゃないかな。

ただ、だから悪いと言いたいわけではなく、これは「そういうもの」なんだと思います。慣れれば言い話。ちゃんと意識的にスロットルを回して回転数を上げてやればもちろんエンストしないです。私は横着してそれをサボる癖があるのでダメという話です。

以上。