子供乗せ電動アシスト自転車は安全のためにブレーキ交換したほうが良い

以前から定期的に子供乗せ電動アシスト自転車は危険であると本ブログで述べてきました。

我が家ではかれこれ5年ほど子供乗せ電動アシスト自転車を運用してきましたが、これは危険な乗り物と思います。これに子供を乗せて走るのはなるべく避けた方がいい、乗せるならば後述するようなブレーキの強化策をとった方がいいという思いに至りました。なのでそれを書きます。

何が危険なのか?子供乗せ電動アシスト自転車は狭い歩道を走ることが多いので、ほかの自転車や歩行者との接触の危険性が非常に高いのが危険なのです。実際、街中で何度か通行人とぶつかってトラブルになっているのを目にします。この記事をお読みの方の中にも子供乗せ電動アシスト自転車が狭い歩道で突っ込んできて危ない思いをした(実際ぶつかった)ことがある人も多いのではないでしょうか。

子供乗せ電動アシスト自転車は30kg前後と車体が重く、それを電動モーターでアシストしているので運動エネルギーは高くなりがちで、その状態で何かに衝突するとより大きな被害となります。はっきりって、衝突の危険性が高い歩道で走っていい乗り物だとは個人的には思えません。

かといって車道を走ると今度は車と接触事故の危険性が高まります。私は車も運転しますが、特に子供乗せ電動アシスト自転車は横幅も通常の自転車と比べると広いですし、重心が高いからかフラフラとした運転をよく見ますので、狭い道路では危ないなと思うことがままあります。

バイクか車が望ましい

ちょっと話は逸れます。本節は本論とは関係ないので興味が無ければ読み飛ばしてください。

我が家ではなるべく子供の送迎は車やバイクで行っています。「車はまだしも子供をバイクに乗せるのは危険では」と思われるかもしれませんが、あくまで個人的な所感では子供乗せ電動アシスト自転車のほうが危険です。

バイクならば車道をほかの車両と相対速度が小さい状況で走行しますから車との接触の確率は自転車の時よりも低く、歩行者はそもそも横断歩道を除き歩いていないので歩行者との接触の危険性も小さくなります。実際、自転車走行時と比べてヒヤリハットの回数もずっと低いです。

「いやそれでも衝突時の被害はバイクのほうが大きい」と思われるかもしれませんが、

  • バイクに乗っている場合はヘルメットをかぶっているからより高い防御性能を有する
  • そもそも自転車でも死亡事故や重傷事故が発生している以上、自転車の速度と重量で既に危険と言える
  • バイクで事故に遭うときに必ずしも自転車よりも高い速度で走行しているとは限らない

などということもあり、リスク(事故の発生確率と発生した時の被害の大きさの積)が一概にバイクのほうが高いとは言えないと思っています。感覚的にはすでに述べたようにバイクのほうが安全で自転車のほうが危険と思います。

ちなみに一番安全性が高いのは言うまでもなく車です。車は事故の危険性はあるものの、搭乗者に対する被害の防御性能は交通手段の中では抜きんでて高いです。街中を歩行しているよりも車で移動する方がリスクは小さいと断言して良いと思われます。

すこしでも安全に子供乗せ電動アシスト自転車を乗るために

都市部では子供乗せ電動アシスト自転車のほうが車に比べて便利なシーンは多いでしょう。駐車場はどこでも不足していますし、駐車料金も結構かかりますからね。場合によっては自転車のほうが早く目的地に着くということもあるでしょうし。だから、危険性を認識しつつ、何とかマシに乗れるようにしようというのが本記事の主旨です。

ではどうしたらより安全に子供乗せ電動アシスト自転車を乗れるでしょうか?一般的には

  • 保険に加入しておく
  • 定期的にメンテナンスを販売店で受ける
  • 道交法を守る
  • 安全な速度で走行する
  • 混雑した道路では自転車を降りて押し歩く

というあたりが対応策となるでしょう。

保険加入は事故発生には影響を及ぼさないものの、起った時の経済的打撃は減らしてくれます。保険料も年間で数千円というオーダーなのでこれは加入すべきでしょう。自動車保険等に付帯する個人賠償責任保険で対応できるケースもありますね(詳しくは保険屋に相談ください)。また、保険は加入を義務、もしくは努力義務とする自治体が増えており、このことからも自転車事故がいかに社会問題として大きくなってきているかが良くわかります。

2点目の「定期的なメンテナンス」も事故防止のために非常に重要ですが、実際やっている人はほとんど居ないのではないでしょうか。日本のママチャリは非常に信頼性が高く、野ざらしで何年も乗り続けても何とかなってしまうパターンも多いですね。私の知り合いには「自転車の空気すら入れたことが無い。パンクしたりどこか壊れたら捨てる。1~2年の消耗品と思っている」と言うひとすらいます。それは極端だとしても、せいぜい「壊れたら自転車屋に持っていく」という考えの人がほとんどな気がします。

特に子供乗せ電動アシスト自転車は重量面でシビアな環境で酷使されるのでメンテナンスは必須です。具体的にはブレーキパッドです。車体が重いのでブレーキパッド我が家の使用環境では半年~1年くらいでブレーキパッドが消耗して交換していますが、購入以降1回もチェックしたことが無いという人も多いのではないでしょうか。何かあってから自転車屋に持っていくのでは遅いです。

道交法を守って安全な速度で走行するというのも重要ですが、自転車においてこれが守られているかというと、これも皆さんお察しの通りですね。

設計上の(性能的な)欠陥

前節で説明したような対策を行っている人というのは残念ながらおそらく少ないのではないかと思うのですが、さらに悩ましいことに子供乗せ電動アシスト自転車は設計上の欠陥があると個人的には思っています。

それはブレーキの制動力の問題です。特に後輪。

子供乗せ電動アシスト自転車では私が見た限り(街中や自転車用品店でたまにチェックしている)では全車種にSHIMANOのBR-IM31(か同等品のIM41など?)が採用されています。IM31とIM41の違いはSHIMANO製品お得意のググラビリティの低さによってよく分かりませんでしたが、どうも放熱性能の違いのようで制動力は違わないっぽいです。

BR-IM31

image from shimano

このブレーキの想定している車体の総質量(自転車に乗る人を含めた重量)は 100kg です。

シマノインターMブレーキシステムは、ISO(4210)/DIN(79100-2) 等の規格を基本に設計しています。それらの規格は、総重量が100kgでの性能をうたっています。但し、BR-C6000は総重量が130kg を想定した設計をしています。総重量が100kg(BR-C6000は130kg)を越える場合には、ブレーキ力不足・耐久性不足等の不具合が生じることもありますので、そのことを考慮してご使用ください。
SHIMANO ディーラーマニュアル

子供乗せ電動アシスト自転車の重量を調べてみたところ、多くの自転車で30~34kg程度でした。ということは、自転車に乗る人と子供を合わせて66~70kg以下の重量でないとブレーキの性能限界を超えます1。この重量を超えているケースは実際多いのではないでしょうか?

ググったところ、産総研のデータで成人の平均体重は男性78.1kg、女性65.4kgであると書かれていました。ということは平均的な男性が乗った時点でもうブレーキの想定重量は超えてしまっています。女性の場合であっても子供を乗せたら超える場合が多いのではないでしょうか。

「平均的な体重の成人が乗った時点ですでにブレーキの想定重量オーバー」という自転車は私は設計上の欠陥だと思います。実際、ブレーキの効きが弱すぎると感じることは日常的にあります。BAAの安全基準に合致してようとメーカーの平均的な仕様がこうであったとしても私は危険と思います。ブレーキの制動力がこれで十分と言えるのかどうか、子供乗せ自転車を作っている各メーカーにぜひ聞いてみたいところではありますね。

だからもうちょっとマシなブレーキに交換する

こないだ嫁さんが「人と車にそれぞれ1回ずつぶつかりそうになった。ブレーキが効かない」ということを言ってきたのでこれはもう何とかせねばならぬな、と今回行動に移しました。

以前からこの問題を認識してはいました。なので、前輪はすでにSHIMANOのおそらく一番いいVブレーキであるDeoreグレードのものに交換しています(2000円ちょいくらい?)。ただ、Vブレーキは高いグレードのものを装備したところで制動力がそこまで伸びないんですよね。ブレーキシューも特別制動力に優れた製品というものもなかったので標準的なものを装着しており、前輪側の制動力はこれ以上向上しようがないです。

強いて言えば、前輪ブレーキのパワーモジュレータを外すくらいでしょうか。子供乗せ電動アシスト自転車ではほぼ間違いなく、前輪のVブレーキにパワーモジュレータなる部品が付いています。これはブレーキを引く力を弱める(入力の引き具合に対して応答を少し遅らせる)ような役割を果たしています。これによっていきなり制動力が発揮されてバランスを崩して転ぶような事故を防げることが期待できます。が、これは「Vブレーキは急に最大の握力で握らないようにする」ということができてれば不要なアイテムで、かつとっさに制動力が必要な場合はかえって邪魔になるとも言えます。ついていた方とついていない方とどちらが安全性が高いのかを推定するのは乗る人にもよるので何とも言えず、我が家では装着したままになっています。

で、問題はやはり後輪です。そもそも二輪車のブレーキにおいては前輪が担当する制動力のほうが大きいのですが、にしてもこのローラーブレーキは効かなすぎです。子供を乗せたまま坂道を下り、後輪ブレーキのみをかけると若干速度が減速しているかな?という程度の制動力です。これは5年の経年劣化による制動力の低下もある程度はあるかもしれませんが、しかし個人的な印象では購入当初からこんなもんだった記憶があります。

ただ、後輪に採用しているローラーブレーキはアップグレードしようが無いんですよね…。いわゆるママチャリ、シティサイクルのブレーキというのはハブがそれぞれのブレーキ専用のハブになっている場合が多く、ローラーブレーキの場合はローラーブレーキ以外に交換するのが難しいのです。本当ならばディスクブレーキやVブレーキに替えたいところなのですが…。

と思っていましたが、実はSHIMANOからよりハイグレードなローラーブレーキが販売されていました。よく見ると上記のローラーブレーキのマニュアルに書いてます。

シマノインターMブレーキシステムは、ISO(4210)/DIN(79100-2) 等の規格を基本に設計しています。それらの規格は、総重量が100kgでの性能をうたっています。但し、BR-C6000は総重量が130kg を想定した設計をしています。総重量が100kg(BR-C6000は130kg)を越える場合には、ブレーキ力不足・耐久性不足等の不具合が生じることもありますので、そのことを考慮してご使用ください。
SHIMANO ディーラーマニュアル

この、BR-C6000なる製品ですね。こいつは総重量130kgまで対応しています。ということは、自転車自体の重量がほぼ30kgな製品が多いので、乗っている人間の重量の合計がおおよそ100kgを下回っていれば適正となります。ということは大体の人(と子供)で適正重量となるでしょう。

Amazonのレビュー欄を見ますと、同じように子供乗せ電動アシスト自転車での制動力不足を感じ本製品に交換したという話がいくつかありました。

というわけで交換です。

私は何度もタイヤ交換等で後輪を外していますが、基本的には自転車用品店でやってもらうことを強くお勧めします。安全性の問題もありますが、何よりDIYでやるのはめちゃ面倒です。私は嫁さん(サポート)と二人で1.5時間かかりました。

下が交換前のIM-31、上が交換後のBR-C6000です。確かシマノのパーツは3年前?くらいから型番が4桁のものに統一されたと記憶しているので、いまのパーツリストにはもしかしたらIM-31という名前のものが無くなっているかもしれないですね。(しかしシマノの製品をネット上で調べるのは公式サイトが見にくすぎてめちゃしんどいので確認は割愛)

交換後

見た目のサイズ感や巨大でちょっとダサい放熱フィンから明らかに効くだろうなというのは何となくわかっていただけると思いますが、実際効きます。思い切り引けばちゃんとロックまで至ります。柔軟な制動力調整はローラーブレーキの利点の一つですが、それもちゃんと発揮されており、ロックに至るまでのブレーキの効き具合を簡単に調整できます。決して素人が扱うと簡単に後輪ロックしてしまって危険、という感じではないです。

大きな疑問

交換して改めて思いましたが、やはり30kgという重量級の自転車にママチャリ(やシティサイクル)と同じローラーブレーキを装着するのはちょっと無理があると思います。個人的には最初から重量130kgまで対応したBR-C6000が装着されていて然るべきと思います。なんで装着されてないんでしょう?

IM-31は1800円です。BR-C6000はAmazon価格で5500円です。自転車用ブレーキの中では高い部類に入りますが、しかし子供乗せ電動アシスト自転車は10万円をゆうに超える商品なのでここで3700円(くらい)の差を詰めることに商品戦略上そこまでインパクトがあるかな?というと個人的にはよくわからないですね。あるの?ブレーキに金をかけるくらいならバッテリーを1セルでも多く積みたいみたいな考えなんですかね。

いずれにせよブレーキの制動力というのは安全上非常に重要な要素です。メーカーに言わせれば「止まれない速度で自転車を走らせるほうが悪い」って感じなのかもしれませんが、そうはいってもスピード出す人は居るでしょうし坂道では否が応でもブレーキの制動力が頼りになってしまいますし、そもそも電動モーターによってアシストされた自転車なのですからそれなりにブレーキ性能も余裕を見積もって設計してほしかったなと個人的には思います。

と、メーカーに言ってもどうせ相手にはされないでしょうから、個人的な防衛策としてはやはり上位のローラーブレーキに交換する(自転車用品店などで相談して)ことを強く強くお勧めします。必須の改造とすら言ってもいいと思います。

また、BR-C6000はフロント用も用意されています。実際の自転車は壊れるまでノーメンテナンスで乗り続けられるような過酷な使われ方をするわけですから、意外と早く減ってしまうVブレーキではなくてフロントもローラーブレーキにしてしまった方がいいのでは、とすら思います。個人的には今回フロントも替えたかったのですが、フロント用ローラーブレーキを装着するにはフロントホイールのハブを交換する必要があり、かつ子供乗せ電動アシスト自転車は前輪のハブ付近に速度センサーが装着してあるのでちょっと難易度が高そうなので諦めました。


  1. このためか、我が家で買った自転車のマニュアルには「子供の体重は12㎏まで」などと書かれていました。しかしこのような制限事項をマニュアルに書いたとしても、そしてそれを守ったとしても、成人男性の平均体重で既にオーバーしています