ADA製品で見るアクアリウムの魅力

今日はアクアリウム(熱帯魚飼育&水草水槽育成)に全く興味のない層を新たに沼に引き込んで金を使わせ、日本社会の経済を回そうという高尚な趣旨のもと、雑にその魅力を解説してみたいと思います。

IMG_0845

(※上の画像が貼られている記事は私が酒を飲みながら書いた記事なので正確性に欠けます)

アクアリウムとは

アクアリウムとは要するに水槽に魚をぶち込んで飼育する、みたいな。魚を水槽にぶち込んで飼育、というと金魚鉢とか緑色に濁った水槽とかのイメージが強い人もいるかも知れませんが、水草と一緒に育成するのは箱庭的な楽しさが有り、かつちゃんと手入れをすれば美しいので見栄えがする。

見栄えとしてのアクアリウム

上で紹介した動画のように、アクアリウムとはちゃんとした知識とすこしの気合があればきれいに維持することが可能になる。部屋の中に突然あらわれる緑色の自然の情景というのはとてもよく部屋に映えるのでインテリアとして優れているし、その中で泳いでいる生体を観察するのも飽きない。

水槽の中の水景を維持するのは手間がかかる作業であり、その手間をかけるという作業が自分が目指した水景が完成したという達成感を得られる。ガーデニングにとても似ている。庭に花や草木を植えたり手入れしたりという作業にその楽しさは非常に似ている。

生体飼育としてのアクアリウム

水槽の中は一つの生態系になっている。小さい宇宙と言っても過言ではないよね。

水槽の中に存在する有機物のフロー、つまり投入した餌が生体の体を経て低床に蓄積し、それが緩やかに微生物によって分解され水草を成長させ、最終的に伸びた水草をトリミングという形で水槽の外に排出する。そのコントロールは完全に自分の手に委ねられており、その系の中で水草や生体が健康に生きていけたり、水質の悪化により病気を発症してしまったりする。昔、シムアースというゲームがあったがあれに非常によく似ている。

水槽の中では様々な要因の結果として様々な現象が起きるのであって、ときに発生した問題の原因を測定し、なぜそうなったかを推測し、あるべき姿に修正していくというプロセスを現実の世界で体験することができる。小さい実験室とも言えるかもしれない。

ADAというメーカー

アクアリウムにおいてADAが果たしてきた功績は大きい。

ADA(Aqua Design Amano)は故・天野尚氏が立ち上げた水槽関連用品メーカーで、新潟市に本拠地を置く。

天野尚氏は写真家でもあり、熱帯魚(熱帯淡水魚)飼育というジャンルを水景の美しさという芸術に消化させた人と言っても過言ではないかもしれない。ADAが主催する世界水草レイアウトコンテストは世界的な人気を博している。

過去の受賞作品を見ていただければひと目で理解していただけると思うが、「本当にこれは部屋におけるサイズの水槽で実現できるのか?」と疑ってしまうほどの壮大な水景が並んでいる。

ADAというメーカーがなかったとしても遅かれ早かれ、いずれこういった水景の創作が一つの趣味や芸術として認知される時代は来ただろうが、ADAは確実にそれを強力に推進したと言える。

いわばADAはコンピュータ界隈におけるAppleととても良く似ている。IBMはじめとする堅実で実用的な製品を作るメーカーがあって、その中で一人の理想を究極的に凝縮した製品づくりをするメーカーがある。なぜコンピュータにアルミ削り出しのボディが必要だったのか?その思想はADA製品にも根源的には共通した何かがあると思う。

ぶっちゃけて言えば見た目である。

例えば30万円のMac Book Proを持ってるのと10万円の秋葉原にあるショップブランドのゲーミングノート、持ってると画になるのはどちらかって話だと思うんですよ。もうみんなぶっちゃけで言おうぜ。Mac Bookの方が格好いいんですよ。ペラッペラで剛性のない樹脂ボディ、青いLEDがギラギラ光ったり美学のかけらも無いキーボード配列のPCがなんぼ冷却効率や性能に優れていても画になるのはアルミ削り出しボディですぐに熱がこもってCPU性能が低下したり、ホコリが詰まってキーボードが不調になるMac Bookなんですよ。

ネットでよく語られるカフェでMacを広げてドヤ顔でキーボードをタァーン!!!ってするのはそうするにふさわしい製品の美しさがあるんですよ。もちろん、それが正義で一つの正解だなんて言いませんよ。性能に全振りしたショップブランドのゲーミングPCはいわゆる音楽性の違いみたいな感じであって、それはそれで正解なんですよ。しかしカフェのドヤ顔Macもそれはそれで一つの正解なんですよ。どっちも目指す音楽性が違っていたというだけで。

ADAはどちらかと言うとMac Book Proみたいな方向性の製品なんですよね。写真家である人が創業したんですからそりゃそうなりますよね。写真家が価格.comで持て囃されるような高コスパゲーミングノートみたいなパソコンを本気出して注力してたらがっかりですよ。繰り返しいいますが、別にdisってないですよ。それぞれに正解があるって話ですよ。

ちなみにアクアリウム業界で言えば、IBMやHP、Dellに相当するのはTetraやEheim(エーハイム)といったドイツメーカーですね。こいつらは本当にいかにもドイツといった感じで、例えるならばフォッケウルフとかメッサーシュミットとかティーガー戦車みたいな感じなんだよね。堅実実直という作りをしていて、WW2の主役としてふさわしい、みたいな。

具体的に言うと、たとえばエーハイムというのは水槽内の水を浄化するフィルターを作っていて、少なくとも私が小学生のころから変わらない製品を継続して生産してるんですよね。これってすごいことですよ。30年に渡って設計が殆ど変わらないような製品を継続して生産し、それが市場に受け入れられているって。

で、このエーハイムのフィルターって、取水・吐水パイプが全部緑色なんですよね。

なんで緑色なのかというと、それは「どうせ水槽で生体を飼育していると苔が生えるから目立たないようにする」と聞いたことがあります。真偽の程は定かではありませんがね。でもいかにも合理的でドイツっぽく、真実味がありますね。

一方でADAは絶対そんなことはしないんですよ。

水槽を長期で維持するとなると、パイプの中に苔が生えて汚くなるのは避けがたく、その都度掃除が必要なのは避けられないんですよね。だからエーハイムのパイプが緑色ってのは合理的ではあるんです。間違ってないんです。世界にある水槽の平均的な清掃度合いを考えたらエーハイムの考え方というのは間違ってないでしょう。

でもADAはそれを良しとせず、ピークの美しさを追求したんですよね。すべてを見た目の美しさに終始させ、画になる水景を追求したという。例えるならば漸減邀撃作戦構想に基づき、装甲を犠牲にして限航続距離を伸ばした零戦みたいな存在ですよ。

この考えには賛否両論あると思います。私はどちらかと言うと合理主義的でリアリストな考え方をするので、ADAも正直最初は受け入れられなかったのです。

ぶっちゃけ、ADA製品って高いんですよ。先に説明したとおり、アクアリウム界隈ではTetraやエーハイムもそうですし、日系メーカーでも低価格で頑張ってるメーカーってたくさんあるんですよね。NissoとかコトブキとかGEXとか。ADAで水槽一式揃えるのと、それらのメーカーで揃えるのとでは3~6倍くらいコストが違ってくるんじゃないですかね。ADAとか平気で受注生産なので納品まで1ヶ月かかりますとか言うとこなので、そもそもコストを下げる気が無いんですよ。

そういうあたりは私も快くは思ってなくて、端的にいうとそのお高くとまっている態度が気に食わないところはあるんです。

でもね、やっぱりこだわって作ってるだけあって、製品は美しいんだよね…。そのあたりの魂がこもってる製品を生み出しているというのは評価すべきところだと思うんですよ。

しつこいですが、それが唯一の正解ではないですよ。私が言いたいのは、その価値は認めるべきという話です。

私がADAに出会ったのは、小学3年生のときに後述するADAのビートルカウンターをカタログで見つけて「なんだこれは!!!めっちゃかっこいい!!!」と思ってからですが、このビートルカウンターなる製品も買うと普通に一万円を超えるので小学生の私には手が出なかったのです。

そういう経験を経て、いつか金にものを言わせて最高な熱帯魚飼育環境を揃えようと思っていたのですが、30代になってようやくバジェットの目処が付いたので買った次第です。え?なんでわざわざバジェットとか横文字を使ったかって?それはADAと同じでなんとなくかっこいい気がするからですよ。

ADA製品の魅力

じゃあ写真で見てみましょうよ。

とりあえず。ちなみに今回の水槽関連用品一式を揃えるのに13万円くらいかかりました。妻には言ってないですが、妻は私のTwitterアカウントおよびブログを把握しているのでいずれ値段もバレることになります。が、私の妻は70万円のバイクを買った1ヶ月後に13万円の水槽グッズを買ってもつまんないことをグチグチ言わない器がある大人な人間であると思ってますんでね。稼いだ金は各々の裁量で使う、そして妻には自由を。お互いに自由を。それが我が家のモットーでございます。

これが今回買ったADA製品一式でございます。

シンプルな包装の箱、いいですね。余計な御託をずらずらと並べるでもなく、潔いと思います。俺の作った製品に間違いは無いだろ?御託を並べなくてもお前ならわかるよな?、そんな一種の傲慢とも言える強い意志を感じますね。

ほんじゃあ詳しく見ていきましょう。

これが当時小学3年生だった私の心に深い傷を与え、ADAという名前を忘れないようにしたガラス工芸品です。名をビートルカウンターといいます。値段は…まぁ控えときましょう。

これはCO2の添加量を測定する製品です。

なんでCO2を添加するのかというと、それは水草の光合成にCO2が必要であり、大量の水草を生やす水景を維持するためには生体が吐き出すCO2濃度では全然不足しているからであります。で、CO2をCO2封入ボンベから水槽内に添加して水の中のCO2濃度を水草の育成に適した濃度に維持する必要があるのですが、その添加量を確認するためにこれが必要なんですよね。

というのは名目上の理由であり、このビートルカウンターを利用する理由はかっこいいからです。それ以外ないです。

なんかこう、きれいな硝子の工芸品とも言うべきアイテムで、見た目がまず美しいではないですか。小学生の私はこれに心打たれまして、大人になったらADA製品を大人買いしようとおもったきっかけとも言うべき製品です。

この実験器具にも似た硝子細工…。

続いてこちらはパレングラスというやつですね。ボンベから出てきたCO2はこちらを通って水槽内に拡散されます。これは水槽内に設置し、細かな気泡を放出させるための製品です。

こちらはカボーションルビーというやつですね。

これはCO2を水槽内に添加するエアチューブの中間に設置する製品で、水槽内の水の逆流を防止する製品です。

前述したパレングラスというやつは水槽内に設置し、外部から圧力をかけたCO2を水槽内に供給しているわけなんですが、この仕組はちょっと危険です。というのは、水槽内に気体を運搬するチューブを沈めるということは、サイフォンの原理により、外部からの気体の注入圧力が喪失された場合に水槽内の水がサイフォンの原理で逆流する危険があるからです。これをせき止めるのが一方弁の役割を果たす逆流防止弁という名前の各種製品です。

普通、逆流防止弁は一方向の圧力を通過させやすいゴムや樹脂で形成された製品がほぼ全てですが、ADAのこのカボーションルビーはその名の通り、ルビーに近い鉱石を逆流防止弁に使用しています。

普通の逆流防止弁が数百円なのに対し、カボーションルビーは…

いや、やめましょう。もはや値段は小さな問題なのです。

以下は外部フィルターの取水・吐水パイプです。

熱帯魚飼育では通常、水質を浄化するシステムを利用することがほとんどです。

アクアリウムにおける水浄化とは何かというと、具体的には濾過材に対してポンプ等を利用し常時水を通過させることです。これは下水処理などで利用されいる方法と同じです。

人間や魚など、体の外から有機物を取り込んでウンコとして垂れ流すタイプの生き物のウンコを浄化するのは、有機物(タンパク質)を分解して硝酸塩にする微生物です。この微生物というのは、簡単に言うと流し台にこびりつくヌメリです。このヌメリはタンパク質を分解する微生物のコロニーです。

で、そのコロニー、簡単に言うとヌメリを保持する役割を果たすのがろ過装置なのですが、その装置へと水を通すための取水・吐水パイプがこれです。水はポンプで循環されます。

うーん。どうです?美しいでしょう…。

カボーションルビーとか先程書きましたが、別に逆流防止弁でルビー様鉱石を使う必要なんて無いんですよ。強いて言えば耐久性の面で樹脂製よりは勝ってると思いますけど。なんでわざわざ数百円で買える逆流防止弁に数千円のカボーションルビーなる逆流防止弁を用いるかというのは、やはりおしゃれなカフェでMacをドヤ顔で叩くのと同じなんだと思いますね。カフェでゲーミングPCを叩いてFPSを実況するのは世間的にはかなりキモい部類に入りますが、カフェでドヤ顔でMacのEnterキーをターン!!ってするのはまだ許されるのはそういうことなんですよ。

数百円で事足りる製品に数千円をかけてADAとかいう新潟のメーカーのカボーションルビーを使うのは、そのEnterキーをタァーン!!するのと同じアレなんすよ…。

どうよ?この美しさ。良いでしょう。

写真取るのが面倒だしだいぶ酔ってるので撮影は諦めましたが、やはり並べてみるとその他のメーカーとでは美しさに雲泥の差がありますね。

やっぱすごいよ

先に書いたとおり、天野尚氏は写真家でもあったので、かつ、私も趣味レベルでは有りながら写真もアクアリウムもやってるので、なんとなく共感できる部分もあるし目指そうとしている領域は分かるつもりではあるんですよ。

先に書いたとおり、PCにおけるAppleのように、いわばその独善的とも言える方針には賛否両論あると思います。ネット見てても否定的なことを書いている人はたまに見ますし、ADA製品を使ってる人は嫌いとか言ってる人もいます。

私自身値段の割にこの機能性はどうなんだって思うところもあれば、ネイチャーとか言ってるくせに数多の水質調整剤を売り出してるあたりもなんかポリシーに欠けるような気もしますし、何かとADAの手がかかった記事その他を見ると自社の商品に結びつけてるその商売根性が気に食わなかったりと(宣伝のために記事書いてるのだから仕方ないのだけど、なんか個人的には、端的に言うとテレビ通販のリアクションのような白々しさを感じる)。

でもそこで何を正解とするかとか、善悪だとかを突き詰めるのは不毛だとは思うんですよ。少なくとも見栄えがするという一点については妥協なく突き詰めたのは間違いなく、「俺はこれが美しいと思うんだ」というポリシーがその生み出した製品から読み取れるものって、そこに美学があると思いませんか。

実用的な製品があっていいし、実用性やコストを軽視した独善的な製品があったとしてもいい。そこに製品を通じて作り手の哲学を感じることができたら、それはいい製品じゃないかと個人的には思うんですよね。コストをかけて見た目が美しい製品を作る美学があるならば、どうせコケが生えるんだからと緑色の目立つパイプを作るエーハイムがあっても、それも同様に一つの美学なんだと思います。

車で言えばやっぱり、マツダとかは「ほんの数%のファンに分かって貰えればそれで良い」とか言ってるんですけど、それと同じですよね。サーキットを走らせたら一番なわけでもない、高級感で語らせたら一番なわけでもない、公道でガチガチに道交法で固められた制限の中でそれなりな楽しさを追求した、みたいな現実的に一般ピープルが体験でき納得できうるラインを突き詰めた(と思えるというか私がそうだと勝手に解釈してる)みたいな、ね。

なんで水槽の話をしていてフォッケウルフとかマツダとかAppleとか出てくるんだ、って言われそうですが、まぁそんな感じです。

皆様方におかれましてはこれをきっかけにアクアリウムにハマり、アジアアロワナとかディスカスとか金のかかる生体を飼って金を沢山アクアリウム業界に落としてほしいと思っております。よろしくお願いいたします。