【質問#131】ある友人との関係

質問・悩み相談の回答です。

質問

普段は個人的な悩みは自己解決してしまうため、こうした相談窓口への投稿に慣れていません。
質問として不適切な表現があるかもしれません。
それでもwithpop様の悩み相談への回答がとても丁寧でしたので投稿させていただきました。

自分には大学時代からかれこれ6年付き合っている友人がいます。変な部分で内向的な自分とは違い、色々な人から信頼を寄せられて周囲を笑顔にできる明るい友人です。
自分もその友人とは趣味の部分で気が合うためよく一緒にいるのですが、6年付き合ってどうしても我慢ならない彼の嫌な部分があります。自分がされて嫌なことを他人には平気で行うという部分です。
これはどんな人にも程度の差はあれどもやってしまうことだと思いますが、彼の場合は自分より下だと思った人物にこれを徹底して行います。そうして自分の優位を保とうとしているのかは定かではありませんが、うんざりするほどには見てきました。
普段は楽しい奴ですし、縁を切ろうと思ったこともありませんが、そういう小さな部分が気に食わないと本人にも言いました。
弁が立つ奴なので聞き入れてはもらえず、適当に煙に巻かれてむしろ攻撃されてしまいましたが。

こういう友人と自分の気分を害さずに付き合うにはどうしたらよいでしょうか?

回答

とても丁寧でしたので投稿させていただきました

ありがとうございます。

今回は、「どうしても我慢ならないところがある友人と気分を害さずにどのように付き合うべきか」というご質問ですね。

結論から申し上げますと、私は「直ることを期待せずに注意し続ける」という方法が良いのではないかな、と思いました。

なんか北方領土問題的な方針で釈然としないと思われるかもしれませんが、私はこれが一番いいのではないかと思っています。

「直ることを期待せずに注意し続ける」という方法が良いと考える根拠は大きく分けて3つです。

1つ目は、そもそも人の性癖(本来の意味の)を直すのはそもそも難しいため、悪いところを治そうと思って指摘し続けてもお互い疲弊してしまうからです。

本気で「直してほしい」と理詰め、あるいは感情に訴える方法で説得するのは質問者の方も経験してらっしゃるとおり、反発を招きやすいです。お前のここが駄目だ、という指摘はそれが良いことだろうと悪いことだろうと、その人の人格の一部分を否定することにほかならないので、言われた本人としては「なんでや、俺は悪く無いぞ」と反発したくなってしまうと思われます。

軽く指摘するだけならば、モヤモヤは少しずつ発散されるので我慢するよりもずっと気が楽ですし、相手からの反発も極小で済みます。

2つ目は、性癖を直すのは難しいながらも、軽く指摘し続けるのが最も直る可能性が高いと私は思うからです。

よくない素行、それも頻繁にやってしまう性癖の類を直すには、本人が自発的に直そうとしない限り無理です。そのための第一段階はまず、相手が良くない素行をしたときに「あ、ほらまたやってる」と指摘して気づかせる事だと思います。本人も半ば無意識にやってしまっており、かつ、本当はそれが良くないことを少しでも理解しているというパターンではこれだけで「本当は自分も良くないと分かっていることを何度も指摘される」のが嫌になって改めようという気持ちに変わってくることを期待できます。言葉通り、「期待できる」程度の効果とは思いますが…。

ただ、ここで注意したいのはあまりしつこいと逆上されてまた雰囲気が悪くなるので頻度にも気を配る必要があるという点と、指摘するときはただ事実を指摘するだけでそれ以上は何も言わないなど、相手に反発したくなる気持ちを発生させないことです。こうなるとまた「お互い疲弊する」で終わってしまいます。

3つ目は、1つ目とも多少関連しますが、多少は諦めの心が必要だからです。

一般論として、「完璧な人間はいない」というのは多くの人が同意するところですが、「親しい間柄だが、ここだけは許せない」というのもまた多くの人が持つ不満ではないかと思います。この2つの考えは矛盾していると私は思います1

完璧な人間がいないならば、良いところから悪いところを差し引いたときに自分にとってプラスになるかマイナスになるかで、その人との付き合いを深めるかどうかという判断をするしかないです。…と書くと、いかにも人情味に欠けた意見に見えるかもしれませんが、それが論理的に行われていないだけで、人類は皆同等のことをやっています。一緒にいて楽しい人と遊び、自分を攻撃してくる人とは距離を置くというのはこの損得勘定を感情的・無意識的にやっているだけ、というのが私の考えです。

そしてそれが正しいならば、この損得勘定というのは、マイナス面がそのままであることを寛容しているに他なりません。

今回の質問者様のケースでも、

普段は楽しい奴ですし、縁を切ろうと思ったこともありません

とありますので、全体を見たらプラスになるので不満はあれど長い付き合いが続いていらっしゃるのだと推察します。

6年付き合ってどうしても我慢ならない

6年という長い付き合いが続いているという事実が、実は「どうしても我慢ならない」わけでもなく、すでにご自身である程度は許容されていることを示しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

というわけで「直ることを期待せずに注意し続ける」という方針が一番双方にとって良いのでは、と思われます。

以降は完全に余談で私自身の思い出話です。

このお話を聞いて真っ先に浮かんできたのは私の大学時代の友達H氏でした。

H氏はよく金のない私に酒を飲ませてくれたり、安く良い日本酒が飲める店に連れて行ってくれたり、これ面白いから見てみてと、DVDや漫画の類をよく貸してくれたりと、とてもいい人でした。同級生でしたが面倒見のよい先輩という感じでした。

彼は高校まで柔道をやってきていて先輩、後輩という概念に異様にこだわる人でした。彼にとっても実際、私は同い年の後輩みたいに思ってたんだろうなと思います。

彼は漫画の刃牙が大好きで、「格闘技やってないやつはイチコロ」みたいなのが口癖でした。「俺が本気になればお前なんてすぐ殺せるから」と笑ってよく言ってました。本人はギャグかなにかのつもりなんでしょうけど、友達にいう言葉じゃねーやな、と思ってました。

彼がそういう考えを強め始めたのはとある酒屋に入り浸ってからでした。そこは珍しい酒を沢山用意している日本酒通の間では有名な店だったそうですが、いつからか彼はそこの主人を神のように崇め始め、最終的にそこでバイトするまで至りました。多分、運動部の「先輩」にあたる存在を見つけたんだろうなと。

そこから周りの人をごく特定の分野で劣っているからと人格自体を否定して見下すことに拍車がかかりました。「俺は柔道やってたからそこらの奴には喧嘩じゃ負けない」みたいな論はまぁ子供っぽいとは思いますが、よくある武勇伝的なネタの一つではあると思います。

ただ、それに加えて「日本酒を知らないやつは馬鹿」みたいなのも始まったんです。「大学の同級生のやつらはよー、こういううまい日本酒があるって知らずによー、まずい缶チューハイみたいな酒飲んで満足してんだよ!ほんと馬鹿だよなー。そういうやつと一緒にされたくねーわ」みたいなことを酒を飲むとよく言ってました。

その時飲んでた酒はまぁ確かに良い酒だった(たまに十四代とか飲んでた)のですが、しかし、缶チューハイだろうがカルーアミルクだろうが、あれはあれで一つのジャンルなわけで、それまで否定する、ひいてはそれを飲んでる人の人格まで否定するようなことを言うのはちょっとついて行けないなと思い始めました。

決定的に狂い始めたのは、その酒屋の店主に連れられてちょっとピンクな店に行ったあたりからです。具体的にどういう店なのかは知らないですが、ちょっとしたお触り程度は許容されるレベルの店だったみたいです。

どうも彼としては女性関係がコンプレックスだったみたいです。その時は21歳?だったと思いますが、一度も誰かと付き合ったことがない、俺はずっと男子校だったから女のことが全然わからない…みたいなことをしょちゅう言っていた記憶があります。

で、そのお触り的なアレで彼の何かが開放され、事態はよからぬ方向に向かって行きました。

彼の謎の自信である格闘技(というか彼の場合は多分単純な暴力)、日本酒に加えて女に関しても俺は最強だ!みたいなのが始まりました。字面だけ見たらクズみたいですね。実際クズなのでご安心下さい。

その酒屋の店主とH氏に誘われて飲みに行った折(ちなみに酒屋の店主の方は非常に腰が低くて謙虚で常に笑顔ないい人でした)、3次会くらいで地元の場末のスナック的なところに行ったのでした。

私はスナック初体験でしたがH氏は酔ったこともあってか、カラオケを熱唱していました。ハイロウズだった。すっげえびっくりするほど音痴だったけど、私も音痴なので何も言わなかったです。で、H氏は「お前も歌え、スナックはカラオケを歌うところだぞ、歌わないと勿体無い」みたいなことをいい始めました。私は元来カラオケが大嫌いで、特に「お前も歌え」と強要されるのが多分人生の中で一番イヤな瞬間なので私はもうこの人嫌だ…。みたいになってました。

私はその間、一緒に来てたオッサンあたりと雑談してた気がしますが、H氏はもうすごいテンションの上がりようで、一番若い女の子(20歳)のオッパイを鷲掴みにして揉みしだいていました。えっ、何してんのこの人…。

次の日、お前あれはイカンだろ、スナックってそういう店じゃないだろと指摘すると「良いんだよ!オッパイくらい揉めば良いんだって!!」などと明らかに知能指数が30くらい下がったみたいな発言をしていてびっくりした。更にびっくりなのが、H氏はその女の子とプライベートで飲む約束をしていたとのこと。えっ、オッパイ揉んでくるやつとプライベートで会うの…?と思いました。

実際飲むときは私も行きました。スナックの女の子は友達の女の子と一緒にやってきました。一人で行くのは危ないと思ったのか、それとも最初から2vs2になるよう打ち合わせていたのかは分かりませんが…。

そこからがもう酷くて、H氏は私の発言一つ一つに「女性に対してその発言はありえない、失礼」みたいなことを添削し始めてもうすごくうざかったです。ウザくてごめんねーと私が謝って場の雰囲気を取り持ってました。大体、いきなりオッパイ揉みしだく奴以上に女性に失礼なやつなんて居るのかって感じですね。

二次会はH氏の家で宅飲みということになったのですが、そこでもH氏は「ほら、俺はXちゃんの隣!お前はYちゃんの隣ね!!」などと仕切り始め、ここでもオッパイを触ろうとしてました。流石に止めさせたけど。

次の日、お前あれはイカンだろと指摘したところ、また「良いんだよ!オッパイくらい揉めば良いんだって!!」などと明らかに知能指数が30くらい下がったみたいな発言をしていてびっくりしました。合わせて60くらい知能指数が下がってたということになる。

それでもうこいつはダメだな。付き合ってられん。と思い縁を切りました。具体的には連絡すべてをシカト。向こうも察したらしく、すぐに付き合いは無くなった。以前、「俺は友達と大喧嘩したとしても仲直りしなきゃな、って思うけど、お前とはなんか大喧嘩してもそうは思わんと思うわ」などと言っていたことがあり、まーそういうことなんだろうなと思ってました。

で、実はそのスナックの女の子が連れてきた別の女の子Yちゃんとは私はたまに飲むようになり、何度めかの飲み合いでYちゃんが連れてきた別の女の子Z女史が今の嫁さんになっています。

だから、今の嫁さんと出会って結婚した遠因はH氏にもあるわけだし、それがなかったとしても、高い日本酒を飲ませてもらったり、料理を作って食わせてもらったり、女の子を紹介してもらったりといったことをしてもらっていたのだから、私はH氏に恩義を感じて然るべきなのでは?縁を切ったというのは恩を仇で返したことにほかならないのでは?と思うこともありました。今でもたまにそうだと思うことがあります。

しかしながらそれは前述の通り、完璧な人間はこの世にはおらず、人には良い面と悪い面の両方があり、その合計を加味した時に自分にとってプラスになるか、マイナスになるかという算段を人は無意識のうちにしているわけで、その結果なのだから仕方ないと思うんですよ。

私にとってH氏はプラス面よりもマイナス面のほうが圧倒的にデカかった。とてもこんな、「人は殺せる」、「日本酒飲んでない人はバカ」、「オッパイは揉んどけ」みたいな人に「直ることを期待せずに注意し続ける」のは無理でした。だから縁を切った。

けれども、そこに自分の判断がゆらぎ、もうちょっと何とかなったんじゃないかと思うところがあるのは、私の場合に限って言えばそれは義理人情ではなくて、結局人間の感情や付き合いは数値化出来ないという測定誤差の問題であるんじゃないかというのが一つ。

もう一つは、人は社会的な生き物でありながらお互いを傷つけつつ生きて行かなければならないし、他人の思考を完全に理解することは不可能であるから本当に心から分かり合える他人なんて居ないとも思うわけで、そういうところに世の中の希薄さというか、砂漠のように乾いた土地に一人取り残されるような若干の不安と寂しさを感じるのですがどうでしょうかね。


  1. 「許せる駄目なところがある」ならば厳密には矛盾しないのですが。