子供は早く産むのと遅くに産むのとどっちが良いのか

こないだ、自分で計算してみて驚いたのだけど、私が50歳になった時、長女は24歳、次女は20歳になっているようだ。長女はおそらく就職してるだろうし、次女はおそらく大学生で金以外に手のかかる部分は無いだろう。

私は26歳の時に長女が生まれたのだが、多分世間的には早いほうだと思う。

私の経験からすると、まず中学、高校の同級生は高校卒業して1~2年くらいの時に小さい結婚ラッシュの山があった。私の世代(1985年生まれ)でも18~20歳位での結婚は明らかに早いといえる。最大限オブラートに包んだ言い方をすると、侮蔑語でない、本来の意味での「DQN」に近い人達だったような気がする。オブラートに包んで無いじゃん、って言われそうだけど。

それから第二の山は25~32歳くらいにあった気がする。32歳超えてからは殆ど結婚式に呼ばれなくなった。

もし20歳に子供を産むと自分が40歳のときに20歳の子供が居る計算になる。これは個人的な感覚としては凄まじく若い親という感じだ。印象で言うならば、40歳の両親ならば子供はせいぜい幼稚園年長~小学校くらいが多いような気がする。今の時代はどんどん晩婚化が進んでいるから、例えば幼稚園・保育園に白髪交じりの父母が来ていても特に驚かない。長女が生まれる前に言った市で開催している「はじめてのパパママ教室」みたいな催しでは、25~6歳だった私の目の前で白髪の方が多い新米パパが塩ビの赤ちゃん人形を沐浴させていた。

60歳を過ぎてから子供が成人するような年齢であっても、昔であれば定年後に大学入学などが重なるとしんどそうだったのだけど、近年はどうも政府は高齢者社会に対応するなら、もう単純にジジイババアになっても人を働かさればいいよね、という安易な案を推し進めているように見えるので、60歳過ぎてから教育資金難になることも無さそうだ(しんどい事だとは思うが)。

逆に、特に女性は早く赤ちゃんが欲しい、早く育てたいというタイプの人が一定数おり、高校生くらいですでに「早く赤ちゃんを生んで専業主婦として働きたい」とか言っている人も身の回りに居たように記憶している。

高校卒業してすぐ結婚しようと、早くに子供を産もうと、遅くに子供を産もうと、それはそれぞれ個人の人生観に深く関わって来ることなので、一律にどっちが良いとは言えない。同様の議論は賃貸・持ち家、マンション・戸建てなどという場面、車の所有・カーシェアリング/タクシー、などという場面でも色々繰り返される。

ある一定の評価軸(例えばリスク低減、トータルコストの削減、キャッシュフローの改善)で限定すれば最適解はおそらくどのケースでも見つかるのだろうけど、そもそも人間はリスク低減やコスト削減のために生きているのではなく、それらは人生を豊かにするために補助的に求めるものであるから、それらの指標の最大化に腐心すると本末転倒になると思う。要は、あんまり深く考えずフィーリングで選択することは結構重要なんじゃないかな、ということですよ。

が、しかしながら。そうはいっても100%フィーリングで選んでも後で「もっとこうしておけばよかった…」という話になることもあるので、いくつかの側面から何歳くらいに子供を産めばどういうことになるのかを知っておくのは有益であると思う。それを踏まえて計画を立てればよろしいのではないだろうか。ということで考えた。

生物学的側面

卵子は原始卵胞から生まれる。この原始卵胞は人の初期発生時に増え、生まれたあとは増えることはない。分裂しないので染色体は徐々に活性酸素による化学的な反応や、放射線や紫外線などによって傷ついていく。遺伝子には多少エラーがあっても修復する機能が備わっている。DNAが二本鎖になっているのはコンピュータの世界で言えばRAID1に等しいし、二本鎖両方の同一箇所が破損した場合でも似た遺伝子を持ってくる誤り訂正符号的な動作も備わっている。しかしながら限界を超えたエラーは修復することができない。

年を取った卵子は必然的に染色体異常によって妊娠に至らなかったり、妊娠後の初期発生で流産してしまったりする。女性の加齢が妊娠出産にどのような影響を及ぼすかは下記がとても良くまとまっていてわかりやすい。

Q18.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか? | 日本生殖医学会

簡潔にまとめると、

  • 35歳以上での妊孕率の顕著な低下
  • 婦人科疾患の罹患率が増加
  • 生殖補助医療による妊娠率・生産率の低下
  • 周産期死亡率の増加

となる。

また、染色体異常はダウン症などの先天性疾患のリスクも上昇させる。


「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」 関連資料 | 厚労省

その他、前置胎盤のリスクや妊産婦死亡率も加齢に伴い上昇する。以下資料を参照いただきたい。

「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」 関連資料 | 厚労省

また男性の加齢についても同様に妊娠に影響する。

45歳より高齢の男性では25歳未満と比較して自然流産の確率が約2倍になるとするものや、自然流産に与える影響は男性の40歳以上は女性の30歳以上に相当するとの報告もあります。
Q21.男性の加齢は不妊症・流産にどんな影響を与えるのですか?

生物学的には女性は35歳くらいまでに子供を産むのが良い(先天性疾患のリスク低減、自然妊娠の確率が高いため)というのは通説になっているように思える。各種のデータがそれを裏付けている。ただ、私の身の回りでも35歳を超えてからバンバン子供を生んでるひとをよく見るので、35歳というのはあくまでも線を引くならばここらへん、という感じだろう。

ファイナンシャルプラン的側面

子供を生み育てるのは金がかかる。この点に関しては下記記事で詳しく考察した。

子供を育てるのに本当に3000万円もかかるのか試算してみる

子供に金がかかる時に年収の山を持ってくればその時期のキャッシュフローが改善されることが期待できる。


平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況 | 厚労省

では子供が育っていくステージに応じてどのように子供にかかる費用が変化していくのだろうか?前述の記事資料をちょっと改変して計算してみた。

「年間費用」の欄を見ていただきたい。これは文科省が算出した子供にかかる教育資金を基に算出した1年あたりの金額だ(総費用÷その学校の教育課程年数)。

これを見ると、以下のことが分かる。

  • 小学、中学、高校、大学、いずれの時期も私立に通わせるには教育費用が公立と比べると段違いに高い
  • 私立は小学、中学、高校と進むにつれかかる教育費用が安くなっていく
  • 大学は自宅通いと自宅外での通いのケースで大幅に必要費用が増加する

ということで、子供をどのような学校に通わせるかで教育費用の山の形は大きく変わっていく。

一般に大学生時代が金がかかると思われがちだが、統計を見ると小学校から私立に通わせた場合、その時点ですでに国公立大学にアパートから通わせた場合と同等の費用がかかることが分かる。小学校から名門私立に入れてエスカレーター式で楽をさせたい…というのはまぁ考える人は多いだろうが、ずっと大学生を養い続けるだけの年収を稼ぎ続けなくてはならないので結構大変だということが分かる。年収の山に重ねて考えると、小学生入学(6歳)から大学卒業(22歳)の中間となる、14歳あたりを両親の年収のピークを迎える寸前くらいに持っていくとキャッシュフローは最適化されるのではないだろうか?

ということで大体45歳くらいに子供が14歳であるのが望ましいと思われ、逆算すると31歳のときに子供が生まれると良いということになる。子供が二人以上だった場合も同様で、30歳前後に生まれるのが望ましいと考えられる。それよりも早いと年収のピークが訪れる前に教育費用のピークが来るので教育費用の工面に苦労する傾向が強くなると言える。

高校から私立に通わせる場合は同様の議論をすると、子供が高校入学(16歳)と大学卒業(22歳)の中間である19歳くらいが年収のピークを迎える寸前くらいの45歳くらいに訪れると良く、逆算すると26歳くらいに子供が生まれると良い。おお、偶然にも長女が生まれた年と一緒だった。26歳よりもずっと早く子供が生まれると、年収がまだ上がっていない時期に高校・大学入学が訪れるのでしんどいことになる。

逆のパターンはどうだろうか?

年収の山のピークは大体45~59歳になる。60歳以降に教育費用の山が来ると比較的しんどいことになる。高校~大学くらいに教育費用のピークが来ると仮定する(高校は私立、大学はアパートから通いなどというケース)と、60歳の時に子供が17歳、つまり43歳で子供を生んだ場合ということになる。43歳以降に子供が生まれるとしんどい。

ただ、ここで「しんどい」と言っているのは月々のキャッシュフローの話である。教育資金を貯蓄しておいて金がかかる時に切り崩すということを前提に語るならば、年収の山の後ろに子供の教育費の山が来る(つまり43歳以降に子供が生まれる)のは計画的に貯金・資産運用が出来るならば、問題にならない。一方で、あまりに早く子供が生まれたケース(年収の山の前に教育費用の山が来るパターン)では、インカムが増えてない段階で教育費用を捻出することは不可能、無い袖は触れないので遅くに子供が生まれたケースよりもしんどいことになる。

ここから分かるのは、早くに子供が生まれたケースでは早期から資産運用などで計画的に教育資金の確保を行うことが必要であって、遅くに子供が生まれたケースでは年収のピークが訪れた時に贅沢せずに子供の教育費用をしっかりと確保(貯金か低リスクの資産運用)することが重要だということだろう。

あと、年をとってからの妊娠出産だと、生殖補助医療に資金が取られるというリスクも無いわけではない。

生殖補助医療は健康保険や医療保険でカバーされていない範囲が多いので、必然的に金がかかるし、胚培養士などによる作業など人的コストがかかっているので容易に費用を圧縮できないという側面がある。

平均してどれくらいの費用がかかるか、信頼のできるソースで書いているところが見つからないし産院の料金表のページを見てもどの費用がどのくらいかかってくるのか見積もりが難しいのだが、ググってみると数十万、数百万という記述が多かった。私の知人だが、「第一子が生まれるまで総額で高級車が一台買えるくらいはかかった」という話も聞いたことがある。

この資金は高い確率で必要というわけでもないので、それを前提として貯蓄するものではない(どちらかというと保険でカバーするたぐいの性質のリスク。そういう保険商品は無いと思うけど)が、頭の片隅に記憶しておく必要はあるだろう。

体力的側面

子供を育てるのは単純に体力が必要な行為でもある。これは単純に若ければ若いほど有利だし、若い時に子供を生んでおいた方が、稼ぎ時である40~60歳の時期に手がかからないので楽という面もあるだろう。

ただ、人によっては若いときから起業してバリバリ稼ぎたいという人も居るだろうから、一概には言えないと思うが。

余暇と若さの側面

年を食ってから子供を産めば、若いときの余暇時間が多くなる。若くして子供を産めば年を取ってからの余暇時間が多くなる。子供に手がかかる時期を極端に短縮化できないという前提をおくと、これは完全にトレードオフの関係になる。

簡単に言えば、若い時に遊べるのと、年取ってから遊べるのと、どちらが得か?という議論になる。

若い時に遊べるのは、若さはあるが金が無いという状況、年を取ってから遊べるのは若さが無いが金はあるという、これもトレードオフの関係となる。

若さと金、どちらが遊びに重要だろうか?これは個人の人生観や生育歴に強く依存しそうな議論だ。

例えば学生時代に全然モテなくて、異性や恋愛に対する強いコンプレックスのある人達は大学卒業して就職後、数年くらいは遊びたいのかも知れない。パリピみたいな人たちとパリピみたいなことをするのはある程度若くないとかっこがつかない、逆に言うとオッサンになってからやるのは多少みっともないという感じがあり、あまり無理をするとパリピと嫁の間で居心地悪そうに微笑む加藤茶の写真みたいになる。が、オッサンになってからのパリピ行為は6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金とするなどといった法律があるわけでもないので、別に気にしなければ年を取ってからパリピみたいなことをするのでも良い。ただ、付き合ってくれる人がいれば、という話になるのでやはりある程度若くないといけないのではないだろうか。

恋愛コンプレックスが強くてかつ年をとって暇という状況だと、既婚者同士の不倫とかいう、パリピとは違って枯山水的な侘しさというか、一種の物悲しさのある行為に落ち着く気がする(個人の印象です)。あるいは、結婚してなかったら風俗通いにハマる40代、20代風俗嬢に絶賛説教中という図式になりそうだ(個人の印象です)。

ただ、異性や恋愛に対するコンプレックスを年取ってから主に金の力によって発散するタイプの人達も世の中にはたくさんいる。具体的にはなにかの事業に成功して金持ちになった社長などが高級クラブでプチ有名人クラブの仲間入り的な雰囲気に浸って散財して遊ぶ、その結果反社会勢力の息がかかった現代のくの一を送られ、何らかの弱みを握られてゆすられ、上場時にそれを指摘されて役員を辞める、などと言った常人には理解しがたい人生を賭した遊びである。これも個々人の好き好きに依存するので一概にどうとは言えない。

話がそれてきたのでもう少し健全な話をするならば、例えば低予算で海外旅行に何度も行く、なんて行為はある程度体力が無いとしんどいだろうし、あとはスポーツなんかだろうか。趣味で山とかやってたら若さがかなり重要になるだろうと思う。モータースポーツなんかでも、サーキットを借りてバリバリ走り回るなんてのはある程度若くないとしんどい気がする。まぁオッサンもたくさん居るけどね。

その他のスポーツで趣味性があるものを思い浮かべると、ボルダリング、スキー、スキューバダイビング、草野球、サッカー、ゴルフなんかだろうか?これらは若いほうが有利に働く場合も多いものの、そもそも趣味でスポーツをする場合には競技性を第一目的とすることはあまりないので問題にならない気がする。そう考えると、本当に若い時でないとできない遊びというのは意外に少ないんじゃないかな、と個人的には思うがどうだろうか。

一方で年取ってから遊ぶのは若い時と比して圧倒的な資金力を持っている。これは多くの場合にプラスに働く。

例えば私はカメラ、車、バイク、キャンプなどといった金のかかる趣味が多いが、これらはオッサンになっても特に不都合がない趣味であるがために、年を取って金がある方が圧倒的有利に働く。

以上を踏まえると、余暇の過ごし方というのは個々人の価値観が大きく絡むので一概にこう、とは言えないものの、おっさん臭い趣味を持っている人は早く子供を生んでも問題なく、若くないとできないことをしたい人は遅くに子供を生んだほうが良いという当たり前の結論になるだろうか。

若い時に、その時期でなければできないやりたいことがある、という人ならば人に言われたり考えたりせずとも結婚も出産も後回しにするだろう。

まとめ

  • 生物学的には女性は35歳くらいまでに、男性も基準はないもののなるべく早く子供を作ったほうが、自然妊娠の確率は高く、母子ともに色々なリスクが低減できる
  • 早く子供を産むほど(例えば20歳代前半)、子供の教育資金の確保は難しくなる。早期から資産運用などで計画的に教育資金を確保すべき
  • 子供を遅くに生んだ場合(40代以降)は早期から子供の教育資金を貯蓄しておく(あるいは低リスク低リターンを目指した資産運用をする)必要があり。
  • 「若いが金はない」 or 「若くないが金はある」どちらの余暇の過ごし方をしたいか

以上あたりを考えつつも、結局は若くして子供を作ろうと年取ってから子供をつくろうと、みんな普通に子育てしてるし子供も大人になるし、最終的にはフィーリングや人生の巡り合いでテキトーに結婚してテキトーに子供を産むのが良いと思います。あんまり理論付けて考えるようなもんでもないので。