子供を守るためのリスクマネジメント

子供が死んだり殺されたりするニュースを良く見る気がしますね。

子供を持つ親にとっては、幼い子供が死ぬ(殺される)というニュースはひどく心が痛むものです。そういうニュースだけフィルタリングして目に入らないようにしたいと思うことでしょう。私はそうです。

ただ、同時に実際にあった事件から目を背けてもあまりいいことがないのも事実で(もっとも、それをわかった上でも心が耐えられないので目を背けたいと思うのが人間の心情なのですが)、我々は自分たちの子供(や近隣の子供)を守るために何をしなければならないのか?というのを冷静に考える必要があります。

リスクマネジメントの世界では、リスクを発生する確率とそれが発生したときに被る被害額と定義することが多いです。今回は被害額が特に大きいとみなすことができる、「死亡した」というケースにフォーカスしたいと思います。死亡に至ったケースを調査することは、死亡に近い重大な事故までをもある程度カバーできると思われます。

ということで、いろいろ長ったらしく書きましたが、調べたのは以下のページだけです。どうぞ。

[1] 厚生労働省 第8表 死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合

[2] 厚生労働省 平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況

見るべきところは以下です。

image from 厚生労働省 平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況

これを見ると年齢別のおおまかな死因の構成がわかるので、子供の年齢にあった対策を取ることができます。ざっくり、解説していきます。

0歳

グラフでは「その他」がほとんどですが、これは具体的には

  • 先天奇形,変形及び染色体異常(708)
  • 周産期に特異的な呼吸障害等(247)
  • 乳幼児突然死症候群(93)
  • 出血性障害など(83)
  • 不慮の事故(79)

などから構成されています。カッコ内の数字は10万人あたり死亡数です。

先天奇形、染色体異常が突出して多いですが、残念ながらこれは我々が個々の事例についてはコントロールすることができません。個々の症例に応じて、良い医師を頼るとか、そんなことくらいしかできないでしょう。

ただ、一般的には妊娠時の母親の年齢と染色体異常が見られる確率には相関がある

from 厚生労働省 不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会

ため、「早く結婚して子供を産む」ことが染色体異常によって死亡する子供を減らすための予防策にはなります。

…とこう言うと、結婚できない人や、運悪く子供に恵まれず高齢になってしまった方、フェミニスト方面の方からお叱りを受けそうですが、これはもう残念ながら純粋に生物学的・統計的な事実なので受け入れるしかありません。個々の事例で高齢(たとえば35歳以上)で子供を産むべきかどうかは、リスク等を勘案してそれぞれの家庭で決めるべき問題と思います。

染色体異常が発生すると多くの場合は初期発生がうまくいきません。つまり、そもそも妊娠に至らないか、流産という形になります。染色体異常というとダウン症のイメージが世間では強いですが。(それをわかりやすく示せるデータがあればよかったのですが、見つからなかった)

一方、呼吸障害や突然死症候群に関しては、早期発見によって治療成績を上げることができると思われます。ですから、0歳児を守りたいと思ったときにまず真っ先にすべきなのは体動センサ(呼吸センサ)の類を使用するというのがもっとも理にかなっていると思われます。

ただ、呼吸センサや体動センサは病院では必ず目にしますが、一般向けの商品はあまり多くないようです。ささっとググった感じだと、下記のSNUZA HEROという商品しか目にしませんでした。

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1~4歳児

厚生労働省 平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況を見ますと、死因の1位から順に

  • 先天奇形,変形及び染色体異常(157)
  • 不慮の事故(108)
  • 悪性新生物(68)
  • 心疾患(49)
  • 肺炎(49)

となっています。「不慮の事故」以外はこれもまた、先天的な要因が大きく、その治療も基本的には医師が行い素人の出る幕はあまりないので、ほとんどコントロールできない領域です。

「不慮の事故」とは何かというと、

  • 交通事故
  • 転倒・転落
  • 不慮の溺死及び溺水
  • 不慮の窒息
  • 煙,火及び火炎への曝露
  • 有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露

などが含まれます。これらは、幼児期においては親が子供を監視することによってかなり防げる事故です。

例えば、まだ就学前の子供を子供だけで遊ばせて大人が見ないケースをよく目にしますが、ああいうのは良くないということですね。子供を外で遊ばせるときは大人が監視する、家の中で遊ばせる際も危険なものは子供の手の届くところに置かない、風呂やプールに入れるときは必ず監視するといった心がけが一番重要と思われます。

肺炎に関しては、インフルエンザや風邪などの症状から派生することが多いので、一般的な風邪・インフルエンザの対策を行うことが重要と思われます。これは子供のみならず、大人も守る効果もあります。

5~9歳

5~9歳児でも相変わらず心疾患、先天性奇形、悪性新生物が多いですが、構成順位では「不慮の事故」が1位になります。[1]にて発生件数を比較しても、1~4歳では160件、5~9歳では138件とあまり減っていません。

つまり、5~9歳という時期は大体小学校低学年ごろにあたりますが、この歳になっても交通事故、転落、転倒、溺死、窒息に至る率は乳幼児と大差ないということがわかります。ですから、小学校に入ったからと言って子供だけで遊ばせるのはまだまだ危険であるということですね。小学校でも低学年の間は、子供だけで遊ばせるようなことは無いようにしたほうが良いでしょう。

10歳以降

10歳以上、極端に構成比を占めてくるのは「自殺」です。

image from 厚生労働省 平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況

比率だけでなく、その数は0歳における先天的奇形などによる死亡数を大きく超えます。乳児の先天的な要因による死亡、幼児~小学校低学年までの不慮の事故を乗り越えていった人間はその後長期に渡って死亡率が低く安定するはずですが、この時期に自殺が1位を占めてしまうのはとても残念なことと思います。

10歳以降は一人で行動することが大きくなるでしょうから、不慮の事故に対する防御策としては家で危険なことなどをしつこく言って聞かせるくらいしか現実的には対応策が無いと思います。それよりも、自殺に対する対応を行っていったほうが良いでしょう。

小学校~高校までで自殺の要因として大きいのはまず間違いなくいじめと思われます。私はいじめの専門家でないのであんまり対策には詳しくないですし、人間関係に起因することなので一般論として解決策を語るのはとてもむずかしいことと予想されます。なので、まぁ、そこんところはなんとか考えてうまくやってください。

ちなみに、私も小学校のときはよくいじめられていて、「これは舐められるから良くないのだな」と思い、一度いじめっ子の家に土足で上がり込んでツバを吐きかけた上でキチガイのように叫び、その家のおばあちゃんに「コラー!!!シャー!!!」と威嚇された経験がありますが、それからはいじめられなくなりました。

ただ、いじめられっ子の全員が全員そういう強硬策を取れるわけでもないですし、一般的に有効と思われるのは転校や私立校への入学かなぁ…という気がします。転校は簡単に人間関係をリセットできますから、効果が高いと思われますし、私立校では問題行動を起こす生徒を大学処分にしやすかったり、学校に対する悪評が立つと生徒数が減り経営が困難になるという理由からいじめ問題に関してもより実効性のある対応をしてくれそうな気がします。私立校に子供を入れたことも無いし通ったことも無いですが、そんくらいのメリットが無いとわざわざ高い金払って私立なんて行かないっしょ。金で解決できることは金で解決しましょう。

成人以降

成人以降も、40代になるまでは自殺が1位ですね。40代以降は自殺の比率が減ってますが、これは自殺件数が減っているわけではなくて、心疾患、悪性新生物、脳血管疾患などで死亡する件数が急激に増えてきているということが原因です。つまり、自殺する以上に体にガタが来て死ぬ可能性が高くなるということですね。

成人以降の自殺の理由となりそうなのは、殆どは仕事関係(職場の人間関係、ハラスメント、長時間労働、低賃金からの将来への悲観)などだと思われますが、じゃあ親が会社にしゃしゃり出て行って何かできるかというと、まぁ基本は何もできないと思います。

そもそも成人以降、親が子供にできること(直接的な支援)というのはあまり無いと思われますが、私ならば自分の座右の銘である「人生は思い通りになる」ということを伝えると思います。

日本人(海外もそうなのかもしれませんけど)は我慢しすぎだと思います。もっと人生は自由で、思い通りに生きてもいいと思います。労働だって単なる契約ですし、労基法によっても労働者は守られています。クソみたいな会社や上司にあたったら、もっとカジュアルに会社を辞めていいと思います。再就職なんて失業保険をもらいながら南の島でゆっくり考えればいいでしょう。これからはどこの業界も人不足になるんですから。

でも、「思い通りにしたい」という気持ちがないと無限に我慢することになってしまいます。もちろん、仕事なのですからある程度のことは我慢する必要がある(例えば毎日会社に行くのがだるい、仕事したくない、とかいう態度で給料をもらうのは不可能)のですが、それを自分の人生の長期的なビジョンと照らし合わせたときに、あまりにも乖離が大きいのであれば、自分のことを優先すべきだと思います。ある程度の我慢は必要ですが、「ここから先は我慢できない」というラインは決めておいたほうがよいでしょう。

長時間労働や各種ハラスメントによって精神が疲弊していると、目先の問題を解決するのに夢中になって「会社を辞める」という選択肢が見えなくなったり、もしくは極端にハードルの高いことのように思えてしまいます。でも、労働に起因する多くの「自殺しようかな」という思いに至る種々の問題は転職によって根本的に解決しますし、それを選ぶのにそこまでハードルが高いオプションでも無いです。私は一度転職を経験しましたが、転職を経験すると「転職ってそこまで大変なことでもないな」というのが分かるので、人生のうちである程度いいタイミングを見計らって転職を経験しておくのも良いかな、と思います。そうすればいつか死にたいと思う程度に仕事が辛いときにカジュアルに転職できますから。

まとめ

0歳: 呼吸センサ、体動センサの導入
1~9歳: 子供だけで遊ばせない。身の回りの危険についての教育
10歳以降: いじめへの対処。場合によっては転校を
成人以降: 長時間労働、ハラスメントに当たった場合は適切なアドバイスを。場合によっては転職を

となりました。

児童に対する殺人事件が起こると身の回りで変質者が出てないか情報を確認したり、子供に知らない人についていかないよう言いきかせたりしますよね。地震が起きて建物などの構造物が倒れてきて児童が死んだ、などというニュースを目にすると、自分の子供の通学路を思い起こして危険なところは無いかと確認したりしますよね。

それらは、もちろん重要でやったほうが良いことに間違いはないんですけど、一方で子供が変質者に連れ去られるとか、地震が起きて死亡事故が発生するとかいう危険性よりは、はるかに交通事故、転倒、転落、窒息、溺死などの危険性のほうが高いわけです。

私の家の近所を見ると、みんな子供を監視することなく、幼稚園児~小学校低学年くらいの子供を遊ばせています。子供が変質者に連れ去られないようにと防犯ブザーをつけたり、知らない人についていかないよう熱心に聞かせる一方で、子供をほったらかしで遊ばせておくのは私にはとても奇異なことのように思います。

特異な事件が起こったときに身の回りの危険を再確認するのはもちろん良いことですが、それ以上に日常的に簡単に想像できるような事故を防ぐための努力ももっと行っていくべきと思うのですが、どうでしょうか。