30代が二児の子育てしつつフリーランスを半年続けた感想

思うことをつらつらと書いてみます。

タイトルのこと

タイトルから生活感がにじみ出ていますね。私もそういう年になってしまいました。来年には33歳になります。

私は今年の5月に7年勤めていたメーカーを辞めてフリーランスになりました。会社を辞めてから色々なことがありました。それを書いてみるのも良いんじゃないですかと言われたので今思うことを漠然と書いてみます。

プロジェクト終了

4月から某社の基幹システムリプレースの仕事をしていました。当初1ヶ月で終わるとされたこのプロジェクトは、お決まりのように次々仕様が複雑化し、最終的には私が抜けるまで半年弱もの月日がかかりました。この文章を書いたのは、ちょうどこのプロジェクトとの契約が満了した日です。プロジェクト自体は終わっておらず、私の役目が終了しただけなのですが、本当、疲れました。大変でした。これは。今考えると私が社会人になってから1位2位を争う忙しさだったのでは、と思います。ただ、そう書くのにも裏があります(後述します)。

私はこのプロジェクトが終わっても、また次にとあるサービスを構築する仕事が待っていて、そちらも前述の案件によってスケジュールが押しており忙しいことは忙しいです。が、最近日記もかけてないですし、無理にも書こうと電車の中でMacを開いてこの文章を打っているわけです。電車の中でMacを広げて熱心にタイプする。何だお前、意識高い系かよ。と、私だったら思うだろう。前に座っている女子大生と思しき女は何を思っているだろうか。猿が天井から吊るされたバナナを見上げるような角度で眠っている。マスクをしているが、たぶん大口を開けているだろう。寝とけ寝とけ。そして就活のときだけ真面目くさった顔でリクルートスーツを着て趣味は読書です、サークルのリーダーを勤めてました、って面を晒していれば良い。「東京タラレバ娘」か何かを無料配信分だけ読んでゴロゴロしている休みを過ごせば良い。

技術で世界を変える

なんだか関係ない話になってきたけど書きたいので書く。

私は若い頃(20代はじめ頃)、高度な技術という棍棒で世の中の問題を片っ端から殴りつけて解決していくというビジネスをしたいと思っていた。研究は日進月歩で進み、それを実用的な技術、工学そしてエンジニアリングの世界に落としこむ。まだ誰もビジネス化していない新しい技術があれば、その世界ではライバルが居ないはず。絶えず新しいことをしていればいつまでも第一人者を維持していける。と。

この論理は成功例だけを見てたらもっともらしく思えるのだけど、しかしながらアイディアと技術があったとしてもビジネスチャンスがネギを背負ってやってくるわけではない。この世が自由経済である限り、商売には商才が必要で、エンジニアが必ずしも商才をもっているとは限らないし、むしろ技術も商才も持っている人間というのはごく小数であることが私には分かってきた。

たぶん、有名大学を途中で中退して自分の会社を作って成功してしまうような人はこういうことが学生時代によくわかっていたのだろう。私はわかっていたつもりだったが、知識として知っているのと経験して知るのとでは意味合いが違う。現に、私は商売という概念を無視してお金を稼ごうとしていた。

エンジニアはTechだけやってりゃ良いのか

でも大半の人は商売がどうとかなんて考えないだろう。なぜならば商売が得意でなくても人は生きていける。商売が得意な奴が居れば、絵が得意な奴もいるし、プログラミングが得意な奴もいる。プログラミングの中にもJavaやエンプラ系が得意な人も居れば、アプリ開発が得意な奴もいるし、大規模データ処理が得意な奴もいるし、ゲーム開発が得意な奴もいる。それぞれがみんな違ってみんな良い、みたいな感じで収まるべきところに収まっている。

それでみんな生活していけるのは、雇用者が展開するビジネスでお金を稼いでいるからである。

よくネット上で「日本はエンジニアの扱いがひどすぎる」という議論がある。主に給与や労働時間が争点になっているようだ。労働者が雇用者側に対してもっとまともな扱いをしろという主張をすること自体は、私は基本的に良いことだと思っているので、その主張にも同意できる。

しかしながら実際にお金を稼ぐアイディアを出し、それをビジネスとして回せるところまで監督した人に最大の功績があり、そして被雇用者は雇用者がそのビジネスを回すための指示を受け労働をする代わりに賃金をもらうという契約で成り立っているということも事実である。

だから、「もっと金くれよ」と述べること自体は良いと思うんだけど、そうするためにはビジネスがうまく回っている必要がある。会社が十分な利益を上げてなければ、給与も上がらない。。

エンジニアに限ったことではないが、「給料上げるべき」とか、「自分はこれだけ会社に尽くしているのだからもっと給料を貰って良いはずだ」というのは誰しもが思うところだし、そういう話もよく聞く。そうして主張していくのもいいと思う。だけど現実は無い袖は振れない。主張したところでよほどのことが無い限り給料は上がらない。給料を上げるには、給料をくれる人を変える、つまり、転職するのが最も手っ取り早い。

結局、雇用も契約なのであって、気に入らなければより気に入る契約に更新するしか無いのである。それが正攻法だと私は思う。だから、給料が安いから転職をして雇用契約を改める、これは理にかなっている。

批判される人とする人

サラリーマンは労基法によって手厚く保護されている。労基法を守ってないブラック企業もあるにはあるが、それは極端な例として除けば、大体の企業は社員が犯罪でもしない限りは解雇することが出来ない。この厳しすぎる解雇要件は逆に入社のハードルの高さに直結してしまい逆に労働者にとっては不利益になっていると思うのだが、それはさておき「普通に仕事をしていれば給料をもらい続けることが可能」という点において労働者は手厚く保護されている。

その会社の庇護の下、会社の方針がクソだとかダメだとか、上司がクソだからどうとか言うのって何か違うな、と私は思った。誤解の無いよう繰り返しのべるが、私は批判すること自体は良いことだと思う。労働者が雇用主に対して要求を言えるような文化は好ましいと思う。

ただ、個人的にそれがちょっと違うな。嫌だな。と思った。言い方は悪いが、反抗期迎えた中学生が親の稼いだ金で生活しつつ親に文句をたれ、俺は社会を知っている、親が全面的におかしくて俺が正しい、みたいな印象を受けるのだ。

とある人が言っていた言葉で私が心底同意できるのは、「批判する側とされる側だったら自分はされる側に立ちたい。太ってる奴にお前痩せろよって言うのは簡単。でも自ら努力して痩せるのは難しい」ということ。

私も中二病みたいな感じなのかも知れないけど、良いか悪いかは市場が決めてくれるようなドライな環境で仕事をしたかった。私がWebサービスか何かを立ち上げるのが一番わかり易いし、SES契約で働くにしてもパフォーマンスが悪かったら契約更新してくれない、パフォーマンスが良かったら次も声がかかる。そういうふうに仕事をしたかった。

…とまあ、こんな調子で書いてると終わらない(実際2ヶ月くらい放置した)ので先に進みます。

どういう生活をしとるの?

某社にほぼ社員のような好待遇でSES契約を結んでもらい、9割型その仕事をしています。普通、エンジニアでフリーランスというとSES契約でプロジェクト単位で契約してもらい、プロジェクトが終わったらさよならみたいなケースが多いのだと思いますが、私の場合はずっと契約を結びっぱなしにしてもらっているので(今の所)、あまりフリーランスっぽくは無いと思います。なので、先程のべた「パフォーマンスが悪かったら契約更新してくれない、パフォーマンスが良かったら次も声がかかる」からはだいぶ緩い条件で仕事をさせてもらっています。

よかったこと

視野が広がった。以前は某グループ傘下企業の一つということで、それ以上の情報というのは何も得ることが出来なかったけれど、世の中の常識みたいなものがある程度は知れた気がする。特に、単価や見積もりあたりで…。

育児が劇的に融通効くようになった。ただ、夫婦の内一人が家に居るという状況だとその一人に育児が集中する。つまり私の負担が大きくなった。なので良かったのか悪かったのか…。

満員電車に乗らなくて良い、スーツを着なくて良い。スーツについては前職でも不要だったのだけど、それでも襟の付いたシャツを着ろ、シャツをズボンから出すなとか言われるくらいのドレスコードはあった。スーツは「選ばなくていいから楽」という人も居るが私は嫌い。革靴は歩きにくいし、ネクタイも苦しい。満員電車も、元々嫌いだったのであえて都心から離れた会社を選んだ。前職では自転車通勤だったのでそもそも電車に乗ってない。じゃあなぜ「満員電車に乗らなくて良い、スーツを着なくて良い」が良いかと感じると、電車に乗って都心まで出ていくことが多くなり、その際にスーツを着て疲れた顔をして満員電車に乗ってるサラリーマンや、満員電車内での小競り合いや喧嘩を何度か目にしたため。

わるかったこと

帳簿を付けるのが面倒。MFクラウドを利用してクレカの履歴を自動インポートということはやっているのだけど、それでも経理の知識がゼロでいいというわけでもなければ、手作業がゼロになるというわけでもないので結構面倒。

税金が高くなった。これは収入増もあるが、それ以上にサラリーマンの給与所得控除という謎の優遇のせい。給与所得控除は高すぎる。サラリーマンが経費で収入の3〜4割なんて使うわけがない。

その他税制の不満。たとえば、サラリーマンはスーツを経費に出来るようになったが、個人事業主だと経費に出来ないらしい。理解不能。また、飲み会は経費で落とせるのに、仕事をするために子供を保育園に預ける費用は経費計上できない。これも理解不能。経費に出来るもの・できないものの基準が大いに不満。

税金や年金、健康保険の類を自分で払うようになったので、お金がどんどん出ていく感覚がありつらい(総額でも前述の通り税金の給与所得控除が無くなったので増えてるはず)

宗教の人や営業がうざい。これは以前は留守中だった時間帯でも在宅しているがために、こういう人たちの応対をする機会が単純に増えたため。

育児してる人がフリーランスになってリモートで仕事をするのはおすすめか

これは人次第としか言えないです。私はなってよかったと思いますが、だからといって万人に勧められるわけではないです。まず、育児してるしてないにかかわらず、フリーランスで食っていくというのがハードル高いです。解雇要件が厳しい正社員と違ってフリーランスは契約が終われば簡単にサヨナラできます。食っていく技術に秀でてれば仕事が勝手に降ってくるわけではないです。それに加えて政治力、常識的な対応、フットワークの軽さ、空気を読むスキルなどが必要になります。簡単に言えば、「一緒に働きたい」と思える人になるということです。技術に秀でてるが性格がひねくれてて仕事を頼みづらいなんて人と一緒に仕事したくないのは当たり前ですね。

また、最近は「フリーランスでリモートでらくらく仕事♪」みたいなオツムの弱い記事や広告をよく目にするのですが、リモートでの仕事を許可してくれる案件はまだまだ少ない印象です。雇う側の気持ちになってみれば解ると思いますが、見ず知らずの人を雇い、その人とほとんど顔を合わせないまま仕事をさせる(つまり月に100万前後の金を支払う)のって相当ハードル高いですよね。だから出社してきてくれる方が好まれるのは当たり前です。すんなりリモートに移行できるパターンの一つとしては、その会社で長い間働いていて重要なポストにおり、その上で育児や体調不良などで会社に来れなくなった場合なんかだと思います。そういう意味では、私は見ず知らずの人に雇われて現在リモートで仕事できているわけですから、これは相当特殊な例なのだと思います。

あとは、仕事の単価感でしょうか。「ITシステムはビジネスには必要だがメインではないので、それを作るエンジニアへの投資はなるべく安く抑えたい」という考えが透けて見える人が世の中にはたくさんいます。今の時代「ITシステムはメインじゃない、俺のビジネス領域の本質じゃない」とか言いながらITシステムが必要不可欠なビジネスをやるのってなんかおかしいぞとは思うのですが、それはさておき。例えばみなさんだって、フリーランスになってビジネスの本質じゃない税務とかを外注したい時、税理士さんが月5万ですとか言ってきたら「うわっ、高」と思わないですか?彼らにとってエンジニアへの投資を渋るとか、システム開発の外注費用を抑えたいとかいうのはそういうことですよ。重要なのはエンジニアも税理士も、いい仕事する人は単価高いということですね(悪い仕事するのに単価高い人も居ますけど)。

ともかく、そういうわけで「こんな単価じゃ食っていけないよ…」みたいな額を平気で提示する人が世の中にはごまんといます。エンジニアはどこでも足りてませんが、エンジニアにとって食っていけるためのまともな額を提示してくれるお客さんもまた数少ないです。だからリモートで食っていくならば、少なくとも「リモートで食っていける仕事」を発注してくれる担保を取ってから会社を辞めるべきですね。まあ、それすらしない楽観的な人はフリーランスじゃなくても何処かで失敗するような気がしますが。

で、以上が仕事の話ですが、家庭の面ではどうでしょうか。自宅で仕事をするというのは、家庭内でかなり認識を合わせてないと辛いです。私のうちはかなり寛容なほうで、仕事をやめてフリーランスになると言ったときも大して反対されませんでしたがそれでも不満は多いです。

まず、「家に居て仕事する」という響きから来る間違ったイメージですね。家で仕事をすると言うには、本当に単純に仕事をする場所が家になっただけで、やっていることは同じはずなんですよ。家に居ない人からすれば「家に居るんだから買い物と家事くらいしてよ」って感じなんでしょうけど、それが間違ってる。ちょっと家事をして買い物したらなんだかんだで1時間超くらいの時間はかかります。普通、会社で仕事をしていればそんなことは無いですよね。これで会社と同じパフォーマンスを上げるためには、仕事から離れていた分と同じ時間だけ別の日や時間帯に働かなくてはなりません。だから、仕事は深夜早朝などにも入ってきます。なんで深夜早朝かというと、子供が寝ている時間がそこだからです。それで早朝に仕事をしていると、たとえば嫁さんが子供の弁当作りなんかと重なった場合に「このクソ忙しい時間帯に仕事してんじゃねぇよ」と思われる可能性は大いにありますよね(うちの場合じゃなくて一般的な話です)。

つまり、家で仕事をしたことの無い人は「家で仕事してるんだから多少の家事はする」「休みの日や忙しい時間は家族に協力するor子供と遊んであげる」が両立すると思ってるんですけど、この二つを両立させることはかなり難しいんですよ。通常のサラリーマンと同じ時間や曜日に休むなら平日日中に家事その他は出来ないですし、平日日中に家事その他をするならば、深夜早朝土日に仕事をすることが必要になるんです。

ここの感覚をしっかりと夫婦間で共有しておかないと、お互いに「自分だけに家事が集中してる」と不満を持つことになります。

あとは家で仕事をすること自体の辛さもありますね。大体が自分との戦いになります。家に居ると誘惑が多いですから、すぐに関係ないことをし始めてしまいます。あとは、多少人の目が無いと人って集中して仕事できないんですよね。図書館で勉強したほうが捗るとかいうのはこのためだと思っています。

仕事の集中力を高めるために色々やりましたが、私にとって有効だったのは以下のとおりでした。

  • 緩い格好(ジャージとかスウェットとか)で仕事しない。最低限そのまま外に出ていける服で仕事をする
  • 音楽は聞かない。作業用BGMがあったほうが集中できるかもと思って試行錯誤したが、結局無音が一番集中できた
  • 適度にカフェインを取る
  • メシを食いすぎない(眠くなるから)
  • イライラしてきたら一端筋トレをする
  • 休憩は基本無し(休憩に入るとまた仕事をしようという気が失せてくる)

という感じです。上記はあくまでも私の場合で万人に当てはまるとは思っていませんが、ようは試行錯誤して家でも集中できる環境に持っていくまでに数カ月は多分かかりますよ、という事が言いたいです。

まとめ

フリーランスでリモートで仕事するのも楽じゃない。