SUV嫌いな私ですが、最近、CX-5が中々悪い選択肢ではないな、という気がしてきた。
背景
何度も繰り返し述べるとおり、私は次期プレマシーを待っている。が、私が現在乗っているプリウスの次の車検(2016年2月)までは発売されないのでは、というか絶対間に合わねえ。と思っている。
これまで私が腐るほど検索を繰り返し、もはや検索しても国内サイトでは私のブログしかヒットしないような有様になるまで記事を書き続けたが、「2016年初めに出る可能性が高い」という推測しか得られなかった。しかも、昨今の情勢を加味すると、マツダはHCCIエンジンの早期開発に注力したいらしく、CX-9ですら新しい情報が途切れる始末だ。この状態では「2016年初めに出る可能性が高い」というのも怪しいのでは、という気持ちになる。
ここからは完全に一プレマシー情報検索マニアとしての勝手な推測である。マツダとしては、最初はフルスカイアクティブなMazda 2, 3, 6, CX-3, 5, 9が一通り出そろった後でMazda 5に取り掛かりたいと思っていたのだろう。しかしながら経営戦略上は「走りにこだわるマツダ」としてのブランドイメージの向上に注力しているため、必然的に走りへのこだわり様が難しくなるミニバン系は後回しにするはず。
しかし、そのうちに、Mazda 2セダンやら、Mazda 2ワゴンやら、Mazda 1やら、MPSモデルやら、Mazda 6クーペやらに取り掛かり、「走りにこだわるマツダ」にマッチする、簡単に言えば作りたいから作る車種を優先させた結果、もうこれ以上手広く広げるのは無理なので、コア技術であるHCCIに注力するよ。ミニバン?ロータリー?まあ、作りたいけど今は無理よね。そんなにでっかい会社じゃないし。というあたりに落ち着いたのではないだろうか。
マツダのラインナップからミニバン系車種が一つもなくなるという事は無いと思っているが、隅に追いやられることは間違いないだろう。長らく大した変更も無いMPV、ビアンテ、ベリーサをいまだに売り続けているのを見るとプレマシーにもそういう未来が待っているのではと思ってしまう。ディーゼルミニバンがマツダからリリースされてトヨタだらけのミニバン市場に一石を投じるというのはマツダファンから見れば気持ちの良いストーリーではあるが、どうもそういう未来は想像しにくい。
「2016年初め」までに何かが出るとは思うが、もしかしたらそれはフルモデルチェンジではなく、i-Activsense系の装備が載ってフロントフェイスが鼓動っぽくなり、LEDヘッドライトになるだけかもしれない。それでも私は十分嬉しいし、購買意欲も湧いてくるが、再来年まで待つのに価値を感じるほどではない。
だったらもう他の車種買っちゃおうぜ。という、まあ、平たく言えばこんな感じですな。ただ、私はSUV嫌いなのです。
SUVの何が嫌いか
SUVの源流はオフロード走行にある。悪路走破性を基礎として実用的な荷室容積と機能を盛り込んだ車である。すなわち、タイヤは太く厚く、サスは減衰力が小さく、ストロークは長く、バネ定数も小さく。最悪車がひっくり返っても戻せば動く。ミッションはMT。低回転領域のトルクが太い。デフロックやフルタイム4WDといった機構を有する。
しかしながら、そういう種々の機構は日常生活には不要であるばかりか、不利になることの方が多い。メーカーもそれは重々承知しているので、現在売り出しているSUVは「スポーツユーティリティビークルですよ」などと称している通り、オフロード走行だのなんだのそういう機能は有していないというか、せいぜい普通の車に比べれば車高が高いだけマシですよ、というレベルな物が多い。見た目がそれっぽい普通の車である。
オフロード走行に必要な機能を加えるとコストが高くなる上に日常生活で不利である。だからFFにしましょう。ガソリンエンジンで良いでしょ。無理してディーゼル積まなくても。ホイールもインチアップして薄いタイヤ履かせた方がスタイリッシュだよね。というか、良く考えたらSUVの見た目ってゴツゴツしすぎててちょっと野暮ったいよね。じゃあ形ももうちょっとスタイリッシュにしてクーペに近づけましょうか。え?デフロック?いらないいらない。牽引フック?ダサいでしょ。スペアタイヤ?パンク修理キットで良いでしょ。フォグランプ?今時あんなダサい黄色いランプつけてる人なんて居ないって。小さくてスタイリッシュなフォグランプをあしらうのが良いでしょ。
という設計思想で作られたのが現代のSUVである。そいで、大して知識のないサンデードライバーなどが子供から「わあ、おっきい車を運転するパパ、格好いい」などと言われたいがために、もしくは、SUVを買って家族みんなでキャンプに行きたいとおもい、SUVを買ってみたものの、結局仕事で疲れて土日は家で寝てる。テントを買おうと思ったら「またそんなもの買おうとしてるの!結局休みの日寝てるじゃない!」と嫁から怒られ、最終的にSUVですき家に家族で行き、子供はキッズ牛丼か何かについてきた、テーブルの隅で方向転換して落ちずに進むぜんまい仕掛けのアンパンマンだかディズニーだかのおもちゃで大喜び。っていうのがオチでありましょう。パパはパパで「どうだ?パパの車大きいだろう?」などと子供に問い、子供も子供なりに気を使って「うん、大きいね!」などと言っているが内心では早く家に帰ってゲームの続きやりてえ、デカけりゃ偉いとかガキかよ。と思っているのである。
そいで、ようやくお小遣いを減らされた上にテントを買い、キャンプに来たところで大雨が降り、子供はニンテンドーをやる、嫁は「天気悪くても行くしかないんだもんねー。パパはめったに有給とれないもんねー」などと嫌味を言い、その夜に川が増水して流されそうになり、車に乗って脱出を試みるが、結局は車高がちょっと高い普通の車だし、焦るパパは強くアクセルを踏みすぎて簡単に河原でスタック。「こんなことなら来なければよかった」などと嫁は何ら建設性のない事を呟いて雰囲気を最悪にさせるし、SUVもSUVで唯一その真価を発揮すべきシーンでスタックするとか意味不明でパパご立腹。となるのは目に見えている。だってSUVなら河原位、走破できて当然と思うでしょう。
たとえば日本が他国に侵略されて、今まさに新築35年ローンで買った家に他国の戦車の主砲照準が合わされた段になったとき、近くにいた陸上自衛隊戦車大隊に所属する10式戦車に駆け寄り、「早く某国の99式戦車やっつけてくださいよ、35年ローンが残ってるんだよ、戦車砲による攻撃って火災保険降りないでしょ」などと主張したところ、「だめだめ、この戦車、見た目だけだから。悪路走破性は無いんだよね。畑挟んだ向こう側のあなたのお家までは行けないよ。途中でスタックしちゃう。スタックしちゃったらいい的だからね。いくら99式のスタビライザーがクソでもさすがに止まってる的には当たるっしょ」とか投げやりに言われたらふざけんなと思うでしょう。税金返せと思うでしょう。戦車、キャタピラ付いてるじゃん。キャベツ畑くらい乗り越えろよな、って思うでしょう。
それと同じですよ。SUVだったら河原くらい走破しろよって感じでしょう。河原行くまでではないにしろ、たとえば東京でも冬に大雪が降って車がいたるところでスタックしたというのはつい最近経験したことであり、そんなときに「このSUV、FFなんだよねー」などとヘラヘラ笑ってスタックして道をふさぐとかバカバカしすぎると私は思う。それで最終的に通行人に押してもらって何とかスタック脱出、皆で拍手して喜び、「いっやー、やっぱ助け合いの精神だわ」などと満足に浸るのである。アホかと思う。お前、10式戦車がスタックしたときにみんなで押して脱出させて、「いっやー、兵隊さんの手助けができたというのは誇らしいわ」とかいう気持ちになるか?ならんでしょ。しっかりしろよ、ボケ。それでも戦車か。と思うでしょ。手で押して脱出できるとか、装甲、ホーロー製なんじゃねえのか?と訝るでしょう。両者は程度の差こそあれベクトルとしては同じ方向ですよ。
しかしながら難しいのは、種々の行いを見ればまあ、それぞれの行動には合理性が一応あるのである。メーカーとしては売れる車を作りたい。だからオフロード車を普通の車に近づけて売る。それはそれで経営目標を達成するという大目標を実現するために市場ニーズに合わせると言う一つの合理的な行動である。
それを買うユーザーもユーザーで、ちょっとスポーティーなことをやりたい、子供に「パパすごいね」と言ってもらいたい、タフガイな俺にはSUVが良く似合う、とにかくでっかい車が欲しい、などという純粋な目的に基づいているので、それぞれはまあ批判される筋合いは無いでしょう。きっとつぶらな瞳をしてますよ、彼らは。つぶらな瞳ですき家の牛丼食ってますよ。
つまりは誰も悪くない。誰も悪くないのにこういう状況になっている。それが私は嫌。このSUVを取り巻く状況そのものが嫌。
なぜCX-5が良いと思ったか
と、そこまで嫌なSUVを何故買おうと思ったのか。それは私がマツダファンであると同時に、最新技術好きであり、かつ、ケチであるからです。
CX-5はマツダの最新技術がつぎ込まれる車種です。フルスカイアクティブもディーゼルもCX-5から始まりました。将来的に開発されるディーゼルハイブリッドやHCCIエンジンもCX-5に搭載されるのではないかという推測をよく見ます。おそらく、世界的にSUVが人気であるから優先するという理由のほか、エンジンや各種デバイスを搭載するためのスペースの制約が緩いという理由もあるのでしょう。
それでいて、CX-5はアテンザほど車体価格が高くはありません。XD Proactiveグレードの4WD、ATモデルで比較すると、CX-5は300万円を切りますが、アテンザワゴンは350万を超えます。50万円の差はケチな私にとって上記のSUV嫌いという特性を破棄させるほどに大きい差であります。逆に言えば50万円というのは私のポリシーや信念を捻じ曲げるのに匹敵するだけの価値を持つという事であり、つまり私がいかに金にがめついかを定量的に表した指標でもあります。
最初はプレマシーが出ないならアテンザをと思っていたのですが、アテンザ買うくらいなら価格的にCX-5も検討してみようと、こういうわけですね。
CX-5、アテンザワゴン、プリウス、プレマシーを比較する
恐らく全く性格の違うこの4車種を比較するような人は居ないでしょう。何を考えているのでしょうか。バカなのでしょうか。いや、それなりの理由があったはずです。あったはずですがもう忘れました。忘れるのはバカなのでしょうか。いや、馬鹿ではないと思います。マツダが全部悪い。俺の好きな車を作ってくれないマツダが悪い。いや、もう話が進まないのでとりあえず先に進みます。
荷室容積
以下が調べた荷室スペックです。CX-5, prius, atenza wagonは2列目シートを倒さない場合です。premacyは3列目シートを倒した場合です。
容積[L] | 奥行き[mm] | 幅[mm] | 高さ[mm] | |
CX-5 | 500 | 940 | 960~1100 | 820 |
prius | 446 | 655~880 | 965~1555 | 470~675 |
atenza wagon | 506 | 1100 | 1030~1550 | 情報なし |
premacy | 426 | 1100 | 1040 | 情報なし |
なんと、今気づいたのですが荷室容積はプリウスよりもプレマシーの方が小さいのですね。プリウスよりも荷物の詰める車というのも要求スペックの一つであったのですが、じゃあダメじゃん。しかしまあ、プリウスは後部形状が特殊なので、実際に見た感じだと、プレマシーの方が荷物が積めるような気がします。
CX-5とアテンザワゴンはあんまり変わらないですね。CX-5の方が圧倒的に小さいと思っていましたがそうでもないようです。実際に見てみないと500Lの容積がどんなもんか分からないですが、なんとなく私の要求する大きさは確保できるような気がします。
ちなみにハイルーフミニバンだと800Lくらいの容積があります。
サイズ
サイズと最小回転半径は以下の通り。
全長[mm] | 全幅[mm] | 全高[mm] | 最小回転半径[m] | |
CX-5 | 4540 | 1840 | 1705 | 5.5 |
prius(S) | 4480 | 1745 | 1490 | 5.2 |
atenza wagon | 4865 | 1840 | 1465 | 5.6 |
premacy | 4585 | 1750 | 1615 | 5.3 |
アテンザはやっぱりずば抜けて長いですね。狭い駐車場だと切り返しが何度も必要になりそうです。今のプリウスですら何度も切り返すことがありますから。都市圏の古い百貨店などの駐車場はアテンザのサイズだと結構きついと思います。アテンザ以外はまあ大差ないでしょうか。ただCX-5はやはり幅がありますから、駐車してからドアを開けるときに苦労しそうです。しかし、子供をチャイルドシートに乗せるなどという場合は高さがある分楽にはなりそうです。駐車&乗降りはやっぱりスライドドアもあるプレマシーがベストでしょう。
月間の燃料費(実燃費ベース)
年間1万km、レギュラーガソリン160yen/L、軽油135yen/Lという条件で算出します。実燃費はネットで適当に検索して引っ張ってきました。なのであまり正確ではないと思います。
実燃費[km/L] | 月間燃料費[yen] | |
CX-5 XD | 16.5 | 6818 |
prius(S) | 20.8 | 6410 |
atenza wagon XD | 20 | 5625 |
premacy 20 SKYACTIV | 9.85 | 13536 |
プレマシーがずば抜けて悪いですね。他は大差なさそうです。ただ、トータルコストで見れば大体車体価格順に並ぶことは間違いないと思います。計算したい方は「車のローン、燃料費シミュレータ」でどうぞ。
CX-5の装備
続いて、CX-5の装備を検討したいと思います。マイナーチェンジ後(2015年のモデル)のモデルについて言及します。
駆動システム
私には前述のような考えがあるため、まず間違いなく4WDモデルを選択するでしょう。年末年始には実家の雪国に車で帰るのが常ですので、実用的な側面からも4WDがあったら助かります。
マツダは最近、4WD制御システムをよく宣伝材料に使っているようです。それなりの自信はあるのでしょう。先駆者でかつ実績もあるのはスバルのそれでしょうが、マツダのトラクションコントロールシステムがどのくらい素晴らしいかの評価はちょっと難しそうです。まあ少なくとも従来の4WDよりは優れている、程度は言えると思います。あとは実際に長期間運転して、雪道を走っての評価になるでしょうか。
ちなみに、4WDモデルになるとヘッドランプウォッシャー、リアフォグランプが付くそうです。うーん、別に要らない。
この4WDシステムは、通常状態だとほとんどFFと変わらない駆動力配分になるそうで、燃費がFFモデルと大差なかったりします。カタログスペック上は。
安全・先進装備
アダプティブLEDヘッドライトという、ヘッドライトを前方走行車や対向車にまぶしくないように自動的に角度を制御するライトが付きます。これ、個人的にかなり欲しいです。夜間の事故のほとんどはヘッドライトが下向きの状態で発生しているらしいですから。かといって、ヘッドライト上向きは市街地ですとほとんど使用する機会がありません。実際、これは一度乗ってしまうと非搭載の車にはもう二度とのりたくなくなるという談が何かの記事に乗っていました。
あとはレーダークルーズコントロール。30km/hから100km/hで調整可能だそうです。欲を言えば停止状態まで対応してほしいところではありますが、停止状態まで対応していて庶民の買える車となるとかなり限られますから、まあ妥協ですかね。
衝突軽減/回避ブレーキも搭載。これもまああると安心ですかね。個人的には必須な機能ではないですが。
あとはレーンキープアシストですとか、車線変更時の後続車警告機能だとかそういうものも付いています。
マツダコネクト
少なくとも私は要らないです。はっきり要らないです。2DINスペースが欲しいです。以上。
グレード
上記のような私が要求する必要機能を考えたときに、候補となりそうなグレードは以下の通りです。
- XD PROACTIVE FF(AT) ¥2,937,600
- XD PROACTIVE 4WD(AT) ¥3,164,400
- 25S PROACTIVE 4WD(AT) ¥2,775,600
PROACTIVというグレードが先進装備がふんだんに入ったグレードになります。ただし、レーダークルーズコントロールは無いので、ここにオプションで8.9万円が上乗せになります。
乗り出し価格なら+20万ちょいくらいという感じでしょうか。XD PROACTIVE 4WDならば文句ないのですが、ちょっとオプションを付けると簡単に350万を超えそうです。これだと予算オーバー。ただ、クリーンディーゼル補助金が幾らになるかによっては検討する余地がありそうです。
あとの二つの選択肢は、4WDを取るかディーゼルを取るかという事になりそうです。車体が重いのでディーゼルであった方が有りがたいのですが、雪道でトルクフルなエンジンでFFというのはまともに走れる気がしません。どこまでトラクションコントロールがうまく効いてくれるのかにもよるのですが。なんとなく、雪道を走る機会があるなら25S 4WDの方がよさそうな気がします。
結論
微妙。
結局何かを買うという行動につながるか否かは、買う人がその対価に見合う価値を感ずるかどうかによる。それを考えると、私にはこの値段はちょっと高い。重い車でディーゼルのアドバンテージがより大きくなるのは分かるが、だからと言ってわざわざ重量のある車を選ぶ必要性も感じない。難しいのは、荷室面積を追及すると車体が大きくなり、車体が大きくなると重量も増すというところではあるが。
XD PROACTIVE 4WDが乗り出しで300万を切るなら買う。ただ、値引きでそのラインを狙えるかというとちょっと厳しいと思う。
だったら25S PROACTIVE 4WDになるが、そうすると燃費が悪くなる。幾らトータルコストではガソリンモデルの方が安いとは言っても嫁さんの説得は難しそうだ。家ではローンを払うのは私だが、ガソリンを入れるのはほとんど嫁さんなので。
というか、やっぱりこの重い車体を2.5Lガソリンエンジンで回すとか考えたらそもそも今のプリウスに乗ってた方がまだマシという気持ちになってくる。私は元来、軽い車にそれなりのエンジンを積んだ車が良いと思っている。プリウスは大きさの割に軽く、システム出力も136psと悪くない。足回りは最悪だが。
総括して、積極的に買おうという気持ちにはなってこない。ただ試乗してみても良いかな、という気にはなってくるので試乗はするかもしれない。