Factory on the moon(仮)の絵を描く

前の記事でFactory on the moon(仮)という話を書きたいと記した。それにあたっての制作ポリシーみたいなもの覚書みたいな感じ。

コンセプト

Factory on the moon(以下FOTMと省略)は、私が普通に働きながら書く小説なので、自分のプライベートの時間を使って進める活動になります。私は結婚していて子供もいるので自分一人が自由に使える時間を大量に作るのが難しいです。

FOTMでは挿絵やコンセプトアートといった形で絵やCGもたくさん作ろうと思っています。これらは自分で制作したいと思っていますが、そうすると問題になってくるのはやはり制作時間です。

以上より、短時間でそれなりの絵を描くための手法を構築する必要があります。今回、一枚だけ書いたのでそれの反省を兼ねて振り返るのがこの記事の趣旨です。

あと、私は絵のことを一切勉強したことがないです。

FOTMのコンセプト

まずはFOTM自体の設計思想(?)です。

私は、ほとんどの創作物は過去の創作物の組み合わせで、新規性は殆ど無いという説を支持しています。そして、近年はその傾向が加速していると思っています。80年台、90年台の音楽が再び流行ったり、インディーズゲーム市場でUndertaleやStardew Valleyといったレトロゲームの雰囲気を醸し出すゲームがランキング上位を占めているのはその最たる例と思っています。

そもそも、なにか創作物を作るとき、自分が見聞きした過去の創作物に影響を受けることは避けられないと私は思っています。であれば、必要以上に過去の創作物とかぶるのを恐れて自分が作りたいものを捻じ曲げてしまうよりは、多少似通っていたとしてもそれを影響を受けたと認めて好きなように作るべきではないでしょうか。例えば、プログラミング言語はどれも「他の言語に影響を受けている」「他の言語のこの部分のコンセプトを採用した」などとはっきり述べていますね。そうであるべきと思います。だって、過去の作品と似てて不快感を持つのってSNSでよく見る絶対にパクリやトレースを認めさせるマンくらいで一般ピープルはそんなの気にしませんからね。そうでなければ同人誌が盛り上がるわけがないでしょう?

ではパクリと影響を受ける、の境は何なのかと言うと、積極的に似せるか結果的に似たのか、の違いと思いますね。最も、それは第三者からは区別しようが無いのでパクリ認定マンがたくさん出てくる背景になってるんでしょうけど。

さて、そういうわけでFOTMも数多の作品に影響を受けていますし、FOTMに関連する絵も既存の創作物をあまり気にせずに作って行こうと思っています。

絵を描く

さて、突然ですが上記の考えのもと今回作った絵がこれです。

最終的にはこのレベルの絵を半日以下くらいで描けるようになりたいですね。

では制作過程を振り返るとともに、反省点などを絞り出したいと思います。

下書きです。なんか補助線的なものを引いたりしていますが、特に何か考えているわけではないです。すべて適当に雰囲気で描いています。作品の雰囲気を伝えるための絵なので雰囲気で描くことは重要です。

とりあえず空からなんとかしましょう。手持ちの写真の中から適当に夕焼けの写真を選び、CameraRawで彩度等調整していきます。

あ、書き忘れましたが作業は基本Photoshopで行っています。以前はKritaを使っていたのですが、Kritaは結構動作が重いので最近はPhotoshopで最初から最後まで作業することが多いです。

写真を使うことに対して「トレスだ」とか言う輩がよく居ますが、そもそもトレースの何が悪いのでしょうか。人間世界の出来事を描いている漫画はすべて模写です。模写とトレースは程度の差でしかありません。写実的な作品を作ろうと思ったら必ず取材が必要になります。人間の想像力って高が知れてるので取材や参考資料なしにリアルな絵は絶対描けません。

なお、今回の場合はトレースどころか写真素材をそのまま使います。「自分で描いたんじゃないじゃん」と言われるかもしれませんが、それで良いのです。そもそも自分の画力を自慢したくて絵を描いているんじゃなくて、少なくとも私に関しては私が想像した世界を画像に起こしたいというだけなので、画力云々はどうでも良いのです。それよりも、写真素材を使うことをためらってリアリティが損なわれる方が困ります。

空の部分を切り取って広げてサイズが合うようにしています。

このままだと絵(CG)っぽくないので、もうちょっと絵っぽくします。ガウシアンぼかしを適用したレイヤーを重ねたり、さらに調整を重ねたりしてこうなりました。

反省点1 このレタッチ手順をアクションにしとけばよかったですね。試行錯誤してこうなったのですが、その都度やっていたのでは再現できないです。

この状態でもだいぶ絵っぽくなりました。言い忘れましたが私は色弱なので、夕焼けっぽいグラデーションを作るのに写真があったほうが楽というのもあります。まぁ色弱じゃなくてもそうだと思いますが。

もうちょっと絵っぽくするため&エッジを効かせた雲を描きたいので雲を追加します。雲の追加はネットで検索してダウンロードした無料の適当な雲ブラシを使います。散布やジッターなどをいい感じに設定して描きます。

この時点でだいぶ絵っぽくなりました。まぁ背景の空はこんな感じで良いでしょう。ここまでで1時間かからずできたと記憶しています。

黄色や青の点々は何?というと、これは昔のカメラレンズで撮影したときのゴーストのつもりでした。元々は。最近はなんとなくきれいなのでシーンに応じて点々を加えてます。良いんです、雰囲気できれいに見えるんで意味は無いんです。

次は草地を描いていきます。

草はこれもフリーで手に入る草のブラシで描いています。ずーっとなぞっていけば勝手に草が生えてくるのでアホでもできる作業です。ブラシは grass brush photoshop などで検索するとたくさん出てきます。別に無料にこだわっているわけでもないので、後々のことを考えて有償で良いのがあれば、そういうのも買って使いたいですね。

この草地を手作業で描くとまぁ大変なことになります。くっそしんどいです。手早く仕上げる方法を確立するのが目的のひとつなので手作業は絶対だめです。

次は気球的な飛行機とクレーンなどを描いていきます。これはBlenderでモデリングしていきます。3Dです。

作業速度を上げるためにも、3Dによるモデリングは必須です。モデルを作れば色んなシーンで使いまわせますからね。あと、正確なパースで綺麗な線を描くのも3Dの方が圧倒的に楽です。繰り返しますが、私は画力の凄さや感性の豊かさ、着眼点の鋭さなどを披露したいのではなく、単純に物語の雰囲気をビジュアルで説明したいだけなので、このあたりを手で描くことに全くこだわっていないです。

気球的な何かの方のデザインは完全に自分で考えています。あまり何かを参考にはしなかったです。参考にしたほうがリアリティが出るのでそうした方がいいのですが、単純に面倒だったからです。反省点2ですね。何かデザインに困ったときは即座にGoogleイメージ検索をしてイメージに近い写真を探し、それを参考にしたほうが良いです。

ちなみにFOTMではこの気球的な何か、が活躍するという世界観になっています。

右下のクレーンや化学工場もモデリングします。

何かこのあたりのモデルも、もっとフリー素材や有償のジェネレータなどがもしあればそういうのを使えばよかったですね(反省点3)。

これらはネットで探した写真を参考にしています。結局、人間の感性って経験に依存しているので、見る側のイメージにも配慮しないとその作品のイメージって伝わらないと思うんですよね。一般的でない、ぱっと見で何か分からないようなものを描いてもイメージは伝わらないと思ってます。

ちなみに、BlenderではCyclesレンダラを用いた上でFreestyleで線を引いています。色やマテリアルはPhotoshopで塗ろうと思っていましたが、面倒臭がらずマテリアルを設定しとけばよかったです。色を手で塗るにしても、陰影は乗算レイヤで流用するので、マテリアルが初期のDiffuseのままだと陰影に金属感(光沢)が出ません(反省点4)。

という感じでとりあえずレンダリングした画像を貼り付けて背景部分を消します。

このままだと他の部分と違いすぎるので色々細工していきます。ネットで探した金属のテクスチャを張ったりフィルタをかけたり、細かい部分を手動で塗ったりしてこうなりました。

ハイライト部分を大げさに塗るといい感じになります。

ここまで描いて思ったのですが、気球の部分と工場やクレーンの部分を別々にレンダリングしたためなんか一体感が出てません。一緒にやるべきでした(反省点5)。

あと、光の反射方向と太陽があると思われる画像左側奥方向の軸が一致してない(例えばプロペラ部分)のでこういう反射の仕方はおかしいのですが、まぁ正確な描写をすることが目的じゃないので別に良いです。雰囲気できれいに見えればいいです。この絵では夕焼けが綺麗、工場が綺麗、気球の鈍重な感じ、が伝わればいいと思ってるので。

ロゴを書き入れました。フォントはFuturaです。

フォント、タイポグラフィなんてのは創作の再利用の最たる例ですよね。Futuraは1923年にドイツで作られたフォントで、私の大好きな映画「2001年宇宙の旅」でも随所に使われています。IKEAの値札にも使われてましたね。最近、フォントが変わったらしいですが。

タイトルロゴを作るときはFuturaを使おうと決めていました。

背景の月は私がカメラで撮ったものを加工しました。最初は月面のクレーターを活かしたデザインにしようかなと思っていましたが、妙に写真っぽくなってしまう(写真なので当たり前)ので、カラーハーフトーンを重ねて若干の漫画感を出しました。

ロゴの中央背景にほぼ単色の画像が配置されるパターンってファイナルファンタジーのロゴみたいですね。別に意図したわけではないですが、多分深層心理で影響されてると思います。でも当初説明したとおり、既存の創作物を参考にしたり、それに似たりすることを恐れては逆に自分のイメージした内容を捻じ曲げることになるのでこれで良しとします。

タイトルの下に名前を入れました。タイトルだけだとなんか寂しい感じがしたので。

で、ここに至って名前(著者名)をどうしようかと悩みました。withpop、でも良いのですがなんか英語っぽい名前だと軽薄な感じがするのでやめました。ペンネーム的なものもちょっと考えたのですが、面倒になったので本名です。

中央に謎の女を描いていきます。長いライフルを持っています。なんで女なんだ、なんで銃持ってるんだ、女と銃を出しときゃ興味を持ってもらえるとでも思ってんのか、と言われそうですが、まぁ、それもあります。詳しくは出来上がったら読んで確かめてみて下さい。

ライフルは米軍のM14ライフルの画像を参考にしました。特に銃とかは想像で描くと妙なことになりがちで、実際の銃を基本に少し修正したほうがリアリティが出ます。ここで、実際の写真を大雑把にトレースしたことにより、長さ的に左側に銃床が見えることが判明しました。下書きした段階では見えないと思っていました。トレースを恐れずに使ってよかったです。

もっというと、銃を持ったときのポージングや銃の操作を理解するためにモデルガンがあると良かったのですが、絵を書くために1m以上もあるモデルガンを買ったら嫁さんに絶対文句を言われるので我慢します。

ちなみに女性の体もネットで検索したモデルの写真を参考にポーズや大きさのバランスなどを決めています。もうちょっと複雑なポーズならばこれも素体を3Dでモデリングしてから描くと思いますが、一から作ったポーズはかなりぎこちないものになります。モーションキャプチャーみたいなのがもうちょっと手軽にできると良いのですが。最近はディープラーニングで写真の人物のポーズ測定とかできるみたいなので、そのあたりを3Dモデルに落とせる製品があったら売れると思いますよ。誰か作って下さい。でもないので我慢します。

自分が書きたいポーズに近いポーズを撮った写真があるのであれば写真を参考にするのが最も良いと思います。ここでも、「人体をあらゆる角度から自然に見えるように描くデッサン能力」みたいなのは別に求めていません。出来上がりがそれっぽい雰囲気を醸し出してりゃそれで目的達成なのです。

人物を書くときは、写真の人体パーツの比率よりも、若干頭だけ大きめに書いています。これは表情を書きやすいのと、イラストっぽくなるからです。顔に関しても、顔のパーツを全体的に下にすると幼い顔つきになり、よりイラストっぽさ、漫画っぽさが強くなります。どちらが良いかは好みだと思います。

あと、下書きを元に清書をしてくのが私が非常にヘタで、書いていくほどに下書きからかけ離れた絵になっていく傾向があります。この点に関しては下書きの無駄な線を消していって清書とする方式に今回改めたことによってだいぶマシになりました。

あとはゴミのような線と、鉄網を描き、タイトル位置を修正して完了です。風に飛ばされているようなゴミを書くと、風が吹いている感が醸し出されます。

実はこういう構図(夕焼けと気球)って過去何度も描いているのですが、毎回満足の行く絵が描けなくてやり直しています。今回はまあまあ満足の行く絵が描けましたが、謎の女を書く段で集中力が尽きて適当になってしまいました。

おまけ。背景簡素化バージョン。

絵としてはこっちのほうが簡素で好き。