子供の送迎はバイクでも可能か

ということで書いてみる。

子供をバイクで送迎するのは危険か

バイクの二人乗りの同乗者の年齢制限は法的には無い。なので、サイズが合うヘルメットがあれば子供でも乗れる。娘が通っている保育園ではバイクで送迎している人も1~2人くらいは見かける。

すると、「子供をバイクで送迎するのは危険ではないか」と声が必ず出てくる。確かに車と同じようなスピードで走り、かつ生身を露出しているバイクは視覚的にはとても脆弱で大事故に繋がりそうなイメージがある。ただ、これはイメージで定量的な評価だとは思えない。

自転車ではどうか

私がバイクで送迎も良いのではと思った理由は、そもそも子供乗せ自転車が危険だと感じたからである。「子供乗せ電動自転車の危険性~Hydee 2のフロントブレーキ交換」という記事でも少し書いたが、子供乗せ自転車は以下の点で危険だというのが私の結論だ。

  • ブレーキ性能の不足
  • 安定性の低さ
  • 歩道を走行する危険性

ブレーキ性能の不足

ほとんどの電動子供のせ自転車は、本体重量が30kg前後あるのに加えて子供を二人乗せることもある。大人が60kg, 子供が10kgだったと仮定すると全体重量は100kgとなる。かなり重量級であるが、搭載されているブレーキは、前輪がVブレーキ、後輪がローラーブレーキであることがほとんどだ。

自転車の耐荷重というのは実はそこまで大きくない。シティサイクルやクロスバイクに書いてある最大の耐荷重は80kgとか90kgとかだったりする。シティサイクルやクロスバイクに採用されるブレーキと同等品を重い子供のせ自転車に採用していることがそもそもおかしいと個人的には思うが、このあたりは車検が存在する車と違って厳密な法規制は多分無いんじゃないだろうか。せいぜい、ブレーキが備わってること、くらいの規定しかなかったはずだ。

実際に子供のせ自転車を走らせていてもブレーキ性能の不足を感じることは多い。

「私はそんなに速度を出さないから。安全運転だから大丈夫」と思う人もいるかも知れないが、たとえば下り坂ではゆっくり走ろうと早く走ろうと位置エネルギーのすべてがブレーキの負荷となる。

ローラーブレーキは制動力が弱めのブレーキだ。近所の下り坂だと、後輪のローラーブレーキだけだと、目一杯ブレーキレバーを引いても速度が若干落ちる程度で止まることができない。昔乗っていたシティサイクルではローラーブレーキで止まることができたが、子供のせ自転車の重量だとなかなか止まらない。よって、制動力のメインは前輪のVブレーキに頼ることになる。例えばブレーキパッドの寿命が切れたり、ワイヤーが伸び切ったりしたら大変危険な状況に陥る。事実、私の家でも過去数度ブレーキでトラブルがあった。定期的に確認していてもこうなのだから、自転車なんてメンテナンス不要で壊れた時に自転車屋に持っていけばいいと思っている人が事故にあう危険はもっと高いだろう。

安定性の低さ

子供のせ自転車は子供を着座させると必然的に重心が高くなる。すると、低速走行時や停止時に転倒しやすくなる。駐輪場など狭いところでハンドルを大きく切ったときなどに特に転倒しやすくなる。

以前、Twitterで「歩道は歩行者優先なのに速度を落とさず子供を乗せたまま突っ込んでくる自転車はなんなんだ」みたいなツイートに対し、「子供のせ自転車は一旦停車すると漕ぎ出してからスピードに乗るまでが大変なので歩行者が大目に見てくれ」みたいなことを書いた人がいて色々叩かれていた。これは自転車を走らせる人の意識の問題でもあるが、原因の一因は安定性の低さゆえんだ。

これに対する自転車メーカー側の対処はホイールベースを伸ばすとともに小径ホイールを採用し、着座位置を大幅に低くすることによって安定性を高くすることだった。

しかし、安定性が高い(現状の状態をそのまま継続しやすい特性)ということは、運動性(操縦性)の悪化である。この2つは特に二輪車においては顕著だ。

私も子供のせ自転車を購入する際に小径ホイールの自転車にも乗ってみたが、あまりに曲がらない自転車でびっくりした。私は実用上難があるし、何かあった時に回避行動を取りにくいと判断して小径ホイール車は見送った。その結果、不安定さは解決されていない。

歩道を走行する危険性

電動アシスト付きの自転車は、通常のママチャリよりは漕ぎ出しも巡航速度も高くなる傾向にあるが、ロードバイクやクロスバイクに比べたら遅い。この速度感は歩道(自転車の走行が許可された歩道)を走るには速すぎるし、車道を走るには遅すぎると個人的には思う。

私は以前、1年間くらい毎日往復32kmの道のりをクロスバイクで通っていたが、危ない経験をすることは電動アシスト付き子供乗せ自転車に乗っていたことの方がむしろ多かったように思う。

危険な場面の多くは歩道を走行するときだ。歩行者と自転車という相対速度の大きな物体が歩道という狭い道で通行する事自体がそもそも危険であるし、車道に出るときは子供も車も一時停止するものの、歩道に出てくるときは左右を確認しない自動車ドライバーや歩行者というのはとても多い。歩道は安全地帯だとでも考えているのだろう。この結果、出合い頭に衝突する危険が高まる。

歩道を走行することで生ずる危険性は車道を走ることによって解決する。が、今度は車道に出ることによって新たな危険が生ずる。子供のせ自転車は巡航速度がせいぜい17~18km/hくらいであるから、自動車との相対速度が大きくなる。クロスバイクやロードバイクはとっさに頑張れば30~40km/hの走行速度は出せるので、混雑していて車の流れがゆったりな道路では車との速度差をゼロにする(つまり車に付いていく)ことも容易だ。相対速度が大きくなると、それだけ衝突回避までの猶予時間も減る。

事故の発生率を下げるには、個人的にはその通行帯を走行する乗り物(もしくは生身の人間)の相対速度をできるだけ小さくすることが重要ではないかと思ってる。

バイクではどうか

以上、ここまでに挙げた欠点はバイクであれば解決する。ブレーキは油圧式のディスクブレーキだし、バイク自体の重量が重いので着座位置が高くても重心は高くなりにくいし、車道を車と同等の速度で走行することができる。

ただ、そのかわりに平均走行速度が高いので、事故ったときのダメージが大きくなる。リスクの大きさは発生確率と発生したときのダメージの大きさであるから、ここまでの論が間違ってないとすると、その見積もりは難しくなる。

統計

都内の事故状況統計も調べてみた。以下の資料が参考になった。

平成28年における交通死亡事故について

乗り物別に見た、人口10万人あたり発生率。それぞれの乗り物の母数が違うので、この率の高さが安全性の低さにつながるわけではないが、ただ「自転車はバイクと違って安全」とは言えないということははっきり分かるだろう。たとえ歩行していても交通事故に遭う危険性はある。

以下は交通事故原因として多い出会い頭での衝突に関しての分析。

出会い頭の事故は自動車対自転車がもっとも割合としては多いが、年齢階層によると高齢者の一時停止不停止などの法令違反が割合をお仕上げている原因のようにも思える。

以下は、自動二輪者の高い死亡事故率を分析した内容。

自動二輪車は大都市圏に住む人が観光・レジャーで近隣の県に行った時に死亡事故が起こす例が多い。都市圏では直線走行とストップ&ゴーが重要で、交通の流れを読んで運転するスキルが重要になるが、近隣県では適切な速度でカーブを曲がるなどのより一般的な運転スキルが重要になることなどの違いではないかと個人的には思う。もっとざっくり言えば、峠を走ったことのないライダーが調子こいて事故ってるパターンが多いんじゃないか。

また、原付の死亡事故率(全事故件数のうち死亡事故に至る割合)は自転車と大差ないというデータが出ている。ということは、バイクの中でも原付きに限れば事故を起こしたときのダメージは自転車よりも原付きのほうが大きいと一概に言えるわけでもないということが分かる。

まとめ

統計からは自転車が安全ともバイク(原付)が安全とも言い難いが、経験的には本記事に書いたような理由で自転車よりならば原付の方が安全であると個人的には思う。ただ、思うだけで自分で実践したこともない。ので、次は実践して確認してみる。