ホンダ ヴェゼルに5日間乗った感想

書きます。

結論

このブログを見ている方の中にはヴェゼルに乗ってる(た)方もいらっしゃるので、ちょっと書きにくいのですが、個人的には無いな、と思った。無い、と思ったポイントをまとめると下記の通り。

  • ブレーキペダルのタッチが最悪
  • ハンドリングが鋭敏すぎる
  • i-DCDが時々おかしくなる
  • あんまり使いたくならないパドルシフト
  • エンジンブレーキがほとんど効かない
  • 足回りのセッティングが好みじゃない
  • ナビの位置、角度、操作性
  • 燃費
  • 内装がちょっとしょぼい

逆に良いと思った点は下記の通り。

  • パワー
  • 速度制限表示の読み取り機能
  • 荷室、車内の広さ
  • 車体の大きさ

以降、詳細を述べる。

悪かった点

ブレーキペダルのタッチが最悪

まず真っ先に違和感を感じ、最後まで慣れることが出来なかったのがブレーキペダル。これは特にヴェゼルがひどいと言うよりは、乗り慣れたCX-5のブレーキフィーリングが平均よりも良いのかもしれない。大体、他の車に乗り換えると私はブレーキペダルに不満を持つ気がする。

ヴェゼルのブレーキペダルは踏むとまるでゴムボールを踏んでいるかのような反発のある感触で、どれだけ踏めばどれくらいブレーキが効くのか全くつかめない。これは感触以外にも、回生ブレーキと通常のディスクブレーキという二つのブレーキを制御する難しさにも起因していると思う。プリウスでもブレーキの踏みこみ力と実際に得られる減速度は非線形的な部分があり違和感を感じることはあったが、ヴェゼルほどギクシャクした感じは無かった。何かでTHS(トヨタハイブリッドシステム)での回生ブレーキとディスクブレーキの切り替え制御はかなりこだわって調整を行ったと読んだが、その点はi-DCDよりも良く出来ていると思った。

CX-5はハイブリッドではないので回生ブレーキは存在しない。充電制御は行っているので減速時は充電電流をいくら取り出すかによって減速度が微妙に異なるはずだが、おそらく人間に知覚できる量は無いんじゃないかと思う。というわけでガソリン車であるCX-5はハイブリッド車(回生ブレーキが存在する車)よりもブレーキの制御が簡単なので当然ブレーキのフィーリングはハイブリッド車よりも良くなっているはずだし、ガソリン車の中でもCX-5のブレーキは秀逸だと思う。CX-5には3年乗ったが、今まで乗ったどの車よりもブレーキに関しては満足している。

CX-5のブレーキを踏んだときの感触は、基本は硬めのゴムを踏んでいるという感じだ。

理想のブレーキの感触は「レンガタッチ」が良いと言われる。レンガタッチとはレンガを踏んづけているように踏み込み量が少なく、ブレーキの強弱は踏み込み力でコントロールするような感じの特性を持ったブレーキである。なぜそれが良いのかと言えば、恐らくは踏み込む力のコントロールはペダルを踏み込んだ量(長さ)よりもコントロールしやすいからだろうと私は思う。足は手と違って微妙な位置をコントロールするのに向いていない。ちなみに、ではなぜアクセルペダルが踏み込み量で制御する構造になっているのかというと、アクセルペダルは長い時間踏んでいるペダルだから重いと疲れるという単純な理由があるだろうし、ブレーキペダルとアクセルペダルのフィーリングが同じでは踏み間違いも発生する。あとは、今では電子制御であるが元々はアクセルはスロットルワイヤーの引き出し量に対応していたという事情もあるだろう。

で、CX-5は「レンガを踏んでるような」とまではいかないものの、それに近いフィーリングなのではと思う。少なくとも踏み込み量ではなくて踏み込み力でコントロールが可能だ。しかもその踏み込み力に対応する減速量は私が感ずる限りは完全にリニアで制御しやすい。

わかりやすく例を挙げると、私はCX-5を運転しているときは停車位置を完全に踏み込み力で制御できる。信号が赤になり、先行車の台数を確認して最終的な停車位置がどの辺りになるかを目視したあと、それに応じた「一定の」踏み込み力をかけることによって車を狙った位置に停車させることが可能だ。

しかしヴェゼルでは全くそれが出来なかった。ヴェゼルのブレーキペダルはどちらかというと踏み込み量でブレーキを制御しているような印象を受ける。感触も既に述べたようにゴムボールを踏んづけているような反発力があるためにそもそも自分の踏み込み力がどのくらいであるか推し量ることが難しい。反発力があると、自分が力を入れているのかそれともペダル側が足の裏を押しているのか、人間のフィードバック回路が狂うような印象を受ける。さらに回生ブレーキが効いているか否かで減速量が変わってくるので、どのくらいブレーキを踏めばどのくらいの減速度がかかるのかさっぱり検討が付かない。ブレーキ量が足りないと思ってブレーキを踏み増すと今度は急激にブレーキがかかり、同乗者が前のめりになるような感じになる。

私に言わせると、ヴェゼルのブレーキは(というか私が乗ったことのある殆どの車種は)効きすぎである。可能な限り弱くブレーキを踏んでも狙った位置よりもだいぶ前に停車してしまう。つまり、微妙なブレーキングが出来ないということである。

これらは慣れの問題と言われればそうかもしれないが、私は違うと思う。少なくとも私はマツダ車であればデミオからCX-8まで、どのような重さの車に乗ってもブレーキングに違和感を感じない(デミオはちょっと効きすぎと感じたがすぐ慣れた)し、他の車だと例えばゴルフ、ゴルフトゥーランのブレーキもすぐに慣れた記憶がある。逆に言えば、今回は5日間(総走行距離300km、市街地メイン)もヴェゼルに乗っていたがそれでも慣れないブレーキは良くないブレーキだと思う。

一方でネットでSNS等を見ていると、CX-5のブレーキは「全然効かない」というユーザーが多い。これも前に書いたような気もするが、「効きが調整できる」から「効かない」という感想を持つのだと思う。つまり、「効かない」と言っている人は普段、ちょっと踏んだだけでよく効くようなブレーキの車に慣れてしまっているがために、ブレーキの微妙な調節を出来るCX-5のような車種に乗った時に普段の踏み込み量(力)に対してブレーキが全然効かないと感じるのではないだろうか。少なくとも私はCX-5のブレーキ力が不足していると感じたことはない。ちょっとここでは書けないくらいの速度で走らせたり、そういう状態から急ブレーキを掛けたこともあるが、そもそも最大の力で踏み込んだことが無いと思う。

逆に私は「ちょっと踏んだだけでよく効くブレーキ」の方が恐ろしいと思う。ちょっと踏んだだけですぐ効くブレーキをいざという時にブレーキを信頼して思い切り踏み込むことができない。思い切り踏んだらロックする(ABSが付いているということは理解しているのだけど、それでもとっさの時にシステムを信頼して踏み切れるかは別の話)んじゃないかと思ってしまう。CX-5は急ブレーキを踏む際も、踏み込み力に対してリニアに効いていくので急ブレーキを踏むという1秒未満の世界でも人間が知覚出来る程度の割合で徐々にブレーキを掛けていくという芸当が可能だから、安心して急ブレーキをかけることが出来る。

ハンドリングが鋭敏すぎる

ブレーキの話で3千文字も書いてしまった。次に行こう。

次はハンドリング。ハンドリングはちょっとクイックすぎると感じた。同じような感想をスバル レヴォーグに乗ったときも感じた。レヴォーグに乗ったときはクイックさと同時にぐいぐいハンドルを切った方向に力強く曲がっていく感があり、最初に乗ったときは鳥肌が立つほどの楽しさで、「スポーティ」という言葉がマッチするのはまさにこんな感じだろうと思った。レヴォーグはアクティブ・トルク・ベクタリングという、旋回時に内輪にすこしブレーキをかけるような制御をしているとのことなので、おそらくその効果だと思われるが、あんなにしなやかにカーブを曲がっていく車に乗ったのは始めてだった。

ヴェゼルのハンドリングはレヴォーグのようなしなやかさは感じなかったが、それでもクイックでよく曲がり、足回りも踏ん張る感があるのでスポーティだなとは感じた。良く言えば、スポーティだ。

好みの問題かも知れないが、私が思うにヴェゼルもレヴォーグもあまりにもスポーティすぎると感じる。あんなにハンドリングが鋭敏では街乗りで疲れる。あんなにクイックじゃなくて良いと思う。

ちなみにCX-5のハンドリングはクイックとは程遠いようなフィーリングだと個人的には思う。プリウスからの乗り換えであったが、プリウスの方がよっぽどスポーティなハンドリングだったと最初は感じた。ただ、これも「微調整が可能」という特性の裏返しだと私は感じている。

これを上手く文章で表現するのは難しいので、曖昧な感想で記そうと思う。丸投げで恐縮だが、頑張って感じ取ってほしい。

CX-5はコーナーを気持ちよく走らせるのが比較的難しい車だと思う。アウト-イン-アウトで狙ったラインを描き、運転する楽しさと興奮を湧き上がらせるようなGの変化をさせるような挙動をするのには絶妙なハンドルさばきが必要だ。一方で、それを意図しないような、単に高速でカーブを曲がるといった無茶な走らせ方も可能と言えば可能だ。よく足回りは踏ん張ってくれる。でも上手く走らせるのは難しい。市街地は走りやすい。そして、おそらく「スポーティだ」と感じさせる要素は、少なくともハンドルのクイックさには無い。

レヴォーグは多少雑にハンドルを切っても滑らかにカーブを曲がってくれる。運転しているとカーブを曲がる度に興奮を覚えるようなスポーティさを持っているが、隣に乗っているとやや不快だし、運転していても「車を思いのままに操る楽しさ」というよりは「凄い良い車に乗せられている」という感覚を少し持つ。

ヴェゼルはスポーティだ。普通の車よりも明らかにスポーティで、おそらく「SUVなんて重心も高いし走っても楽しく無さそう」と思っていた人に違った印象を与えることが可能な気がする。そして、CX-5と同じく狙ったラインを描いて走らせるのは難しいが、上手くカーブを抜けたときは心地よい。市街地走行はやや億劫さというか、「スポーティなんだぞ」という押し付けがましさを感じさせる。

i-DCDが時々おかしくなる

評判があまりよくないi-DCDであるが、当ブログでは(乗ったこともないのに)その設計に感動してべた褒めを続けてきた。

実際今回乗った感想は、システムの凄さというのを抜きにすれば、正直あまり良くない仕組みでトヨタのTHSの方がずっと優れていると感じた。

今回乗っていた中でヒヤッとした事がひとつあり、それが高速での合流。合流時に速度を得ようと加速路でアクセルを踏み込むのだが、一向に加速が始まらないのだ。アクセルはほぼべた踏みの状態であったが、エンジンはまるで巡航状態であるかのように全く吹け上がらない。このままでは衝突の危険があるのでブレーキを踏むか、いやしかし後ろから車も来ている、無理やり合流して後続の車にブレーキを踏んでもらうしか無いか…ということを1〜2秒くらいの時にとっさに考え(このときアクセルは踏んだまま)ていると、突然車が加速していき結果的にスムーズ?な合流が出来た。

安全運転というと何かとゆっくり走る事が安全運転だと勘違いしているドライバーが多いが、車の流れを邪魔しないことが安全である(車同士の相対速度が小さくするために加速が必要になる)場面は多いことは当ブログの読者の方ならば同意して頂けると思う。典型的なのがこの合流であるが、こういった時に1〜2秒も加速ラグがあるのはとても危険だと思う。ブレーキを踏んでからブレーキがかかるまでにラグが生じたら大変だが、時にアクセルもそういった危険性はありうる。

恐らくは加速が必要になった時にシフトダウン出来ないようなエンジン回転数・モーター回転数・シフト位置の組み合わせだったのでシステムが応答しなかったのではないか…という気がする。後述するように、とにかくi-DCDはシフトを切り替える制御が弱いような印象を受ける。

と、そういう事があったので、以降ヴェゼルでは常にフル加速することが出来ない前提で車を運転していた。具体的には巡航速度からちょっと踏み込んだ程度の加速量でも安全に走行できることを想定し、加速が必要な場合は距離を計算して早めにアクセルを踏み込んでいくようにした。ただ、空いていればこういう走り方は可能なものの、混んでいて周囲の車の走行速度も早いような道路(例えば首都高など)は絶対この車では走りたくないと思った。

あんまり使いたくならないパドルシフト

前項に関連する。ヴェゼルにはパドルシフトが付いている。i-DCD搭載車の中でも後発のJADEはパドルシフトが装備できない。せっかくの平行軸歯車方式のステップATなのだからつければ良いのに、と個人的に思っていたのだが、まぁ予想していたとおり、パドルシフトはあんまり使い物にならなかった。

パドルシフトを操作してもギアが全然変わらないのである。シフトチェンジできる条件がおそらくシビアすぎるのが原因だと思う。たとえば、ヒール&トウ的な減速をしたくてポチポチとシフトダウン側のパドルを押しても何も反応しない。しつこく何度も押していると急に低いギアに切り替わってギクシャクした減速になる。こんな感じではとても使いたくはならない。一方で、加速が必要な時にシフトを下げてみようと操作するも、これも案の定切り替わらない。デュアルクラッチという響きからすると、VWのDCTのようにまるでマニュアル車のようなダイレクト感で自在にシフトを切り替えられるという印象を持ってしまうが、全然そんなことはない。

まぁ、シフトをポチポチ弄って車を走らせるというのは、ポチポチいじることそれ自体が楽しいのであって実用上のメリットは殆ど無いので、使えなければそれで良いとも言えるが…。でも個人的には欲しいな。峠道を走っていて、前後に車が居なかったらいじりたくならない?なるでしょ。

エンジンブレーキがほとんど効かない

びっくりするくらい効かない。緩やかな下り坂だと逆に加速していく。こんなにエンジンブレーキが効かない車は初めて乗ったような気がする。

エンジンブレーキが効かないので、速度調整もかなりフットブレーキで行っていた。私は速度調整をフットブレーキで行うのが嫌いだ。フットブレーキを踏むとブレーキランプが点くので、後続車に「もしかしたら停車したり急激に速度を落とすかもしれない」という誤解を与えてしまう。ブレーキランプは意思表示だから、しっかりと減速する、停車するというとき以外は点いてほしくない。だから、速度調整のためにちょいちょいブレーキを踏む運転の仕方は多くのドライバーから嫌がられる。

ヴェゼルはフルハイブリッド車でせっかく回生ブレーキがあるのだから、もうちょっと積極的に充電負荷を与えても良いと思う。いや、その充電負荷を与えるという意思表示をフットブレーキを踏むことによってドライバーが明確に指示すべき、という設計しそうなのかもしれないが、前述のようにちょいちょいフットブレーキを踏む運転は嫌がられる。

この点に関しては、例えばBMW i3や日産ノートe-Powerなどはアクセルを緩めることで積極的に回生ブレーキを働かせるようにしているし、三菱アウトランダーPHEVなどは回生ブレーキの効き具合をパドルシフト的な位置にあるスイッチで3段階に切り替えられるような装備を備えている。私はこういう戦略のほうがより良いと思う。1

ちなみにヴェゼルのシフトには「L」があるが、試しにこれに切り替えたところ突然ギアがロー側に2〜3段くらい?シフトすると同時に急激にエンジン回転数が上がり、かつその制御がとてもぎこちなくかなり車のメカに無理をさせているような印象があってちょっとうざったかったので、その一度きりしか使わなかった。

足回りのセッティングが好みじゃない

固い。路面の凹凸がダイレクトに頭を揺さぶる。自分で高速を運転していて少し酔った。

ナビの位置、角度、操作性

ナビはおそらくディーラーオプションで設定されていると思われる、Carrozzeriaの楽ナビ?か何かだった。これがちょっと見にくいと感じた。

位置はドライバーから見てかなり左側に位置し、やや首を回さないと視認するのが厳しい。視線移動が大きいので見るのがしんどい。

最近はマツダコネクト、BMWのiDrive(最近のもの)など「ダッシュボードにタブレット端末を置いた」みたいな大きさのディスプレイが設置されているようなものが多い気がするが、これは一応人間工学的には視線移動が少なくて理にかなっているのだな、と思う。マツダコネクトは当ブログでも散々バカにしたが、やはりダッシュボード上など高い位置にディスプレイがあるのは見やすいと感じる。

ヴェゼルに搭載されていたナビで一番気に入らなかったのが角度。なぜか取り付け角が若干上向きのため、ディスプレイが光を反射してすごく見にくい。ナビのディスプレイのタッチセンサは、最近では急速に静電容量式が普及しているが、数年前の車種はほぼ確実に抵抗膜式タッチセンサが搭載されている。抵抗膜式は間に中空層があるので光をよく反射して見にくい。その見にくいディスプレイが光をよく反射するやや上向きに設置しているから、日中はあまりディスプレイが見えなかった。

また操作性においても、普段マツコネに慣れていて手元にあるダイヤルで殆どの操作ができるという状態に慣れているので普通のナビはやはりちょっと使いにくいと思う。手をディスプレイ付近まで伸ばすのが面倒。

ナビに関してはその殆どが2DIN規格というところに起因する不満なので、特にヴェゼルに限った話で言えば、その角度のみとなる。

ちなみにナビによってはディスプレイ角度を多少変更できるような機種もあるが、今回搭載されていたナビにはそのような機能は無かった。

燃費

すっかり燃費を確認するのを忘れていたのだが、給油量から逆算すると、おそらく12〜3km/L程度だと思われる。ちなみに走行速度は場面によって差が激しく、60km/h前後の巡航と渋滞のどちらかしか無かった。7割くらいはスイスイ走行していたはずだ。乗っていたのはは大人2人、子供2人。長時間のアイドリング等はさせていない。運転は燃費には気を使わずに積極的に踏んでいったのでおそらく丁寧に運転すればもう3km/Lくらいは伸びるんじゃないかと思う。

i-DCDは構造的には巡航時にほぼガソリン車と同等の燃費になるはずで、動力分割機構でいくらかの動力が常に発電機を経由するTHSに比べれば、今回のようなシーンでは燃費がTHSよりも優れると思う。しかし、私はプリウスを運転していてどんなに荒い運転をしても17km/L以下には燃費は下がらなかったと記憶している。一度だけ、16km/Lくらいまで落ちたことがあったが…。

個人的には燃費はあんまり重視するポイントではないのだが、一定速度巡航時の燃費が向上しやすいと思われるi-DCDで2011年に買ったプリウスよりも燃費が伸びないのはちょっと残念だった。まぁ、丁寧に運転すれば少なくとも15km/L以上は出そうな気がするし、そのくらい燃費が良ければインパクトのある燃料費の差は出てこないだろうし、一部の燃費マニアが騒ぐくらいじゃないかという気はする。

ただ、燃費を考えなかったとしても、運転した感覚はまだTHSの方がマシだと思うので、残念ながら(?)ハイブリッドシステムの完成度としてはTHSのほうがずっと上だろう。まぁ、THSは90年台初頭からの歴史があるこなれたシステムなので、比較するのもアレだと思うのだが。

内装がちょっとしょぼい

これもマツダとの比較で申し訳ないのだけど、内装がいずれもしょぼい。というか最近のマツダがやっぱり頑張ってるのだと思う。国産車の200万円台の車種ではマツダは異様に内装に気合が入っていると個人的には思う。たとえばこないだ、「高級感を売りにした」と言われるエスクァイアに乗ったのだが、内装がしょぼくてびっくりした。あの合皮のステッチ。まるで900円の安物のベルトのよう。日に焼けて表面のフィルムが剥がれてくるかのような…。そんな感じだった。あらゆる部品の手触りが悪く、これで高級感を打ち出したとか言って、乗り出し300万を大きく超えるクルマにしてんのか…と衝撃を受けた。

ヴェゼルもこのクラスのクルマであればまあまあ普通であるとは思う。最初乗ったときは、あのドライバーを包み込むようなセンターコンソール、そしてシフトノブ周りから受ける印象はいかにもコックピットだという感じで私は好きだった。少なくとも最初の印象は良かった。でも走り出したらもう無理だった。

まずはハンドル。ステッチがあるし、一応ヴェゼルは本革巻きのステアリングだと書いてあったので、試乗車も本皮巻きだと思うのだが、嘘だろこれ?樹脂だろ?と思うほどのつるつるの手触り。触感が良くないだけでなく、滑りやすいので実用的な問題もある。いや、もしかしたら合皮?なのかもしれないが、ネットで検索するとヴェゼルの革ハンドルは評判が悪いので多分そういうことなんだろう。

そしてウィンカーノブ。操作した瞬間、おもちゃのようなガチャガチャ感が手に伝わる。硬い。本当に単なるスイッチといった感じの感触だ。しっとり感が皆無。その後も、各種スイッチに触るたび安っぽさを感じてしまった。

エアコンはタッチパネル。何度かこのブログでも説明しているが、エアコンをタッチパネルにするのは、カタログ写真の見栄えを良くするくらいしかメリットがない。何も凹凸がないフラットなパネルを運転しながら操作するのは至難の業だし、すぐに手垢がついて汚れる。設定温度を大きく買えるときは何度もタップしたり、長押ししたりしなければならず操作がとても億劫だ。昔ながらのノブ式、ダイヤル式は見栄えは悪いが、操作感はとても優れている。とてもドライバーのことを考えてるとは思えなかった。

良かったところ

パワー

思った以上にヴェゼルはパワフルだった。大人2人、子供2人に加えて30kgくらいの荷物を搭載しても力強く加速していった。サイズ的にヴェゼルは日常的に1〜2人しか乗らないようなユーザーが主だと思うので、そのくらいの積載重量であれば全く加速性能には問題が無いだろう。

ただ、繰り返しになるがだからこそアクセルを踏み込んでから加速するまでにラグがしょっちゅう発生するのは残念なところだ。パワーがあってもシステムの応答遅れが顕著だとドライバーは鈍重な車であるような印象を持つ。

荷室、車内の広さ、車体の大きさ

車内は荷室含めかなり広かった。CX-5に乗っている身からすると、初見のヴェゼルの印象は想像以上に小さい、という感じ。乗り込んだらかなり狭いだろうと思ったのだが、まず運転席に座って驚いた。普段乗り慣れたCX-5と比べても別段狭さを感じない。助手席に座る人との距離も印象としてはCX-5と大差ない感じだ。

後席も、そのドアの小ささから狭そうな印象を持っていたが、乗り込んでみるとなかなか快適なサイズだ。このくらいのスペースがあれば、4人家族でも十分問題ないサイズ感ではないかと感じた。

荷室は快適な車内スペースを実現するために大きさが犠牲になっているのかと思っていたが、しかし荷室も広い。大きめのキャリーバッグ1つと、中くらいのサイズのキャリーバッグ2つ、その上バッグなどの雑多な荷物を入れてもまだ余裕があった。実用上、これで荷室が足りないと思うことは殆ど無いだろうし、キャンプも大きなクーラーボックスやテントを積まないのであれば多分余裕だと思われる。

  • 速度制限表示の読み取り機能

ADAS機能の中で印象に残ったのは、速度制限表示の認識。認識率はかなり高かった。便利。

まとめ

感想を完結にまとめると、「小さい割によく走るし、車内も広い。運転の楽しさは感じるものの癖が大きすぎる」という感じの車だった。その「癖」は多くはi-DCDに起因するものであり、おそらくガソリン車の方はもっと素直な特性を持っていると思われる。

ヴェゼルハイブリッドは246万円から、ガソリン車は207万円からという価格設定だ。40万円という価格差を考えると、やはりこれを燃料費でペイするのはほとんど不可能なので、ハイブリッドへのこだわりがなければ積極的にガソリン車を選んだほうが幸せだと思われる。ガソリン車もハイブリッドもシステム出力はほぼ同一であるが、重量はガソリン車のほうが100kg前後軽くなっているので、運動性能の向上も期待できるだろう。1200kgを切る車体に131psのエンジンだから、なかなか良いバランス感であると思う。もし機会があれば今度はガソリン車の方にも乗ってみたい。

ハイブリッド車は246万円もかけるのであれば、大きさが許容できるならばCX-5 20S(249万円〜)を買ったほうが良いのでは…と思った。正直、ヴェゼル ハイブリッドとCX-5を比較した際に、車を運転する楽しさという観点ではCX-5のほうが圧倒的に上だった。最も、ヴェゼルハイブリッドがハイブリッドに走る楽しさを追加したi-DCDという新しい試み(たぶん)を行っているのに対して、CX-5はそのような足かせはないので、走る楽しさで勝っているのは当然であるが…。

もし走る楽しさで比べるのならば、CX-5とガソリン車のヴェゼルを比べるべきなんだろうとは思う。が、いずれにせよ両者は重量も車格も大きく異なるので同じ土俵で比べるのはちょっと変な気もする。

CX-5という比較対象を抜きにして考えても、ハイブリッドモデルの246万円という価格でこの商品というとちょっと正直私は買いたくない。

ただ、ヴェゼルは「コンパクトSUV」という比較的新しいカテゴリに属する車なので、注目すべきはその大きさであって、ヴェゼルの売りはまず空間効率の良さ、そして走ってて楽しいと思える(多分)走行性能だと考えれば、十分にいい車だ。

コンパクトでグイグイ走る、手頃で実用性のある車がほしければ、ヴェゼルのガソリン車はとても良い選択肢だと思う。

ハイブリッドモデルは個人的には好きだが、一般的なメリットは正直見出し難いと改めて思った。

i-DCDに限らず、ハイブリッド車の購入を検討している人は「本当にハイブリッドが必要か?」を一度よく考えたほうが良いだろう。殆どのケースで価格的なメリットはないし、走る楽しさという観点でもハイブリッドはガソリン車に負けている車種がまだ多いと私は感じる。

余談だが、個人的に走っていて楽しいと感じるハイブリッドはシリーズハイブリッドしか無いのではないかと思っている。まぁシリーズハイブリッド車も乗ったことは無いんだけど…。ステップワゴンハイブリッドでも試乗してみようかな。


  1. ちなみに、あまりにも減速度が大きい場合は安全のためにブレーキランプを点灯させるべきだと思うが、このあたりは何か基準ってあるのだろうか…。