CX-8に1時間以上試乗してきたのでレビュー(CX-5との比較)

CX-8に1時間以上試乗してきたのでレビュー(写真)
CX-8に1時間以上試乗してきたのでレビュー(動画と見積)

レビューしますよ。

きっかけ

とあるつてで、CX-8に長時間試乗する機会がありました。四総研の副部長さんのつてで、試乗の機会を用意していただきました。試乗の段取りを全部やってもらった上に六本木から都内某所まで車(CX-5 XD L Package)を出してくれました(さらに運転させてもらいました)。いつもお世話になってばかりで、この場を借りてお礼申し上げます。また、長時間の試乗にもかかわらず、営業さん抜きで我々二人に快くCX-8を市場させてくれた関東マツダ某店のFさん、Mさんに心から感謝申し上げます。お二人はおそらくこのブログを見ていないと思いますが…。

簡単なインプレ

最高です。終わり。

もうちょっと詳しく

CX-8のスペックを見たときあなた方どう思いました?へぇー、長くなったCX-5なんだな。横幅もCX-5と一緒だし。パワートレインも(エンジンが多少変わって馬力アップしたものの)基本同じ2.2Lディーゼルだし。長くなったCX-5で数が出そうなグレードは350万くらいから?へぇー、マツダも偉くなったな。これ売れんの?誰か買うの?って思いませんでした?私は正直思いました。スペック表見る限りはね。

でもね、CX-8は乗ってみないとわからないですね。スペック表をこねくり回して見ても絶対に全体像は理解できないと思う。そんな車でした。乗ったらきっと欲しくなる。素晴らしい。

ちなみに今回のCX-8の試乗では写真も動画もたんまりと撮ってきたので、全3~4回の構成とします。今回は1回目です。

展示を見たとき

私がCX-8の実車を見るのは二度目でした。一回目は東京ミッドタウンに展示されていたときですね。そのときは屋内展示だったのでエンジンをかけることもできず、人もそれなりにいたのでじっくりとは見れませんでした。その時の記事が以下。

CX-8の先行展示を見てきた

まぁ思っていたよりも内装は良くなっている感じがして、とくにCX-5は後席の乗り心地があんまりよくないと思っており、それが3列になったと同時にリクライニングすることになったので圧倒的に乗り心地が良くなった。その点で、大きい&高いということを許容して2列目をゆったり使うという選択肢はまぁアリかな?という印象でした。

その後

しかし、その後私の周りでもCX-8乗ったら良かったで…という声が聞こえてきて、これ乗ってもいい車なのかも知れんぞ、と思ったのがここ1ヶ月くらいでした。サンプル数=2ですが…。

一人はその副部長氏で、この人は外車たくさん乗ってる人なので「ベンツと比べても遜色ない」というので、ははぁ、これはすごいのだなと思い、(←権力に弱いタイプ)それでもう一人の人は前職で直属の上司だった方で、現在はスバルアウトバックに乗っており、アウトバックもまた外車に引けをとらない乗り心地、2.5L NAエンジンも2.5L NAという響きからは考えられないほど太いトルクであり、またスバルだけあって足回りをしっかりと作っているためかこれもまた乗り心地がよく、高級車に近い信頼感だと聞いていました。それから乗り換えるということは、やっぱCX-8っていい車なんだろうなと。

個人的にも、スペック表の中で+200kgくらいの車重の増分というのは多少は何かしら意味があるのかもしれないという気分ではありました。このブログでは再三再四、車重が重いことでメリットは殆ど無い、しかし軽いと燃費も加速も減速もコーナリングもすべて良くなると常々主張してきましたが、しかし車重が重いことによるメリットが一つだけあります。それは高級感。

地面の凹凸、横風の煽り、加減速時の加加速度、車外から車内に伝わる騒音の大きさ。重量が重くなることで原理上はこれらすべてが改善します。つまり外乱に強くなるのが重さです。同じ力Fを質量Mの剛体に与えたときに発生する加速度aはF=maなので、mがでかいほど力は小さくなる。ということは外乱に強くなる、ということですね。外乱に強いと人は高級感を感じます。

しかし単に車重が重ければそれで良いというわけでもありません。それに見合ったボディ剛性、足回りの作り込み、適切なパワー、トルクのあるパワートレイン、リニアな応答をする制御系…などなどが相まって初めて人は高級感を感じます。アクセルを踏み込んでも鈍い加速しか得られない、ブレーキを踏んでもだらだらと車が進んでしまう、ハンドルを切ってから車が回答していくまでの応答に遅れがある、という状況だとこれは単に「鈍重な車」という評価になります。

たとえば5人乗りの車に大人5人が乗って一人乗車時よりも+200kgになったとして高級感を感じるかというと、そんなことはないでしょう。ただ鈍重で思いだけです。

じゃあなぜ高級車に乗ると高級感を感じるのかといえば、この重さに見合った設計になっているからですね。わざわざ車体を重くして1なお高級感を感じさせるだけの工夫と装備を詰め込む。だから高級車は高級なのであり、贅沢品たりえるのだと思います。

そしてCX-8は手頃な値段で買える贅沢品、これが私が1.5時間くらいCX-8を乗った感想です。

CX-8は高級車

誤解を恐れずに言えば、CX-8は高級車と言っていいと思います。

あー、はいはい、聞こえてきますよ。あなた達の声が。「300万円台からの車で高級車wwwwwこれだからマツダユーザーはwwwww」みたいな。よろしい。ベンツBMWを所有し続けた上にCX-8にしっかり試乗したもののみが石を投げなさい(ヨハネによる福音書第8章3節-11節)。

客観的な事実として、またその副部長氏の御威光を借りるわけですが、高級外車を乗り続けた人が「こいつは乗り心地がよい。素晴らしい」とべた褒めしているのがCX-8です。また、その御威光によって私も何度かはベンツCL/SL、センチュリー等に乗せてもらうことが何度かあったわけですが、その時の感覚と比べても私はCX-8の乗り心地って負けてないと思いますね。

んじゃあ具体的に乗り心地って何よ?と言われれば、私は下記のような特性を備えた車が乗り心地が良い、と感じます。

  • 適度な一瞬の応答遅れ。ハンドルを切ってから回頭し始めるまでの一瞬のラグ。アクセルやブレーキを踏んでからの応答のラグ。「ラグ」というには小さすぎるが、しかし知覚することはできる適度で心地よい遅れ。車体の重量感と安定感が車の動きとGの変化から感じ取れる絶妙な動作の流れ。

  • コーナリング時の加速度の変化。横Gの小ささと、体が傾いていく感覚の小ささ。物理的に回頭しているときの角速度(車体の前後中心を通るラインが基準軸に対して変化していくレート)が同じならば横Gもほぼ同じになるはずだが、その加速度の変化が感じにくい。

  • 適度な振動。単に路面の凹凸を低周波振動に落とし込んで体に与える加加速度を小さくするのではなくて、凹凸を乗り越えたときの振動はそれとして正しくドライバーや同乗者に伝える。しかし、振動をすぐに減衰させていつまでも振動させたままにしない

  • 車内の静かさ。しかし単に車外の音を遮断するのではなくて、適度に減衰させる。車外から侵入する騒音によって同乗者の会話は妨げないが、しかし緊急車両の音などは聞こえる。風切り音などは聞こえない。(単に音が伝わらない・反響しない空間は閉塞感を感じさせる)

  • シートの質感。適度なグリップ力、柔らかすぎない素材。手触りの良さ。

これらすべてが、CX-8は満足行くレベルでまとめ上げられています。

一方で、私自身はドイツ車だから、ブランドがプレミアムだからそれが高級車だというのは違うと思います。確かにベンツのマークが与える印象によって道をゆずる車が多いとかいう話は聞きますが、それは車本来の性能、機能の話ではなくて人のイメージの話だと思うので、ここではブランド価値を話題にはしません(しても面白くないので)。

CX-5 vs CX-8

CX-5とCX-8はもはや別の車と言っていいと思います。しかしそれはCX-8がCX-5のすべての面で凌駕しているというわけではありません。

私はCX-8を試乗して家に帰ってきたとき、いやーいい車だったな…と思っていたのですが、そのあとで子どもたちを幼稚園・保育園に迎えに行くために自分が所有するCX-5 20Sに乗ったとき、これもまたいい車だな…と再認識しました。

CX-5とCX-8はそれぞれ良い車です。しかしその方向性は大きく違っています。CX-5は走っていて楽しいという楽しさを追求しているのに対して(SUVなのに?と思います?そうです、SUVなのにCX-5は走っていて楽しい車なのです)、CX-8は高級感を中心に追求している印象を受けます。それぞれ重なる部分は大きいですが、しかし目指している方向性は違っています。

国内市場において自動車の販売台数は鈍っており、そのかわりグローバルでは新興市場を中心として伸びていているわけですが、販売数の絶対ボリュームが小さく、かつ顧客の経済力がそれなりにある国(つまり日本)ではプレミアム方向に振って単価を上げるという戦略になるのはまぁ仕方の無いことでしょう。

CX-8はCX-9をベースに作ったらしいです。私もこれは勘違いしていたのですが、車幅は同じであってもあれはCX-5を前後に伸ばしたのではなく、CX-9をあのサイズに小さくした…ということらしいです。まぁ私もよくわかってないですが、最近のSKYACTIV、トヨタTNGA、スバル グローバルプラットフォームあたりは共通の一つのベース設計をもとに派生車種を作るという設計思想っぽいので、単にサイズ感が似てるから流用でいけるぜーみたいな設計フローになってないんでしょう。

何が言いたいのかというと、CX-5を単に伸ばしたという設計方法をとらずにCX-9をシュリンクさせたというのはつまり、マツダが「走ってて楽しいSUV」の延長ではなくてマツダのプレミアムモデルの延長としたという意志だと解釈するのが自然だと思います。

なぜそうしたのか?というのはまぁ先に述べたように単価を伸ばすための経営判断だと思います。プレマシー、MPV、ビアンテからの買い替え需要は喚起できない(価格帯的に)、とか、それらのユーザーが他社に流出してしまうという反論はもちろん社内でもあったと思いますが、結論としてマツダは3列モデルを高級価格帯にシフトさせたというのが事実であって、そしてCX-8はただ高くなったのではなくて価格に見合った良さ、商品価値は身につけているので決してボッタクリではないよ、ということだけは言えるかなと。

という感じで、第一回は「良いよ、高級だったよ」しか実質言ってないような感じになってしまいましたが、とりあえずこの辺で。次回以降、は撮った写真を載せて細かいレビューをしたり、Twitterで貰った質問などに対して答えていきたいと思います。


  1. もちろん、単に重量をかさ増ししたのではなく剛性や遮音性を追求した結果重くなるという側面も大きいですが