【質問#110】転職者最終奥義「有給全消化即日強硬退職」を発動すべきかいなか

質問・悩み相談の回答です。

質問

初めまして。いつも楽しく記事を拝見させていただいております。
今回ご相談申し上げたいのは、新卒一年目にして転職先確保からの退職をキメようと思っている私が、如何にして退職すべきかと問題です。

現在私は本年度4月より新卒一年目で入社した企業で研修後即プロジェクトメンバにアサインされ、エンジニア(もどき)をやっていますが、

 1.技術力皆無(画面を簡単に作れるという理由だけで75人月のシステム(直近見積)にMS Accessを採用するレベル。もちろんオブジェクト指向は犬の餌)
 2.そもそも当初の作業見積もりは25人月。純粋なエンジニアリング以外の部分についても残念な能力である
 3.残業代は一部しか支給されない。もちろん残業が短いわけでもない
 4.休日に無賃の勉強会がある(これへの出席率はボーナス査定に影響するため、労働法上アウト。内容も残念)
 5.そのくせ「技術は一流」だの「働きやすい環境」だのという真っ赤なウソを振りまいて採用活動を行っている。

などなど、人と技術と法律をナメ腐った部分がボロボロ現れてまいりまして、甚く幻滅したために現在まともな企業を求めて転職活動中でございます。
めでたく転職先が決まった暁には
「内容証明で退職届を出し、それとともに有給を全消化する意思を示し、退職日を有給を消化する日に設定することで、忽然と姿を消す」
という労働者最終奥義をかまそうかと思うほど私の反骨精神は燃え盛っています。

一方で軽々にそれを実行していいものかと悩んでいる部分もあります。以下がその理由です。
 1.(人の良さだけは尊敬している)直属の上司の死が約束される
 (これについてはどっちにしろ現在のプロジェクトで死ぬのは目に見えているので、大差ないといえば大差ないかもしれません)
 2.良心の呵責
 3.万一転職先に辞め方を調査された場合に、今回のような辞め方をしていると、最悪内定取り消しの憂き目を見るのでは、という不安
 4.有給消化中に給料日を迎えるが、その際に給料を支払われないのではという不安
 5.そもそもこのクソ企業を見抜けなかった自分にも非がある

ということなので、退職する際には、グッとこらえて有給消化含めて一か月半後ぐらいに退職日を設定するのが安定だとは思っています。
一方で、以下のような気持ちもあり、穏やかでない退職を行うという選択肢も捨てがたく感じています。
 1.ナメた企業に対して筋を通した退職をするのが気に入らない。少しは痛い目見ろ
 2.一年目で転職をするわけで、退職日まで針の筵になるのは火を見るよりも明らか
 3.休みたい

つまるところ、どう行動すべきか決めかねているという状態なのです。(転職先が決まらなければ杞憂に終わるわけですが)
以上を受けまして、withpopさんにお伺いしたいことがあります。
1.最終奥義をかますべき/べきでない論について、何かほかに考慮すべきだと思われるポイントに心当たりはないか
2.以上の情報を与えられたうえで、withpopさんが私の立場なら最終奥義をかますか
3.外部の人間として、私が最終奥義をかますべきか否か、判断してほしい

以上です。お手隙の時にでもご回答いただければと思います。

回答

心中お察しします。そのお怒りはよく分かります。

ご質問の内容を端的に言えば、労基法で認められた権利の行使と円満退職が両立せず、どちらを重視すべきかで悩んでいらっしゃるということになるかと思います。この二つはトレードオフだとは私は決して思いませんが、両立することが難しいという場面は現実的にはよくあることです。そのとき、どちらを重視すべきかは完全に個人の価値観の問題であり、正解はありません。ですから、

3.外部の人間として、私が最終奥義をかますべきか否か、判断してほしい

は不可能です。難しい判断ですが、それはご自身でお決め下さい。正解の無い難しい判断を行うという経験そのものが、人生経験となり人間を成長させるのだと思います。

以降ではそれぞれ私の考えを書いてみますので、よろしければ参考にしてください。

 1.技術力皆無(画面を簡単に作れるという理由だけで75人月のシステム(直近見積)にMS Accessを採用するレベル。もちろんオブジェクト指向は犬の餌)
 2.そもそも当初の作業見積もりは25人月。純粋なエンジニアリング以外の部分についても残念な能力である

よくあります。この業界では残念ながらよく見られます。

ただ、

75人月のシステム(直近見積)にMS Accessを採用するレベル。もちろんオブジェクト指向は犬の餌

というところがちょっと気になりました。今回の質問とは少し論点が違うかもしれませんが、結局Accessもオブジェクト指向もシステムを構築するための数多あるうちの道具の一つであるので、何某の技術を採用しているから良い(悪い)というわけでは無いと思います。私もそうでしたが、ビジネスには高度な技術が必要だとか、高度な技術を保有している会社は競合他社よりも有意に立てるとかいう発想に若い時は陥りがちです。

もっとも、COBOLとかVB6くらいになるといい加減にしろよって感じですけど。

 3.残業代は一部しか支給されない。もちろん残業が短いわけでもない
 4.休日に無賃の勉強会がある(これへの出席率はボーナス査定に影響するため、労働法上アウト。内容も残念)
 5.そのくせ「技術は一流」だの「働きやすい環境」だのという真っ赤なウソを振りまいて採用活動を行っている。

これも良くあります。なので、

人と技術と法律をナメ腐った部分がボロボロ現れてまいりまして、甚く幻滅したために現在まともな企業を求めて転職活動中でございます。

これは正しい行動と私は思います。普通の労働者が労働環境を変えたかったら所属組織を変えるのが最も早いです。ただ、頭ではわかっていてもそれを実行できる人は少ないのですが。

「内容証明で退職届を出し、それとともに有給を全消化する意思を示し、退職日を有給を消化する日に設定することで、忽然と姿を消す」
という労働者最終奥義をかまそうかと思うほど私の反骨精神は燃え盛っています。

これは個人的には止めたほうが良いと思います。有給休暇は労働者がいつでも任意の時期に取得でき、雇用主はそれを拒否することが出来ないと思っている人が多いようですが、労働基準法39条には

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

労働基準法

と書かれています。今回は忽然と姿を消すと書いているので引き継ぎなども無しで辞めたいということだと思いますが、雇用主としてはそれは「事業の正常な運営を妨げる」に該当するので有給を認めないという権利もあります。私はそこまで労基法に詳しくないので過去このあたりでどのような判例があったかもよく知らないのですが、もしやるのであれば一応このあたりも考慮しておく必要があるでしょう。訴訟まで起こしてこないとは思いますけど…。

突然会社に行かないようにするというのは、そこで職場にかかる迷惑がつまり復讐ということなのだと思いますが、その迷惑がかかるのは現場社員が主です。現場の同僚が憎くてたまらないということであれば良いのですが、そうでない場合に会社という組織への憎さに対する復讐ということでこの方法を使ってしまうと、現場社員や下層管理職だけに迷惑がかかり、会社の上層部は痛くも痒くもないという結果になるのであまり良くないです。

そして、質問者の方個人の実利等々を考えてもお勧めできません。私の経験上でも突然退職届を持ってきて明日から有給消化で会社には来ません、みたいなことをする人は居ましたが、大体課長クラスの管理職やチームメンバーと揉めに揉めてグダグダになって退職するという結果になり、双方遺恨が残って誰も幸せにならないというパターンしか無かったように思います。

仮に有給消化が通って実務から切り離されたとしても、退職に関する事務手続き(年金・健保関連の手続き、社内の事務手続き、貸与品の返却などなど)は結構煩雑なものがあり、それを滞り無く進めていかないと後々自分が苦労します。新卒を取るくらいの規模の大きな会社であれば、この当たりの手続きが1日2日で終わるなんてスケジュール感で進むとも思えず、そういうことを考えても辞表出してそれきり会社に行かないというのはちょっと難しいのではという気がします。

もし組織に対してダメージを与えたいというのであれば、サービス残業・労働した分をしっかりと記録しておき労基署に持っていくことだと思います。精神的なエネルギーはかなり消耗すると思いますが、訴訟して無賃労働分を支払ってもらうということも可能かもしれません。

一方で軽々にそれを実行していいものかと悩んでいる部分もあります。以下がその理由です。
 1.(人の良さだけは尊敬している)直属の上司の死が約束される
 (これについてはどっちにしろ現在のプロジェクトで死ぬのは目に見えているので、大差ないといえば大差ないかもしれません)

ということは、やはり現場社員が憎いということでは無いということなので、前述の通り突然辞表を出して有給消化したところで困るのはその現場に近い方々だけになってしまうと思われます。

 3.万一転職先に辞め方を調査された場合に、今回のような辞め方をしていると、最悪内定取り消しの憂き目を見るのでは、という不安

いちいち辞めた理由を詮索するような会社はあまりないと思いますが、特に同業種への転職であればどこにどういうつながりがあるか分からないので気をつけたほうが良いでしょう。残された人たちから見れば「突然バックレた無責任な奴」以上の評価にはなりません。したがって、何らかの横のつながりがあり、質問者の方の評判が広まることがあるとすれば、それは良くないものになります。

 4.有給消化中に給料日を迎えるが、その際に給料を支払われないのではという不安

これは会社規則等々によるのでなんとも言えませんが、もし支払われず、それが雇用時に交わした契約から見て明らかに間違っている場合は訴訟を起こして回収するしかありません。が、1ヶ月の給与程度でペイできるとも思えないので、実質的には払われなかったら諦めるということしか出来ないような気がします。先に述べたように無賃労働分の記録をしっかりととっており、それらの請求と一緒に訴訟で回収するとかいうことであれば別だと思いますが、1年目であればまあ社会経験だと思って諦めたほうが何かと楽だとは思います。

 5.そもそもこのクソ企業を見抜けなかった自分にも非がある

これは仕方ないと思います。社会に出て1年ですべてが分かるわけではありませんし、ましてや学生時代に決めた会社であればなおのことです。

ということなので、退職する際には、グッとこらえて有給消化含めて一か月半後ぐらいに退職日を設定するのが安定だとは思っています。
一方で、以下のような気持ちもあり、穏やかでない退職を行うという選択肢も捨てがたく感じています。
 1.ナメた企業に対して筋を通した退職をするのが気に入らない。少しは痛い目見ろ
 2.一年目で転職をするわけで、退職日まで針の筵になるのは火を見るよりも明らか
 3.休みたい

1.に関しては何度か述べたとおり、この方法で痛い目を見るのは現場社員です。会社にダメージを与えたければ無賃労働が常態化しているというエビデンスを揃えて労基署に持って行った上で、訴訟を起こして無賃労働分を回収するということでしょう。

2.はどうなんでしょう?1年目で辞めたとしても少なくとも私は気にしませんけどね。感じ方は人それぞれなのではないでしょうか。ただ、一定数「1年目で早々に辞めやがって」みたいなことを言う人は居ると思いますが、それは人間の考えが十人十色であるというだけの話なので仕方ないことだとは思います。

つまるところ、どう行動すべきか決めかねているという状態なのです。(転職先が決まらなければ杞憂に終わるわけですが)

冒頭に書きましたとおり、ご自身で決めて頂くほか無いと思います。また、転職が決まらなければと書いていますが、1年目ですでにこのような不満が溜まっているのであれば早々に転職したほうが良いと思います。決まらなくても気長に転職活動は続けることをおすすめします。

1.最終奥義をかますべき/べきでない論について、何かほかに考慮すべきだと思われるポイントに心当たりはないか

上記に書いたとおりですが、もう一つ付け加えるとすれば、冒頭で書いた「労基法で認められた権利の行使と円満退職が両立せず、どちらを重視すべきかで悩んでいらっしゃるということになるかと思います。この二つはトレードオフだとは私は決して思いません」という部分についてです。

つまり、有給を消化して十分に休んだ上で円満に退職するという道筋を普通は立てられるものと私は思っています。辞める時期を相談して確定させた後、引き継ぎを済ませ、そこから有給消化するスケジュールを立てれば良いのですから。

今回の質問者様に限ったことではないですが、人間はなぜ「有給を消化してから退職すると迷惑がかかる」と思ってしまうかというと、その前提には「もう面倒くさいから今のプロジェクトが終わる前に、引き継ぎも無しでもう辞めちゃいたいな」という気持ちがあるからです。つまり、職場への迷惑が辞める人本人へのメリットになっている側面があるということですね。

これも、自分の利益を追求するのか、飛ぶ鳥後を濁さずとするのかは個人の価値観ですから、好きな方を選べば良いという結論なのですが。

あと、もう一つありました。それは辞める人本人の精神状態です。もし精神状態がヤバイ感じで、そのうちうつ病になるとか自殺してしまいそうなどという緊急性を要するようなときは、人に迷惑をかけてでもなりふり構わず辞めたほうが良いでしょう。

2.以上の情報を与えられたうえで、withpopさんが私の立場なら最終奥義をかますか

私が新卒一年目で辞めるという立場ならば、その時の気分と状況で下記に示す二つの選択肢のどちらかを選ぶと思います。

現場の同僚や上司が優しく、良い関係が保たれている場合

早々に辞めることを許して欲しいと下手に出て、上司やチームメンバーと最短で辞めれる時期を模索し、そこまでに引き継ぎと辞める手続きをしっかり進めておく。その後で有給を取る。有給消化したらダメ、と言われたら諦める。

現場の社員も上司もクソで、会社が従業員家族もろとも潰れても良いやくらいに憎んでいる場合

以下に示すのはモラル的には最悪なただの冗談です。真面目に受け取らないで下さい。

まず、日々の無賃労働記録を貯めます。無賃労働の賃金を合計して数百万くらいになるまで記録しときます。数年かかるかもしれませんが我慢します。

辞める月を決めたら、その月の3ヶ月前から45時間以上の残業を連続して3ヶ月続けます。こうすることで退職理由を会社都合にできます。最後の月は100時間を超えればなお良いでしょう。

続いて簡単にうつ病の診断書を出してくれる医者を探します。精神科医の中には「ブラック企業は許せない」などと職務を逸脱した謎の強すぎる正義感を有する医者がおり、ブラック企業で精神を害したんすよ〜、うつ病っぽいんすよ〜というとやる気満々で「患者のためなら何でもするよ!」と診断基準もそっちのけでうつ病の診断書を書いちゃうような医者がたまに居ます。そんな感じでうつ病の診断書をゲットします。

これで長時間労働によってうつ病を発症し、会社都合で退職したというエビデンスが揃います。うつ病の診断書を会社に持っていて医師の指示によりすぐに労働を休まなければならないことを伝え、療養期間には有給休暇や傷病休暇などを充当することとし、同時に会社都合の退職届を提出します。会社都合とすることにゴネられてどうしても自己都合になると言われた場合は一旦はそれを承服しておきます。

退職手続きが完了したら会社に対して無賃労働分の給与を請求します。まず却下されると思いますので、そしたら労基署にサビ残の記録を持ち込んで無賃労働が常態化していることを説明します。そうすることでよほどのミスが無ければ無賃労働分の給与はゲットできます。更に続けてうつ病の診断書を持って行き、発症前に長時間労働があったこととその他関係しそうなエビデンスをまとめて何とか労災認定してもらいます。

労災認定してもらったら今度は会社を相手に訴訟を起こして損害賠償請求します。長い時間とお金がかかりますが、気長に「新卒社員がブラック企業に損害賠償するブログ」みたいなのを立ち上げ、インフルエンサー等に小銭を払って拡散してもらえるような広告代理店にお金を払って宣伝してもらい、頑張ってバズらせます。そのブログで私は超可哀想な被害者でお金もないんだけど正義のためにこういうブラック企業をのさばらせておくのは我慢ならない、どうにか援助して下さい的なことを悲痛な文章で書き、得た広告収入やカンパなどを訴訟関連費用の足しにします。

最終的に裁判で決着が出る頃を見越して「新卒社員がブラック企業に損害賠償する」という本を書き、電子書籍として手頃な値段で出版します。同時に、それなりに有名なWeb上のメディアでブラック企業に関する記事を書いたり、同じように苦しむ新卒の新入社員の相談に乗りますよ、的な活動を始めてその筋の専門家として活動できる下地を整えておきます。

ここまでくれば元いた会社に十分な罰を与えることができ、社会正義も実現でき、収入も得ることができ、さらに、ライターとして食っていけなくても少なくとも労基法に違反した待遇を受けることはなくなるでしょう。同時に雇用してくれる会社もかなり少なくなるという弊害がありますが…。

3.外部の人間として、私が最終奥義をかますべきか否か、判断してほしい

先に述べたように、ご自身でご判断下さい。

ポイントは、職場への迷惑と自分への利益のどちらをどれだけ取るかということです。自分の良心が許す範囲のギリギリで利益を取れば良いと思います。