夢日記短編集

単体の記事として書くには内容が薄いものをまとめて書きます。

月に降りる夢

これは偶然にも月面を歩いたアメリカの元宇宙飛行士ユージン・サーナン氏が亡くなった日に見た夢。

私は月開発のために一人降り立つことになっている。宇宙船が故障してパラシュートが半分しか開かない。空中で脱出して個人用のパラシュートで軟着陸する。大気はあるようで、火星のように赤茶けた空が見える。空には地球が空の1/3を覆い尽くすくらいの大きさで浮かんでいる。目を凝らすと雲の隙間からアフリカ大陸の概形が見えた。

月の景色はベージュ色でコントラストがはっきりしており、レトロゲームみたいな雰囲気だった。私はあらかじめ送り込まれた資材の中からドームテントを探して設置しようとするが、風が激しくて中々テントが広げられない。大きな地球に見下ろされながら私は悪戦苦闘していたが、いかんせん宇宙服が邪魔すぎる。そして気づいた。もう地表なのだから宇宙服は要らないのだと。それで私は、宇宙服を脱いで肺いっぱいに月の空気を吸い込んだ。

それから何百年も経ったあと。私は旧友と一緒に月のお祭りを見て回った。夕焼けから夜に遷移する光に直交して様々な色の花火が打ち上げられている。大通りはパレードを見るための人垣が途切れなく続いている。私と友達はなんとかパレードを見ようと、走り回っていた。私は焦っていた。なぜならばこのパレードで市長の暗殺を企てているやつが居るとのうわさを聞いていたから。私は双眼鏡を持ち、友達はスナイパーライフルを抱えていた。普通、狙撃兵はこのように二人一組で行動する。暗殺者は見つけ次第射殺するのがルールだった。

私はパイプハウスにのぼり、その上から偵察しようと提案した。私は小さいころよく農業用のパイプハウスに上って遊んでいたため要領は分かっている。しかし月面のパイプハウスは子供のころ地球で遊んでいたものとは大きく違っていて非常に大きい。しかし体重も1/6になってるはずだ、ひるむことは無い。私と友達はパイプハウスにのぼり、あたりを眺めた。大通りにパレードが見え、その向こうには地球に沈む夕日が見えた。月と地球と太陽が一直線に並びつつある。その日も風が強くて、私は何百年も前に四苦八苦してドームテントを設営していたのを思い出した。地上と違ってパイプハウスの上は人の歓声も小さく聞こえ、気分が良い。

それは私が何百年も前、月に入植した日を祝うお祭りだった。

映画を撮る

私は母校の高校の校庭で映画を撮っている。実際、高校生の時に学園祭で放映するための映画を撮っており、またいつか撮りたいと願っているからそのような夢を見たのだろう。映画の内容はギャグだった。出演者であり演出であり脚本をも担当している友達が勝手にアイディアを出しあって話を進めている。紙ふぶきの中から友達がひょっとこの面をかぶり、消火器を抱えて登場するのに私は腹をかかえて笑った。

拳王

ショッピングセンターの一角、CDショップの前でめちゃくちゃ怒ってる人が居る。冬に屋内でサングラスをかけて威張りくさった態度で「俺は拳王だ」とだけ言っている。ガタイがよく、無暗に肩を揺らして威圧的な態度を取っている。しかし応対しているショップ店員は何とも思っていないらしく、「はぁ…」などとため息混じりの返事をしつつ怪訝そうな顔をして、早く帰ってくれないかな、みたいな雰囲気をにじみ出させている。

「だからよぉ」拳王が言う。「俺のCD早く持ってこいっつうんだよテメェはよぉ、俺の事知らねぇのかよ、拳王だろが」などと言っている。

拳王だろが、とか言われても私も全然知らないし、あそこまでイカツイ兄ちゃんが自分の知名度だけを論拠に威張っているのもなんか滑稽で面白かった。

「じゃあ、探しますけど…無いですよぉ?【け】のコーナー何度も見ましたからね」

「【け】のところに拳王のCDが無いわけねぇだろうが!!しっかり探せ!!」

というやり取りを聞いて私はついに吹き出した。

自転車に乗るネコ

私は車を運転している。ファミレスに向かう途中だ。ファミレスには嫁さんが居る。私はなぜか後から行くことになっている。

身体が妙に重い。アクセルを踏むのさえしんどい。すると、途端に自転車に乗った猫と、その自転車の荷台をつかんで押す二匹の猫が飛び出してきた。大きさは普通の猫と同じくらいで、自転車も猫サイズだ。私はとっさにブレーキを踏もうとした…が、その間もなく通り過ぎて行った。重量感が無く、ゲームの画面上をキャラクターが移動しているかのようだ。なんだかおかしい。

ファミレスの駐車場に入り、車を駐車させようとしたところ、またその猫二匹が飛び出してきて車の後ろを横切った。「ゲタゲタゲタゲタ。ハハハハハ」みたいな電子音に近い笑い声も聞こえる。

いよいよ体が動かなくなってきた。これはもう車は運転できないと思い、駐車スペースにきっちり入れるのは諦めて適当に駐車し、嫁さんに運転して駐車してもらおうと思った。この時にはもう金縛りが始まっているということに気づいていた。金縛りのパターンだ。金縛りと気づいた段階で、これは夢だということにも気づけばよかったもののそこまで考えが至らない。車のドアを開けてすぐ、猫が目の前を通り過ぎた。この野郎、お前らが何かしてるんだろうという気持ちで掴み掛ったら、その猫は驚いたのか自転車を降りてぴょんぴょん跳ねて生垣の無効に飛んで行った。しかし、その姿は猫では無くて猿だった。猿に化かされていたのか。

研究所内の少女

何年も前に打ち捨てられた研究所を捜索するチームの一員になっている。

メンバーは皆小銃で武装している。しかしその装備は古く、自動小銃ではなくて一発ごとに撃鉄を引く必要のあるタイプの銃だった。しかしながら着ている服はデジタル迷彩の近代的な軍服である。

その研究所は木で埋め尽くされていた。床、壁、いたるところを木が突き抜けており、ある研究室などはテーブルと木が一体になって、椅子や実験器具が木に飲み込まれていた。その木の合間をぬって走り抜けていく小さな人影がいた。少女だ。年は10才かそこらだろう。

分隊長から攻撃の指令が出て、我々は一斉にその少女に向かって発砲した。正直に言えばそれで少女が死んだとしても、自分の弾が当たったから死んだのではないと思いたかった。おそらくそれは皆同じだっただろう。だから、皆で一斉に引き金を引いて罪悪感を分散させている。しかし、罪が定量的に定義出来て、皆に等しく分け与えることでその量が小さくなるという性質にあるかどうかは疑問だった。

分隊長は分隊を二つの班に分けた。一方は右側から回り込む。もう一方は左から回り込み、想定される遭遇点で十字砲火を浴びせるという算段だ。音をなるべくたてないように私は左側から回り込んだ。私には2~3人の隊員が後ろからついてきている。

テーブルの影に隠れ、通路に出た瞬間、不意に少女と鉢合わせになった。少女は驚き声も出せず、私も息が詰まった。ここで逃げられたら確実に少女は殺されると思った。私は口元に人差し指を当てて声を出すなと指示したあとで、ゆっくりと銃を後ろに背負い込み、少女に手を伸ばして抱きかかえた。服は薄汚れて浮浪児のような風貌なのに、なぜか髪艶があって顔も綺麗なままだった。

私が抱きかかえたのを確認して、他の隊員も安心したように立ち上がった。それでも若い一人の隊員が「命令は射殺ですよ?今すぐに殺すべきです!」と主張したが、皆はそれを黙殺した。

研究所の屋上で部隊は合流し、少女は情報部に尋問を受けていたがひどい扱いをされることは無いように思えた。件の隊員はまだぶつくさと言っていたが。研究所の屋上から霞がかった先に見えるのは樹木に飲み込まれた町並みだった。

Man in the strange loveny

男が現れ、「赤のピルか青のピルかどちらかを飲め」という。マトリックスか。

横を見ると、小~中と一緒だった声のデカい女がその声のデカさを遺憾なく発揮して「私は断然青だねー」と馬鹿笑いしながらボリボリと青のピルを食べている。私は同じ青を選ぶのが嫌だったので赤を選んだ。

すると男は「お前が選んだのは『マンインザストレンジラヴニー』だ。明日から生活は一変する」みたいなことを言っていた。Man in the middle攻撃(中間者攻撃)とDr. Strangeloveの二つから頭の中で作られた名前だろう。

次の日会社に行くと「お前は異動だ」と言われる。異動先の部署を見ると「総務部 ニド課」とある。ニド課。業務内容が全く予測できない。荷物をまとめ、ニド課へ向かうとそこは中学校だった。中学生がわんさかいる。それに混じって先生っぽくない、スーツを着た大人が何人かいる。それらがニド課の人員のようだ。

「まず最初はお遊戯会だから。次は入学式。それが終わったら合唱ね」と意味不明なことを言われる。先輩社員についていき、中学生がぎゃーぎゃー騒いでいる廊下を歩いていく。私はなんとなく、これは中学校から人生をやり直すという事なのだろうかという感覚をもっていた。