2017年新型CX-5に試乗してきたので写真とか感想とか

2015年に買ったMC後初代CX-5の点検のついでに試乗してきましたので感想とか書いてみます。

装備

見た目以外の大きいところでは、

  • レーダークルーズコントロールが停止までサポートするようになった(以前は30km/h未満でクルーズコントロールがオフになって停止まではサポートしてくれない)
  • 自動ブレーキが歩行者に反応するようになった
  • HUDが装備されたこと
  • ディーゼルはナチュラルサウンドスムーザーが搭載された
  • G-ベクタリングコントロールが装備された
  • オートブレーキが装備された

あたりが気になりました。

レーダークルーズコントロール

試乗した時はもちろん試しませんでしたが、停止までサポートするようになったのはまあ良いことかな、という気がします。ただ、無いよりはあった方が良いという程度で、正直そこまで大きなメリットとも思えません。私の先代CX-5は30km/hまでのサポート(実際には25km/hくらいまでコントロールしてくれる)ですが、もう高速度から減速してきて30km/h以下となると止まってるも同然な感覚なので、最後のブレーキの一踏みを人間がやるか、機械がやるかの違いでそこまで便利でもないかなぁ?と。

自動ブレーキ(衝突回避・軽減ブレーキ)が歩行者に反応するようになった

これは予防安全性能上大きな利点で、装備されているに越したことはありません。でも乗り換えの動機になるほどではないですね。正直。

私が運転していて思う、対車両以外の一番危険なシーンと言うのは、こちらが車を運転していて左折時に左をすり抜けてくる馬鹿な自転車がいるという点なのですが、この点に関してはまぁ左折時の左後方確認が基本ですが、それ以外にもレーンチェンジ時の警報が自転車に乗ってる人に対して反応してくれます。なので、個人的にはもう先代のモデルの時点で限定的な対車両以外の予防安全装備も限定的ながら装備されているのかな、と認識してます。さらに言えば、歩行者が飛び出してくるような場所ってそもそも速度を落として前方に注意しながら走行するようなシーンなので事故の可能性から言えば低い気がするんですよね。「乗り換えの動機になるほどではない」ってのはそういう思いです。

HUD

これは良かったです。

1世代目と言えばよいでしょうか、最初にアクセラやデミオに搭載されたHUDはなんというか、いまいち解像度が低いというかオモチャみたいな感覚がありましたが、新しいCX-5に搭載されたHUDはカラーですし解像感も高く、Youtubeで見るような戦闘機のHUDと同じような感じです。分かりづらいたとえですが…。

デミオに搭載されたHUDは「視線移動が少ないことがメリット」などと言われてますが、なんだか個人的には無限遠にピントが合ってない気がしてて、確かに視線移動は少ないんだけどフォーカスの移動はあるんだよなあ…って感じでしたが、新しいHUDは全然そんなことない、違和感ないレベルになってました。

ただ、そこまで速度計やタコメーターを注視することがあるかというとこれも無いので、なんというかワクワクするオモチャが一つ増えただけとも言えなくもないのですが。

ナチュラルサウンドスムーザー搭載

ナチュラルサウンドスムーザーの効果なのか、それとも単に静粛性が向上したからかなのか分かりませんが、確かにディーゼル特有の音は聞こえにくくなっています。あまり車に詳しくない人であればディーゼル車だとは分からないでしょう。ただ、全域の回転数で効果があるというわけではなく、回転数が上がっていくにつれてディーゼル音がより強く感じられる部分はありました。

また、これはナチュラルサウンドスムーザーの効果ではないと思いますが、ハンドルに伝わってくる振動(ディーゼルエンジンによる)がかなり和らいでいました。以前はあまりにも手に伝わる振動が激しくて若干の安っぽさを感じさせてしまっていたのですが、それが個人的には許容できるレベルにまで落ち着いていました。

私は音と振動が特に嫌でディーゼルモデルは敬遠していたのですが、このレベルであればディーゼルに乗ってもいいかな、と思えます。でもまぁ、高回転まで吹けるほうが好きなのでやっぱりガソリンを買うと思いますが…。

G-ベクタリングコントロール

試乗コース(市街地)を運転した限りでは全然分かりませんでした。少なくとも街乗りでは効果はほとんど無いのでは、という気がします。

オートブレーキが装備された

正式な名前はオートブレーキじゃないかもしれませんが。数秒、ブレーキをホールドするとその後ブレーキを離してもブレーキがかかったままになる(アクセル踏込でキャンセルされる)という機能です。これは素晴らしいですね。新モデルで一番良いと思ったのがこれです。

私はMT車に乗っていた癖なのか、停車している際には足をフリーにしたいという気持ちがあり、ちょっと長い信号なんかだとパーキングに入れたりして足をブレーキから離します。街中でもこういうことをやっている人をたまに目にしますが、これのダサい(?)のが、パーキングからドライブに入れるまでに一回バックを挟むので、バックランプが一瞬光ってしまうんですよね。なんかこれ、個人的に好きじゃないです。特になんか理由があるわけではないですけど。

ですから、ニュートラル+サイドブレーキにして足を離してるんですが、これはこれで操作手順が煩雑なのでちょいめんどい。CX-5のサイドブレーキは電動なので直感的に操作しづらいです。

なので、私みたいなユーザーにとってはブレーキをホールドしてくれる仕組みがあるというのはとてもありがたいです。

内装

何かのレビューで「内装の質感も大幅に向上した」と書かれていたので期待してたのですが、なんかそこまで向上してないというか…。マツダコネクトの操作ノブやエアコン周りは先代モデルと共通です。

むしろウィンドウ開閉スイッチ周りがテカテカブラック(ピアノブラック)になっていたので個人的には劣化しているようにさえ思います。ああ、テカテカブラックが全てのグレードで共通かどうかは分かりませんが。

何度も何度も繰り返し言いますが、このテカテカブラックが映えるのはカタログだけで、実際に使うとすぐに手垢やホコリが目立ってしまいます。良くないと思います。

MFD(メーター横にある多機能ディスプレイ)がカラーになったのは良いと思いますが(写真撮るの忘れた)、内装で良くなったのって正直そこくらいかな…という気がします。

いや、もう一つありました。マツダコネクトの画面がアテンザ等と同じような、画面が張り出した形状になりました。結果、少しだけ画面位置が上に移動している気がします。これによって以前のモデルよりは画面が若干見やすくなったような気がしました。

外装

好みはあると思いますが、私は先代モデルの方が格好良かったと思います。なんというか、都市的(アーバン)というか、そういう感じを追求しすぎた結果SUVらしさが消えてしまいました。スタイリッシュになったと言えばそうなんでしょうけど、SUVらしい武骨さを求めている人はちょっと残念なのでは。、SUVらしい武骨な車に乗りたい人がCX-5を選ぶかと言われればちょっと微妙ではあるんですけど。

一番気になっていたのは、このフロントグリルですね。カタログ写真等を見ると鉄網が貼っているように見えるんですけど、近づくとこんな感じの錨か釣り針みたいな形状のプラスチック部品が敷き詰められていました。

マツダはこういうふうに細かいパターンでテクスチャ(素材感)を表現するのがすごく上手な気がします。

自動車のカタログの写真ってかなり加工してるので実際のものを見るとかなり違和感を受けるのですが、マツダはそのギャップが小さいと思います。特に外観はまさにカタログ通りですね。この赤は非常に美しいです。カタログと実車の違いで気をつけるべきはやっぱりあのテカテカブラックでしょうか。

感想

MC後の初代CX-5を乗ってる身としてはわざわざ乗り換える気にはならなかったです。MCされたのも2年前なんで、2年前の車を乗り換えるかと言われたらそりゃあほとんどの人は乗り換えないでしょうけど…。フルモデルチェンジをうたっている割には変化が少ない(つまり、既存のCX-5ユーザーにとっては乗り換えるモチベーションに欠ける)かなという感じです。

最近マツダは売り上げが落ち込んで厳しいみたいなニュースをよく見るんですけど、それは予見出来てたと思うんですよね。SKYACTIVEプラットフォームが一巡して、SKYACTIVE技術を理解してそこに価値を見出してくれるユーザーって、車を所有している人全体からくらべれば少数なはず。実際、SKYACTIVEをマツダが始めたときは「みんなにウケる車じゃなくて、本当の車好きにアピールできる商品を」みたいな思想で作ってきたわけじゃないですか。それに加えて、「マツダの開発リソースでは7車種展開くらいが限界」みたいな事も言ってたじゃないですか。(ソースを探すは面倒なんで書かないですけど)

だから端から販売シェアと売り上げを伸ばせるだけ伸ばすという戦略なんじゃなくて、分かってくれる人に伝わればそれでいい、そういうユーザーを取りこぼしなく大事にしていきたいというメッセージなんだと私は受け取ってました。だから、一定程度売れたあとに販売台数が落ち込むことは当たり前といえば当たり前で、本当に考えるべきは抱えてる会社資産に見合ったシェアを得ていて、かつそれが持続可能かどうかという評価だと思うんですよね。

だから、前年比売上マイナス何十パーセントでマツダ失速、どうしたマツダ、前途有望なはずの未来に暗雲が立ち込めるみたいな論評って私には理解できなくて、「はっ、経営指標しか見れない外野が何か言ってるよ。俺の愛したマツダはなぁ、ちゃんと考えてんだよ」と思ってたんです。

しかしながら最近になって、「国内販売が鈍化してるのでCX-3にガソリンモデルを追加して廉価グレードを設定しテコ入れする」などと言い出しよって、私はもうびっくりですよ。えっ、これまでの「本当に分かってくれる人だけ」云々ってのは何だったの?CX-3だって「あえてディーゼルしか設定しないことで勝負に出る(キリッ)」みたいな事を言ってたくせに。

「北米でのインセンティブ見直し」というニュースもありました。インセンティブとは具体的にはディーラーに渡す販売奨励金のことで、これが新車購入時の値引きの原資となります。マツダはひたすら正価販売による収益率の向上を推してきましたが、結局鼓動デザインとSKYACTIVEに全面的に依存した需要を食ってしまったあとは「値引きしないと売れない」に戻ってきてしまったわけで、「正価販売」は失敗…ではないかもしれませんが成功は少なくともしなかったという事ですね。

一応、IR情報も見てみたのですが、

持続的成長に向けた今後の対応
- クロスオーバー系車種拡販による年5万台レベルの安定成長
- 乗用車系車種の商品対策、マーケティング施策強化による販売トレンドの改善
- 海外工場含めたコスト改善の加速
- 徹底的な品質向上
- 成長投資(商品/技術/販売ネットワーク)は継続

構造改革ステージ2 主要施策の進捗
商品・開発
- SKYACTIV商品群を拡充、販売拡大とブランド価値向上へ
* 新型ロードスターRF (2016年12月~)、新型CX-5 (2017年2月~)
* 北米向けクリーンDEモデル (2017年後半)
- 電動化・自動運転技術開発
- 内燃機関の技術進化と併せ、グローバルでの環境規制への対応や安全なクルマ社会の実現に向け、商品化を前提とした技術開発を推進

(2017年3月期 第3四半期 決算説明会プレゼンテーション資料)

などという、いまいちインパクトに欠ける(個人的見解)内容でした。販売拡大の具体案がロードスターRFとこのCX-5ですか…。

マツダ独自の強みを出せるインパクトのある技術としてはHCCIエンジンが挙げられると思いますが、市場の動向としてはEV化/自動運転が大きなトレンドであることに間違いは無く、加えてマツダやスバル、スズキあたりはEV/自動運転ではノウハウが無いので提携先(トヨタとか)に頼ることになります。するとマツダは自社の色を出せるのはデザインやG-ベクタリングみたいなこまい技術に落ち着いてきてしまうのではないかと。

古くはロータリー、最近はクリーンディーゼルと内燃機関を重視してきたメーカーとしては厳しいところですが、今後の情勢を鑑みるに内燃機関に金をつぎ込み続けてそれに見合うリターンが得られるかどうかってのはもうちょっと考えたほうがいいんじゃないですかね。普及価格帯車種のEV化はおそらく、シリーズハイブリッドからプラグインハイブリッド(レンジエクステンダー)、ピュアEVと進んでいくんじゃないかと思っているのですが、その過程でエンジンはとにかくピーク効率偏重な設計が好まれるようになるので、マツダのSKYACTIVEエンジン特有の売りみたいなものは生かせないような気がします。

だったら今からもう方向性を切り替えて、頑張ってノート e-Powerみたいなシリーズハイブリッドを一車種くらいは作ってノウハウを蓄積しつつ、EVが当たり前になった暁には「EVでも走る喜びを追求できるような制御技術を持ってるのがマツダですよ」って言えるように計画しといた方が良いんじゃないですかね。素人考えですけど。