冬は車のA/Cスイッチを入れるべき?

結構知らない人が居るみたいなので記事にした。

わが家では、朝は私が車で子供たちを幼稚園に送って行き、帰りは嫁さんが車で子供たちを連れて帰ってくる。朝、私が車のエンジンをかけると必ずA/CスイッチがONになっている。嫁さんに聞くと、「だって、エアコン入れないと暖かくならないでしょ?」とのこと。その昔、トヨタのディーラーで試乗車に乗ったときも似たような経験をした。「寒いですよね、いまエアコンを付けますから」とその営業マンはA/Cスイッチを入れた。

A/Cスイッチを入れても暖かくなるわけではない

車のエアコン、つまりA/Cスイッチは冷房専用です。あのスイッチを入れると何が起こるかというと、普通の家庭にあるエアコンと同じ仕組みでコンプレッサーをエンジンの力(ハイブリッド車だとモーターだったりする)で駆動し、空気を冷やして車内に送り込みはじめます。

「いやいや、A/Cスイッチを入れても暖かい風が出てくるよ?」と思った方。それはエアコンで冷やされる以上にエンジンから熱が送り込まれているから1です。

A/Cスイッチは「エアコンの空気を冷やすユニットを作動させるスイッチ」です。対して、送風をどれだけ温めるのかという設定を行うのは、温度調整レバーです(オートエアコンの場合は温度設定)。この設定温度が十分に高ければ、A/Cスイッチを押していたとしてもあたたかい空気が出てきます。それでもA/Cスイッチを入れていない時よりは若干温度が下がっています。また、A/Cスイッチを入れてエアコンが作動するとエンジンにとっては負荷になるので燃費が悪化します。

じゃあ冬はA/Cスイッチは入れない方がいいのか…というと、そういう訳でもありません。

A/Cスイッチを入れると曇りを取ることができる

エアコンには除湿効果があります。暖かい空気を冷やすと飽和水蒸気量をオーバーした水分が結露して水になります。家庭用のエアコンでも水が出てくるパイプがありますね。車でも夏場エアコンをかけていると車外に水が滴ってきますね。あれが除湿された結果生じた水分です。エアコンを付けると空気は除湿されます。

ですから、もし車の中が曇るようであれば、その時はA/CスイッチをONにした方が良いです。また、オートエアコンの場合は、デフロスタ(フロントガラスに曲線の矢印三本が当たっているマークのボタン)を押すと自動的にA/CスイッチもONになると思います。

冬場のA/Cスイッチの使い方(おすすめ)

私のお勧めの暖房設定を書いてみたいと思います。

ここでの説明は、

  • 冬場、A/Cスイッチは曇りを取るために使用する
  • 室内はなるべく早く暖かくなってほしい
  • 極度の乾燥は避けたい(喉が痛くなったり手がカサカサになる)
  • 燃費はなるべく良くしたい

ということを念頭においています。

エンジン始動直後…内気+暖房

エンジン始動直後、すぐに暖まってほしい場合は内気循環+暖房にします。温度調節は目一杯暖房側に寄せます。オートエアコンの場合は目的の温度に設定すればOKです。この設定で、原理上はもっとも早く車の温度が上がるはずです。寒いところに放置された車は、社内の座席や内張り素材まで冷え切っていますから、最初のうちは多少オーバーなくらい暖房をかけたほうが良いです。

ただ、人間はかなり湿気を放出させているので、乗車人数や車内の湿分等によっては内気+暖房だとすぐ曇ります。

雲ってきたら…外気 + 暖房

内気循環と外気導入の違いは、その名の通り車内の空気を循環させるのか、外気を取り入れて車内に放出するのかという違いです。車内を早く温めるには冷たい外気を温めるよりも、すでに暖まりつつある内気を循環させて温めたほうが良いです。しかし、人間は強烈に湿気を発します。雨や雪で服がぬれていると、さらに湿気を放出します。結果、外気の冷気を伝えやすいガラス面が曇ります。

こういう時はまずは外気モードにしてみましょう。冬場は空気は乾燥します。乾燥した外気を取り込み、エンジンの熱で温めて車内に放出することで曇ったガラスが乾いて曇りが取れる可能性は高いです。

もしすぐに曇りが取れたら、一度内気に戻してみます。それで曇るようならばまた外気にします。そうして様子を見てください。天気や車内の状況によっては、内気でも曇らないという状況を作ることができます2

外気による曇りの除去は、気温が低くて晴れた日ほど有効です。湿った雪や雨が降っている時はあまり効果がありません。

外気モードでも曇りが取れない場合…A/C + 内気 + 暖房 もしくは A/C + 外気 + 暖房

雨が降っていたり、湿った雪だったり、濡れたコートなどを車内に入れていて車内の湿度が常に高いといった状況では、外気モードにしても曇りが取れないケースがあります。こういう時はA/Cをオンにしましょう。

内気/外気はどちらでも良いと思いますが、私は次のように使い分けています。

  • 車内が乾燥しているように感じられ、外は雨や湿った雪だった場合…外気
  • 車内が極度に湿気ていて激しく曇っている場合…外気
  • 車内が湿気ているように感じられ、外は乾いていそうな場合…内気

これはなるべく車内を乾燥させたくないという意図があっての行動ですが、あんまり大差ないかもしれません。とにかく、外気で曇りが取れなかったらA/Cです。

また、夏場曇った場合は外気にしても、暖めない限り曇りはなかなか取れないですから、A/CをすぐにONにしましょう。

緊急時は…外気+暖房MAX+A/C+フロントガラス送風MAX

フロントガラスがかなり曇ってきて、今すぐにでも曇りを取らなければ危険という場合はこのようにします。先に述べたとおり、オートエアコンの場合はデフロスタースイッチをONにすることで勝手にこのような設定になるはずです3

余談・ヒートポンプ式暖房搭載の車

通常、住宅に設置されるエアコンは冷暖房兼用になっています。この冷暖房の切り替えというのは四方弁という弁(電磁弁)で冷媒の方向を切り替えるだけで行われます。車のエアコンを冷暖房兼用にすることもできるはずですが、それをしない理由は

  • エンジンの排熱で十分な熱量が確保できるのでわざわざヒートポンプ方式で熱を集める構造にしておくのは無駄
  • 部品数を増やしてコストを上昇させたり故障率をあげたりするリスクに見合ったメリットが無い

というあたりだと思われます。

しかしながら、車載のヒートポンプ式暖房(エアコン)が搭載されるケースはあります。それがEVです。たとえば、日産リーフにはヒートポンプ式暖房が搭載されています。EVではエンジンという熱源がないので、暖房機能を実現するためには何とかして熱を発生させなければなりません。電力で熱を発生させるには電熱線で空気を暖めるドライヤーの方式が手っ取り早いですが、投入した電力分の熱しか発生しないのでこれは効率が悪いです。消費電力が航続距離に直結するEVで電気をたくさん使うのはあまりよろしくありません。ヒートポンプ式の暖房であれば、投入した電力の数倍の熱を外気から回収してくれるので電熱線に比べればかなり省エネです。

リーフを運転したことが無いので詳細は分からないのですが、マニュアルを読むと、A/Cスイッチの他にHEATスイッチがあり、この二つは併用できるそうです。併用すると「除湿暖房運転」となり、これは上記で述べた「エンジンの熱で空気を暖めるのとエアコンで空気を冷やして除湿する」という操作と同じですね。

同時に暖房と冷房を行わなければならないので、構造的には四方弁による切り替えでは無くて暖房用と冷房用のヒートポンプ・コンデンサ・エバポレーターユニット一式がそれぞれ併設されているのだと思われます。当然、同時に使用するとかなり電力を消費することが想像できます(マニュアルにも航続距離に影響するから曇りを取るときだけ使ってね、と書いてる)。

まとめ

なんか色々書きましたが、暖房設定はエンジンからどのくらいの熱を送風に加えるかという設定で、A/Cスイッチはエアコンのコンプレッサーを起動してエバポレーターを冷やす設定だと覚えておけば、あとは論理的にどうすれば良いかがすぐわかると思います。分からんと言う人は頑張って使い方を暗記しましょう。


  1. もしかしたら、オートエアコン車の中には温度設定や外気温を読み取り、積極的に冷やさなくても良いようなシーンではあまり冷やさないような制御をしている車種もあるかもしれません。 
  2. ここで、なるべく内気にしておきたいのは室内に適度な湿度を残しておきたいのと、暖房で奪われた熱によって多少燃費が悪化するからです。まあ、燃費は気休め程度の効果だと思いますが。 
  3. あまり関係ないですが、defrosterは凍結を取るという意味なので、defoggerの方が正しい気がします。英語圏だとどうもdefoggerと呼んでいるっぽいです。しかしながら、デフロスタースイッチを押しても暖房MAXになるだけの制御を行う車種もあるので、それはdefrosterで正しい気がします。ややこしいことに、機能がdefrosterでもdefoggerでも、表示マークは世界共通で同じで温泉マークみたいなマークのアレです。