日本人は無意識のレベルで差別が根付いている

あのね、よく就職で差別されるとかあるじゃん。とくに女性は顔採用みたいな制度がいろんな会社でまことしやかにささやかれている。私もこれは明らかに顔採用だろ…と思う場面に何度も出くわした。アナウンサーとしてテレビに出てきても違和感ないよ、みたいな人が数人そろって男しかいないエンジニア集団の中に混じっているのを見た。そこに美人が揃っている可能性がいかほどかを考えれば実力で選んだ結果だという主張は実に疑わしい。

しかしながらそれはしょうがないとも思う。だって人間だもの。人間の印象なんて、とくに採用試験の面接などといったごく限られた時間での会話を経て形成されるイメージで言えばはかなりの部分外見で構築されるんじゃないか。少なくとも半分くらいは。

よく面接で「一緒に働きたいと思わせろ」というアドバイスがあるでございましょう。一緒に働きたい同僚とはなにか。一緒の課でプロジェクトを遂行し、苦楽を共にしながら歩んでいきたい社員とはだれか。誠実さ。向上心。専門知識。行動力。リーダーシップ。色々ありますわな。でもみんな言わないけど、まあ、可愛い方がいいわな。だから暗黙のうちに顔採用になるんですよ。結局。

ここまでは女性の被差別について述べましたけど、男だって分かりませんよ。いま女性が顔採用で差別されるケースがあるというのはつまりこれ、採用担当者に男が多い、つまり、男の管理職が多いということからの帰結であるからね。女性の管理職登用が進めば男が差別を受ける可能性だってある。女だってクッソ不細工でキモメンオタク、趣味は海釣りと彫刻です、みたいな男よりはさわやか超イケメンでボルダリングとダーツが趣味です、みたいな男と仕事したいはずだね。そのバイアスが一切かからないなんて言わせない。絶対言わせない。

しかしそういう場面に出くわしたら私はメンタルが弱いのでもうきっついと思う。たとえば私は「お前不細工だから非採用ね」などと言われたら生きていけない。いや、直接言われないケースがほぼ全てだろうけど、状況からわかる場合もあるじゃん。そういうことを感じ取ったらばね、人権侵害だ!不道徳だ!実力で中身で判断しろ!とまくし立てて会社を爆破するね。

はっきり私は言いたいのだけど、アイドルとか一部例を除けば、仕事をするうえ見た目なんてどうでもいいんですよ。

例えばね、海外とかいったら普通に手足無い人がレジ打ってたりするでしょ。日本ではそんなのまず目にしないでしょ。そこに「障害があるとレジの立ち仕事はしんどいから裏方に回ってもらった方が…」みたいな優しさがあるのだとすれば、その優しさは俺に言わせれば差別そのものだね。そういうところがね、こう無意識のレベルで差別って根付いているんだと思いますよ。

だから私などは、もし自分が採用をつかさどる立場になったときは絶対に見た目で判断するのは止めようと心に決めている。すると、たぶん美人と、ブス、もとい、美人でない人、もとい、普通の女性。そう、美人Aと普通の女性Bが面接に表れ両者の職業人としての能力が拮抗していた場合に私は逆にBをその正義感から選んでしまう可能性は高く、そこいらは難しいとこだよね。人間って。絶対バイアスってかかるじゃん。

そういうことを繰り返していると「ほら、あの人はブス専だからさ。俺はAちゃんのほうを採用したかったんだけどさー、空気読めない人っているじゃん?」みたいに裏で言われることは間違いなく、いやな、お前らそれ間違ってるよ。俺はブス専ではないし、っていうか、ブスっていうのもひどくない?Bさんだって美人ではないかもしれないけど普通の範疇でしょ。お前ら失礼じゃない?失礼フルじゃない?THE VERY BEST OF 失礼 2016 全日本ツアーじゃない?と言うと、じゃあお前はBと寝れんのか、とか言われて、「いや…寝るとかそういう問題では…」「じゃあお前は外面良く見せるためにそういってるだけなんだな。普通と思ってんだったら寝れるだろ」「つうか何でそんなことに答える必要があるの」「お前がBがブスでないと言ったからだろ。俺はそれを信用できません。だから別の切り口でお前が本当にBをブスでないと思ってるか否かを確かめようとしただけですぅー、合理的な質問ですぅー」「めんどくせえ奴だな、ああ、じゃあ寝れるよ。寝れる。Bと寝れるよ」俺は言った。

すると奴は意外な反応をする。はっ、と大きく口を開け広げ、「そんな言葉が出てくるとは露とも思わなんだ、ははーっ、御見それしました」みたいな事を言いたげな顔だった。と思ったのが0.3秒後。でも冷静に考えたら奴がそんなことを思うはずがないと思いだしたのが0.4秒後。0.6秒後にはその真意をすぐに悟った。

いる。聞かれてはいけない人が。たぶん。俺の後ろに。

「お先に失礼します…」

その声は面接時に聞かせてくれたあのはきはきとした声とはもう大きく違ってしまっている。いや、違う、Bさん。私は…。しかし言葉は出なかった。喉奥で幾千もの言葉が生まれたが声にはならなかった。私と奴は大口開けた鯉みたいな顔をしてBさんを見送った。

いや、見送ったらダメじゃん。誤解を説かなければ。私は即座にBさんを追いかけ、違うんだ、あれはこういうわけで、そういうわけで、つまり私はBさんをブスだとか美人だとか抱くとか抱かないとかそういう問題ではないんだよね。つまり仕事に外観なんて関係ないじゃん?

面接の時だってさ、俺はBさんの潜在能力と伸びしろを評価して人事部に推したわけだよね。いや、だからといって外観のフォローしているわけではないからね。私はBさんは真面目だし誠実だし気遣いも素晴らしいし、そういう内面の良さが外観にもにじみ出ていて素晴らしいと思っている次第ですよ。とか言ってたら涙をうるませてうつむくBさん。何だ。その涙は。どういう意味だ。薄々分かってるけど聞きたくない。

その次の日に早速部長に呼ばれ、「お前と某がBさんに早速セクハラまがいの行為をしていたと本人から苦情が」などと言われ、なんでや!俺はBさん守ろうとしただろうが!何でそんな仕打ちを受けなきゃイカンのじゃ!「それにエレボーターホール前でBさんを泣かせていたという目撃談も」うわっ、やっぱりそうきたか。でもまあ、こういう結末になるのはちょっと想像してたよねー、想像してたら受け入れなきゃイカンのとちがうのか、いや違う違う、みたいな自問自答を繰り広げ、一週間後にはBさん出社せず、1週間程度の欠勤が続いた後、配達証明で訴状が届くのであり、そこでまたブチ切れですよ。どうも、消息筋からの情報ではBさんに入れ知恵しているCというクソ女がいるらしく、Cは定期的にそのようなセクハラだので心身に傷をおってうつ病になったなどという訴訟を起こしては示談金をせしめておるという噂で、そんな不正義が許されるわけがないと思うのだけど、昨今は何をもってしてセクハラかという定義も甘く、セクハラに近い事を言ったという事実のみを根拠として訴訟を起こしてくるクソ弁護士も多いようで、言われた方も社会的立場を鑑みて泣く泣く示談を受け入れて金を払うという構図のようだ。

その時にBさん側が提示してきた示談金もまるでこちらの懐事情を見透かしたような絶妙な金額で、もう、こんなテクニカルなことをしでかすテクニシャンは絶対やましい意思があるに違いないと思った。おっと、Bさんはテクニシャンで絶妙とかいうとまた言葉尻を取られて追求されかねない。おっと、尻を取るとかいう表現も突っ込まれそうだ。突っ込まれる、もアカン。もはや何を言えばよいのか分からない。

とかアホなことを言っている間にもはや示談を受け入れるしか道は無くなってきて、しかしそこで屈するのも腹立たしい。というか、絶妙な金額を提示して相手がそれを受け入れるだろうとほくそえんでるBとCが腹立つわ。糞ブスが。やっぱり性格の悪さは顔に出るし顔の悪さは性格に出る正のフィードバックループを形成するんだな。勉強になったわ。学会で査読論文書くわ。ともかく俺は屈しない。正義を貫き通す。こんな一言で裁判起こされる社会は不正義だ。だから俺は正義によって対抗する。

具体的にはこうだ。やつらは示談を受け入れるだろうと高をくくっているがために具体的な裁判の方針というのは準備していないはずだ。そこに勝機がある。普通の人は示談して金を払えば終わりと思っているのだろうが、示談金を払うということそのものが半ばセクハラを認めているようなものであり、ともすれば周囲の信用はがた落ちである。つまりこの段になって示談金を支払って元の生活に戻るという幻想を上手く手玉にとって操っているのが奴らだ。もうすでに訴状が届いた段階で私はコマを前に進めなければならないのである。よろしい。戦争だ。靖国で会いませう。

したら、またバカ部長からお呼びがかかるのであって、「その、裁判になったらしいね?こうなると…その…君も職場に居にくいだろう」とかいうのであって、対する答え、「は??別に。」と全盛期のエリカ様のように答えた私。「だって私はセクハラしていませんから。己の正当性を証明するための作業でございますから」「しかしだね…何某君はすでに非を認めて示談したのだよ」「たとえ何某氏がセクハラしていても私はセクハラしてませんから」「しかし同じ場所に居て同じ話題を喋っていた」「だーかーらー何度言ったらわかるんですか。むしろ私は何某が馬鹿言っていたのを制してたのですよ」「しかしね…従業員が皆そのようには思ってくれんよ」「部外者は関係ないでしょ」「ともかく、君には二つのオプションがある。懲戒解雇を受け入れるか、自己都合で退社するかだ」

じぇじぇじぇー!と思った。私は某朝のNHKドラマを見ていたわけでは無いのだけど、秋田(県南)ではじぇじぇじぇー!っては言わないけど「じゃー!」っては言うよ。感嘆符みたいな感じのノリだね。「じゃー!やじまげだ!」って言うよ。うわー、こいつはめんどくせぇ!みたいな感じの意味だね。うん。でもまあ我々の親世代が使うケースが多いかな。我々はあんまり使わない。え?エリカ様とかじぇじぇじぇとか、ネタがちょっと古くないかって?うるせえ、俺はテレビそんなに見ないんだよ。

え?いやいや、違うよ、懲戒解雇じゃねえよ。何を言ってるんですかあなた。何を理由に懲戒解雇なんすか。何の懲戒なんすか。一応聞いた。「女子社員へのセクハラ」うわっ、来たよこれ。聞かなくても分かってたけど。なにが女子だ。いつまで女子名乗ってんじゃコラァ。何歳じゃお前。って言うと言われるんだろうな、「女子の『子』は子供、若いという意味ではないですからね」って。うるせえ、知ってるわそんなもん。そのくらいの教養はあるわボケェ。大学だって出てるし工学の修士号だって持ってんじゃアホが。チューリングの停止性問題も知らんくせして俺に意見してんじゃねえ。大体、何が「二つのオプションがある」だっ!黙れ小僧!お前にヒラリーとトランプから大統領を選ぶ米国民の気持ちが分かるのか!こんな会社こっちから願い下げじゃ、俺は懲戒解雇をチョイスする!そして俺はこの会社も訴える。不当な理由で懲戒解雇処分を下したことに対する損害賠償請求を行う。靖国で会いませう。

というところまで陥り冷静に考えたが、この時期に二正面作戦をするのは資金的にしんどすぎる。というかここまでめんどくさい事態になってんのに請け負ってくれる弁護士っているのか?そこらへんの算段は経験が無いから正直わからん。しんど。なんでこんなことになったんだろう。バトルオブブリテンでにっちもさっちも行かなくなった末に対ソ宣戦布告してバルバロッサ作戦をおっぱじめたドイツもこんな感じだったのかな。俺は思った。私の行く末もどうせスターリングラードになるだろう…。面子で戦うほどしょうもない争いは無いのであって、Bさんサイドも示談金を引き出すのに失敗した段階で訴状を取り下げれば良かったのに示談金ビジネス崩壊を恐れてか裁判に突入したし、私も私で買ったとしてもいつ、どのくらいの量の金が得られるのかも分からない不明瞭な戦いを初めてしまっている。面倒くさいことこの上ない。やじまげだ。

唐突ですがなんだか言いたいことが分からなくなってきたのでやめます。ご査収ください。