SKYACTIV-Gの燃費は良いのか悪いのか(結論)

cvt_vs_sky

こないだ「なぜ私はCVTが嫌いなのか」という記事を書いたのですが、そのときにさらっとググって出てきたSKYACTIV-G 2.0エンジンのBSFCマップを引用したのですが、

cvt_vs_sky

original image from Air Flow Optimization and Calibration in High-CompressionRatio Naturally Aspirated SI Engines with Cooled-EGR

これ、俺がずっと欲してたデータじゃん!!!ということに今さらながら気づきました。

といいますのも、「SKYACTIV-Gは実は点火時期リタードや燃調リッチを駆使して最大負荷付近では燃費が悪化してるんじゃないか」という疑念が長らくあり、しかし最近指摘を受けて再考してやっぱそんなことは無いんじゃないか…などと色々勘繰っていました。以下記事参照。

ダウンサイジングターボとSKYACTIV-Gを比較してみた

乗って分かるSKYACTIV-Gの低燃費技術

この議論に決着をつけるためには、SKYACTIV-Gの端折っていないBSFCマップが出てくれば確実なのですが、マツダが公開しているのは特定の回転数でのBSFCマップの断面のグラフ(下記)

image from <a href="http://www.jsme.or.jp/esd/ICES/Day1_Keynote_lecture_Hitomi.pdf" );">内燃機関の将来展望

だけで、一般的なBSFCマップは公開されていませんでした。

でもこないだググったらあった。すごい。で、論文の内容をざっくりと読んでみました。分野外なのと18ページと結構長い論文なのでテキトーですが…。

この論文の主旨は、米国のEPA(環境保護庁)でCO2排出を減らすために次世代の自動車用エンジンを研究しており、その肝は「可変バルブタイミング」「EGR比」「圧縮比」の最適化あたりにありそうだぞという検討をつけ、さらにその研究モデルとして2.0Lと2.5LのマツダSKYACTIV-Gエンジンを選定し、データを取って色々検証したぞという流れなようです。そこでダイナモ計測しているデータなのでかなり信頼できるデータといって良いでしょう。

で、結論から言えばSKYACTIV-Gは高負荷時に極端に燃費が悪化することは無いみたいです。つまり、リタードもリッチもやってないということでしょう。

以下では熱効率換算も載っています。

skyactiv_bsfc

image from Air Flow Optimization and Calibration in High-CompressionRatio Naturally Aspirated SI Engines with Cooled-EGR

最も燃費が良い領域からBSFCが11%くらい増加しているという感じ(225→250)ですね。一方で、盛大にリタードやリッチを駆使していると思われるエンジンは以下の2NR-FKEエンジンです(カローラフィールダーの1.5Lモデルなどに搭載)。

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image from トヨタ、デザイン・燃費・安全をアップデートした「カローラ」シリーズ発表会

これを見ると高負荷領域で等高線がつまり、かなり悪化している印象を受けます。余りにも悪くなるのか、300g/kWh以上の等高線が書かれていません。仮に300g/kWhであったとしても、33%くらい悪化しています(225→300)。

この点は「下駄車の備忘録」さんの記事でも紹介されています。(※余談ですが、このブログのもげ.様は当ブログ経由でこのエンジンのBSFCマップを知ったそうです。私はこのBSFCマップの存在を知らず、リタード/リッチにしているBSFCマップを探していてもげ.様のブログ経由で知りました。私がちゃんと資料を見ていない証ですね。)

上掲記事でも指摘しておられますとおり、カローラフィールダーはCVTなので(MTモデルには違うエンジンが搭載されています)、この極端に燃費が悪いエリアは使用しないのでしょう。

そしてこれはカローラフィールダーに限らず、CVT全般に対して同じ事が言えそうです。つまり、燃費を優先してピークの熱効率を追求し、最大負荷の燃費や出力は犠牲にしていると。まー、エコカーってそういうもんでしょ?と言われればその通りなのですが。

その点、SKYACTIV-Gはフルスロットルでもそこまで燃費が悪くならず、ピーク性能も維持しながら、それでいて最大熱効率も37%とハイブリッド車用のエンジンに近いレベルをマークしているわけですからこれは中々すごいエンジンですね。今さらながらその価値に気付いてきたという感じです。

そういえば、SKYACTIV車のレビューで「走りも楽しめてそこまで燃費が悪くない」と評するものがありましたが、まさにそれをデータで裏付けることが出来たという感じでしょうか。いやー、すっきりしました。

【追記】
「下駄車の備忘録」さんでこのSKYACTIV-GのBSFCマップについてさらに深い考察がなされています。

【10/20更新】SKYACTIV-G 2.0のBSFCマップ。

効率が良くなる領域「燃費の目玉」を下げることで一定速巡航時からアクセルを踏み込んだ時に追加できる余裕トルクを生み出してドライバビリティと燃費を両立できる、ということだそうです。なるほど…。勉強になります。さらに、本記事中でリタード・リッチはして無さそうと指摘しましたが、その一方でダウンサイジングターボと95RON/圧縮比14のSKYACTIV-Gを比較すると高負荷領域はいい勝負になりそう、ということでした(マツダはダウンサイジングターボより優れていると主張していますが)。