パスポート用写真をデジカメで撮影してプリンタで出力する方法まとめ

タイトルのようなことをやったので報告する。

序論

パスポート用の写真を写真屋で取るのはなかなかの費用がかかります。1500円~2000円前後くらいが相場でしょうか。証明写真撮影機は700円くらいですかね。証明写真撮影機はサイズ調整に失敗する可能性があります(そのため申請で受け付けてもらえなくても返金しない旨が書かれている)。写真屋で撮ればその点は手厚くフォローしてくれるはずですが、証明写真が出来上がってからなんとなく写りが気に入らなかったりして後悔することってありますよね。さすがに「ちょっと気に入らないから撮りなおしたい」などという場合までには対応してくれないところがほとんどでしょう。

また、家族旅行に行くなどという場合では、人数分この金額がかかってしまいます。4人家族で1500円/人だったとして6千円もかかってしまいます。1500円くらいなら払ってもいいか…という気になりますが、6千円までになるとちょっと躊躇しませんか?

さらに子供の場合は写真屋に行って撮影するのは難しかったり、そもそも「2歳未満の子供の撮影は出来ない」という写真屋も多いようです。そのような場合は家で撮るしかありませんが、パスポート用写真は国際的に基準が厳格に決められているので、「デジカメで撮って既定のサイズに切りました」程度の感覚で持っていくとまず受け付けてもらえません。

すると、「じゃあ隣の照明写真屋で撮ってくださいね」と言われて、「だから、写真屋では子供が泣いちゃって撮れなかったんです!」「でもこの写真ではダメなので撮って頂く以外に方法は無いです」、なんか言われてムキー!ってなって、グズる子供をなだめて何とか撮影し、疲弊しつつ帰路につき、後日出来上がったパスポート写真は今にも泣きそうな子供の写真が掲載されており、またムキー!ってなって、なんでパスポートごときでここまで苦労しなきゃアカンの?何なの?マジムカつく、みたいな感じになって旅行前から雰囲気が最悪になるという羽目になる可能性は高いです。

以上を踏まえて、本記事では

  • パスポートの写真写りに妥協したくない
  • 安くパスポート用写真を撮影したい
  • 小さい子供が居る

という方々をターゲットにパスポート用写真の撮影&印刷方法などを紹介します。

必要な物

  • デジカメ
  • 外付けストロボ(フラッシュ) ※可能ならば
  • プリンタ
  • 写真用紙(このサイトの手順通りにやるならL版サイズが必要)
  • パソコン

規定

まずは外務省HPのパスポート写真の規格と補足資料に目を通しておきましょう。ネット上で検索するとテキトーな事を書いているサイトが多く、私も迷うことが多かったです。困ったらまずは外務省の資料を確認してください。

パスポート申請用写真の規格(外務省)

旅券用提出写真についてのお知らせ(外務省)

撮影

背景

背景は「なし」と規定されています。「なし」というのは、単色で柄の無いもの、という意味のようです。撮影時には単色のマットな紙か何かを背景にするのがベストだと思いますが、そんなものがある家庭は少ないと思いますので、柄の無い壁紙の前で撮影するか、シーツを壁に留めて代用しましょう。
色についての規定は「濃くないもの」とだけ書かれています。白系や青系が無難でしょう。人物との境界が分かりにくくなるような色はダメだそうです。

撮影するときは壁にピッタリと背を付けて撮影するのではなく、少し壁から離れたところで撮影しましょう。でないと背景に影が映ります。背景に影が映るとこれもアウトです。

自然光の場合

フラッシュなしで撮影する場合は、三脚に固定して明るい自然光が差し込む部屋で撮影します。蛍光灯では暗すぎて上手く撮影できません。自然光で室内だとシャッタースピードが遅くなるので必ずカメラを固定する必要がありますが、証明写真では角度など微調整する必要があるので三脚なしではしんどいと思います。

ただ、自然光の場合は陰影が出たり背景の色や表面の凹凸がはっきり写ってしまったりするのですこし難しいかもしれません。

外付けフラッシュの場合

外付けフラッシュがあるとかなり楽です。ホットシューに着けるようなタイプのものですね。キヤノンやニコンだとスピードライトと言います。もし一眼カメラをお持ちでしたら、この際にストロボを買ってしまうのも良いと思います。ストロボがあると屋内撮影でかなり重宝します。

メーカー純正のストロボは数万円しますが、Amazonなどで検索すると、中国 or 台湾らしきメーカーが作った互換品が3000円~6000円くらいで多数販売されています。私もそれを買いましたが、機能・光量・色含めて全く問題ありませんでした。

ストロボを付けて撮影するときは直接被写体に光を向けるのではなくて、天井や後ろの壁に反射させて(バウンス)撮影します。証明写真の場合は天井ではなくて後ろの壁に反射させた方が良いでしょう。ライティングについては奥が深く、こだわるときりがないのですが、あまり深く考えずテキトーにとってもそれなりに綺麗な写真が撮れるはずです。

内蔵フラッシュの場合

内蔵フラッシュでは光を後方に向けて反射させることができません。直接光しか照射できない内蔵フラッシュでは背景に影が出来てしまったり、メガネに反射したり、陰影が不自然になったりします。

どうしても内蔵フラッシュで撮影したい場合は、ディフューザー(光を分散させるカバー)を自作すると良いと思います。すりガラスのような何かをフラッシュに張り付けて撮影してみてください。もっとも手軽なのはティッシュを切ってフラッシュに張り付ける方法です。ティッシュの厚さを変えたりなど多少試行錯誤する必要はあると思いますが、この方法でもそれなりに上手くいくはずです。

撮影した写真で気を付けること

前述したパスポート写真に適さない例を見て、これらに合致していないか確認してください。ありがちなミスは、「背景に影が映っている」「椅子などが写り込んでいる」「顔が傾いている」「赤目になっている」「手ブレ・ピンボケ」「顔に影が映っている」などでしょうか。ちなみに、顔の傾きは奥行き方向の軸での回転ならばあとで修正可能です。

女性の場合は、輪郭(頬のライン)が隠れるような髪型になっていないかもチェックしてください。

以上は撮影の準備と片付けの手間を省くためにも、必ず確認しておきましょう。

子供の撮影

子供の撮影は大人に比べると非常に大変です。うちには4歳と0歳の娘が居ます。4歳は言葉が理解できるものの、微妙な調整を行うための細かい指示までは理解できなかったりします。そこは気合で乗り切るしかありません。下手な鉄砲数うちゃ当たる方式で何枚も撮りましょう。

0歳児だと言葉がまず理解できません。三脚にカメラをセットしてシャッターリモコンを持ち、おもちゃなどで気を引きつつうまくカメラ目線になるような写真を撮りましょう。リモコンが無い場合は二人がかりで取り組んだ方が楽です(一人が機嫌を取りつつカメラに注目させる役、もう一人が撮影)。

首が座っていない場合は、シーツに寝かせて上から撮影しても良いことになっています。

保護者が抱っこしつつ撮影しても良いことになっていますが、保護者の手や体の一部が写り込むとダメです。保護者の体をつつむ白色のケープやポンチョみたいなものがあると撮影が楽です。

表情については、大人と同様「平常の顔貌と著しく異ならない」という規格が適用されます。大泣きしてたり目を閉じて笑っていたりする顔は当然アウトだと思いますが、多少微笑んでいるくらいであれば受け付けてくれるのではないでしょうか。また、口を開いているとダメと記載しているブログ等をよく見るのですが、子供の口が開いているのは問題ないはずです。上記の「旅券用提出写真についてのお知らせ(外務省)」のサンプルも口を開いているからです。というか、赤ちゃんって大体口開いてますよね。

レタッチ

撮影した写真はレタッチしておきましょう。パスポートに転写されると若干暗めになる傾向があるようなので、気持ち明るめに調整したほうがよいかもしれません。

ちなみに、顔の一部を大きくしたり小さくしたりする修正や、縦横比が変わるような修正はアウトです。明るさやコントラスト、ホワイトバランス、レベルを少し調整する程度だったら大丈夫なはずです(そもそもデジカメで撮影した時点で補正が掛かっているので、それすらアウトだとフィルム撮影かRAWデータ提出しかダメというおかしなことになります)。

レタッチソフトをお持ちでない場合には、フリーで使用できるGIMPを使用しましょう。

GIMP

Webサイトが英語ですが、インストールが完了すれば日本語で利用できます。詳しい使い方は説明しませんが、ノリと勘でだいたい使えるはずなので頑張ってください。以降では基本をさらっと説明します。

まず、デジカメで撮影したJPG写真を開きます。ファイルをD&Dするか、ファイルメニューから選択してください。

dsc_3547

(モデル:長女)

画像が斜めになっている場合は回転ツールで補正します。

次にコントラストと明るさをテキトーに調整します。「色」→「明るさ・コントラスト」メニューから実施します。大体、明るさとコントラストをプラス側に、コントラストは明るさよりも小さい値にするといい感じになります。

調整したら、大きめにトリミングしておきます。矩形選択した後、「画像」→「選択範囲で切り抜き」を選択します。

ここまで来たら別画像に保存してください。「ファイル」→「名前を付けてエクスポート」でJPGなどで保存します。

サイズ調整 & トリミング

さて、自分で撮影したパスポート写真で突っ返される原因第一位が「規格通りのサイズでない」だと思います。パスポート申請用写真の規格(外務省)にありますように、パスポートの写真は35mm×45mmのサイズですが、それ以外にも顔のサイズについて下記の規格が存在します。

  • 写真上端から頭頂まで4±2mm
  • 頭頂から顎の先端まで34±2mm
  • 写真左端から顔の左右中心まで17±2mm(つまり顔が左右中央に位置しているということ)

このサイズ調整が素人にはちょっと困難だと思います。普通にやったのでは、プリンタで印刷するまで実際の写真上のサイズは分かりませんからね。

ここで、mm単位で編集することが出来るドローソフトを使うと、ばっちりサイズを合わせることができます。イラストレーターがあれば完璧ですが、普通は持っていないと思いますので(というかイラレを所有している人であれば解説不要ですね)こちらもフリーで利用可能なInkscapeというソフトを使います。

Inkscape

で、編集用のテンプレートを作成したので下記のzipもダウンロードしてください。解答するとsvg形式の画像ファイルが出てきます。

passport_template-svg

このSVGをInkscapeから開くと下記のような四角いボックスが4つ出てきます。

g1

これは、太い線の長さが4mm、細い線の長さが(太い線の下端から)34mmになっており、左右の中心に位置しています。

使い方はこうです。まず、先ほど編集した写真ファイルをInkscapeの画面にD&Dします。すると画像がインポートされます。

i1

次に、写真の重なり順序を一番下にします。するとボックスの裏側に写真がきます。

i2

そしたら、ドラッグして大きさを調整します。画像四隅にある矢印をドラッグすることで大きさを変更できますが、Shiftキーを押しながらドラッグしてください。Shiftキーを押すと縦横比が固定されます。押していないと縦横比が変わってしまうので注意してください。

そうして、箱のなかで

  • 頭頂部が太い線の下端に
  • 顎の先端が細い線の下端に位置するように
  • 顔の左右中心(鼻筋あたり)が細い線に重なるように

画像の位置&大きさを調整します。下記画像を参考にしてください。

size

ここで、髪のボリュームが大きい場合や子供が丸顔すぎてサイズに合わせようとすると横幅が収まらない場合などは、旅券用提出写真についてのお知らせ(外務省)に記載の通り調整をしてください。

サイズ調整が終わったら、写真の画像とボックスの二つを選択します。Shiftキーを押しながら画像、ボックスの二つをクリックすると複数選択できます。順序は関係ありません。

選択し終わったら右クリックして「クリップを設定」とします。すると、

comp

このようにボックスの大きさで画像がカット(クリップ)されます。

このテンプレートはL版のサイズになっています。L版ではパスポート用写真サイズが4枚分印刷できますので、枠も4つ分設けてあります。家族の写真を一度に印刷するなり、微調整したバージョンを幾つか作っておくなり、いい感じに使ってください。

印刷

Inkscapeで保存した画像はSVG形式になります。SVG形式の写真をそのまま印刷しても問題ないはずですが、私の環境だとめちゃくちゃな画像が印刷されてしまったので、一度PDF形式で保存します。保存ダイアログから出力形式をPDFにすればPDFで保存できます。

印刷するときは写真専用紙を用い、最高画質設定で印刷しましょう。規格には

 - デジタル写真の場合、ジャギー(階段状のギザギザ模様)がないもの
 - デジタル写真の場合、写真専用紙等を使用し、画質が適切であること

が適切な写真と記載されていますが、後者の「画質が適切であること」は結構気にしてチェックしているみたいな印象を受けました。あまりにひどい写真でなければ受け入れてくれるとは思いますが、私の場合は「家庭用インクジェットプリンタから出力されたのでちょっと画質が汚いがそれでよいか」と念押しされました。

また、プリンタ設定で「拡大・縮小しない」という旨の設定があるはずなので(設定画面はメーカーによって異なる)、それも有効にしておきましょう。有効にしないと、用紙サイズいっぱいに拡大したり、マージンを考慮して縮小したりするプリンタがたぶんあります。そのような設定になっていると正しいサイズで印刷されないのでご注意ください。

印刷したら定規を当てながらカッターで写真をカットしましょう。念のため、顔のサイズと位置が規格通りか定規でサイズを確認してください。

その他

写真とは関係ないのですが、その他、申請に当たってちょっと悩んだことを幾つか書きます。

期限が切れた古いパスポートを持っている場合は、それも持参して無効(VOID)の印を押してもらう必要があるらしいです。期限切れなので無効もクソもない気がしますが…。

まだ字が書けない子供の場合は親権者がサインを代筆したり申請を代理で行ったりすることができます。字が書ける場合は自分で書かないと認められないので注意しましょう。

大人の代理申請の場合は申請書裏面にある申請を委任する旨の署名をする必要があります。ここも筆跡をちゃんと確認されますので、申請書記入例を見て正しく記載しましょう。

代理申請を行う場合も申請時に本人の証明書が必要です。証明書として使用できる書類はいくつかあるので詳しくは外務省のページで確認してください…と言いたいところですが、証明書の扱いが複雑で読むのがちょっと面倒です。申請を行う人全員の免許証(子供の場合は母子手帳+健康保険証)があればOKなので、これらが揃えられるならば一式持っていくのが確実です。

まとめ

ネットで調べると自分でパスポート用写真を印刷するのは敷居が高いようなことを書いてあるサイトが多かったのですが、上記の手順でやってみるとあっけなく申請が通りました。担当者のおばちゃんは手元に定規を置いていましたが、結局サイズを測る事すらしなかったです。

パスポート用写真を作成するときに多分一番難しいのが顔のサイズを規格通りに合わせるところだと思います。これはInkscapeを使えば精度よく合わせることが可能です。

このページに記載の方法で申請が受け付けてもらえなかった際の責任は取りませんが、もしうまくいった場合は1日3回東京都八王子市の方を向いて礼をして「ありがとうございました、おかげさまでうまく申請できました」と唱えてください。作者への送金が伴えばなお良いです。

補足

記事を書ききってから気づいたいのですが、オンラインでパスポートの規格にマッチした写真を生成してくれるオンラインツールがあるみたいです。

The Online Passport Photo Generator

使ったことが無いので本当に規格にマッチした画像が出来るかどうか分かりません。国際的な取り決めなので、日本のサービスでなくても多分大丈夫だとは思いますが。

ただ、上記サービスではフリーで利用できる範囲だと結局画像はJPGでダウンロードするしかありません。すると、結局なんらかのソフトを使って印刷サイズを指定しなければなりません。だったら最初から上記で示したようにInkscapeでやるのと大して手間は変わらない気がします。