「イクメン」と呼ぶのはもうやめよう

と思った次第。

私は別にイクメンという言葉が嫌いなわけではないのだけど、これって、考え方によってはもはや古い考え方なのかなと。

「1000万世帯を超えなお増加中…共働き世帯の増え方をグラフ化してみる(2016年)(最新)」を見ますと、1980年と2015年では共働き家庭と男性が就労して女性が専業主婦という家庭の数がほぼ逆転しています(以降、便宜的に後者を専業主婦世帯と呼びます)。

1980年は共働き家庭が614万世帯。対して専業主婦世帯は1114万世帯。
1915年は共働き家庭が1114万世帯。対して専業主婦世帯は687万世帯。

つまり、現代では「共働きも当たり前になりつつある」なんて時期をとっくに通り越しているのですね。この背景には、夫の減った可処分所得を補填するために妻がパートに出るという行為がしやすくなった税制整備なども要因というすこし悲しい背景もあるのですが、ともかく、共働きはもうすでに普通なんです。共働きが普通になると家庭内にどういう変化が起きるかというと、まず育児・家事の分担でしょう。専業主婦世帯では明確に分かれていた役割を夫婦のそれぞれが同じように負担していかないといけません。

例えば手前味噌ですが、私の家庭を例にすると、一日はこんな感じになります。まず、午前5時に起床。私は洗濯と子供の登園準備をします。嫁さんは晩ごはんと弁当(曜日による)を作り、さらに子供の登園準備をします。子供の登園準備はお互いに余裕がある方が主となって準備します。その後私はブログ更新と朝食準備。嫁さんは7時すぎには準備して出発する必要があるため、私が長女と次女をそれぞれ幼稚園と保育園に車で送り届けます。その後、私は家に戻って自転車に乗り換えて出社します。迎えは嫁さんが担当します。子供が熱を出して呼び出しがかかったり、休まなくてはならない場合は交互に対応するようにしています。掃除はルンバ+週末清掃。

大体、掃除・洗濯・長女の世話を私が行い、料理・次女の世話を嫁さんがやるという感じですが、私が料理することもあれば嫁さんが掃除することもあります。こういう話をすると、「すごい!偉いねー。イクメンだねー」と言われます。

イクメンと言われるのは正直、悪い気はしないですが、もはや私にとっては上記の作業はもはや日常で完全に慣れました。たぶん独身男性が上記を読めば「絶対子育てなんて出来ねえわ」と思うでしょうが、やれば慣れます。完全に慣れの問題です。

ただこれで仕事に全く影響無いわけではなく、むしろ仕事にはかなり影響を及ぼしています。子供が熱を上げたら即座に退社する、次の日も熱が下がらなければそのまま休暇、なんて勤務で影響が出ないわけがありません。

しかしながら育児のために従業員が勤務に制限を受けるなんて状態にあったときにその責任は従業員本人に帰するというのも本来おかしい話で、育児に限らず疾病や事故というケースもありますから組織としては必ずバックアップを用意しておくのが当然だと思います。でもだからといって「バックアップについてはそっちで考えてね。僕は帰ります」という態度ではこれもまた人間が社会生活でわきまえるべき最低限の礼儀的な何かをおろそかにしているようにも思える。なので私は突然休まなければならないという事態に陥っても大丈夫なように根回しをしておきます。具体的には出来上がった仕事を7割くらいの進度で報告しておいて安全マージンを設けるとか、普段から「突然休む可能性があるよ」アピールしておくとかね。

ただ欲を言えば、もうちょっと組織のサポートがあっていいというのが正直なところです。今の時点では組織の有り難みを感じるのは、突然の休みを「許可してくれる」という一点だけです。昨今のブラック企業を考えればそれでも十分すぎるほど幸せだろうが、文句言うなや、と言われるかもしれませんが、従業員が必要なときに有給など各種休暇を申請できるのは労働者としての権利を行使しているに過ぎず、これが当たり前のことなんです。もっと志を高く持ちましょうや。

そんなこんなの日常を送る中で最近思うのが、私は時折ママ友や友人などに「すごいねー、イクメンだね」と言われてほくそ笑むのですが、これ、よくよく考えたら良くないなと。つまり、「すごい」と言われるのはつまり世の中の他の男性が私ほど家事を出来ない状況下にあるということであって、むしろ、多くの父親が世間で言う「イクメン」である状態が当たり前であるような世の中で無いと本当に共働き世帯にとって幸せな世の中にはならないのではないか?と思ったということです。

つまり私の会社を例に挙げると、私は社内で「あの人はイクメンだからさ、仕事よりも家庭なんだよ」と思われている可能性は大で、すると、私が特殊な性癖を持った人みたいじゃないですか。いや、違うじゃないですか。みんな家族居るんだよ、家族大事にしようぜ!ってことじゃん。仕事と家族とどっちが大事よ?私は家族ですよ。だって仕事で日本語が不自由な顧客とメールのやり取りをするのは苦痛でしか無いのですが、同じように家庭内で日本語がまだ不自由な4歳時の相手をするのは苦痛ではないですからね。あと、転職と離婚どっちがしんどいかって言ったら離婚のほうがしんどいでしょ。ね。仕事はクビになったら転職すりゃいいけど、離婚したらじゃあ別の人と再婚するかー、ってくらい軽いノリでいけるほどのメンタルの持ち主はあまり居ないじゃないですか。誰だってそうですよ。

だからもう、イクメンなんてのは父親が家事育児をするモチベーションを上げるためには優れた単語だったのかもしれないけど、男も女ももうそんな低レベルな吹き溜まりで満足するのはやめて、もっとこう家事育児労働を均等に負担するのが当たり前という文化を企業やプライベートで形成していけば良いんじゃないかな。その一歩としてイクメンという言葉はまあ便利なんだけど、今じゃないにしろいつかは捨てたほうが良いよね、と、こういう趣旨でございます。

で、そういうふうに社会を変えて行く原動力となる世代は今まさに子供を育てているような世代が中心になる必要があるのであって、そういうあたりを100%汲みとってくれる政治家とかが居ればいいのになーと選挙の時は毎回思うのだけど、どの候補も「共働き世帯への支援」「女性の活躍」あたりをメインのテーマにしてはおらず、とりあえず申し訳程度に一応触れてるという程度であって、票田にはなりにくい話なのかなー、残念だなーなどと思う今日このごろ。