MR. ROBOTの技術的内容を解説する(S1E4)

Season1 Eposode4 eps1.3_da3m0ns.mp4 - デーモン

タイトルの「デーモン」はサーバーで常時起動していて自動的に何かの処理を行っているプログラム。わかりやすいのがWebサーバーなど。Webサーバーは、当然ユーザーがアクセスしてくる都度、そのリクエストを人間が処理するわけではない。常時起動しているデーモンがURLに応じたコンテンツを自動的に返答しているだけだ。デーモン(daemon)の語源は守護神のこと。「ギリシャ神話に登場し、神々が煩わされたくないと考えた雑事を処理した存在」だそうだ。

冒頭はエリオットの作戦説明から始まる。データセンターでは磁気テープを使用して物理的なバックアップを残しているので温度管理システムをハッキングして室温を上昇させ、テープを破壊するという。

データセンターのバックアップでテープが使われているのか!?と驚く人もいるかもしれないが、時期テープは昔から非常に息の長いデータ保存媒体だ。よく、昔のアニメでコンピュータといえば覗き窓の中にくるくる回る円盤が設置されているようなものが描かれていたが、あれは磁気テープそのものだ。ちなみに、私も仕事で何度か操作したことがある。

一番有名なのはDATという規格のもの。元々オーディオ向けだったテープをデータバックアップ用途に流用したもので、2000年台半ば?くらいまではよく使用されていた。使い方は普通のテープと同じで、Linuxからはtar(TApe aRchive)というコマンドを使って読み書きする。ちなみに、tarは複数のファイルをひとまとめにするコマンドとしてテープバックアップ以外にもよく使用される。

一時期、廃れつつあったが最近はまた評価され、また使用され始めているらしい。185TBもの容量を誇るストレージも開発されているとか…。

しかし、私の経験だとテープの信頼性はかなり低く、数度使うと読めなくなることもしばしばあった。さすがに巨大なデータセンターのデータバックアップがテープのみに依存しているとも思えないのだが…。この作戦はもしテープ以外のバックアップがあればその瞬間失敗する。それを確かめないまますすめるのはどうなんだろう。さらに、テープは空調の排気口直下に裸の状態で置かれているわけでもないだろうから、温まるまでにはかなりの時間がかかると思われるし、あんまりうまく行きそうにないような作戦に思える。

そしてエリオットは温度調整システムをハッキングするという基盤を見せ、ダーリーンが「それってラズベリーパイでしょ」という。ラズベリーパイとは数千円という低価格なコンピュータだ。手のひらサイズだが、ちゃんとHDMI出力もUSBポートも付いている。ちなみに、私もひとつ持っていて、昔はラズベリーパイを使って監視カメラを制作するという記事も書いた。

ラズベリーパイには豊富な拡張端子が付属しているので、確かに空調システムのような単純な信号でデータのやり取りをするシステムもハッキングできてしまいそうだ。外部との通信も、Wifiや3G回線(携帯電話の通信網)を利用することもできる。

今回のエピソードではエリオットの幻覚を描写したシーンが長い。個人的にはこういう内面を抽象的な表現で描いたようなシーンは好きだ。

最後、トレントンとダーリーンがダークアーミーと接触する。ダークアーミーは車に二人を乗せると、スマートフォンを出せとがなり、投げ捨ててしまう。スマートフォンには色々細工ができる。たとえばGPSのログを保存しておくアプリなんかを含ませていて車の走行軌跡を保存しておくこともできる(相手の拠点を調査するのに役立つ)。ただ、スマートフォンをチェックするのではなくて投げ捨てるなどという行為をする割には、スマートフォンを各々一台ずつしか持っていないという甘い想定であったりと、なんだか行動がちぐはぐなようにも思える。

と言ったあたりで今回はおしまい。今後、技術的内容がひとつも出てこない回もあったような気がする…。

ちなみにこれを書いている段階で、私自身はシーズン2エピソード8まで視聴しているが、シーズン2に比べてシーズン1は見ていて安心する。ストーリーらしいストーリーがある。シーズン2は何がどうなっているのか分からない描写が多い。