子供乗せ電動自転車の危険性~Hydee 2のフロントブレーキ交換

数年前に「電動アシスト自転車Hydee. IIを買った」という記事を書きました。

それからしばらく乗っていましたが、今回色々思うところがあったので書いてみます。

まず、電動アシスト自転車+チャイルドシート(子供乗せ電動アシスト自転車)について。

これも以前ブログに書きましたが、そもそもチャイルドシートが付いた電動アシスト自転車は非常に車体が重いです。30kg前後あります。チャイルドシートが付いていないものはそれより若干軽いですが、それでも20kg台が多いはずです(スポーツ仕様のものでは20kgを切るものもあります)。対して、シティサイクル(ちょっと高めのママチャリ)は17kg前後が多いような気がします。クロスバイクは10kg弱~10kgちょい、ロードとなると10kgを切るものも珍しくありません。ともかく、重いんです。

特に電動アシスト自転車+チャイルドシートという自転車(面倒なので以下「子供電チャリ」と呼称)が重いのですが、これはその用途を考えれば理由がおのずと明らかになります。つまり、電動自転車なので重いバッテリー・モーターを搭載するために太くて頑丈なフレームを用意する必要があります。また、子供を乗せるのを前提としているためにさらに太くて頑丈なフレームを用意せねばなりません。

重いと不都合がたくさんあるのは車も自転車も人間も同じです。大体、動くにも止まるにもしんどくなるんですね。子供電チャリの場合は、電動アシストなので動くのはまあまあ楽ですが、止まるのが中々しんどいのでは、と思った次第。ここからが本記事の本題です。

子供電チャリのブレーキ

私はヤマハ、ブリヂストン、パナソニックの色々な子供電チャリのブレーキを見ましたが、記憶している限り全ての自転車で後輪がローラーブレーキ・前輪がVブレーキという構成になっていました。

まず、ローラーブレーキとは、後輪左側に装着されている薄い円筒形のブレーキで、注油用の穴とキャップが付いているのが特徴です。こいつは、グリスを正しく補充していればパッド交換の必要も無く長寿命であり、ブレーキの利き具合の調整も容易(レバーの握り具合で効き具合がリニアに代わる)、天候の影響も受けにくい、音鳴りもせずに静か(グリスが切れればさすがに鳴る)という非常に優秀なブレーキです。ノーメンテでOKというと語弊があるのですが、グリスを注油せずとも数年~中には十数年ノーメンテで運用したという報告もあるみたいなので、ほぼノーメンテと言ってよいほどに優秀なブレーキです。

しかしながら制動力はそこまで強くありません。思い切り握っても後輪がロックすることは無いでしょう(軽い自転車でキツめにワイヤーを張っていて体重を前にかければロックしますが)。ただ、自転車も車もそうですが制動力で重要になるのは前輪ブレーキですので、後輪ブレーキにそもそも強い制動力は必要ありません。

そしてその重要なブレーキとして採用されているのがVブレーキです。Vブレーキはマウンテンバイクやクロスバイクに多く採用されているブレーキで、構造が非常に単純で制動力が大きいという特徴があります。その一方でリムやスポーク、特にフレームを頑丈に作る必要があるとかいう不利な点もあるのですが、競技用でもなければ問題になるようなものではありません。ちなみに、Vブレーキは制動力が高すぎて、とっさにブレーキをかけたときは前のめりに転んでしまいがちという欠点もありますが、子供電チャリの場合はそうならないような工夫(パワーモジュレータの装着)がなされています。

一方で通常のシティサイクル(ママチャリ)に採用されているのはシングルピボットのキャリパーブレーキというやつなのですが、これとVブレーキの制動力を比べるとVブレーキの方が感覚でも分かるほどの圧倒的な制動力を誇ります。なぜ強力な制動力が子供電チャリに必要なのかというと、それは当然車体も乗る物(運転者+子供)も重いからです。

通常の自転車でもそうなのですが、ブレーキが自転車の命綱になります。重い子供電チャリはその重要度がさらに増しています。

我が家のHydee.2のブレーキ

さて、我が家のHydee2ですがこないだ嫁さんが「ブレーキが壊れた!」などと言っていました。後輪ブレーキだけで乗って帰ってきたそうです。調べてみると、ブレーキレバーからアウターケーブルが抜け落ちていました。

写真を撮らなかったので言葉で説明しますが、ブレーキレバーでブレーキワイヤーのアウターケーブルを受ける部分のネジはインナーケーブルを通すための溝が切っています。そこの溝が走っているうちに丁度ワイヤーが抜ける位置になってしまい、アウターケーブルが外れてインナーケーブルのみで引っ掛かっている状態になってしまいました。

もう一度ひっかければ良いのですが、ソフトもハードも原因を確かめないと同じ事が発生します。通常、テンションが掛かっていれば溝が運悪く外せる位置にあってもケーブルが外れることは無いはずです。見てみた所、調整ネジを最大限引っ張ってもすこし緩い感じでした。ブレーキシューはまだ残量があります。ということは、ワイヤーが伸びたのでしょうか…。しかし、ここまでワイヤーが伸びるというのは私は経験したことがありません(良くあるのかもしれませんが)。

ブレーキ周りを見るとブレーキダストもかなり飛んでおり、まださらさらの状態だったので少し違和感。

で、私が導き出した結論は「坂道をたくさん下るようになったからでは?」と予想。我が家では4月から嫁さんが働き始めて、駅までの通勤に自転車を使うようになりました。その通勤経路には長くて急な下り坂があります。子供は乗せていません(つまり重量はそこそこ)が、下り坂をブレーキで下るのもかなりの負荷がブレーキにかかります。位置エネルギー分がブレーキパッドにダイレクトに効いてきます。速度を落とそうが飛ばそうが位置エネルギーの量は変わらないのでブレーキへの負荷は大きいままです。

その結果、通常であれば使用しているうちに飛んで行ってしまうブレーキダストが多数残っているのでは?という予想。

交換

ブレーキシューはまだまだ残っているからワイヤーを引っ張って付け直せばまだまだ使えるのだけど、上記のような考えもあってちょっと高級なVブレーキにアームごと替えようと思いました。そもそもブリヂストンがテキトーに自転車を作ってる(安全性を犠牲にコストダウンしている)わけがないと私は信じているし、通勤という用途だとアームの性能(剛性アップによる制動力向上)というよりはブレーキシューを定期的に確認するという方が重要だと思います。Vブレーキのアームはそこまで高いものじゃないですしね。

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最初についていたアームはSHIMANOのロゴが書かれているもののグレード名が書かれていません。多分下位グレードのものだと思うのですが。特にMTB用コンポはさっぱりなのでネットで調べてみた所、Aceraというグレードみたいでした。ロード用コンポで言うとSoraとかその辺だと思います。これを一気にDeore XT(ロードで言えば105かULTEGRAくらい?)のグレードのVブレーキに交換します。知らない人のためにパソコンで例えますと、CeleronからCore i5に変わった感じですかね。

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なんか箱が格好いいです。Amazonで3600円くらいだった気がする。Vブレーキはフロント用とリア用で違う(何が違うのかは知らない)ので、注意が必要です。

マニュアルを参考にしながら取り付けます。慣れれば10分くらいで取り付けできるのではないでしょうか。

交換して気づいたのですが、ブレーキシューに亀裂?のようなものが入っています。本当に亀裂なのか、破壊に発展するのかは分からないですが、交換しておいてよかったですね。

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安全な場所で何度かテストして完了。

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自転車は決してメンテナンスフリーな乗り物ではない

今回思ったのはそういう事ですね。

日本のシティサイクルは非常に優秀で、メンテナンスもせず雨ざらしで何年も乗っていても何だかんだで乗れてしまいます(スーパーとかで売られている1万円くらいのチャリは除く)。残念ながら、その高耐久性がかえって「自転車にメンテナンスはいらない」という誤解を招いてしまっているように思います。私の周りだと空気圧すらまともに確認していない人が多々います。中には「1万円だしパンクしたら捨てるわ」などと笑ってる人もいて、もうちょい大事に厚かったらどうかとイラッとさせられるのですが、残念ながらそういう人は多いんでしょう。

子供電チャリに関しては子供を乗せるという点で危険性がさらに高いです。私の家では通勤が主なのですが、たとえば保育園や幼稚園への送迎で子供を日常的に乗せ、そして時に買い物に使い、カゴにはスーパーで買った飲料物を多数積載させて後ろには子供、そして長くて急な下り坂に差しかかる…という状況を何度も繰り返していればいつか事故が起きてしまうと思います。

「私はゆっくり走ってるから大丈夫」と思う人もいるかと思いますが、先ほど書いたとおり下り坂を下る場合はスピードを出していようがいまいが、ブレーキに掛かる負荷はほぼ同じです。気づかないうちにブレーキシューが寿命を迎えることもありえます。何か少しでも違和感を感じたら自転車屋で見てもらったほうが良いでしょう。

本来であれば子供電チャリにはもう少し良いブレーキ(ディスクブレーキとか専用設計品)が付いていても良いと思います。しかしながらそれをやってしまうとコストが大幅に増大してしまいますから現実的ではないでしょう。とにかく、パッドを定期的にチェックする。何かおかしければ交換する。それを徹底したほうが良いでしょうね。今回はアームごと交換しましたが、必ずしもそれは必要ではないと思います。