【質問#45】スバルXVは現行型が良いかモデルチェンジ後が良いか

質問

いつも新しい記事が投稿されるのを楽しみにしております。特に工学関係の記事は専門的な内容を分かりやすく解説してあるので、何度も読み返しています。一応機械系の大学を卒業していますが、あまり出来が良くなかったため、博識なwithpopさんを見ていると憧憬の念を抱いてしまいます。

いくつか相談したい事はあるのですが、目下一番の悩みである車の買い替えについて相談いたします。
現在私は親から譲り受けた17年物のトヨタのコンパクトカーに乗っているのですが、今年の秋に車検となるため、この車検を通すか、それとも新車に乗り換えるか迷っています。

ちなみに今購入を考えているのはスバルのXVです。
XVを選んだ理由としては主に次の3点です。まず四駆であること、手頃なサイズであること、そしてデザインが気に入ったということです。

1点目の四駆を選んだ理由は、居住地によるものです。
私が住んでいる地域はそれほど雪は多くないのですが、山の盆地ですので、どこかに出かけるとなると大なり小なり峠を越えねばならず、過去に凍結した峠道で立ち往生した経験から次に車を買うなら四駆にしようと決めていました。(現在乗っている車は二駆です)

そして2点目ですが、あまり人を乗せる機会も無いため、大きな車は必要ありません。また、今乗っている車が5ナンバーであり、取り回しも丁度いいと感じているため、大きな車に魅力は感じません。ただし、前述のように山の多い田舎ですので坂道が多く、峠を越えたりする機会も頻繁にあるため、それなりにパワーは欲しいと感じています。

3点目は好みに関する事なので、自分が気に入ればそれでいいと思っています。ちなみにXVのエクステリアはかなり好みですが、インテリアはもうちょっと頑張って欲しいかなっていう気はします。

XV以外の候補としてCX-3やヴェゼルも考えましたが、CX-3は値段が高く、ヴェゼルは不具合やリコールが多いとのことで、XVに落ち着きました。
そこでXVについて色々調べてみると、どうも近々フルモデルチェンジがあるらしいという情報が・・・。しかも今回のフルモデルチェンジはプラットフォームも変わればエンジンも変わる、アイサイトのバージョンも上がるらしいと、大幅な変更になりそうです。そしてフルモデルチェンジの時期が2017年の秋頃らしく、情報通りならあと1年半もすれば発売になります。
ただし、フルモデルチェンジ直後の初期型は不具合も多く、値下げも渋い、それに対して末期モデルは不具合も出きって熟成しており、値引きも大きい(今ならProud Editionというお買い得なモデルも販売中だそうです)ため、どちらを選ぶか非常に迷っています。

友人にも相談してみたのですが、あまり車に詳しくないため、いいアドバイスを得られなかったので、ここはひとつwithpopさんにすがってみたいと思います。
お忙しい中申し訳ありませんが、アドバイスをよろしくお願いします。

回答

博識なwithpopさんを見ていると憧憬の念を抱いてしまいます。

大丈夫です。私は「憧憬」が読めず辞書で調べました。

ご質問はXVをフルモデルチェンジ前に買うか後に買うか(もしくは第三の選択?)ということですね。

さて、まずXVを買うに至ったという選択に関してですが凍結した峠で立ち往生した経験がおありとのこと。であればスバルという選択は私も同意するところです。先の記事でも書きました通り、スバルのAWDシステムは非常に優れていると思われます。

凍結した坂道というのは雪で覆われた坂道よりも圧倒的に滑りやすく(私の経験上)、そういう場面が近所にいくつもあるということであればAWDの性能まで踏み込んで考えてよいケースかと思われます。

もう1点、それなりにパワーが欲しいという点に関してもXVであれば十分であると思います。私が乗っているCX-5 20SとXVのエンジンはほぼ同じ出力値ですが、XVの方が100kgほど軽いです。ということはXVの方がCX-5 20Sよりも遅いということはないでしょう。私はCX-5で峠や高速道路を何度も何度も走りましたが、パワー不足を感じたことはありませんので、XVでも普通に運転していたら困ることはないと思います。困るとしたら、「ものすごい加速感を味わいたい!」という要望がある人などだと思います。

大きさに関しても、荷物や人をたくさん載せるのでなければ車格は小さい方が何かと有利です。加減速燃費タイヤ寿命、あらゆる場面で軽い方が有利になります。

従いまして、AWD(悪路走破性が高い)でかつ小型車種となると、XVかインプレッサ(スポーツ)あたりが私もお勧めできる車種として最初に浮かびます。ですので、XVという選択自体には私自身も全面的に同意できるところであります。

続いて本題の「フルモデルチェンジ前か後か」という点に関してですが、結論から申しますと私はフルモデルチェンジ前に買ってしまうのが良いと思います。以降、理由を説明していきます。

1点目は、おっしゃる通り、こなれていて不具合が少ないという点です。スバルは年次改良で毎年小さなモデルチェンジを積み重ねていきますが、そうして完成した末期のモデルには定評があります。

質問者様は今の車に17年乗った(その期間ずっと運転していたわけではないと思いますが)との事で、大切に物を扱う方なのだろうと思いますので、次の車も長く乗るためには年次改良を重ねて技術的に枯れたモデルの方が合っているのではないかと思います。

重ねて言えば、ヴェゼルやCX-3は良い車ではありますが、この点でもあまり質問者様にとってはそこまで良くない選択肢なのかなと思いました。ヴェゼルはご指摘のようにi-DCDシステムが複雑で不具合が多いです(それを上回ってステップATのハイブリッドであるという得難い魅力があるとも思いますが、それを魅力と感じるのは一部の人だけだとも思います)。CX-3についてもメジャーな不具合情報は今のところ聞きませんが、クリーンディーゼル自体がまだ従来のガソリンエンジンに比べると新しい技術ですし、長期間での使用に対してどう劣化・故障していくかが不透明なところがありますし、メンテナンスコストもガソリン車よりは高くなるでしょう。

2点目はEyeSightの次期バージョンはそこまでの機能向上は無いものと予想されることです。

まず、EyeSightは現段階のVer.3で競合システムと比べても優れた予防安全性能を発揮しています。次期バージョンではこれに加えて単レーンでの自動運転を実現するとの事です。より具体的に言うと、0~65km/hの範囲での車線維持機能を追加することで渋滞時にカーブに差し掛かっても前車に自動的に追従していく機能(TJA; Traffic jam assist)を追加するとのことです。

スバル、2017年にアイサイトを進化させたレベル2自動運転を市販車に投入

たしかに便利な機能とは思いますが、現時点でも全車速追従機能は実装されているわけですから、大幅な機能向上とは言い難いように私は思うのはいかがでしょうか。想像ですが、日産がもうすぐ発売されるセレナで単レーンでの自動運転を実現するということですので、それに対抗する意図が大きいような気がします。

また、中途半端な自動運転は事故の危険性を増してしまうという指摘が以前から業界内ではあります。「基本的にはドライバーは運転する必要が無いが、非常時には人間の介入が必要」というシステムでは人間はリラックスしすぎてしまうのでとっさの事態を回避できません。たとえば、Volvoの技術者がTeslaの自動運転システムに対して同様のことを述べています。

ボルボの自動運転カーのエンジニアいわく、テスラの技術は「なんちゃって自動運転」

ビクター氏によるとボルボは、ドライバーが常に待機状態にあることを求められ、必要な時には運転を引き継ぐ必要のある「レベル3」は安全ではないと考えているとのこと。レベル3であっても名目上はドライバーが車両の運転に責任を持つことになりますが、実際にレベル3の自動運転が行われることでドライバーの意識は運転から外れ、おのずからメールのやりとりや映画鑑賞に集中する状態になるというのが、安全ではないとする理由です。ボルボはこの件について「ドライバーの監視が必要な半自動運転モードの時と、監視が必要ない自動運転の時では、ドライバーに明確な違いを感じさせることが重要です」と語り、中途半端な状態にドライバーを置き去りにしないことの重要性を示しています。

そして実際にこないだ事故が発生しました。

テスラ自動運転中の死亡事故、ドライバーがDVD鑑賞か?

これから、ADAS(先進予防安全システム)の延長として自動運転技術の実装が盛んになってくると思いますが、私はVolvoの技術者が言うように非常時でも緊急回避が自動で行えるレベルに達するまでは、現状のADASレベルのシステムを使い続けたほうが一消費者としては事故のリスクを減らせるので良いのではないかと考えています。

3点目は、スバルのグローバルプラットフォームが、そこまでユーザーにとってありがたいものとなるか分からないという点です。そもそも、この共通プラットフォーム(マツダで言えばSKYACTIV、トヨタで言えばTNGA、日産で言えばCMF)の目的と言うのは、開発・設計費の削減と、それに伴う商品戦略の容易化が主となっていると思われるからです。

もちろん商売なので「グローバルプラットフォームを採用したことで、従来と比べて剛性50%アップ」みたいな事は言うでしょうが、評価方法も明かしていないですしただの営業トークの域を出ないのではと感じています。

そもそも、(共通でない)プラットフォーム思想は新しいものではありません。「スモールカー」「中大型」「Xセグメント」などといった分類で共通の設計を定め、それを変化させていくというのは従来から行われており、それを全車種に拡大する(=共通プラットフォーム、グローバルプラットフォーム)という違いに対するユーザーのメリットがいまいち理解できません。設計手法の改革にマーケティングトークが乗っかったのだと私は認識しています。

さらに言えば、スバルにとっては共通プラットフォームによる開発は初となるわけですから、その点で何らかの技術的チャレンジはあるでしょうし、するとなお「新技術の導入によって不具合が一時的に増大する」という傾向が強まってしまうのではないかとも思います。心配しすぎかもしれませんが…。

4点目は、そもそもXVという車種がすでに気合を入れて作られている良い商品であるということです。コンパクトSUVというジャンルは日本のみならず世界的に人気が高のですが、競合相手もひしめき合っています。そんなところに投入する車種をテキトーに作るわけがありません。実際、XVはスバル車の人気が高い北米市場でも戦略的な車種として投入され、売り上げは好調です(ちなみに、クロストレックという名前で販売されています)。

そんな車種の改良を重ねた最終モデルですから、益々長く乗り続けるには持ってこいの完成度になっていると思われます。

最後、5点目はこれもご指摘の通り値引きが大きいことでしょう。コストパフォーマンス教の信者として、最後にこれを持ってきました。

車の場合、値引きが渋いか大きいかによって数十万円単位で支払額が変わってきます。たとえば新型と現行型で値引き額が40万円違ったとしましょう。この40万という金額は、燃費が15km/Lの車と燃費が33km/Lの車の10年分のガソリン代の差に匹敵します(年間1万km走行、ガソリン110円/Lとした場合)。今回の場合ですと、新型を待つならば車検も通さないといけないのでさらに十数万円がここに加算されてしまうことになります。

値引きは購入する商品は何も変わらないので単純にコストパフォーマンスが向上する非常に強力な武器になります。これは活用できるならぜひとも活用したいところです。

…という感じで以上5点、現行型が良いと思う理由を挙げました。ご参考になりましたら幸いです。