【質問#41】転がり抵抗AAAのタイヤのコストパフォーマンス

質問・悩み相談の回答です。

質問

こんにちは、いつも感心しながら拝読させていただいています。私もコストパフォーマンスを考えるのが大好きです。
私も質問させてください。タイヤについてです。
現在トヨタシエンタに乗っておりますが、そろそろタイヤ交換を考えております。
近所のタイヤショップのHPに ヨコハマのブルーアースAE-01Fが未使用セール品で16000でしたので考えていたのですが、すでに販売済みでエコスES31を同額程度で勧められました。

タイヤのコストパフォーマンス的には少々転がり抵抗AAAのものを購入したほうがよいのでしょうか?
大して違いが感じられないならAのエコスでもいいでしょうか?またwithpopさんの気になるタイヤはありますか?よろしくお願いします。
シエンタのタイヤサイズは175/70/R14です。現在のTOYOタイヤは少々ロードノイズが気になります。

回答

ECOSってクラスAなんですね。ECOSは「低燃費タイヤ」を銘打ったおそらく最初のタイヤだったように記憶しています。その頃はまだ転がり抵抗のクラス分けなどありませんでしたが。今改めてホームページで確認すると転がり抵抗よりは耐摩耗性(寿命)をアピールしているようです。

ともかく、コストパフォーマンス教らしく(?)まずは定量的な評価をしていきましょう。

タイヤの転がり抵抗とは燃費を語る上でどのように効いてくるのでしょうか?車が直線走行している時、大ざっぱに以下のような力が車に加わってきます。

  • エンジンがタイヤを通じて伝える駆動力
  • 空気抵抗
  • タイヤの転がり抵抗

空気抵抗とタイヤの転がり抵抗の力のベクトルはタイヤの駆動力のベクトルとは反対方向なので、結果的に車に伝わる力は

  • エンジンがタイヤを通じて伝える駆動力 - 空気抵抗 - タイヤの転がり抵抗

という形になります。タイヤの転がり抵抗が低いエコタイヤというのはつまり、転がり抵抗を小さくして車が前進する力を大きくし、その分燃費向上させようとする目論見ですね。では、こいつらはどの程度のオーダーにあるのでしょうか。

たとえば私が載っているCX-5を例にしますと、

  • エンジンがタイヤを通じて伝える駆動力: 最大 7500[N] くらい
  • 空気抵抗: 330[N]くらい(60km/h)
  • 転がり抵抗: 123[N]くらい(RRC=8.4, 車両重量1500kgとした場合)

という感じです(式は面倒なので省略します。すみません。ご興味があればまた質問してください)。

説明に必要なので転がり抵抗だけ式を示すと、以下の式で導出できます。

  • 転がり抵抗[N] = 9.8 [m/s^2] × 車両の重さ[kg] × 転がり抵抗係数

この転がり抵抗係数という値をRRCと呼び、RRCの値によって下記のようにランクが分けられています。

転がり抵抗係数(RRC)×10^-3 等級
RRC≦6.5 AAA
6.6≦RRC≦7.7 AA
7.8≦RRC≦9.0 A
9.1≦RRC≦10.5 B
10.6≦RRC≦12.0 C

JATMA ラべリング制度について

なので、たとえば等級Aのタイヤ(RRC=8.4とする)と等級AAAのタイヤ(RRC=6.5とする)の転がり抵抗を比較します(重量は同じ1500kgとする)と、

等級Aのタイヤ: 123[N]くらい(前掲と同じ)
等級AAAのタイヤ: 96[N]くらい

となります。空気抵抗分を除いた駆動力が7500-330=7170[N]ですから、おおざっぱには1.3%くらいの燃費が改善できそうです。メーカーが言っている燃費低減効果は大体数パーセントのオーダーなので違和感はない数字ですね。逆に言えば1割を超えるような大幅な燃費向上は期待できないという事です。

もうすこし現実感のある数字を提示しますと、たとえばいろんな車の燃費[km/L]のオーダーは大体10~20km/Lくらい、つまり2桁です。それに対して数%の燃費向上というのは、大ざっぱに言って0.1km/Lの桁の燃費向上と言えます。転がり抵抗クラスAのタイヤからAAAにグレードアップしても得られる効果というのはその程度です。この程度の燃費向上効果というのは夏場のエアコンや運転の仕方、選ぶルートであっという間に埋もれてしまう量です。

また、タイヤに関して言えば転がり抵抗に大きくかかわってくるのはタイヤの素材や大きさではなくて空気圧です。空気圧が減っただけで先に述べたようなグレード間の差などあっというまに消え失せてしまうほど転がり抵抗が増大します。もし、今定期的(たとえば1か月ごと)に空気圧をチェック・補充されていないのでしたら、定期的にチェック・補充したほうが燃費向上効果は大きいと思います。

ということで、「燃費向上」という観点において低転がり抵抗なタイヤを購入するメリットはあまりなさそうです。

その他の観点ではどうでしょうか。

低転がり抵抗なタイヤの燃費向上以外の一般的な特徴としては、グリップ力の点で劣り、ロードノイズが大きくなり、耐摩耗性が向上するという傾向があります。

グリップ力は道路で法定速度を守って走行する限り大した差はありません(通常のタイヤとハイグリップタイヤでは運転したフィーリングに違いがあるということはわかりますが、実使用上そこまで効果があるわけでもないと思います。グリップ性能にこだわるかどうかという違いだと思います)。

ロードノイズは明らかに差がありますが、ロードノイズを改善するには静粛性に優れたタイヤを装着するよりは車内から車外へ通じるの開口面積がどれだけ小さいか、遮音の効果を果たす部材がどれだけ重いか、共振するか、などの要素の方が大きくかかわってきます。つまり静粛性はユーザーがあとから変更できない設計によるところが大きく、静粛性が高いとうたうタイヤを装着したところで高級車のようになるわけではありませんから、その限定的な効果に対してどこまでお金を払えるかということになるでしょう。ここは定量的に判断できないのでむずかしいところですが…。

耐摩耗性に関しては、車のライフサイクルのなかでタイヤの交換回数を減らさないと実際の効果としては発生しません。車を乗り換えると蓄積したタイヤ寿命の延長効果はリセットされてしまいますから、ここも現実的な効果が高いとは思えません。

というわけで、以上をまとめますと、

  • 低転がり抵抗のタイヤを買うくらいなら空気圧をまめにチェックすべき(今していない場合)
  • その他の特徴を鑑みても、低転がり抵抗のタイヤを積極的はない

という夢の無い結論になりました。

現在の不満としてロードノイズを挙げられています。であれば、静粛性をうたったタイヤを選ぶのも良いと思います。上記で述べたように効果は限定的と思いますが、経験的には耳で聞いて効果を実感できる程度の差はあります。

なので、「転がり抵抗AAAのタイヤ」「転がり抵抗Aのタイヤ」ではなく「静粛性をうたったタイヤ」「安いタイヤ」の二つの候補から決めてみるというのはいかがでしょうか。

個人的にはタイヤを選ぶときは主に値段で決めています。4本で1万円以下くらいの差であれば上位グレードを選ぶ、みたいな感じでしょうか。