【質問#40】『ダウンサイジングターボとSKYACTIV-Gを比較してみた』の資料の見方等について

質問・悩み相談の回答です。

質問

はじめまして。興味深い記事いつも参考にさせて頂いております。
さて、2015/4/20の表題記事について、グラフの見方とwithpopさんの考え方を教えてください。
この記事の終盤に使われている『CX5ガソリンの燃料消費量』のグラフですが、D=ディーゼル(グレーの棒グラフ)、
B=ガソリン(白の棒グラフ)と思うのですが、記事を読むと上段にある黄色の棒グラフがガソリンの消費量のように書かれています。
グレーがディーゼル、白がガソリンですと、どのシチュエーションでもディーゼルの燃料消費が少ないので、黄色がガソリンだと
思うのですが、いかがでしょうか。またその時、白のグラフは何を表しているのでしょうか。
グレーのドイツ語durchschnittは”平均”と訳されさらに混乱してしまいました。
(記事中の『ここでディーゼルに注目してください』の部分はガソリンの間違えと思って読んでいます)

次の質問は、この記事の説明部分の流れなのですが、”『ドイツの自動車評価の図』と人見氏の主張とは食い違う”
ということでよろしいでしょうか。
こ確かに、記事中で使われている『高負荷』とは高回転=高馬力の事を指していると思われますが、
グラフや人見氏の発言の引用ではアクセルを踏み込む領域(高回転=高馬力)の燃費が良いとされており、
であれば、ディーゼルはガソリンに比べ、市街地燃費が良く、高速(低回転で一定速度で走行する)燃費は悪化する
と思います。これはドイツの自動車評価の図とは違う結果となります。

質問の意図ですが、私はDSターボに乗っており、このあたりの考え方を知りたいと思って調べており、
記事について質問した次第です。
自分の理解力が無いうえに、話題性の無い質問で恐縮ですが、お手間でなければご教授ください。


申し訳ありません。先程4/20の記事の質問をしたものです。
自己解決しました。
この図は同クラスガソリン車ディイーゼル車の平均とCX5の比較ですね。
CX5のガソリンとディーゼルの値と勘違いしました。
読解力がなく、お恥ずかしい限りです。

回答

1.資料の見方

これですね。

image from ADAC Autotest

すでにおわかり頂けたとの事で説明不要と思いますが、たしかにこの図は分かりにくいので、その他の読者の方々にも向けて一度説明いたします。(読解力が無く、と書いておられますが実際記事を書いた私が読み返しても最初意味が分かりませんでした。図のせいです、これ。)

図中黄色の棒グラフがCX-5のガソリンモデル(たしか2.0L だったはずです)の燃費計測結果です。単位はL/100kmです。100km走るときに消費した燃料の量なので、少ない方が燃費性能が高いということになります。

灰色のグラフ(D)は市場のディーゼルエンジン搭載車種の平均値です。母数がどうなっているのかはちょっと良くわかりませんが、仰るとおり同クラスのSUVが対象になっていると思われます(元の資料を読めば書いてると思いますが、ドイツ語なので…)。白のグラフ(B)は同じく市場のガソリンエンジン搭載車種の平均です。

CX-5のガソリンモデルは市街地ではディーゼル車以上の燃費性能を叩きだし、郊外路でもディーゼル車と同等の燃費を達成しています。しかしながら、オートバーン(高速道路)ではディーゼル車よりも燃費性能が悪化しています…ということが読み取れます。

2.「ドイツ自動車評価の図と人見氏の主張は食い違う」という主張で正しいか

こちらは、半分YESです。なぜ半分かと言いますと、そう言い切るのに自信が無い(データが足りない)からです。

もう一度簡潔に(簡潔に書けるかわかりませんが)書いてみます。

人見氏の主張は「高負荷時は燃料をリッチにもしていないしリタードも使っていない」というものです。リッチにすることもせず、リタードもせずにどうやってノック対策をしているのかは、明らかにされていません。高負荷時のノック対策としてリッチもしくはリタードにすれば燃費は悪化しますが、燃料リッチもしくはリタードのいずれも行わなければ高負荷時でも燃費は大幅に悪化しないはずです。

しかしながら、ドイツ自動車評価の図では高負荷1であることが予想されるアウトバーン走行時では燃費が明らかに悪化していますし、他ならぬ人見氏の講演で使われたスライドとマツダ技報の図からみても高負荷時に燃費(BSFC[g/kWh])が急激に悪化するような傾向が見て取れます。

image from 内燃機関の将来展望

下記のマツダ技報に掲載されていた図に至っては右端の都合の悪い部分を打ち切っている感すらあります。

image from マツダ技報 No.31 新型アクセラ/Mazda 3 の紹介(2013)

横軸の単位が違うのではっきりとは断言できませんが、マツダは以前にもグラフをいびつに細工していたという過去があります。

マツダが誇張したグラフの件で謝罪してた

しかもプレスリリースはリンク切れという体たらく…。大手新聞社のオンライン版でもよく記事がリンク切れになりますが、全く誠実さを感じません。

話を戻して、上記のBSFC vs BMEPのグラフですが、高負荷領域でBSFCが上昇していく(燃費が悪化していく)傾向は他のエンジンの曲線でも見られます2。ですので、どの程度悪化するのかということが本当に知りたいことなのですがグラフ軸に数値が書いていない以上は判断できません。こういうあたり、ユーザーとしては誤魔化すのではなくはっきり値を提示していただきたいと思うのですが、まあどこのメーカーも似たりよったりなので業界全体の問題(?)なのかもしれません。

以上のような状況から一番しっくりくる筋書きは、人見氏の言っていたリタードもリッチにもしていないというのは間違いで、実際はそれらを導入して高負荷時の燃費は悪化しているというストーリーです。しかしながら、情報がないので検証できません。

以上のようなことがあって、「ドイツ自動車評価の図と人見氏の主張は食い違うという主張か」という点に関しましては、半分YESです。

マツダ技報の図を見ますと、ダウンサイズターボと比較すると広範囲でSKYACTIV-Gのほうが良い燃費性能を発揮しているように見えますし、ここで問題としている高負荷領域はそこまで常用することも無いので、もしかしたらここで述べているのは重箱の隅を突くような指摘かもしれません。しかしながら、やはり数値が書いていない以上はっきりとした比較はできないので断言することもできません。

なんとも歯切れの悪い回答になってしまいましたが、ここらへんがネットで得られる情報の限界でした。


  1. この「高負荷」という言葉の使い方は厳密にはBMEP(正味平均有効圧≒軸トルク)が高い領域という意味で使っています。 
  2. もしご興味があれば、「BSFC vs BMEP」などのキーワードでGoogle画像検索してみてください。いくつかグラフが出てきます