車は買わない方がいい

こないだ、職場の人と飲んでいて「車は買わない方がいいよね」という話題で意見が一致したのが面白かった。

ちなみに、私もその職場の人も車を所有しており、どちらかというと車好きの部類である。ではなぜ、それでも車を買わない方がいいのかというのをここに書いてみる。

金がかかる

言うまでも無く金がかかります。

車検をすれば10万前後のお金が飛んでいきます。4月には税金を払います。1~4万程度でしょうか。あとは月5千~1万円くらいのガソリンを入れ、月1~5万円くらいのローンを支払うのでしょう。あとは自動車の任意保険もありますね。安くても大体年間5万程度はかかるのではないでしょうか。

特に、自動車ローンで月々数万円単位の支出があると言うのが家計には中々の打撃です。総額でいくら払うかというよりもキャッシュフローが悪くなるというのが最大の問題だと私は思います。こういった月単位でかかる支払は少しずつ家計を圧迫していきます。

また、自動車ローンは当然ながらローンなので個人信用情報機関に支払記録が残ります。支払いが遅れれたり、残額が大きかったり、月額の支払いが大きいとその他のローン審査やクレジットカードの発行審査などに影響します。

私の場合は住宅ローンを契約する際に「最大優遇金利を受けるならば自動車ローンを即時完済すること」などという条件を出されたこともありました。結局、交渉の末その条件は外れましたが、融資する側にとって金利の高い自動車ローンはなるべく完済しておいてほしいというのが本音だそうです。

車が無いと大きな荷物を運ぶときや、公共交通機関では行きにくい場所へ向かうときなどに困ると思います。しかしながらそういう機会は年何回あるでしょうか。そういう事があるたび、配送を依頼したりタクシーを使ったりしたとしても、そのコストは自動車ローンよりも高くなることは中々無さそうです。

人を殺す危険性がある

日常を普通に生きている一般人が直接的に人を殺してしまうほとんど唯一とも言って良い可能性が交通事故でしょう。

どれだけ注意しようと交通事故は発生します。貰い事故でも損害賠償責任が発生するという判決もありますし、こないだも国分寺の府中街道で7か月の乳児が死ぬ事故がありました。

これは渋滞の車列の間、それも横断歩道でない場所から子供を背負った33歳の母親が自転車で横断を試み、対向車線を走る車と衝突した事故です。これを避けるのはかなり難しいことが容易に想像できます。世間では自動車ドライバーへの同情の声が大きいです。訴訟でどういう判断になるのかは分かりませんが、少なくとも言えるのは自動車ドライバーへの過失はゼロにはならないだろうと言う事です。ニュースを見ると車を運転していた25歳の女性は、自動車運転過失致傷の現行犯で逮捕、その後自動車運転過失致死傷になったとありますから。

というか、もし過失がゼロで刑事責任が無く、民事でも訴えられなかったとしても(まず無いと思いますが)、人を殺めてしまったという精神的なショックは非常に大きいものです。

自転車事故でおんぶの赤ちゃん死亡 潜む危険を検証しました。

現場近くにいた人は「ドンという音がしたから、なんか嫌な予感がした。一生懸命、人工呼吸をやっていて。『駿成君、頑張って』とか、お母さんが声をかけていた」と話した。

自分が引き起こした事故でこういう光景を目の当たりにしたら、普通の人はもはや普通には生活できなくなります。何年にもわたって良心の呵責に苛まれることになります。

ドライバーの女性は25歳ということです。たとえば5年くらい経って、毎年墓参りと謝罪を重ね、ようやく気持ちの整理がつき始めたころにもしかしたら結婚するかもしれません。結婚式を挙げるかもしれません。その時は確実に「自分は人を殺しておいて幸せになって良いのだろうか」と思う事でしょう。人生の大きなマイルストーンを鬱々とした気持ちで迎えることになります。

そのあと数年して33歳になり、子供が生まれるかもしれません。そうして33歳にして子供を育てたときに、「33歳の母が7か月のわが子を失う」という悲しみを心から理解できるようになります。その時は事故を起こした瞬間よりもいっそう自責の念に駆られるでしょう。その後、わが子が成長するにつれ、一方でわが子の成長を見届けることが出来なかったもう一人の母親の事が頭から離れなくなるでしょう。

これは意地悪で書いているのではなくて、本当にそうなんです。普通の人は免許の更新の時の事故ドキュメンタリーDVDを見て暗い気分になる程度で、今回のニュースに関しても「抱っこひも背負って自転車に乗って道路に飛び出す方がイカンよなあ」などとTwitterに書くくらいでしょうが、しかし、年間4千人くらいは今も交通事故で死んでこういう目に遭っているひとは居るのです。車を運転するすべての人にはこういう立場に陥る可能性があります。

車を運転すると言う事は、そうやって人生を激変させてしまうリスクを常に負っているということです。

じゃあなんで車を買ってしまうのか

そういうリスクや費用負担があるにもかかわらずなぜ車を所有するのか。これは人それぞれ理由があるでしょう。

まず一番わかりやすいのが地方在住者です。私は秋田で生まれ育ちましたが、田舎では大体一人に1台レベルで車を所有しています。公共交通機関が発達してないからです。整備したところでコストを回収できないので、今後も田舎では公共交通機関は発達しないでしょう。車が無ければ仕事に行くことも遊びに行くことも買い物に行くことも病院に行くことも出来ません。単に生活するために必須であるから、そのリスクも費用も許容する、ということです。

もう一つは趣味というのもあるでしょう。物事が「好き」であるという単純な気持ちが動かす原動力というのは非常に強です。車に乗りたい、車を運転したい、車をいじりたいという気持ちが費用とかリスクとかをかき消してしまうと言う事ですね。

その他、家庭の事情で子供や祖父母の送迎が定期的に発生するだとか、単に車があった方が便利だとか、仕事で使うとか、スキーやキャンプなどその他の趣味で必要になるとかまあ色々な理由があり、それによって車を所有することにリスクや費用負担を上回ってメリットがあると考えたという場合でしょう。

あとは単に深く考えていないという場合も多いと思います。具体的に自動車に費やすお金が得られるものと比較して高いのか安いのか検討したことが無い、自分は絶対に事故を起こさないと盲信している、などです。(非難がましい口調で書いていますが、別にそういうつもりはありません)

ちなみに私は、子供の送迎で必要だとか、趣味だとか、日常の足としての利便性だとか、そういうのがいい感じにブレンドした理由で車を保有しています。大きな理由は家族が居るからでしょう。私は車好きですが、それでもたぶん独身だったら車は所有していなかったと思います。

自動運転の重要性

さて、多分ここからが本題のような気がします。

車そのもののコストに関してはあまり減る兆候も要素もありませんが、しかしながら保険費用やガソリン代、そして交通事故リスクについては大いに低下できる要素があります。それが自動運転技術です。

自動運転技術や先進安全装備が発達するにつれて交通事故は確実に減っていきます。事実、スバルのEyeSight装備車はそうでないスバル車よりも追突事故件数が1/6以下になったという報告があります。

アイサイト搭載のスバル車、追突事故6分の1以下に 財団法人データ、安全運転サポート裏付け /群馬

 搭載車24万6139台と非搭載車4万8085台について調べた結果、1万台当たりの追突事故は、アイサイト登載車が9件、非登載車56件▽車同士の事故全体では搭載車54件、非搭載車140件▽歩行者が絡む事故は搭載車7件、非搭載車14件。人身事故全体では搭載車61件、非搭載車154件だった。

また、同様のニュースがVolvoでも取り上げられています。

自動ブレーキが事故の減少に貢献

  今年初め、IIHS(米国高速道路安全保険協会)の報告書において、シティ・セーフティの技術が衝突事故の頻度を最大22%減少させる効果を有すると報告されました。

スウェーデンの保険会社ボルビアによる類似調査によると、自動ブレーキを搭載したボルボ車は、搭載していない車に比べ後方衝突事故を起こす確率が22%低いと報告されました。

EuroFOT(European Field Operational Test)研究プロジェクトが発表した最終報告書では、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と衝突警告機能が付いている車は、高速道路走行時に前方車両に追突する危険性を最大で42%軽減すると結論づけました。

自動運転技術や先進安全装備が進化するほど交通事故リスクは下がります。交通事故リスクが下がれば保険会社も優秀な先進安全装備や自動運転技術を装備した車に対してはより安い価格で保険商品を提供できます。また、自動運転技術がさらに進化して隊列走行や交通量制御が柔軟に行えるようになれば燃費性能の向上も大いに期待できます。

で、先日の「燃費/排ガス不正問題の本質」という話しにつながるわけですが。つまり、車は自動運転技術を装備することでどんどん良いものに生まれ変わる可能性を秘めています。であれば国家としてもそれをより強固に推進すべきで、具体的にはユーザーにとって分かりやすい「スマートカー減税」のようなインパクトのある施策を実施してほしいなあと思う次第です。