【質問#35】【質問#34の続き】ADASのセンサーについて

質問・悩み相談の回答です。

質問

赤外線でのACCについてご回答いただきありがとうございます。

ACCのセンサーについてのさらに疑問が浮かんでまいりました。
測距能力は 赤外線 < 単眼カメラ< ミリ波  というようになっているようですが、
それぞれ、赤外線(ADASで使用しているクラス1で5万円程度の市販の距離計測用のセンサー)では、50m~80m。
単眼カメラは、よくわからないのですが、トヨタのTSSCの解説ページでは赤外線よりも長距離の測距ができると書いてありましたので、100m~200mの間でしょうか。
ミリ波は、デンソーのホームページでは200mとありました。

ここで気になるのは、各センサー、それだけの測距能力があれば、
対象の物体が「何か?」の判断が困難だとしても、
40~50km/hからの停止など簡単なのではないかという点です。

自動車交通安全運転WEBというサイトを参照しましたが、乾いたアスファルトでの制動距離は
20km/h では 3m
30km/h では 6m
40km/h では 11m
50km/h では 18m とあります。
コンピュータが判断するので、空走距離がどの程度になるのかはわかりませんが、
上記の測距能力であれば、余裕で、衝突を回避できそうです。

そうなると、自動ブレーキの作動は、停止距離寸前まで近付いてから行うようにしていると考えられます。
以前の回答に、「人間と機械の判断のどちらを信じるか」というのも自動ブレーキの性能差に影響を与えているとありましたが、
空走距離の個人差など、人間の運転にはバラツキがあるのでしょうから、
自動ブレーキの性能差はセンサーの優劣のみではなく、やはりソフトウェアの違いがかなり大きいのではないかと、
考えられます。

以上、今考えていること書いたのですが、
今回の質問です。
以前の記事での回答で、
『ADAS用の赤外線レーザーの測距可能範囲はおそらく、良くても前方10mちょっと程度ではないでしょうか。赤外線レーザーのみ搭載の車両では20km/h以下くらいでないと衝突回避まで持って行けないようです。ですので赤外線の測距可能範囲というのは下手したら10m無いかもしれません。』とありましたが、
停止に十分な物体までの距離は計測しているが、
「物体が何か?」の判断が怪しいため、または
「まだ間に合うよ!警報出ているから流石にブレーキ踏むよね?」と人間の判断をギリギリまで待ってしまい、
赤外線のみの自動ブレーキは作動上限速度の30km/hでも衝突してしまっているというのが正しいような気がします。

ご検討よろしくお願いいたします。

回答

停止に十分な物体までの距離は計測しているが、
「物体が何か?」の判断が怪しいため、または
「まだ間に合うよ!警報出ているから流石にブレーキ踏むよね?」と人間の判断をギリギリまで待ってしまい、
赤外線のみの自動ブレーキは作動上限速度の30km/hでも衝突してしまっているというのが正しいような気がします。

そのとおりだと思います。(「測距可能範囲」という言葉が良くなかったです、すみません)

参考までにもう少し踏み込んでお話しますと、

赤外線(ADASで使用しているクラス1で5万円程度の市販の距離計測用のセンサー)では、50m~80m。

私が乗っているCX-5のマニュアルを見ますと、クラス1Mのレーザーが載っていました。ですのでクラス1レーザーを搭載する距離計よりももう少し強いレーザーが載っているようです。N BOXもクラス1Mでしたので、だいたい車載用ではクラス1Mが載っているのではないかと思います。

では、自動車のレーザーを用いたADASシステムでも50〜80m程度の距離の物体を探知できるかというと、環境に強く依存してしまうと思います。晴天時には他の光が測定の邪魔をするでしょうし、照射した物体の反射率や角度によっても探知可能範囲というのは変わってくるでしょう。実際、クラス1レーザーを採用する距離計の商品情報を調べてみても、屋内での使用を推奨している機種が多いです。

レーザー距離計の選び方

屋外も使用できると書かれているもの(例えばLeica DISTO D510)はクラス2レーザーを搭載していました。

では、クラス1Mレーザーで晴天時の屋外においてどの程度の距離まで測定可能かというのは残念ながら調べてみましたがよくわかりませんでした。以前から思い出すたびにググってはいるのですが、書いてある記事によって「10m程度」「10〜20m程度」「30m程度」「数十m」とかなり開きがあります。ただ、やはり50〜80mというオーダーよりはもう少し短いような気がします。

このあたりは、「何を持って探知したか」とみなすかという判断の曖昧さが大きく絡んでいるのだと思います。継続的に正確な距離を測定できなければADASシステムでは使用できませんが、その「継続的」というのはどのくらいの時間でどのくらいのエラーまでを許容するのか。そのあたりで、ご指摘のような「ソフトウェアの違い」、つまりセンサーからの情報をどこまで信頼するかという違いから性能の違いが生ずるのだと思います。

これまでの話をまとめますと、

  • 理想的な環境での赤外線レーザーの探知距離 : 50〜80m
  • 屋外で環境光とミックスした状態で曲面に照射された場合の最大距離:30〜40m(たぶん)
  • ADAS用途で信頼できる継続して測定精度が達成できる距離:20m以下(たぶん)
    − 実際にブレーキがかかる距離:20m以下(たぶん)

という感じなのではないかと思います。

そして、ご指摘の通り警報を出してドライバーの指示を待ったりする時間もあるでしょうし、いきなりフルブレーキをかけるのも危険なのでゆっくりとブレーキをかけるという制御もやるでしょうし、そういうことが重なって実際にフルブレーキがかかる1のは10m以下くらいであって、であるからレーザーのみによる自動ブレーキシステムは30km/h未満程度でしか衝突回避できないのだと思います。


  1. 車種によってはフルブレーキがかからないと思います。たとえば、私のCX-5でも「衝突が避けられないと判断した時は警告とともにブレーキをかけます。この状態で運転者がブレーキを踏んだ時には即座に強い制動力を発揮させます」というような記述があり、実際一度だけ作動させたことがありますが、システムが自動でブレーキをかけている間はフルブレーキの半分程度の制動力でした(感覚的に)。