【質問#12】家のこと

質問・悩み相談の回答です。

質問

はじめまして。
CX-5の購入を検討している時にこちらのブログに出会い、以来家に関することなど車以外の記事も含めて楽しく拝見しています。こちらに出てくる情報から推察するに、withpop様は非常に聡明であり器用でもあり、かつ冷静に物事を判断できる方なんだなぁといつも感心している次第です。
私は恥ずかしながら大学にも行かずに社会に飛び出し、社会人になってから学生時代の不勉強を必死に取り戻し、何とか人並みの生活をさせてもらっています。
おかげさまで無事CX-5も契約が済み、2月中旬の納車を楽しみにしているところです。

と、前置きが長くなってしまいましたが、私が相談したいのは家のことについてです。私は現在妻と子供二人の四人家族で、神奈川県の中でも比較的人口の多い地域に住んでおります。夫婦ともに、実家も同じ市内です。今すぐではないのですが、近い将来私の実家(一戸建て)を相続する予定があり、その際には上物を建て替える必要があるため、少しずつ情報収集を始めています(今ある実家の建物は築40年以上なので)。
こちらで一条工務店で家を建てた話を拝見してから非常に魅力を感じるようになり、実際の感想をお聞かせいただければと思いメールさせていただきました。
気になる点としましては、①床暖房の性能とランニングコストについて②間取りプランの自由度について③太陽光発電の性能について の三点です。
①は、妻が冷え性であるため非常に魅力を感じており、普段使っていてのコストが大まかに分かればありがたいです(今住んでいる分譲マンションには床暖房がないこともあり次の住まいでは絶対外せないと言っているので)。
②は、実家の土地が約70坪なのですが、長方形のため間口が狭く奥行きが長い形をしているので、そういった地形にも対応可能なプランがあるのかどうか(一条工務店に直接聞けと言われそうですが、建てる過程で間取りプランの話などされていれば…と思い)。
③は、一日の消費電力の何%位を太陽光発電で賄えるのか、という点です(もちろん天気によって全然違ってくるとは思いますが)。

長文駄文で申し訳ありませんが、実際に建てた方の住んでみた上での感想をお聞かせいただければ幸いです。

回答

たまにこのように、車の記事を見て家に興味を持って頂いた、もしくはその逆のパターンの方がいらっしゃるようです。私としては、もともと興味がなかったテーマの記事まで読んでいただいているということですので、非常に嬉しく思います。ありがとうございます。

1. 床暖房の性能とランニングコストについて

床暖房の「性能」という点に関しては、よほどの事が無い限りあらゆる人の希望を満足させることが出来ると思います。

ちょっと面白そうなので、趣旨からは外れますが暖房能力からどのくらいの温度を保てるか計算してみましょう。

床暖房の室外機(ヒートポンプ)はRAY-4037という型番で暖房能力は6.0kWとのことです。この値と断熱性を表すQ値[W/m^2・K]から求まります。ちょっとややこしいというか直感的に理解しがたいのがQ値の定義は「単位面積当たりの流出熱量」みたいになっていますが、この面積とは外壁の総面積ではなく床面積として計算しています。なぜこのような定義なのかさっぱり理解できないのですが、ともかく、床面積を使って計算することになります。

Q値はi-smartの場合、0.76程度のはずですが、戸別の設計によって変わってきます。ここでは0.8として計算してみましょう。

我が家の床面積はちょうど100m^2くらいなので、放出される熱量は0.8*100=80W/Kとなります。つまり、単純計算で6[kW]/0.08 = 75[K]、つまり外気と家の中とで75℃程度の温度差を作ることが出来るということになります。つまり外気温0℃の時に室温75℃です。

もっとも、室温75℃にしたら死んでしまいます。実際には設定温度の上限(確か55℃くらいだったと思います)で打ち切られますが、まあそれでも湿度が高ければ火傷する温度です。高くなくても低温やけどはするでしょう。それはともかく、性能の点で不足に陥ると言う事はまずありえないという事がお分かり頂けたかと思います。

ただし現実的には無限に電気代を払っても良いという人でない限りは実際の電気代の制約(つまりランニングコスト)によって設定温度上限が決まるということになるでしょう。

我が家を例に出すと、室温を25℃になるように設定しています(これは普通よりも暖かめの設定です)。この設定では最も寒い2月で電気代が1.6万円となりました(次項の表も参照してください)。このコストには当然床暖以外の電気代を含みます。例えば冷暖房費がほとんどかからない5月のデータは5400円程度となっていますので、ざっくりと床暖にかかるコストは1万円程度のものではないでしょうか。月1万円のコストで家中が24時間常に温かいというのは高いのか安いのか、人によって意見は異なると思いますが私は十分に許容できるコストと思います。

ただ、ここに至るまでに高断熱な家ということで幾分か高い建築コストを支払っています。このコストがいかほどかというのは見積もりがちょっと難しいです。何度か初期コストがランニングコストの低減分でペイできるか?というのを計算しようとしたのですが、この点での見積もりが難しいので諦めた記憶があります。

私個人としてはランニングコストは回収できればそれでオッケー、出来なかったとしても温かくて健康的でストレスの無い生活をするためのコストがすなわちペイできなかった部分であったという解釈で納得することとしました。たとえ改修できなかったコストが100万であったとしても、40年住んだとしたら年間2.5万円です。そのくらいは払っていいと私は思いました。

2. 特殊な土地形状に関して

こちらははっきりとは言えませんが、対応できると思います。

「対応できるプランがあるか」というご質問ですが、プランとは間取りを指していると思います。ですが、一条工務店の代表的な商品(i-smart/i-cubeその他)は全て自由設計(細かい制限はありますが)なので、そのような商品を選ぶ限りはどのような土地形状であっても対応可能と思います。

ちなみに、一条工務店でも規格住宅(つまり、間取りプランを数種類から選ぶタイプの注文住宅)の取り扱いが一応あります。アシュレという商品です。こちらを採用する際に対応可能なプランがあるかどうかは分かりません。しかし、予算が極端に少ないなど特別な理由が無い限りはアシュレを選ぶメリットはあまり無いので例外的なパターンかと思います。

家の建築において制限になり易いのは土地形状に合うプランがあるかどうかというよりはむしろ大きな重機を入れられるか(家の前の道路が極端に狭くないか、敷地延長された土地でないか)、用途地域や条例により斜線規制などの特別な法規制がないかというあたりの方だと思います。このとき、i-smart/i-cubeでは工場で生産された大きなパーツを持ってきて組み立てるという方法で建築を進めますので、在来工法よりも制限が大きいのは確かかと思います(重い資材を搬入するためにより大きなクレーンを使用するなど)。一条で在来工法となると、セゾンなどといった商品が該当します。こちらは「夢の家」というオプションで高気密高断熱仕様になります。

3. 一日の消費電力の何%くらいを太陽光発電で補えるのか

2014年のデータをまとめてみました。

売電[kWh] 買電[kWh] 発電量[kWh] 消費量[kWh] 消費量[円] 売電量[円] 買電量[円]
2014年1月 487 685 627 825 ¥4,082 ¥20,466 ¥13,840
2014年2月 281 770 400 889 ¥3,595 ¥11,810 ¥16,033
2014年3月 634 556 788 710 ¥4,461 ¥26,632 ¥11,496
2014年4月 783 340 913 470 ¥3,543 ¥32,907 ¥7,628
2014年5月 940 201 1064 325 ¥3,233 ¥39,501 ¥5,490
2014年6月 641 210 755 324 ¥2,977 ¥26,943 ¥5,821
2014年7月 706 217 830 341 ¥3,377 ¥29,660 ¥5,962
2014年8月 632 193 741 302 ¥3,021 ¥26,577 ¥5,635
2014年9月 611 217 701 306 ¥2,471 ¥25,695 ¥5,864
2014年10月 459 318 560 409 ¥2,537 ¥19,702 ¥7,777
2014年11月 338 475 446 582 ¥3,045 ¥14,223 ¥10,464
2014年12月 401 704 528 831 ¥3,627 ¥16,863 ¥14,345
6913 4886 8353 6314 ¥39,969 ¥290,979 ¥110,355

条件は、延床面積30坪弱、搭載パネルの設備容量7.2kW、売電価格は42円/kwhという感じです。太陽光で得するかどうかは搭載するパネルの面積が物を言うのですが、我家の場合は近年の住宅にしては小規模な発電容量になっています(北側斜線規制にひっかかったため)。それでも、コストベースでもkWhベースでも購入量をペイできていますね。ということは、一条工務店の家はゼロエネルギーハウスと言ってもよいでしょう。すごい!パチパチ。住んで3年くらい経って、いまさらながら計算してみました。

ただし、ここには太陽光発電設備のローン支払い分を計算に入れていません。予定では8年目までは売電量とローン支払いが相殺されて±0円、8年目~10年目は42円の売電価格分の恩恵(つまりコストベースで %程度)を常に受けることが出来、その後の売電価格はその時の政府方針次第ということになっています。ただ、kWhベースでも使用量分を上回る量を発電できていますので、よほどのことが無い限りは今後もプラスになって行くのではないかと思います。

ただし、これは42円/kWhという高額な売電価格があったからこそです。2016年現在、新規契約者の売電価格は35円 or 33円とのことでしたから、また状況は変わってくるかと思います。上記データで売電価格33円/kWhとして計算してみると年間の売電総額は¥161,238となりました。年間24万円程度、太陽光のローンを支払っているのでこれだとペイできません(正確には、「短期的には」ペイできません。ローン支払い後まで含めればペイできるかもしれませんが、パワーコンディショナの交換もありますから微妙なところです)。現在ではもっと大規模な太陽光パネルを載せない限りはコスト的にはペイできないと考えるべきでしょう。

これがもし田舎であれば建物面積が取れるよう平屋で建築して太陽光パネルを大量に搭載するということも可能ですが、神奈川県の「比較的人口の多い地域」での建築を予定されているとのことでしたので、そのようなことは難しいかもしれません。ですので、太陽光には余りこだわらないほうが良いと思います。現在は電力自由化が一般家屋での契約にまで適用されるようになりますし、エネファームやエコウィルなどといった発電システムも増えて選択肢が広がりました(一条工務店で採用できるかどうかはわかりませんが…)。ちなみにエコウィルはホンダ製の後既存サイクルエンジン(バルブタイミング可変によるミラーサイクルではなくて、圧縮工程と膨張工程のピストン移動量が異なるホントのアトキソンサイクルエンジンです)が載ってるそうですよ。車好きにはたまらないと思うのですがいかがでしょうか。