ディズニーランドなんて嫌いだ

「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し

読んで感じたことを書いてみる。

記事中では、TDRの異変の兆しが

  • 値上げによるお値頃感の低下
  • 感動指数と失望指数の変化
  • サービス品質評価指数の低下
  • 顧客のマナー低下と雰囲気の悪化

の4点にあるというデータが示されている。これらは、私のTDRに対する評価や経験と一致している。いくつか思い当るエピソードを紹介したい。

混雑とイライラ

最後にディズニーランドに行ったのはちょうど一年くらい前になると思う。そこで私が驚いたのが、各レストランのレジ(注文口)で長蛇の列が出来ているにも関わらず、レジに配置されている人員はレジの台数に対して半分程度でしかないこと。レジの処理量がその後ろに存在する厨房のキャパシティを超えるように設計されているとは思えないので、つまり、設備全体の稼働率を半分程度に落としているとしか思えなかった。

アトラクションで並び疲れてようやくメシを食おうと思った際にまた行列に並ぶ。それはディズニーランドに居る限り仕方がない事かもしれないが(私はそうは思わないが)、それにしても設備が有効に活用されていないのを見るとさすがに「人件費をケチってるんだろうな」と思えてくる。

さらに、外でアイスやポップコーンを販売してる屋台でも行列ができていることには閉口するほかなかった。うちの嫁さんはチュロス数本買うのに30分弱も行列に並んでいた。ほとんどの子供はこれだけ待たされれば飽きてしまう。小さい子供は駄々をこねて泣き始め、もう少し大きい子供はニンテンドーで遊んでいるという始末だ。

「こんなところまで来てニンテンドーをやらせる親がおかしい」という意見もあるだろうが、しかし行列で疲れ切った親の気持ちになれば、せめて静かに待ってくれるのならとニンテンドーを渡すのは致し方ないと言える。そもそもエンターテイメントの塊のような施設に入場してなおニンテンドーをするのが仕方ないという状況にさせるのがおかしいと思う。子供を育てる親なら分かるが、子供なんて大した遊び道具が無くても放っておけば一日中遊んでるような生き物である。そんな子供すら飽きさせて何が夢の国なのだろうか、私にはさっぱり分からない。

で、そういったもろもろを経由し、ようやく帰ろうと思っても「お土産を買う」と混雑したショップに嫁さんが突入してここでも待たされ、ようやく帰れるかと思えば「トイレに行く」などとこれもまた混雑している女子トイレに並んで10分少々待ち…。そういう随所随所で私のように子供を抱いたり抱っこひもを突けたりして疲れた父親が壁に寄りかかっているのである。我々は目を合わせ、猛烈な仲間意識を感じるとともに「何でこんなことしてるんだろう…」以外の感情が湧きあがってこなくなるのだ。

ようやく駐車場を出たら出たで高速のICまで渋滞になっていて経路に右折があると道路が混雑していて1度の信号インターバルに右折車は1〜2台しかすすめないなんてことになりがちで、ここでも待ち時間にイライラ。ほとんどが待機時間と考えるとまるで待つために金を払っているかのようなもんである。

ここまでの労力と入場料を支払って、一日に幾つのアトラクションに乗れるだろうか。常に不人気で数十分待ちで入れるようなものを除けば、せいぜい2つ~3つが関の山ではないだろうか。感覚的には9割以上が待ちな印象を受ける。

トイレがアカン

まず私がディズニーランドであり得ないと思うのが、ウォッシュレットが完備されたトイレが無いということ。これは近年になって悪化したというよりはもともとそうなのだが、しかし夢で商売をする施設でウォッシュレットが無いとか痔持ちにとってはあり得ない。痔持ちを代表して言わせてもらうと、はっきり言ってウォッシュレットのあるなしは、死活問題である。たった一回、非ウォッシュレットのトイレで用を足したがために、痔が大幅に悪化してそれまでの状態に持ち直すまで全治2週間、なんてことが冗談じゃなくてままあるのである。

調べてみると、TDLにウォッシュレットが無い理由としては、ウォッシュレットにすると「トイレの回転率が悪くなる」「メカを入れると故障率が上昇して稼働率が下がるから」と合理的な理由があるらしい。が、私が思うに我々はウンコや小便の回転率を上げるために金を払っているのではなくして夢のようなエンターテイメントを提供してくれる対価として金を払っているはずだ。夢の国に行ってなぜ痔の危険性と対面して冷や汗を流さなければならないのだろうか。

さらに言えば、このアカンかったトイレが近年になってさらにアカンようになったように私は思う。単純に汚いのである。混雑しているからか、客層が変化したからか、掃除に割くリソースをケチってるからか、理由が良くわからないがどのトイレもだいたい汚い。「おっ、公園のトイレにしてはちゃんと掃除してるじゃん!」というレベルだ。いたるところに手洗いの後の水滴が飛び散り、便器周辺にはちぎれたペーパーがいくつか落ちている。不潔であるというのは本能に訴えかけてくる拒否感が強いのでぜひとも改善してほしいところである。

設備稼働率が低い

これは偶然かも知れないが、私がTDLに行くと、必ずお目当てのアトラクションがいくつかメンテナンス中で止まっている。メカなのでメンテナンスが入るのは仕方がない事であるが、これが数回続くと行く気を無くす。

失望

他の項目とも重複するが、記事にある「失望」という言葉が私にとっては印象深い。私はTDLに関して「失望」としか表現できない光景に遭遇した。件の混雑しているレストランでの一件だ。食事を買うにも時間がかかるが、席を確保するのも時間がかかる。我々家族は運よく空いている席を見つけたが、テラス席だった。その日は雨でしかも2月ということもあり、外は非常に寒かった。が、屋内では空いている席を確保しようと「食べ終わったらこの席使っても良いですか?(つまり私たちに声をかけてくださいね、席を取られたくないので。という事)」などという交渉をしているのを見て諦めた。

小さい子供を連れて外ですぐ冷めるポテトを食い、何とか寒さに耐えるためのコーヒーを飲み、子供が疲れ切って寝始めたところで屋内席に戻って私は仰天した。我々がここに入ったときよりも屋内はさらに混雑していて、多くの人が地べたに座って食事をとっている。数人の高校生がそうやっているのなら「行儀悪いな」と思うくらいだが、ちゃんとした身なりの、多分自分とそこまで年齢も違わないであろうカップルや家族までもが同じように地べたに座って食事をとっている。

「避難所」という言葉が浮かんだ。この人たちは外の寒さに耐えかね、何とか屋内で温かい食事をとろうとやってきた人々だったのだ。それぞれの施設が捌ける以上の入場者を受け入れた結果がこれである。まさに夢の国の実態に失望した瞬間だった。

客層

はっきり述べるのはいささか気が引けるのだが、しかし、客層というか顧客自身のマナーの悪化というのは確実に顧客を失う要因の一つだ。内輪しか理解できないようなおそろいのTシャツ、服を着てギャーギャー騒ぎながら集団で歩く高校生。「特攻の拓」からそのまま出てきたようなあからさまなヤンキー家族。大声で喋り続ける中国人観光者の一団(ヨドバシ秋葉かと勘違いしてしまう)。何かの恐怖症なのではないかと訝しんでしまう程度にファンデーションを塗り重ねてキャンバスになったような顔面に眉毛と目と口を描いているような破滅的な化粧の女性など、ありとあらゆる人種が混在しているのがTDLである。

これもまた印象に残っているエピソードが一つある。私はパレードを見るため、場所取りにいそしんでおったわけだが、そんな時隣にいた男性の前に中国人の集団が「ニーハオ!ハオハオ!シェイシェイ!チートイツマンズ!トンペートウホクダイガク!!」みたいな良くわからない事をまくし立てている。前に割り込まれた男性は、顔色一つ変えず、ポンポン、と肩を叩き、「邪魔」とだけ述べた。中国人の集団はそれに気づいているのか気づいていないのか、またぞろ何かをまくし立てて去って行った。そしたら、また今度は小学生の姉弟と思しき二人がやってきて男性の前に割り込んだ。男性はまたポンポンと肩を叩き、「邪魔」とだけ述べた。小学生はしゅんとした表情で去って行った。

私はこういうのが嫌い。中国人が嫌いなわけでは無く、小学生が嫌いなわけでは無く、単語しか喋れない男が嫌いなのではなく、なんというかこれらが織りなす負のハーモニーみたいなこの状況自体が嫌い。単純に気分が悪くなる。

もちろん、人が集まれば何人かの奇抜な人が混入し、そしてそれが目立つということは理解できるし、ヤンキーや中国人はTDLに来てはいけない、という制限を課すことが非現実的であることも理解できる。TDLの利用規約(があるのかどうか分からないが)的なものに反せず、チケットを正当な手段で購入した人はみな自由にTDLに入場でき、サービスを享受できるのは当たり前だろう。ただしその一方で、そういった客層に辟易として顧客が離れていくのもまた自由である。

この少しデリケートな問題にどの様にかかわっていくかというのは難しいところだ。

こんな経験をしてもまだ行きたいか?

上記までの項目は必ずしもTDLが一方的に悪いというわけでは無いものの、しかし、それぞれが「TDLでの体験」には違いない。多くの顧客は嫌なことがあった場合に、その責任の所在はどこにあるか、どの様にサービス提供者が改善すべきか、なんてことは深く考えない。嫌な経験をしたらそっといなくなる、というのが日本市場での特徴らしい。私もその一人で、個人的にはディズニーランドにはもう行きたくない(が、家族が行きたいと言えば仕方なく行くかもしれない)。

冒頭の記事中ではTDLの異変をマクドナルドの衰退と比較している。すなわち、顧客満足度の優先順位を低下させ、業務効率や単価、売上だけにフォーカスすると顧客は離れていく、という論調だ(そこまではっきりとは書かれていないが)。

私が思うに、TDLで発生してる顧客のほとんどの不満は入場者数を少なくさせることで解決可能である。人間には許容可能な人口密度というのが備わっており、そのしきい値に個人差はあるもののどんな人間でも一定数を超えるとイライラし始めたり、不快に感じたりということが発生する。その結果、ポンポンと肩を叩き「邪魔」とぶっきらぼうに告げるなどといった行動にでるわけだ。

入場者を減らす方向としては、入場制限をもっと厳しくするか入場チケットの価格を上げれば良いのだが、TDLのようにアトラクションで追加の課金が無いようなところだと回転率を上げて売り上げを維持というのは難しいだろうから入場チケットの価格を上げるしかないのだろうか。私はテーマパークの経営経験などは皆無なので素人考えなのだけれども。

もう一つ疑問なのは、本家ディズニーがこの異変をどのようにとらえているかという事。本家ディズニーとオリエンタルランドの契約がどの様なものになっているかは知る由もないが、ディズニーはコンテンツ商売なのでイメージが損なわれるような運営をされたら困るのは当然であるからして、オリエンタルランドの運営に対して注文を付けることくらいは当然出来るものと思われるが、その点はどうだろうか。

ちなみにオリエンタルランドの株価は2015年3月末にピークの9718円を記録してからは緩やかに下降していき、現在は7千円前半をうろうろしている。