贅沢とねるねるねるね

私は元来ドケチで、一番好きな言葉はコストパフォーマンスであるし、自分が払うべきでない金は1円であっても払いたくないと思っている。だから人に飯をおごるなどという経験は皆無だと思う。多分。

まあ、でももう少し突っ込んで考えると人に飯をおごるという点に関しては、私が人嫌いであるという性格のほうがドケチであるということよりも関連が深そうだ。こないだ、都心あたりで5時間位時間を潰さなければならないことがあり、「久しぶりにアキバに行ってみるかー」などと思いたち、御徒町で降りてアキバ方面に歩いて行くと、結構町並みは変わっていた。駅前もアトレとか出来てるし、AKB48カフェとかガンダムカフェとかも自分が最後に行った時にはなかったな。あそこは・・・・なんだったんだっけ。マザーボードとか売ってた気がするんだけど。

で、時間を潰すためにAKB48カフェに・・・は行かずに、その前にある喫茶店に入って外を見ていたのだが、こんなに人がたくさんいるのに自分の知り合いは一人もいないんだ。ということを考えたり、転職活動がうまく行かないのをまた思い出したりしてたら、なんというか急激に鬱々とした気分になり、ああ・・・自分はもともと一人が好きなんだと思っていたけど、やっぱり誰かと一緒にいたいと思うようになったんだなあ・・・などと考えていたのだが、よく考えるとあれは単に人が嫌いな人が人混みの中にいたから鬱な気分になっていたのだな。と気づいた。例えば誰もいない山の中で一人写真を撮っていたら別になんとも思わないだろう。一人でビジネスホテルで酒を飲んでいても多分なんとも思わない。人がいるから嫌なんだ・・・と思った。

まあそれはいいや。

今日はドラッグストアに娘と行ってきた。そのドラッグストアは食料品類も充実している。私は嫁さんが飲むチオビタドリンクと自分が食べるアイスを買いに行った。娘が「お菓子買いたい」と言うのでお菓子コーナーで選ばせる。その間に私は酒類のエリアに立ち寄り、ふと思った。

ビール買おうかな・・・。

私はビールが好きなのだけどビールはめったに買わない。発泡酒ですらめったに買わない。私が買い、飲むのは4Lのペットボトル焼酎という、酒飲みの中でも最底辺に意識低い系飲料である。私がこれを選択するのはもちろんコストパフォーマンスである。4Lというスケールメリットが私を酔いの世界に誘うのである。その他、バスマジックリンも業務用4Lを買い単価を安く済ませているのだが、つまり洗剤と全く同じ発想で酒を選んでいるということになる。多分今時は大学生だってもう少しマシな酒を飲んでいる。そういう私がビールなど買うはずもない。

買うはずもないが、しかしまあ人間であるし、流石にこの歳になってくるとうまいものを食った経験も少なからずあり、舌がある程度肥えてくるのでビール飲みたいな・・・と思う。で、アサヒスーバードライの6缶入りに目をやるとなんと1100円もした。嘘だろ。俺が最後に買ったアサヒスーバードライ6缶は流石に1000円行ってなかったと思う。まあ最後に買ったアサヒはいつだったかすら覚えてないけど。これはあれか?私の知らないうちにまた酒税が上げられたのか?タバコが400円を超えるなか、早々にタバコを断った私は喫煙者を「かわいそうにねえ、吸える場所もなければタバコも高い」などと生類憐れみの令みたいな目で見ていたのだが、同じように酒を飲まない連中は酒飲みを「かわいそうにねえ、脳細胞を破壊する飲料が高くなっても買い続けるんだ」などと生類憐れみの令みたいな目で見ていたのか。

ふーん、まあいいけどね。俺にはビールがなくても発泡酒買うし。と発泡酒を買った。ここがポイントである。

ここで私は心理的なテクニックを駆使している。つまり、私は「発泡酒ですら滅多に買わない」と書いた。アサヒどころか発泡酒すらほとんど買わない人間なのだ。私はもともと発泡酒ですら買うのを躊躇するのに「ビールを買おうかな」と一旦非現実的な提案をしたうえで、それを棄却、その上で改めて発泡酒を検討することにより「ビールを諦めたのだから発泡酒くらい」という気持ちにさせる。これがドア・イン・ザ・フェイスと呼ばれる手法だ。この場合はセルフドアインザフェイスということになる。

その後私はアイスコーナーにさしかかり、ハーゲンダッツも買った。これも予め買おうとしていたのだが、その買うという罪悪感を少しでも小さくさせるために先ほどのドアインザフェイスを利用したということになる。かくして私はビールを諦めることによって発泡酒とハーゲンダッツを得た。そしてお菓子コーナーに戻ると娘が「これがいい」などと、ねるねるねるねの現代版みたいなお菓子を持ってきた。はいはい。ねるねるねるねね。それをかごに突っ込んでレジに行く。

レジのお姉さんがぴっ、ぴっと商品をバーコードリーダーに読ませていく。ハーゲンダッツ190円。ふふふ。普通のアイスの倍近いアイスを買っている私。その次にねるねるねるね。ぴっ。158円。

えっ?158円もすんの?

私がドアインザフェイスとかをいちいち駆使して買ったハーゲンダッツが198円、3歳児のお菓子が158円?ねるねるねるねなんて、自分が子供の頃は100円を大幅に切っていた気がするんだけど・・・。ありえない・・・。自分が知らない間に財務省の無慈悲な役人どもはお菓子税とか新設したわけ?などと考えている私。その横で娘がカゴ越しにねるねるねるねの袋を突っつき始め、レジのお姉さんが「ふふふ。テープがいいのかな」と聞くと「うん!」と満面の笑みでテープを貼られたねるねるねるねを受け取る。

うちの子供はこういうところが策士というか、結局子供は大人を扱うのに長けている。子供は自分が可愛いということを自認しており、それを躊躇なく公然の場で振りかざしてくる。そうして自分の好きなように身の回りの物事を進めていっている。それが現代の3歳児だ。そんな中私30歳児になりますが、今日も今日でセルフドアインザフェイスとかを駆使してハーゲンダッツを買ったり買わなかったり。うーん・・・。そうか・・・・。これが現実か・・・。と思った。