新型プリウスは何が凄いのか

いつの間にか公式HPも更新されていて、値段も出てたので色々調べてみました。私が凄いと感じた点を列挙してみます。技術的な解説が一番詳しく載っているのが下記記事でした。

新型「プリウス」は目標燃費40km/lをどうやって達成するのか

以下、すごいと思った点を紹介していきます。

ダブルウィッシュボーン採用でありながら荷室容積500L

500Lというと、CX-5(500L)やフォレスター(505L)と同じレベルです。ただでさえプリウスはバッテリを搭載しなければならないために制限があるうえ、さらに今回スペース効率には不利と言われるダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用しながらこの値は中々すごいのではないでしょうか。トヨタ、ホンダは広い車を作るのが得意ですね。スバル、マツダに関しては、まあ剛性とかその他諸々の事情があるんでしょうけど、ちょっと見習ってほしいと思います。

熱効率40%に達した2ZR-FXEエンジン

エンジンは3代目(先代)プリウスに搭載された2ZR-FXEエンジンから変わりません。しかし、この2ZR-FXEエンジンの熱効率は38.5%と元々高い値をマークしています。マツダお得意のSKYACTIV-Gエンジンは38~40%の熱効率と言われます。マツダのSKYACTIVはマーケティングとしては大成功を収めましたが、その裏でプリウスに搭載された2ZR-FXEエンジンもSKYACTIVに負けず劣らず優秀な熱効率を達成していました。しかも、プリウスは普通の車に比べるとエンジン負荷や回転数の自由度が高い(モーター・発電機とバッテリがバッファの役割を果たしてエンジン負荷を平滑化できる)ため、実用上はプリウスの方がSKYACTIVシリーズよりもずっと熱効率が高い領域でエンジンを動かすことが出来ているはずです。

プリウスの悲しいところは、実運用上はSKYACTIV-Gよりもずっと熱効率の高い領域でエンジンを動かすことが可能ながらその点で売り込みが出来ない事でしょう。なぜならばトヨタはハイブリッド車に心血を注いでいる(徐々に薄れつつあるが)企業であるので、「ハイブリッドだから燃費が良いのだ」という以外の広告が打てないからです。内燃機関が重要なのだという事を言いだしたら、他社と同じ土俵で戦う羽目になってしまいます。せっかくハイブリッドという優位性があるのにこれはよくない。結果として、消費者には「効率が良いエンジンを作れるのはマツダ(もしくはその他ダウンサイジングターボだ)」のような印象を与えてしまっている…と私は思っています。

ちょっと話がそれました。新型プリウスは先代と同じ2ZR-FXEエンジンを採用しながら、40%の熱効率を達成しました。主な改善点は、吸気ポートの形状変更、大容量クールドEGR、シリンダーボア壁温の最適化とあります。トヨタは40%という熱効率をディーゼルエンジン並みで、ガソリンエンジンとしては世界トップレベルだと述べています。これはその通りでしょう。

平行軸ギア(複軸式トランスアクスル)

当初、4代目プリウスは「遊星ギアを廃止して並行軸式ミッションに変更し、伝達効率を改善した」という噂が流れていました。私は「遊星ギアを使わずどうやって動力分配を実現するのだろう…」と疑問に思っていましたが、記事を読んで理解しました。どうも、動力用モーターからの減速ギアが遊星ギア経由であったのを、動力用モーターを新たに追加した軸に配置したという事らしいですね。動力分配機構は従来通り遊星ギア式とのこと。つまり、肝心な動力分配機構の部分はこれからも遊星ギアをつかうということです。シリーズ・パラレル方式のハイブリッドという点は変わらないです。

ハイブリッド制御を最適化

モーターのみで走行できる速度をより高速度まで伸ばしたそうです。これは私も3代目プリウスに乗っていて思っていたことで、速度を上げていくとある一定速度(65km/hくらいだったかな?)でエンジンが始動するのですが、モーターのパワー的にはまだ余力がありそうなのでもう少しモーターのみで走行できる速度帯を広くしてもいいのでは、と思っていました。

4WDの追加

ダブルウィッシュボーンにモーターとかよく収めましたね・・・。以下にユニット部の写真が掲載されています。

4WD(E-Four)が加わった新型プリウスを、2WD(FF)と乗り比べ

4WDはシャフトによる動力伝達ではなく、後輪に設置されたモーターによる駆動です。このモーターは7psの出力。昔の原付くらいのパワーですね。これによって前後輪のトルク配分は、前100:後0から前40:後60まで可変し、70km/hまで後輪のトルク制御が状況に合わせて行なわれる。

ということらしいです。70km/hまでトルク制御が行われるということですが、減速ギアは固定比ですし、走り始め以外はほとんどFFと同じような感じになるのではないでしょうか・・・。記事中でも書いてあるとおり、スポーツ走行を狙ったようなものではないでしょう。実際、4WD仕様だとバッテリが低温特性に優れるという理由でニッケル水素になります。つまり雪国での使用を想定しているということですね。べちゃべちゃの雪質での走りだし、坂道での低速走行などのシーンで有効であればいい、という設計思想なのではないでしょうか。

シャッター

グリルに電気的に開閉できるシャッターを搭載し、冷温時に暖気を促進しつつ空気抵抗を小さくするという仕組みになっているそうです。これはコスト的にペイするんですかね?ここまで徹底するのはすごいと思いますが・・・。

全体的な感想

ハイブリッドでは世界をけん引するトヨタが満を持してリリースする、ハイブリッド車の代名詞ともいうべきプリウスのフルモデルチェンジですからあっと驚くような技術が登場するのかと思いきや、そこまで目を引くものは無いですね。種々の改良はあくまでも「改良」です。根本的に何かを変えるような「改革」は特にありませんでした。まあそれを言えば、THSからTHS-IIに変わったときも「改革」と言えるほどの変更があったかと言うと疑問ではありますが、それでもTHS-IIからTHS-IIIでの改良点と比べるとかなり改良の度合いは大きかったと思います。

誤解の無いように書いておきますと、相対的に比較すれば今回の改良点は大したことないように見えるだけであって、3代目からさらに燃費をぐっと向上させてきた技術自体は凄いものなのだと思います。改革こそないものの、まっとうな正常進化と言えるでしょう。性能向上、機能追加に加えて価格の上昇はそこまで大きくありません。さすがトヨタと言った感があります。

ただ、勝手な推測ですがトヨタはすでにTHS-IIの段階でトヨタのハイブリッドシステムはほぼ完成形と見なしているのではないでしょうか。トヨタの各種メディアでの発表やプレスリリースを見る限り、今後はFCVに力を進めていくものと思います。ビジネスとして考えても、これからは排ガス規制の強化によって欧州勢が軒並みハイブリッド市場になだれ込んでくるわけです。トヨタが圧倒的に優位だったハイブリッド市場はグローバルで見ても終わりつつあるとみて良いのではないでしょうか。だったら、次世代の技術に注力するという戦略を取るのは当然のように思います。

ここで、一つの商品としてプリウスを考えてみます。たとえばAグレードに注目してみると、荷室容量が500Lとそこら辺のSUVと同等の荷物を積むことができ、全車速追従オートクルーズ機能が付いていて、ADASも装備、パーキングアシストも装備、サスもダブルウィッシュボーン。これで277万円というのは中々良い選択肢のように思います。荷物をたくさん積んで長距離走行して旅行に行くことが多い、なんて用途にはとても適していると思います。

あとはトヨタはデザインがもうちょっと何とかなれば素晴らしいと思うのですが、どうでしょうか?