接近するジェイドとシャトル

ホンダのフィットシャトルがシャトルという名前になって新型になりました。

ホンダ シャトル

見た目は悪くないですね。廉価なグレードでも見た目にあまり差はありません。

車名からFitを取った理由は下記記事などに書いてあります。

【ホンダ シャトル 発売】開発責任者「車名変更したわけは…」

同じプラットフォームのコンパクト車ではあるものの、ハッチバックとステーションワゴンなので、当然、顧客の求めるところが異なる。価格面でもかなりの差がある。シリーズのように位置付けるよりも「シャトル」と独立させた方が「お客様にも受け入れてもらいやすい」(磯貝氏)と決断したという

つまり、Fitを買いに来た人は「ちょっとデカくて高くなったFit」は要らないと思っているでしょう。これはその通りで、Fitを買うユーザーというのはコンパクトで安いという点を重視する人が多いように思えます。そういう人たちにステーションワゴンを勧めた所であまり魅力的には思わないでしょう。

ただ、個人的にはシャトルという名前がちょっとダサいので全く新しい名前でもよかったような。

ホンダ・フィットシャトル - Wikipedia

シャトルは、「人と荷物を安全に、そして先進の技術で運ぶ」というイメージをスペースシャトルになぞらえてネーミングしている。

だ、そうですが、私はシャトルというとアウトレットモールとかを往復するシャトルバスとかそういうイメージがあります。

shuttle (noun) | Longman

2 a plane, bus, or train that makes regular short journeys between two places

これです。なんとなく、ネイティブにはホンダのシャトルと言うとホンダの交通バスとかをイメージしてしまうような気がするのですが、どうでしょう。ネイティブの人教えて。

まあそれはおいといて。

フィットシャトルは独自色を持たせるためにシャトルと名前を変えました。その結果、必然的にジェイドとも接近しており、住み分けが難しいのではと言う指摘もあります。

【ホンダ ジェイド 試乗】ドライバーズカーとして上質だが、見た目と価格にギャップあり…井元康一郎

3列目の実用性があまりに低いというのでは、今後登場が予想される2列5人乗り+大容量カーゴルームというパッケージの『フィットシャトル』との住み分けが難しくなる可能性もある。

上記はジェイドのレビューですが、ジェイドの3列目は常用利用するのがしんどいことで有名です。天井に頭が付いてしまう程度のスペースしかないそうですから、普段は3列目は利用できないと割り切ることが必要でしょう。ジェイドは本当に中途半端極まりない車で、値段は高いですが値段に見合った内外装にはなってないですし、パワーは不足していますし、旧オデッセイユーザー向けと言いつつ3列目は用を成しませんし、オデッセイ程の高級感があるわけでもありません。オデッセイの後継、ストリームの後継、ハイブリッド、ダブルウィッシュボーン。あらゆるものを詰め込みすぎてしまったがゆえにどの方面でも中途半端で失敗している感があります。

その後登場したRSは値段の点で幾分かマシになりましたが、笹の葉みたいな全く理解できない極限までダサい内装(個人的感想です)はRSになってさらに強調されました。「RS」と名のつくモデルを買うようなユーザーがあの内装を受け入れられるでしょうか…。

ともかく、そういう経緯でジェイドは実質ステーションワゴンに近いような運用をしなければなりません。本来、シャトルとジェイドは別物だったはずです。前者はステーションワゴンに近く、後者はミニバンに近い。2列シートと3列シートという大きな違いがあるのですから。しかし3列目が利用できないのでは必然的に似通ってきます。さらにジェイドRSの登場で値段も接近しました。元々パワートレーンは同じi-DCDを採用しています。その上、「フィットではなくシャトルだ」と名前を変更したことによって、フィットの延長という観念から(少なくともラインナップ上は)切り離され、さらに接近してしまったような印象を受けます。そして見た目もほとんど同じように思えます。先に述べたとおり、ジェイドの外装は悪くは無いのですが、300万オーバーの車種の見た目ではないと思います。

ではジェイドとフィットの差というのはいったいなんでしょうか。ジェイドでは1.5Lダウンサイジングターボ搭載のRSがあり、フィットには1.5L NAエンジンのGグレードがあります。この点で、走りにこだわる人がダウンサイジングターボを選ぶのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの点は差別化にはならないと私は思います。パワーウェイトレシオを比べるとジェイド RSは10.1kg/ps、シャトル Gは9.02kg/psとシャトルの方がむしろ優位です。

それに、ジェイドは1520kgの車重ですが、シャトルはGグレードだと1190kgとかなり軽量です。走りを楽しむために最も重要な要素は重量だと私は考えます。この点で走りを楽しむのに向いているのはシャトルの方でしょう。もちろんジェイドは自慢のダブルウィッシュボーンを採用していますが、これほど車重に差があるのではアドバンテージにはなりえないと思います。

ジェイドの方が決定的に優位と言えるのは2列目のすわり心地とADAS装備が付いているという点でしょう。私は特にADASを重視しますが、なるべく最小構成にしてADASを付けた場合のセルフ見積をHP上から試してみると280万円を超えました。ADASのオプション価格は+10万円程度のようです。このあたりの価格帯になってくるならば、スバルとかもしくは中古の外車(VOLVOとか)を私だったら検討しますね。

結果論かもしれませんが、ジェイドはもっとミニバン寄りの設計を行い、ストリームの後継としての意味はシャトルに任せるべきだったと私は思います。もう少し大型化させ、ISISやプレマシー程度の居住性を持たせた上で出来ればスライドドアを装備させる。しかし、5ナンバーサイズミニバンよりは一回り小さいサイズ(高さ、全長)に抑える。ダブルウィッシュボーンはやめてトーションビームで荷室や3列目のスペースを広げ、パワートレーンには必要十分なパワーを発揮する2Lクラスのエンジンを載せる。そのうえでHonda sensingを搭載。そうすれば、ロールーフミニバン層には大きくアピールできたのではないでしょうか。

そもそもロールーフなミニバンというのは全体のカテゴリから見れば中途半端な位置づけだったのですから、それをさらに広げて旧オデッセイユーザー層を取り込むとか欲張らずに、その中途半端カテゴリの中で勝負させた方がニッチな層には幸せだったでしょうし、売り上げも今よりはのびたように思います。

ただそれをしなかったのは、そのような中途半端カテゴリ層であったからこそ、開発リソースを割いてしまっては回収が大変になるため、中国からJADEを持ってきたという事なんだろうと思います。で、中国で「4+α」シートとして、「頑張れば6人乗れますよ」的なパッケージングを正当化させるために「都市発想ミニバン」などという、分かったような分からんような微妙なキャッチコピーを付け、目玉としてダブルウィッシュボーンとハイブリッドを盛り込んだものの、先に述べたように走りも中途半端、値段も中途半端な結果となりました。

1~2年前くらいに戻って完全に私の好みでこのあたりの計画をするならば、まずJADEの国内販売はやめます。中途半端すぎるからです。そしてStreamの後継としてシャトルのモデルチェンジに開発リソースを集中させます。シャトルでは1.5Lガソリン、i-DCDの他に1.5Lダウンサイジングターボを搭載したシャトル RSグレードを作ります。そのうえでHonda sensingをオプションで追加できるようにさせます。そのうえで車名も「フィット」を取るのではなく、まったく新しいもうちょっと格好いい名前を付けます。

ADAS、ハイブリッド、ダウンサイジングターボが揃えば、今かなり売れているカローラフィールダーにも十分対抗できるでしょう。

旧オデッセイユーザーの取り込みはそれ以降に新規開発した車種で狙います。そもそも圧倒的人気を誇った旧オデッセイのユーザーを中国から持ってきたJADEで取り戻せると考えていること自体、ユーザーを舐めてると私は思いますね。

そんでもし、シャトル RSダウンサイジングターボモデルが出てたら、そしてそれが200万台前半だったならば、マジで私はマツダ車じゃなくてシャトルを買っていたと思います。まー、このあたりは私の妄想です。

ただ、どう考えてもJADEは失敗だと思います。