SKYACTIV-Gen2について

だいぶ前になってしまいますが、マツダの決算説明会資料が出てたので読んでみましたところ、SKYACTIV-Gen2について記載がありましたので記事にしてみます。

プレゼンテーション資料 | 2015年3月期

SKYACTIV-Gen2について

image from mazda

GEN2では電動化技術を組み合わせて燃費性能を改善とあります。

Gen1、Gen2という言葉は当初国内の記事ではほとんど言及されていませんでしたが、最近よく使用されるようになってきた感があります。国内向けの資料では全然つかわれなかったので、もしかしたらGen2からはSKYACTIVに代わる何か別の商品名が付くのかな?と思ったりもしたのですが。

また、HCCIに関する言及はないですね。もともと、ビルディングブロック戦略にはHCCIに関する言及が無く、内燃機関の効率を向上した後はハイブリッド化を進めるとされてきました。HCCIが開発中であるという話は国内外のメディアに対するマツダ開発陣の回答が元になっていると認識しています。なので、マツダのニュースリリースや決算報告などのみを見ると計画通りのスケジュールということになるかと思います。

ではHCCIはどこに行ってしまったのか。一年前のAutocarの記事ではGen2にてHCCIの導入がうたわれていました。もし本当にGen2にてHCCIを投入するならば上掲の資料に出てこない筈がないと私は思います。電動化と同等以上に先進的な技術であるからです。もっとも、書いてないだけで矛盾があるわけではないので、HCCIを開発したうえで電動化を推し進めるということかもしれません。

ここで、私の勝手な推測を二つ。一つ目は、予想以上に電動化・ハイブリッド化の波が早かったため、内燃機関の効率向上よりは電動化をより重視するように計画変更したというストーリー。当初はHCCIを実現した後は断熱エンジン(セラミックエンジン)まで開発するなどと言っていましたが、それが実現するより先にEVが普及してしまいそうな気もします。EVの普及が始まってしまってからHCCIや断熱エンジンが完成しても遅いです。

そしてもう一つは、電動化も推し進めたいけれども開発リソースが割けなくて困っていたところ、トヨタとの提携が深化したので電動化技術に関しては積極的にトヨタのサポートを受けることで具体的なEV・HV車種の開発計画が立てれるようになったというストーリー。おそらく、私は一つ目の推測よりはこちらの方がよりもっともらしい気がします。

マツダは水素ローターリーなレンジエクステンダー作ってみたりしていますが、いまいち積極的に電動化の研究を進めている感がありません。i-ELOOPもごく一部の車種に搭載されているだけ。やはり開発にはお金がかかるため、相応のモチベーションがなくてはGOサインが出ない、今はSKYACTIVが売れてるんだから良いじゃん…みたいな感じなのではないでしょうか。

そんな中で、トヨタとの提携を強化してトヨタは電動、マツダは内燃機関というふうにお互い開発分野を絞って提携を強化していけばお互いにメリットがあります。もしHCCIの開発が万事うまくいき、早急に市場投入できることとなったとしても、まずはEVではなくてHVから投入するでしょうから使う当てがなくなるということはないでしょう。

走りにこだわるマツダが積極的に電動化に舵を切ってほしくないと考える人もいらっしゃると思いますが、個人的にはむしろ積極的に電動化を進めてほしいと思います。ます。モーターのトルクカーブとガソリンエンジンのトルクカーブは全然違うため、モーターのトルクカーブでいかに人馬一体感を演出させるかというのはまた技術開発を進めていく必要があるでしょう。

走りを楽しむという観点を加味して開発を進めるメーカーが居ないと、EVが普及した段階で車はつまらないものになってしまうかもしれません。マツダに限らず、どのメーカーもぜひ趣味性を加味したEVというのもそろそろ計画してほしいなと思うのですがどうでしょうか。スバルはマツダに比べれば積極的にハイブリッドを導入し、かつ積極的に走りへのこだわりをもアピールしていますが、こういう流れが加速してほしいです。結局、一般ユーザーは(私含め)バカですから、地球環境がどうとか環境性能がどうたらとか言ってもそれが魅力とは感じません。商品として魅力が無いと買いたいと思わないと思います。

EVは普及するのか

で、またこの答えの出ない問題に行き着くわけですね…。

マツダに話を戻すと、HCCI(と断熱エンジン)の開発のモチベーションはEV化の速度と反比例します。EVにはエンジンが載らないためです

※その過渡期にHCCIエンジンとモーターが組み合わせたシリーズハイブリッドが出てきたら面白いかもしれないですね。シリーズハイブリッドならばエンジン回転数&負荷と走行速度&状態を切り離すことができるので、HCCIエンジンの問題点の一つである「HCCIが有効な領域が狭い」という点を解決できるかもしれません。

EVを実現する上で一番の障壁は電池です。リチウムイオンなどの二次電池によるEVはバッテリの重量エネルギー密度、コスト、充電時間の点で問題があります。燃料電池によるEV(FCV)はインフラの整備状態、運搬・貯蔵方法、コストの点で問題があります。

いずれも問題があり、どちらも問題を完全に解決するブレイクスルーが長らく待ち望まれてきましたが、状況は変化ありません。その意味において、私はどちらも普及するのには懐疑的ではありますが、しかし代替手段が無い以上はどちらかの研究を地道に進めるしかないでしょう。

ビジネスの視点から

純粋にビジネス的な視点から考えてもある程度のEV化(EVの開発)は必要です。法規制があるからです。社会的責任という観点からも無視するわけにはいかないでしょう。

しかしながら前述のように普及するかどうか分からん代物に積極的に投資するのはしんどいでしょう。FCVやEVの開発には金がかかります。逆に言えば、普及するかどうか分からん代物(昔のハイブリッドや今のFCV)に巨費を投じてきたトヨタは凄いと思います。

マツダは自動車メーカーの中では規模は小さいですから、EV/FCV関連技術ではトヨタとの提携することとしました。これでEV/FCVに限りある開発リソースをたくさん割かなくてもよくなります。開発リソースは今まで通り内燃機関に重点を置けばよく、かつ提携先であるトヨタもそれを望んでいるわけです。

将来的にFCVやEVが普及しなかった、もしくは当初の予測よりも大幅に遅れたとしても、マツダがHCCIや断熱エンジンの研究を続けて行けば次世代の高効率内燃機関は手に入るわけですからマツダもトヨタも安心、という感じなんではないでしょうか。たぶん。

まとめ

決算資料ではHCCIの文字が出てきませんでした。代わりに、SKYACTIV構想を打ち出したころに示したビルディングブロック戦略の通り、SKYACTIV-GEN2として電動化を推し進める方向性が分かりました。しかし、だからと言って内燃機関の効率向上に対するモチベーションが失われたというわけではなく、実現に向けて開発を進めていることと思います。

EVが全面的に普及しても、そして例え完全自動運転が普及したとしても、乗っていて楽しい車がいつの時代にもあるといいですね。