CX-5のフル加速と日本と欧州の文化と

慣らし運転が終わったので高速でフル加速してみました。

前に乗っていたのがプリウスということもありますが、これ、めっちゃ速いです。特にプリウスの場合は高速域(具体的な速度域を明言することは避ける)からの再加速が非常にトロいという欠点がありました。音だけ頑張ってて車が全然前に進んで行かない印象です。モーターは高回転域でトルクが無いですし、エンジンはミラーサイクル領域を広げているので90psしか出ないのでスペック上しょうがありません。それを犠牲にして常用域での燃費を改善しているのですからしょうがないですし、理にかなった設計だと思うのでそこに異論を挟むつもりはありません。

CX-5の場合は全開走行時はミラーサイクルを行っていないですから、普通の2L NAエンジンです。だからハイブリッド分の燃費向上効果が無かったとしても、プリウスの方が燃費が良く加速が悪い、CX-5はその逆の特性であるという事までは言ってよいと思うのですが、それでもこんなに2L車って早かったか?と思うくらい速い。車体が1.5t近くもあるとは思えない。

私のCX-5は20S PROACTIVEなのでパワートレーン的には最下位のグレードです。買う前は2.5Lの方が良いかな?などと思っていましたが、買ってからは全然不足を感じていないですね。これよりパワーが必要なことなんてあるのか?とすら思います。

完全にカバーすることを求めるか、大体カバー出来ていればよしとするか

以降、裏付けがあるわけではないですが私がふと思ったことを書いてみます。

日本人は自分が利用するうち、最大の性能が必要になる利用シーンを想定し、それに対応できるスペックを求めるらしいです。

分かりやすいのは乗車人数ですね。普段、一人で乗ることが殆どであっても、「家族でキャンプに行くときは家族5人がゆったり乗れた上にアウトドア用品を積み込むスペースが欲しいな…」と考えてミニバンを買うような考え方がそれにあたります。SUVも同じようなところがあるでしょう。そんなに荷物を大量に積み込む人でなくても、「こういう時にはデカい荷物を積むから…」という思考になるのではないでしょうか。少なくとも私はなります。

エンジンパワーについても似たようなところがあります。日本人はアクセルべた踏みするような人は少ないでしょう。少なくとも私の感覚では、女性で躊躇なくアクセルべた踏みするような人はあんまり見ないですし、男友達の車に乗っていてもアクセルを積極的にべた踏みするような人は少ないです。

一方で欧州(欧州というくくりが既に曖昧ですが)では気軽にアクセルをべた踏みにするような人が多いらしいです。べた踏みしたら危ないじゃん、と思われるかもしれませんが、そもそも、日本車に比べてパワーが抑えられているのです。実際、欧州で販売されている車をみると出力が抑えられていることが分かります。

たとえば、UKのMazda 2(デミオ)の馬力は75ps。国内では3代目13Cグレードの最低が84ps、15Cでは112psです。Golf touranは日本で販売されているコンフォートライン、ハイラインともに140psとなっていますが、最廉価グレードは105psとなっています。日本では同じような車両重量の5ナンバーミニバンがだいたい150ps前後であることを考えると、ダウンサイズターボとは言えかなり最高出力が控えめになっています。

UKはじめとする欧州諸国では最高出力で税金が決まったりするという背景があるので、これを持って国民性を裏付けるデータにはなりませんが、そういう傾向がある、とまでは言えるかもしれません

※サンプル数が二つだけなので厳密には言えないですが、探してくるのがだるかったので諦めました。

また、以下のようなジャストな記事があったのでこちらも引用いたします。

欧州車に比べて国産車の排気量が大きいのはなぜ?

国産のメーカーって欧州車に比べて、車体よりエンジンが大きい気がするのですが・・・。たとえばBMW 3シリーズは2,000cc~、国産だとクラウンが2,500cc~。(中略)

昔から欧州車には、どのクラスにもかなり小さなエンジンがラインナップされています。日本には導入されませんでしたが、BMW 518i(1,800cc)のような、ビックリするほどの小排気量バージョンもありました。(中略)

おばあちゃんドライバーでもしばしばアクセル全開、エンジンをレッドゾーン手前までブチ回してフル加速!という走り方をします。そうやって走れば、エンジン排気量が小さくてもクルマの流れについていける。だから値段の安い小排気量モデルでいい。そういう考え方のユーザーが結構多いんです。

また、たとえばフランスやイタリアでは、排気量ではなく二酸化炭素排出量や馬力によって自動車税額が決められています。金額の差が結構大きいので、昔から小排気量志向が強いという面もあります。

という事だそうです。

高速道路のインフラが整っておらず、細い街路が長く続くような日本で車格の大きなミニバンが隆盛し、また排気量が大きな車が多いというのは興味深いですね。その背景にはやはり私は「安全余裕」を求める国民性が関係しているのではないかという気がしています。

ただ、車に限って言えばどちらが先かというのはわからない所がありますね。法制度上パワーの無い車しか作れないのでドライバーがべた踏みするようになったのか、べた踏みすれば十分な加速が得られるからそれで良いと考えているドライバーが多いから、メーカーがそれに倣ったのか…。という、卵が先かニワトリが先かという話にもなってきます。

しかししつこいようですが、私はやはり国民性が関係しているのではないかと思えます。例えば何かの事故(電車とか原発とか耐震ゴムとか)が起こったときなども日本人は「次は絶対に安全であることを担保しろ」みたいな論調で喋る人が多いですよね。「俺起業するぜ!」ってひとに対しては「止めた方が良い。無難にサラリーマンしてたほうが良い。リスクが高すぎる」という論調の人が多いですよね(少なくとも私の周りではそうです)。

そういう風にして、高い金を払っても、多少の我慢は許容しても、完全無欠さ、安心さを選択するのが日本人なのではという気がします。そしてその完全思考が過剰品質へとつながり無駄なコストアップとなって良くないと思っているのですが…ちょっと車の話から遠ざかったので元に戻します。

私が何を言いたかったかというと、「少しパワー不足な車をブン回すことの楽しみ」をもっと大事にした方が良いのでは、と今回改めて思ったという事です。欧州ではこうだから日本はダメ、という論法は個人的に嫌いなのですが、しかし今回のケースではそう言いたくなります。

なので、私はロードスターを所有したことはありませんが、今回の新型ロードスター(国内向け)が2.0Lではなくて1.5Lであるのを良い考えだと思いますし、S660も運転したら楽しそうだなと思います。

私が初めて乗ったのはバンパーがズレててセルを30回回さないとエンジンがかからないS13シルビア 1.8L NAで、周りの知人が乗っているのはR32 GT-Rや180SX(ターボ)というハイパフォーマンスな車でした。それでも、私の車に乗ると多くの人が「やっぱNAは乗っていて楽しい」と口をそろえて言います。パワーの無い車でべた踏みにしてぶん回すのが面白いのでしょう。

当時、私は意味が分かりませんでしたが、その後リベロターボという2.0L ターボ車に乗ってからは言っていることが良くわかりました。プリウスは先に言った通り高速域で伸びないのでそのあたりが乗っていて楽しくなく、やはりパワーがもうちょっと欲しいという考えにも移りましたが、それはプリウスのTHS-2システムが特殊なだけであって、普通のスペックのエンジンが載ったガソリン車であれば大体パワーの面では言う事が無い、という気持ちになってきました。

まあ、マツダ渾身のエンジンを「普通のスペックのエンジン」と言っていいかどうかはわかりませんが、ミラーサイクルだのクールドEGRだの4-2-1排気だのは昨今すごく珍しいという訳でもなくなってきましたからね。

というか、CX-5 20Sのパワーですら私にとっては過剰に近く、もっと低排気量でも良いのでは…という気もするのですが、しかしそれはCX-5がSUVの中では軽快に走るというだけで本来は1.5tの車なのですから低排気量にしたらただの鈍重な車になるのは間違いなく、そしたらやっぱり車格はもうすこし小さくせねばらなず、すると「家族がゆったり長距離移動」という要求仕様と矛盾し、といういつもの堂々巡りに至る。

やっぱり子供が小さいうちは「走ってて楽しい車」に乗ることを追求しても良い結果にはならないですね。CX-5は走っていて楽しいのと車内の広さと長距離移動の楽さが高いレベルで満たされていると私は思っている上に外観も気に入っているので不満は全くないのですが、それでもセカンドカーで何か欲しいな…とちょっと思ってしまうところはあります。そんな金ないし、それよりも先にバイクだのカメラだのレンズだの最新ノートPCだのが欲しかったりするのですが…。

今回の記事はちょっと論点も定まらず思ったことをつらつらと書いてきましたが、行き着く結論はいつも同じですね。

金が欲しい。以上。