ぜひとも知ってもらいたい日本のIT現場の闇

ちょっと私の愚痴を聞いてくれませんか。

うちの会社って変な人多いんですよ。

こないだ、私はとある仕事をやれと命令を受けたのでどういう仕事で何をやればいいのかという話を聞きに行ったんですが、具体的なことが聞いても聞いても全然分からないんですよ。「これが新しいWebサイトのモックアップです」ってWebサイトの画像を見せられるんですけど、情報源はそれだけなんですよ。Aというボタンを押したらどうなるとか、Bというボタンを押したら何が開くとか、どういうページが開くとか、そういう説明が一切ないんですね。

そいで、どうするんですか、って聞いたんですよ。詳しいことを。そしたら、「このサイトは旧ABCシステムのリニューアルなんですよ。詳しい仕様は古いサイトを見てください」とか言うんですよ。でも私、古いサイトが何処にあるか知らないし、ABCシステムも初耳だし、もっと言えばそのサイトって私にはたぶん見る権限が無いので見れないんですよ。

これ、漫画で例えればこういうことですよ。

「新連載!ポケット幽霊ウォッチッチ!」みたいなタイトルが出てる漫画の表紙と、主人公らしき少年少女、その横にピカチュウの4番煎じみたいな、出がらしと言うのもおこがましいくらいの薄っぺらいキャラクターが鎮座しておって、「まあこんな感じで漫画書いてみてよ」って言われたきり、その後一切説明が無いとの等しいですからね。

そんなんで漫画書けますか?書けないでしょ?書けないから私言いましたよ。「この少年はなんて名前なんですか?」って。そしたら、「魔法騎士レイアースって漫画があったでしょ?それのリニューアルなんですよ。詳しい設定はそれ見てください」って言うようなもんですよ。レイアースなんて見たことありますか?無いでしょ?うちはギリギリ妹がなかよし買ってたからCLAMPの絵柄がなんとなく記憶に残ってるくらいで、はっきり言ってカードキャプターさくらとの区別もつかないんですよ。

で、私も何だかんだで頑張っちゃうので、その古いサイトのコードとかを読んだり、しつこく仕様を聞いたりしてなんとか実装するんですよ。文句言っても始まらないからね。ここは私、自分で言うのもなんだけど偉いと思いますよ。ぶつくさ文句言っても期限内に仕上げるんだから。

さらに言えば私だってプロ意識がありますから、その担当者が提示してきたframesetとかfontタグとか使ってる2015年とは思えない前時代的なクソコードを一切破棄してBootstrapベースでレスポンシブでフラットデザインなサイトにしてあげたんですよ。

ほいでいざリリースの前々日くらいになったら、「ここの業務予約リストに特殊処理が入ってないんですよ!特殊処理が!」とか言ってくるんですよ。「明後日リリースですからすぐ実装してください!!」とか言うんですよ。意味不明なんすよ。特殊処理とかこいつら言いすぎなんすよ。

通訳すると特殊処理ってのは当初想定していた仕様がアンポンタンポカンでグズグズの穴の開いたザルみたいな役立たずなので、いざ運用してみたら不足している所が山ほどあり、その一つ一つを現状の実装を拡張して何とかすることは不可能なので「これは特殊処理だから」とかふざけたこと抜かして特別扱いし、糞長いif文で分岐させて無理やり機能を実装してごまかしてるようなもんなんですよ。こんなもん、はっきり言ってBASICのGOTOで無茶苦茶なことやってるのと大差ないんすよ。

だから私聞きましたよ。特殊処理ってなんすか。そんな話し聞いてないですけど。仕様を提示してください。って。そしたら、無視なんすよ。この人の腹立つところは、分かんないことをメールで質問されると無視するんですよ、無視。アホかって感じじゃないですか。

この経緯を漫画で例えればね、当初提示されたキャラクター原案とかがまずクソダサいわけですよ。2015年なのにダッシュ四駆郎みたいなタッチなんすよ。で、私としてもプロ意識があるので、2015年にダッシュ四駆郎書くわけにも行かないじゃないですか?だから現代的な、それこそ顧客お望みの妖怪ウォッチ的なテイストを取り入れた絵柄にするじゃないですか。そうやってなんとか完成、締切間に合ったわー、ってなってたところに電話が掛かってきて「なんでツバサがエキサイトストリームバンバンジーアタックしないんですか!!!」とかお怒りなんですよ。意味分からないじゃないですか。だってこっちはエキサイトストリームバンバンジーアタックなんて知らないですからね。

だから私聞きましたよ。エキサイトストリームバンバンジーアタックってなんですか?って。すると、「主人公のツバサがヒロインのリンリンの中華パワーを享受して放出するエネルギッシュでパワフルでストリームな必殺技だ」みたいなことを、当然知ってるよね?え、まさか知らないの?ほんとに?バンバンジーアタックしらないの?みたいな口調で言いますからね。アホかって感じでしょ?そもそも、こっちはヒロインがリンリンという中国人だったということすら今知ったわけですから、ましてやパワフルでストリームなバンバンジーアタックなんて知ったこっちゃないんですよ。

そいで私、嫌々ながら聞くわけですよ。「じゃあそのエネルギッシュなストリームってなんなんすか?」って。偉いでしょ?嫌がらずに聞いてあげるんですよ。したらば、やっこさん、無視なんすよ。突っ込まれると自分には理解できないから無視なんですよ。酷いでしょ?自分で言い出したくせにその詳細を全く説明できないんですよ。こんな人が偉い役職で糞高い給料もらってるんですよ?信じられねえ。エクストリームバンバンジーアタック食らわせてやりてえ。

ここまでご覧になった皆さんは当然のごとく、「なぜこの人は自らが考えた『バンバンジーアタック』なるものが公然の常識のように勘違いしているのだろう、統合失調症なのだろうか」という疑問を持ちますよね?持たない?持ってください。これこそが、日本の金融系、メーカー系を柱とするSIer業界の闇なのでありますよ。

すなわち、やつらは一つの企業を基礎とする狭い世界、狭いベンダー、狭い常識にどっぷり浸かったまま10年、20年と働いているので世の中のスタンダードというのを知らないんですよ。オレオレ常識が世界の常識だと勘違いしてるんですよ。超エキサイトパワフル井の中の蛙大海を知らずなんですよ。だからCOBOLとかFORTRANとか使いたがるアホがたくさんいるんですよ。

そういや、こないだ、私某銀行のオンラインバンキングのサイトのソース見てみてびっくりしましたよ。Mapが使われてるんですよ、Map。昔あったでしょ?大きな画像の領域の一部を多角形や円形で指定して、そこにリンクを張り付けるキチガイとしか思えない謎仕様が。私、当時から「あー、これ作った人って変態なんだろうなー、カレーをおかずにハヤシライスとか食うんだろうなー」って思いましたもん。

で、その狭い中で特定の業者との付き合いしかしていないので、まるで長年連れ添った夫婦のごとく「これこうしてね」と言えばそれで通ずる世界になっているわけですよ。そいで、私が言いたいのは100歩ゆずってその状態にまつわる弊害云々は放っておいて、それを特殊な状態だと自覚しろっつう話ですよ。常識だと思うなっつう話ですよ。

そういや、こんなこともありましたね。

私が多少偉いひとと一緒に出張しに行ったときの話でした。で、この偉い人というのも前述のように狭い世界で特定の人々とずっと一緒に働いてきて、「おい、アレくれよ、アレ」と言えばティッシュやしょうゆが出てくる、そんな感じの職場にどっぷりとつかっている人でした。

で、その出張先はとある大きなビルのなかにある某社なんですけど、その某の担当者が「いっやあー、ごめんごめん、急な会議が入っちゃって、もう1時間くらい待っててくんない」とかフツーに言う訳ですよ。それで私またブチ切れに近いんですけど、お客さんなんで我慢するじゃないですか。

ほいで、その一緒に行った多少偉い人が言うには、「そういやこのビルにうちの支社が入ってるんだなあ。そこに行って待機させてもらうか」などとモゴモゴ言うので、あ、そんなんできるんだ。それいいすね。と言った。

そいで、その支社の中におもむろに入るじゃないですか。大体入ったら電話があるじゃないですか。それをガン無視し、おもむろにドアをゴンゴンとノックし始めるわけですよ。この時点で私はちょっと嫌な予感がしたのだけど、「はい」と嫌そうな顔をしてドアを開けた若い兄ちゃんに「いっゃあ、悪いね。ふんふん」みたいなことをまたモゴモゴ言ってドアの中に入ろうとするんですよ。そしたら若い兄ちゃんが全力で抵抗、「え、なんなんすか?なんですか?どちら様ですか?ご用件は?」みたいな感じで全身でその多少偉い人を静止、その鋭い眼光からはあからさまに110の三桁が感じ取れた。

つまり、私はこの多少偉い人が多少偉いのでこの支社でも顔が効くのだと思っていたのだけど、全然そんなことはなく、この多少偉い人も皆がニコニコ顔見知りの世界にどっぷりと浸かっているものだから、同じ会社であればどんな部署にいつ何時行ってもニコニコ出迎えてもらえると勘違いしているのだ。しかし、当然ながら従業員規模が数十人などという会社ならいざしらず、何百人何千人も居るような会社でそんなことが通用するはずもなく、そういうことをわからないんだよね。このオッサンは。

で、ヤバい!勘違いされてる!と思った私は事情を説明、「我々はXX課からXXの件できた何某というものなのですけれども、これこれこういう訳で、アポなしで大変失礼とは存じますけれども、どこかのスペースで待機させて頂けたらちょっと嬉しいなー、みたいな、なんちゃって」みたいなことを言ってなんとか理解してもらったのだけど、全身から「連絡しとけや、っつうか受付に電話あるんだから電話しろや、っつうか待たせてもらいたいとかいう理由で仕事してるところに来んなや、迷惑なんじゃ、ガキか」みたいなオーラが山ほど放出されていて私は心底恥ずかしかった。このオッサンは何をやらかしてくれているのだろうか。

そいで私がまたイラッときたのが、この一連の経緯の末、まだ新人であった私にフォローされ、さぞかし居心地が悪いのだろうと思いきや、このオッサンはさっさと椅子に座ってニコニコ笑顔で会議資料をチェックしたり、女子社員をつぶらな瞳で目で追ったりしているのでもうほんとぶん殴って帰ろうと思ったね。もとい、バンバンジーアタックして帰ろうと思ったね。

でかい組織で働くというのは往々にしてこういうことがある。私の仕事も仕事時間の何割かはこういうどっぷり浸かったオッサンの「オレオレ常識」や「オレオレ用語」を解読する作業に費やされるのであり、こういう時間はホント無駄。無駄無駄無駄。人生においてもコストパフォーマンスを重視する私は、こういうコスト(時間)に対してパフォーマンス(成果)が上がらない作業はホント嫌になる。

優秀なプログラマは高い年収を払ってくれるモバゲー業界やオプティマイズ広告配信とかスマートなんちゃらとかのベンチャーとかそういう会社に引き抜かれて、金融とかメーカーとかそういうところには出がらししか来ないという話も聞いてから久しいが、そらそうだよなと思う。そっちのほうが楽しいし、年齢層も若いし、高給だもんな。