グラフで比較する2015年ミニバン

大きな画像が大量にあるのでPCでの閲覧を推奨します。

今回は2015年4月時点で販売されているミニバンをグラフで比較してみました。

小回り・運転のしやすさ

ミニバンを運転するうえで小回りが効くかどうかが気になる人は多いでしょう。ミニバンは座席の広さ&多さやスライドドアが魅力でファミリー層から好まれる車種ではありますが、車内空間の確保とスライドドアの装備は車体サイズの大型化に直結します。車体サイズが大きくなればなるほど小回りは効きにくくなります。

小回りに効いてくる要素は最小回転半径と全長(車の鼻先から後ろまでの長さ)です。

※最小回転半径はホイールベース(前後のホイール間の長さ)とハンドルの切れ角で決まりますが、最小回転半径がどの車種でも明示されているのでホイールベースとハンドルの切れ角は比較する意味がありません。また、ホイールベースは車の全長の長さとの相関が大きく、その点から考えてもやはり全長は重要と判断できます。

全幅も大きく関係してきそうに思うかもしれませんが、「小回り」にはあまり関係ありません。狭い駐車場に車を入れることを想像してみてください。たいてい、車は走行路から90度の角度で切り替えして駐車することになります。このとき、全長が長いとハンドルを切り返すために走行できる距離がとれないですから、車を90度回転させるためには何度も切り返したり、一生懸命ハンドルを回したりしなければなりません。すると、ドライバーは「小回りが利かない」と感じます。

全幅が重要なってくるのは狭い道路で車同士がすれ違うときや、極端に幅の狭い道や駐車場に入れる場合になります。(このあたりを小回りと言うひともいるかもしれません)特に道幅の狭い道路が多いような箇所に住んでいる人にとっては重要であると思われます。

前置きが長くなりましたが、以下が運転のしやすさを示した散布図です。

※「VOXY, N, E」はVOXY、ノア、エスクァイアの略です。

横軸が全長です。縦軸が全幅です。左になるほど小回りが利きやすく、右側になるほど小回りが利かなくなります。また、上に行くほど狭い道を走行するのがしんどく、下に行くほど狭い道も楽々です。カッコ内は最小回転半径で、これは小さい方が望ましいです。

図より、圧倒的に小回りが利いて運転しやすいのはフリード、シエンタになります。次がゴルフトゥーラン。その次に5008、プリウスα、ウィッシュ、プレマシーになります。ただし、5008は横幅が大きく、プリウスαは最小回転半径が大きいのでこの二車種は同グループでも運転はしにくい部類になります。

次はデリカD:5、エクシーガ、ビアンテ、セレナ、VOXY/ノア/エスクァイアになります。いわゆる5ナンバーミニバンは5ナンバーであるから運転しやすいと思われがちですが、全長が長いために小回りは効きにくいです。そして、大体メーカーは最小回転半径のみを持ち出し小回りが利くと主張し、全長の長さには触れないことが多いです。

運転しにくいのはエスティマ、オデッセイ、アルファード/ヴェルファイア、シャラン、MPVあたりの大型ミニバンです。MPVは全高が低いのでそれほど大きさを感じませんが、全幅・全長はやはり大型ミニバンです。

重量

車の重量は非常に重要な要素です。加速力、燃費、ブレーキ性能、走行性能などなどあらゆる面で最も重要な要素になります。重量は基本的に軽い方が有利なのですが、近年では車に対する安全性能を確保すべく、より頑丈な車体を作るために車両重量は増加傾向になります。重量を軽くしながらも衝突安全性能や剛性を確保するためにメーカーはコンピュータシミュレーションを活用したり新素材・鋼材を利用したりして技術開発に励んでおり、ここが腕の見せ所です。

重量増によるおそらく唯一の利点は、外乱に強くなることです。外乱とは、たとえば路面の凹凸による衝撃や、風にあおられる力などを指します。重量が重いほど外部から力をかけても変化が小さいので、乗り心地は向上します。高級車の重量が重いのはこういう理由によります。しかしながら、重い車体に対応するためにサスペンションやブレーキ、エンジンの能力を向上させないといけませんのでコストがかかります。このあたりの事情も高級車でしか重量級の車は実現できないゆえんでしょう。

以下が重量の比較グラフです。

車体の大きさから類推できるように、フリードが最も軽いです。次にウィッシュ、プレマシーなどのロールーフ系ミニバンですね。ゴルフトゥーランや5008は見た目の割に重いです。おそらく剛性の確保や安全性能の確保の結果がこれなのでしょう。

中型のミニバンはどれも大差ないですね。

一番重いのはアルファードで、なんと2tを超えます。1tを下回る車も珍しくない中でこれはすさまじい重量ですね。先の記事で述べたとおり、アルファードは3.5L V6エンジンを搭載するモデルもありますが、これは回転数を下げることによる静粛性を追求した結果と考えるべきでしょう。2tを超える車体でスポーティーな走りを期待することはまず不可能です。

加速力

先に述べたようにミニバンのほとんどは1.5tを超える重量であり、乗用車の中ではどれも重量級の部類に入ります。

車両重量があるということは加速が鈍くなるということです。加速が鈍いと追い越しや高速での合流がしんどくなります。また、私のように家族構成の変化によりミニバンを検討しているが、加速がトロい車には乗りたくない、ミニバンというカテゴリでも出来る限りのスポーティーさを兼ねそろえた車に乗りたいと考えている人も居るでしょう。「走る楽しさ」「車を運転する楽しさ」に加速力はあまり重要でないのですが、それでも最低限の要求性能は人それぞれあるでしょう。

以下が、シミュレーションによって求めた0-400m(ゼロヨン)の走行タイムです。(「くるまくん」もご覧ください)

ずば抜けて早いのはエクシーガですね。スバルらしいと言えます。アルファードも3.5L V6エンジンのパワーによりかなりの加速力を誇りますが、慣性力をパワーでねじ伏せるのは不可能なのでスポーティーな運転は苦手でしょう。

特筆すべきはやはりプレマシーですね。2.0L NAエンジンで上位に食い込んでいます。その他はほとんど大差ありません。この程度の加速力があれば実用上困ることは無いだろうと思われます。

いささか力不足を感じさせるのはフリードハイブリッドですね。フリードハイブリッドは燃費を重視した結果なのか、それともIMAハイブリッドの限界(?)なのか極端に最高出力を抑えています。実用上でも困ることがあるかどうかは人それぞれでしょうが、少なくとも加速性能にこだわる人は避けたほうが無難、とまでは言っていいかもしれません。

最大加速度

最大加速度は、アクセルを目いっぱい踏み込んだ時に感じることのできる最大の加速度(G)です。これは速度とは違います。単位時間当たりの速度の変化量[m/s^2]になります。

先ほど、加速力(ゼロヨンタイム)は走る楽しさにはあまり関係ないと書きました。それは、人間が時間に対して鈍感だからです。ゼロヨンタイムが数秒違う車に乗っても、ストップウォッチで測ったり意識して秒数を数えているのでもないかぎり、ほとんどのドライバーは気づかないでしょう。

しかしながら、加速度は多くの人が敏感に感じることのできます。アクセルを踏み込んだ時に体がシートに押し付けられるようなその感覚は「これは速い車である」と感ずると同時にそのような車を操っていることの満足感に繋がります。

誤解を恐れずに言えば加速力(加速タイム)はほとんどの人が気付かないのに対し、加速度は敏感に感じ取ることができるため、ゼロヨンが速い車よりも最大加速度が大きい車に乗った方が「速い」と感じることができます。

以下が計算によって求めた最大加速度と、その偏差値です。偏差値は「くるまくん」に掲載された車種から学力テストの偏差値の求め方と同じ方法で求めた値です。

このグラフを見ると色々と面白いことが分かります。

たとえば、私はゴルフトゥーランに乗ったときに「速い車だ」という印象を持ちましたが、先の0-400mタイムを参照すると他車種に比べてそこまで速いわけではなく、中の上といったところです。しかしながら加速度で比較すると他車種よりも圧倒的に大きな値を誇っています。デリカD:5 パワーパッケージ(ディーゼル車)も同様でしょう。最近はディーゼル車の太いトルク、加速感が素晴らしいと褒める記事をよく見ますが、走行タイムを比較するとデリカD:5もそこまで速いわけではありません。

これ等から分かる通り、人間が感ずる「速さ」は決められた区間を走行するタイムではなくて加速度に依存していると言えます。

スーパーチャージャーを搭載したダウンサイジングターボ、ディーゼル車は最大加速度が大きいですね。これは最大トルクの絶対値が大きいからです。反対に、圧倒的な加速力を誇るエクシーガ 2.0GT-Sはトップクラスにはいますが、ずば抜けているわけではありません。こういった車は加速感を感じないのに速度がどんどん上がってしまうような感覚を受けるはずです。

プレマシーはまたトップグループに出てきています。やはり優秀な車だと思います。加速感で言えばV6のアルファードと同じくらいということになります。

ここで、偏差値(下軸、薄い灰色)に注目してください。偏差値50が平均的な車の加速感であるラインです。もし「ミニバンであってもスイスイ加速する感じを味わいたい(体感の話、実際に走行タイムが速いかどうかは別)」と考えているならばできれば偏差値50よりも上の車種を選びたいところです。スライドドアを装備車種ではデリカD:5とプレマシーのみがこれに該当します。その他、ビアンテもそこそこの加速度を保っている点も注目したいところです。

経済性

ミニバンを買おうとしているのは大体子育て世代でしょう。お金ないですよね。わかります。何にも言わなくても全部わかる。私は。何やるにも金かかるもんね。

日本自動車工業会の市場動向調査によると、車を買う人は最初に払うお金よりも維持費を重要視するそうです。長い目で見たら総額を減らした方が得なのですが、キャッシュフローを重視して毎月の支払を抑えたほうが家計への負担は小さいでしょう。

以下の表に、金利3.2%、72回支払、頭金40万とした場合の月々のローン支払い額と、ガソリン代が130円/L、年間走行距離1万とした場合の月間の燃料費を算出し、その合計額が小さい順で上位30番までを抽出しました。

走行距離やガソリン価格、金利などの条件を変えてテストしたい場合は、後にアップするエクセルファイルをいじるか、もしくは「くるまくん」を利用してください。

メーカー 名前 グレード 車両価格 JC08燃費 月間燃料費 月間ローン 月間合計
トヨタ シエンタ 1.5 X ¥1,671,000 17.2 ¥6,298 ¥19,425 ¥25,724
トヨタ シエンタ 1.5 X L Package ¥1,754,000 17.2 ¥6,298 ¥20,694 ¥26,992
ホンダ フリード 1.5 G ¥1,746,000 16.6 ¥6,526 ¥20,571 ¥27,097
トヨタ シエンタ 1.5 DICE ¥1,764,000 17.2 ¥6,298 ¥20,846 ¥27,145
トヨタ ウィッシュ 1.8 X ¥1,761,905 15.8 ¥6,857 ¥20,814 ¥27,671
トヨタ シエンタ 1.5 DICE G ¥1,862,000 17.2 ¥6,298 ¥22,344 ¥28,643
トヨタ シエンタ 1.5 G ¥1,898,000 17.2 ¥6,298 ¥22,894 ¥29,193
トヨタ ウィッシュ 1.8 A ¥1,866,667 15.8 ¥6,857 ¥22,416 ¥29,272
トヨタ シエンタ 1.5 X ¥1,814,000 13.2 ¥8,207 ¥21,611 ¥29,818
マツダ プレマシー 2.0 20CS ¥1,850,000 13 ¥8,333 ¥22,161 ¥30,494
ホンダ フリード 1.5 G ジャストセレクション ¥1,980,000 16 ¥6,771 ¥24,148 ¥30,918
トヨタ シエンタ 1.5 X L Package ¥1,896,000 13.2 ¥8,207 ¥22,864 ¥31,071
トヨタ シエンタ 1.5 DICE ¥1,906,000 13.2 ¥8,207 ¥23,017 ¥31,224
トヨタ ウィッシュ 1.8 X ¥1,951,905 14.4 ¥7,523 ¥23,718 ¥31,241
マツダ プレマシー 2.0 20C Skyactiv ¥2,009,000 16.2 ¥6,687 ¥24,591 ¥31,278
ホンダ フリード 1.5 G ジャストセレクション ¥2,012,000 16 ¥6,771 ¥24,637 ¥31,408
ホンダ フリード 1.5 G ¥1,951,000 13.2 ¥8,207 ¥23,704 ¥31,911
ホンダ フリードハイブリッド 1.5 ¥2,210,000 21.6 ¥5,015 ¥27,663 ¥32,678
トヨタ ウィッシュ 1.8 A ¥2,046,667 14.4 ¥7,523 ¥25,167 ¥32,690
トヨタ シエンタ 1.5 DICE G ¥2,004,000 13.2 ¥8,207 ¥24,514 ¥32,722
トヨタ ヴォクシー X C Package ¥2,076,190 14.6 ¥7,420 ¥25,618 ¥33,038
トヨタ ウィッシュ 1.8 G ¥2,114,286 15.8 ¥6,857 ¥26,200 ¥33,057
トヨタ シエンタ 1.5 G ¥2,040,000 13.2 ¥8,207 ¥25,065 ¥33,272
トヨタ ヴォクシー X C Package ¥2,104,762 14.6 ¥7,420 ¥26,054 ¥33,475
ホンダ フリード 1.5 G エアロ ¥2,160,000 16 ¥6,771 ¥26,899 ¥33,669
ホンダ フリード 1.5 G エアロ ¥2,192,000 16 ¥6,771 ¥27,388 ¥34,159
日産 ラフェスタ ハイウェイスター ¥2,206,000 16.2 ¥6,687 ¥27,602 ¥34,289
トヨタ ウィッシュ 1.8 S ¥2,208,571 15.8 ¥6,857 ¥27,641 ¥34,498
トヨタ プリウスα 1.8 S Lセレクション ¥2,417,000 26.2 ¥4,135 ¥30,826 ¥34,961
ホンダ フリードハイブリッド 1.5 ジャストセレクション ¥2,360,000 21.6 ¥5,015 ¥29,955 ¥34,971

 

殆どシエンタ・フリードですね…。プレマシーはここでも上位に食い込んでいます。安いのに走行性能が高く、加速力もあり、剛性感もあって走っていて楽しく、小回りも効いて、内装もそこまで安っぽくなく、しかもスライドドア装備ですよ。私がここまでプレマシーを推すのはこのあたりが理由です。

月々の維持費を抑えるために、「ミニバンは燃費が悪いと言うし、なるべくガソリン代が掛からない車種にしたいよなあ…」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで、VOXYも廉価なグレードは30番までに入っていますが、ハイブリッドモデルが入っていないことに注目してください。既に他の記事でも何度も述べましたが、結論から言えばハイブリッドモデルで初期費用の元が取れるケースはほぼ皆無です。

以下は、横軸に月間の維持費合計(ローン+ガソリン代)、縦軸に燃費[km/L]をプロットした散布図です。

何かの相関は感じられませんね。「燃費が良いほど月々の維持費は安い」が真ならば、左上から右下に向かって点がプロットされていくはずです。つまり、「燃費が良いほど月々の維持費は安い」という傾向は無いということです。

では次に車両本体価格を縦軸に、月間の維持費を横軸にプロットした散布図を見てみましょう。

綺麗に左下から右上に向かって並んでいますね。つまり車両本体価格と月々の維持費には非常に強い相関があるということです。

以上を言い換えれば、「維持費を抑えたかったら安い車を買え」に尽きます。身もふたもない結論ですね。そんなもん言われなくても分かってるわ!と言われそうですね。その通りだと思います。しかし、最近はなんだか燃費が非常に重要視される傾向があり、事実私も燃費が月々の維持費に大きく関与するような錯覚を受けてしまうのですが、いやいや、そういうことはあり得ないですよ。燃費よりもローンの方が圧倒的に大きいですよ。高くて燃費のいい車を買うよりは、安くて燃費もそれなりな車を買った方が維持費は安いですよ、ということを再度強調したく、以上のような図を乗せてみました。

 おまけ

停止状態から20秒後まで全力で加速したときの速度変化のグラフを以下に載せます。ご覧のとおり車種が多すぎて意味不明なグラフとなってますので、あくまでも参考程度の「おまけ」としました。

次の記事でスペック等を比較できるExcelファイルをアップします。