Cd値の優劣を比較してもあまり意味がない

最近、空気抵抗係数(Cd値)がいくつだとかいう点をアピールしているのをよく見ます。

空気抵抗係数は文字通り係数なので、これがイコール抗力をあらわすわけではないです。

抗力Dは以下の式で算出できます。

ここで、ρは空気密度、Vは速度、Sは前方投影面積です。

実際の車種で抗力を計算して見ましょう。Cd値はネットで調べましたが、前方投影面積を計算したモデル/グレードと違ったモデルになっているかもしれません。なので、大ざっぱな値と考えてください。以下は、50km/hで走行している時の値。

前方投影面積[m^2] Cd 抗力[N]
プリウス 2.6001 0.25 76.80
ミライース 2.2125 0.31 81.04
aqua 2.4662 0.28 81.59
デミオ 2.5425 0.29 87.12
アテンザワゴン 2.7232 0.28 90.09
voxy 3.2351 0.32 122.31
CX-5 3.1372 0.33 122.32
アルファード 3.6075 0.33 140.66

 

下記が100km/hくらいで走行している時の値。

前方投影面積[m^2] Cd 抗力[N]
プリウス 2.6001 0.25 307.21
ミライース 2.2125 0.31 324.15
aqua 2.4662 0.28 326.35
デミオ 2.5425 0.29 348.47
アテンザワゴン 2.7232 0.28 360.36
voxy 3.2351 0.32 489.26
CX-5 3.1372 0.33 489.28
アルファード 3.6075 0.33 562.63

 

では、この抗力はエンジンからの駆動力に対してどの程度の大きさなのでしょか?2.0Lガソリンエンジンを積んだCX-5と1.5Lガソリンエンジンを積んだアクセラが最大トルクを発揮した時に路面へと伝わる力の大きさは、それぞれ5579[N]、4409[N]でした。大ざっぱにこのくらいのオーダーだと思ってください。

CX-5 2.0L エンジンのトルクカーブのピークは2000rpm付近で、100km/h巡航走行時の回転数もこの程度であることから考えると、100km/h走行時にCX-5はエンジンからの出力の8%程度が空気抵抗により失われることになります。これが、たとえばプリウス程度の抗力であれば5%程度になります。2.0LガソリンエンジンのCX-5が高速道路で15km/Lの燃費だったとして、ボディだけが突然プリウスに変化する魔法を使うと燃費は15.45km/Lくらいまで伸びることが期待できます。

以上をまとめると次の事が言えます。

車種間の抗力の差はCd値よりも面積に引きずられる

ご覧のとおり面積のほうがCd値よりも2桁くらい大きいので、抗力は前方投影面積(全高×全幅)に大きく依存します。空気抵抗を気にするならCd値よりもまず前方投影面積を調べたほうが良いでしょう。簡単に言えばCd値云々ではなく、前から見てデカい車ほど単純に空気抵抗も大きいということです。

低速走行時には空気抵抗による差はほとんどない

空気による抗力は速度の二乗で大きくなります。50km走行時と100km走行時の抗力を比較すると、4倍程度の差があることが分かります(1:4 = 5^2 : 10^2ですね)。そして、100km/h走行中であっても燃費に与える影響は8%程度であり、そのさらに1/4の影響ですから、市街地走行時の燃費に与える空気抵抗の軽減効果は微々たるものと言ってよさそうです。

実用上は高速走行時でも燃費を左右する決定的なファクターにはならない

高速度一定巡航を行うようなシーンでは空気抵抗による影響が効いてきそうに思えますが、その差はCX-5とプリウスという対極にあるようなボディの差であっても数%というオーダーです。燃費を気にして空気抵抗の小さいボディの車を選ぶよりは、エコな運転を心がけたり、こまめにオイルを変えたり、こまめにタイヤの空気圧をチェックしたほうがよっぽど効果がありそうです。(このページを参照すると空気圧が1kg/cm^2下がると燃費が15%も悪くなるそうです。1kg/cm^2はかなり空気が抜けた状態ですが…)

その他の燃費向上テク

私がプリウスで東京から秋田に帰るまで、関越道を利用するのと東北道を利用するのとでは燃費が少なくとも1km/Lくらい違います(関越道の方が悪い)。これは恐らく山を越えるからでしょう。(位置エネルギーが蓄積されるので下りでは回収されますが、それを差っ引いたロスが1km/Lということです)平坦な道を選べるのならばそちらを選んだ方が良さそうです。

また、Mythbusters(日本名:怪しい伝説)という番組で見たのですが、大きなトラックの後ろを走ると燃費が向上するそうです。100ft(約30m)で11%の向上、10ft(約3m)ではなんと39%も燃費向上したとのことです。これは、走行する自動車の後方が負圧になるためです(スリップストリーム)。

ただ、たとえば100km/hで走行している状態での前走行車との車間距離は100m以上が望ましいと言われていますので、積極的におすすめできるものではありませんが…。あまり詰めると煽ってると思われるということもあります。速度追従クルーズで車間距離を少し詰めた設定で運転するくらいならまあ道徳的にも誰も怒らないレベルでしょうか。

あとはなるべく遠くを見て急な加減速をしないようにするという通常の低燃費運転や、単に速度を上げないという方法も効果的です。