格差の拡大は良いのか悪いのか

よく野党が「アベノミクスによって拡大した格差を是正する」などと言っているが、これが良い事なのか悪い事なのか微妙だなと思う。

私は政治金融経済に明るくないので間違った認識があるかもしれないが、基本的に格差を小さくする施策というのは富の再分配によって一部の人間に財産が集中することを避けるようなものになるはずだ。具体的には、金持ちの税金を高くして(累進課税制)、得た金を分配(各種補助、助成金)するという一連の制度がそれにあたるだろう。

極端なことを言えば格差を是正するというのはつまり儲けている所から取って儲けてないところにふりまいて均す作業ということになる。これは儲けてない人たちから見ればハッピーだが儲けている人たちから見ればハッピーでない。

もしこのような施策を強固に押しするめるとどうなるか。まずは競争原理が正しく働かなくなるという事が考えられる。稼いだら稼いだだけ持って行かれ、また、稼がなくてもある程度の生活が保障されるのであれば人々は稼ぐ意欲を無くすだろう。金を持っている人は自分の資産を海外に退避させるかもしれない。企業は海外生産へと軸足を移すかもしれない。すると国内にお金が回らず経済は落ち込み、結果としてみんなが損をする。これはよろしくない。

であるから何事も加減が大事である。この、「頑張った人間に相応のリターンが認められる社会」と「格差を是正した国民総中流社会」なるというのは完全にトレードオフだと思う。このような事を踏まえると「アベノミクスによって拡大した格差を是正する」という主張には私は警戒する。

私はどちらかというと頑張った人には相応のリターンが認められるべきで、経済は正しく競争原理が働くことによって健全に成長すると考えている。社会福祉は充実させて然るべきであると思うが、その負担は偏りなく皆で負担すべきであると思う。で、あるから、「格差の是正」を行うためにとり易いところから取る、たとえば良い車を買ったらそれだけ税金を高くしましょう(自動車税、重量税、ガソリン税、エコカー減税などに関連)とか、良い家を建てたらそれだけ税金を高くしましょう(固定資産税)とか、いっぱい儲けたら儲けた分税金をとりましょう(所得税)とか、うまい酒を飲んだらそれだけ税金を取りましょう(酒税)とかいうあたりの思想は大嫌いである。逆に、生産や労働の結果得たものでない資産で、かつ金回りの足かせとなるような資産の動き、たとえば資産を相続する際の税金とかそういうのはいっぱいとっても良いと思う。

以上のようなことを考えたうえで「アベノミクスによって拡大した格差を是正する」というならば、じゃあどのくらいの金をどこからとってどう分配するのかという具体的な方法論をぜひ聞きたいところではあるが、そういう具体的なところまで踏み込んだ主張を行う政治家はあまり見る機会が無い。

一方で、「新たに税金を取ることはしない。無駄遣いを減らせば財源が出る」なんて誰にとってもハッピーでいかにも理想論的なことを言うひとはいっぱいるが、事実それは単なる理想ではないかと思えてしまう。それは民主党がかつて行った事業仕分けに象徴される。

長々と書いてしまったがつまり私が言いたいことは、格差の是正を主張するならばその中でどうやって競争原理をうまく働かせるのかという工夫とか、どの程度の按配でどういう施策を行うといい感じになるのかという具体的なところが聞きたい。そういうところまで踏み込んだ主張を聞かせてくれれば私はその人に何かの選挙で投票したいと思う。