【訂正版】CX-5はどれだけ加速が凄いのか計算してみた

計算してみた。

計算式

今回は「創造の館」さんの動力性能の実態を比較するを大変参考にさせていただきました。力学が大の苦手な私にとってこのようにわかり易い解説があるのは非常に有りがたいです。お礼申し上げます。

計算式は「動力性能の実態を比較する」のそれをそのまま利用させていただきました。用いた値もそのままですので、詳細は同記事をご参照ください。

ただし、ディーゼルの場合、回転部分の等価換算重量としてさらに空荷質量の1%を加えてあります。これはディーゼル車の駆動系システムの重量増分を織り込むためです。妥当かどうかは知りません。また、1次遅れの時定数は大幅に変えています(詳細は以降で説明)。

トルクカーブはネットに転がっているマツダ公式発表の画像から目でみて大ざっぱに導きだしました。大幅には間違っていないはずです。ちなみに以下のように線を引っ張って数値を読むという地道で面倒くさい作業をやりました。

結果

まあ結果から見て行きましょう。ギアが2速であった場合の加速度の変化が以下です。横軸は回転数[rpm]、縦軸は加速度[m/s^2]です。「P」はProactive, 「L」はL Packageを意味します。

ガソリンモデルだけ取り出したのが以下です。

次にレスポンスの比較です。仮定のデータが多いためこれは参考として考えてください。縦軸が最大出力に対する割合の無次元量、横軸は時間[sec]です。

上記に最大トルクを掛け合わせたものが以下です。

結果考察

ディーゼルはオーバースペックか?

まず目を引くのがディーゼルの圧倒的な加速度です。1000rpmから2000rpmまででおよそ2倍の加速度の差が出てきます。この圧倒的な加加速度[m/s^3]が好評を得ているのではないかと思います。数々のレビューにあるような「少し踏んだだけでグッと加速していく」という表現にマッチしています。ピークの加加速度は「動力性能の実態を比較する」を参照するとレガシィB4(BL5)と同等以上の値(しかもこれが2000rpmで発生)ですから、このあたりを持って加速が凄いと感じるのでしょう。

しかしながら、同時にこれが「オーバースペックだ」と言われているゆえんでもあると思われます。確には「オーバースペック」というよりは急激にトルクを出すような方向にセッティングしたからという感じでしょうか。急激な加速度の変化というのは乗員を不快にさせる要因です。不快指数と表現しても良いくらいで、加速度のカーブが急激に変化するほど不快になります。自分一人が運転するなら良いと思いますが、他に誰かを乗せている時などはアクセル操作にかなり気を使う必要がありそうです。

「街乗りには不適」とあるのも、低速域で速度を微調整するのが比較的難しいからでしょう。それがすぐ慣れるものなのか、明らかに不適と言えるのかまでは個々人によるとはおもいますが、そのような傾向があるとまでは言っていいように思えます。

ただ、厳密に言えばアクセルの踏み具合と加速度の変化は線形に対応するわけではないので、この加速度の変化がアクセルコントロールのシビアさと直接結びつくわけではないです。ですが、これだけ鋭い立ち上がりですから確実にその傾向はあるでしょうし、そのようにセッティングしているでしょう。

セッティング次第でもう少しなだらかなカーブを描くようにもできたはずですが、そうしなかったのは低回転からトルクがあってかつトルクカーブがフラットに近いですよ(トルクカーブを見てもあんまりフラットじゃないとは思いますが)、というのをアピールしたかったからと推察できます。「フラットなトルクカーブ」というのは良く見るセールストークですから。現に、CX-5のトルクカーブが最初に公表された時は横軸をいびつにゆがめてよりフラットに見せかけようとして批判されたという事がありましたので、もちろんメーカー側も意識したことでしょう。

走る楽しさという点においてこれがプラスなのかマイナスなのかは難しいところです。まあ、人馬一体を掲げているマツダがしっかり検討した結果のセッティングなのだから間違っていはいないと思いますが。

ちなみに、「動力性能の実態を比較する」を参照するとレガシィB4(BL4)やスカイラインGT-R(BNR34)は5[m/s^2]近いピーク加速度を持ちますので、いくら圧倒的にトルクが太くてもこれらに加速勝負で匹敵するわけではありません。まあ、当たり前ですが…。

また、最大加速度を抜き出すと以下のようになります。

モデル 加速度[m/s^2]
20S P FF 2.79
25S P AWD 3.31
25S L FF 3.34
25S L AWD 3.31
XD P FF 4.98
XD P AWD 4.74

 

以上より、最下位の20SグレードとXDグレードでは倍近い加速度の差があると言えます。25SとXDグレードの違いは約3割増しといったところでしょうか。20Sと25Sの差はディーゼルほどではありません。XDグレードのピーク加加速度はレガシィB4などの国内最高峰のそれに匹敵する値を誇りますが、直線で加速勝負をして互角勝負をするという訳ではないです。

重量級スポーツカーに似た乗り心地のガソリンモデル

ディーゼルモデルとは対照的にガソリンモデルはかなりゆったりとした加速度の変化になっています。これも「動力性能の実態を比較する」と比較して頂きたいのですが、ガソリンモデルのカーブの形はスカイラインやレガシィのそれと似ています。つまり、3000回転程度まではリニアに近い形で変化し、そこからフラットになるという形です。

走りの楽しさという観点では、これもまた「動力性能の実態を比較する」に記載されてありますとおり、『Gを体感しようとアクセルを踏み込めば、「速度があがりすぎて怖い」結果になりやすい』というフィーリングに近いのではないかと思います。

ただ、スカイラインやレガシィ程度にパワーがあるわけではないので、速度が上がりすぎて怖い、というまでになるとは思えず、「Gを体感しようとアクセルを踏み込んだらそれなりに加速する」という感じになるのではないでしょうか。

アクセルに対する加速度の変化はディーゼルモデルと比べれば穏やかで、良く言えば操作しやすい、悪く言えばディーゼルモデルに比べて鈍重な印象を受けるでしょう。

4WDとFFモデルで大差はない

4WD(AWD)モデルは重いので加速度に大きく影響してくるかな、と思ったのですがそこまで顕著な差はないですね。

タイヤ(ホイール)サイズ

L PackageとProactiveを比較すると前者のほうが若干低い値となっていますが、これはタイヤサイズの関係です。L Packageには225/55R19が装着されますが、Proactiveでは225/65R17となっています。この二つはタイヤ半径が3cmほど異なります。

L Packageで少しでも加速感を向上させたいと思うのならばオプションで17インチホイールを選ぶと良いでしょう。見た目を重視したいのであれば19インチで良いような気がします。乗り心地はそれなりに悪くなると思いますが。

レスポンス

ここで言うレスポンスとは、スロットルを開けてからの加速度の変化にどの程度もたつきがあるかということを指しています。レスポンスの計算結果については仮定に仮定を重ねた上での結果なのであくまでも参考値として考えてください。

レスポンスを決定するための時定数の計算ですが、「動力性能の実態を比較する」の記事から、ディーゼルのターボラグの時定数を変更しています。具体的には一律0.4としています。これは、ガソリンターボとディーゼルターボは特性がだいぶ違うので前述の記事中の式を適用できなかったためです。この値は当てずっぽうに近いのであまり意味のあるデータにはなりません。

結果からはディーゼルモデルの遅れが激しく、車体の軽い20Sが最も遅れが少ないという形になっています。これは車体重量とターボラグ分の効果です。しつこいようですが当てになる数値ではありませんが、ただ、ここに見るように20S、25S、XDの順にレスポンスが悪くなるという事は言えると思います。

しかしながら先に述べたようにXDは鋭いトルクの立ち上がりがあるため、時定数と加速度を掛け合わせるとそれほど差は生まれません。従って、どのモデルでも極端にレスポンスが悪いと感じるようなシーンは無いのではないかと思います(しつこいようですが、あくまでも参考程度の信憑性に乏しいデータです)。

まとめ

ディーゼルモデルの加速感はすさまじいものがります。レガシィB4やスカイラインGT-Rの加速感に匹敵すると思われます(しつこいですが、「加速感」であって「加速」ではありません)。しかしながらその一方で、低速度域で速度を微調整する、ストップアンドゴーが多い市街地を走るなどのシーンではアクセル操作がシビアになることもありえます。また、応答がリニアでないという点で走る楽しさに欠ける気がします(加速度のみにフォーカスした場合です。XDが楽しくないという主張ではないです)。

ガソリンモデルのアクセル操作はディーゼルモデルほどシビアではなく、乗りやすいと思います。特性もリニアに近いので一体感も感じやすいことが推測できます。しかし、たとえ2.5Lモデルを選んだとしてもディーゼルモデルほどの加速感は得られないでしょう。

加速感の大きさは2.0G、2.5G、2.2D で 1.7:2:3 程度の違いがあります。

試乗するときは以上のような点を踏まえておくと比較するポイントが分かりやすいのではないかと思います。

私であれば、先に書いた記事で私には2.0Gが圧倒的に適しているという結果が出たということもあり、ガソリンモデルを中心に検討します。25Sと20Sを比較して加速感に値段分の価値があれば25Sという流れでしょうか。ホイールはまず間違いなく17インチを選びます。乗り心地の点からも19インチは不利だと思いますし、単純にケチで見た目にこだわらないからという理由もあります。

しかし、検討するにつれいよいよCX-5が欲しくなってきました。やはり最初欲しかった車とは正反対の車を選ぶ傾向が私にはある気がします。