i-DCDの計算モデルを作ったのでシミュレーションしました。
詳細は前の記事に書いたとおりです。 モーターの変速比とエンジンの変速比が異なるという点だけが普通の車と違い、それ以外はほとんど同じモデルが流用できますのであまり計算は難しくありません。
モーターのトルクカーブについては、スペック表に最大トルク・出力の回転数が記載されていましたので、そこから推定しました。また、以下のインサイトのスペックも参考にしました。
image from honda
インサイトのモーターのスペックを見ると6000rpmまでの全領域で10kW程度の出力が出ています(エンジン+モーターのカーブとエンジンのカーブの差)。カタログスペックは最大10kW(@1500rpm)なので全領域で最大出力程度が出ていることになります。以上を踏まえて、i-DCDのモーターも出力は高回転領域までそれほど落ちないと予測しました。ギア比から考えてもi-DCDのモーターの回転数領域は2000rpm以上でも結構回ることがあると思われるので、この領域でも出力がある程度出るようなモーターを使っているはずです。
で、予測したカーブが以下のグラフです。左軸(青)がトルク[N・m]、右軸(赤)が出力[kW]、横軸が回転数[rpm]です。以下同様。
計算結果は以下です。CR-V,CX-5は参考用。プリウスなどの他のハイブリッド車のデータが有ればよかったのだけど、まだ作ってないので…。
車種 | 0-100km/hタイム[秒] |
フィット 1.5 ハイブリッド | 7.62 |
フィット 1.5 ハイブリッド L Package(4WD) | 8.46 |
グレイス HYBRID DX | 8.25 |
グレイス HYBRID EX(4WD) | 8.94 |
CR-V 20G | 10.49 |
CR-V 24G | 8.19 |
CX-5 2.0 20S PROACTIVE | 8.69 |
CX-5 2.5 25S L Package | 7.60 |
車種 | 0-400mタイム[秒] |
フィット 1.5 ハイブリッド | 15.49 |
フィット 1.5 ハイブリッド L Package(4WD) | 16.1 |
グレイス HYBRID DX | 15.95 |
グレイス HYBRID EX(4WD) | 16.44 |
CR-V 20G | 17.96 |
CR-V 24G | 16.02 |
CX-5 2.0 20S PROACTIVE | 16.38 |
CX-5 2.5 25S L Package | 15.61 |
縦軸が速度[km/h]、横軸が経過秒数[秒]です。
所感
フィットハイブリッドはネットで調べた実測値とも大体一致します。1080kgしか無い車重が加速に相当寄与しています。
特筆すべきはi-DCD搭載車種の80km/hあたりまでの加速度です。ハイブリッドは一般に低速度領域に強く高速度領域に弱いと言われますが、そのような傾向が出ています。これはモーターの出力が高回転領域では落ち込んでしまうからです(というかそのような前提をしているので当然なのですが)。
i-DCD搭載車種のパワートレインは同じスペックなので、単純に車重の差が加速の差となっています。4WDの伝達機構でのロスは考慮していません。
i-DCDはJADEにも搭載されると思われますが、普通に考えれば6人乗りのJADEはGraceよりも更に重いです。この辺りになってくるともう少しモーターかエンジンの出力アップをしてほしいと思うのですが、燃費も30km/Lなどと言っていますから高出力側のセッティングにはしていないでしょう。
次の記事ではプリウスとの比較をしてみたいと思います。