ホンダのi-DCDは凄く良く出来ている

HondaからStreamの後継車種であるJadeが発売されようとしています。こいつは6人乗りでスライドドア非装備の車で、ロールーフなミニバンの一つとして分類されるかと思います。もしくはどちらかというとステーションワゴンかな。

次に私が買おうとしている車はCX-5ですが、Jadeも候補の一つであります。ということで、Jadeについて色々調べてみた結果、搭載しているi-DCDハイブリッドシステムがとても良く出来ているという事に気づき始めたので記事を書いてみます。

i-DCDについては以前当ブログでも記事にしました。

ホンダのハイブリッドDCTの仕組み+トヨタ方式など

以下はi-DCDシステムに採用される7速DCT(Dual-Clutch Transmission)の模式図です。

image from honda

このシステムは非常に複雑です。理解するのに時間が掛かりました。まだ正しく理解できているのか分かりませんが・・・。正確な構造が分かる資料などあればぜひ教えてください。また、以降の記述では電動機やギアの仕組みについて何か勘違いしている可能性が大なので、もし誤りを発見しましたらご連絡いただければと思います。

当初、私は以下のように理解していました。

1速ではエンジンは出力軸に接続されません。モータのみの力によって駆動します。

1速は遊星ギアになっています。サンギアが奇数段シャフト(図中メインシャフト)に、プラネタリギアが3速ギアに、アウターギアがモーターに繋がっています。1速走行時はモータ出力はプラネタリギアを通じて3速ギアを回し、動力を伝えます。2速以降はモーターとエンジンによって走行します(モーターを空転させることもできる)。モーター出力はアイドルギアを通じてセカンダリシャフトに伝わります。このとき、エンジンの回転数とモーターの回転数は同期しています。

モーター(交流同期電動機)は低速度回転数からトルクが出るという特徴がありますが、定格回転数の7~8割くらいから急激にトルクが落ちるという特性があります。

image from 機械設計者に必要なモーターの知識(光匠技研)

最大トルク到達後は回転数に比例して仕事率(馬力)が上昇する以上に急激に下降していき、モーターは定格回転数以上ではほとんど仕事をしません。電源周波数をあげなければ逆に負荷となる(発電機として動作してしまう)ので高回転領域ではモーターは空転させているはずです。

従って、ハイブリッド車においてはモーターは低速で回転させた方がより大きなアシストが可能であると言えます。i-DCDシステムではモーターの回転はエンジンと同期してしまいますが、エンジンの馬力が最も高くなる高回転領域ではモーターが殆ど仕事をしないため、モーターが活躍できるのは低回転領域に限られてしまいます。

・・・というのが私の考えでしたが、どうもそれは間違っていたようでした。

エンジンの出力軸が偶数軸に接続されている場合は、モーターはクラッチからアイドルギア経由でセカンダリシャフトにトルクを伝える必要は無く、モーターはモーターで奇数軸経由でトルクを伝えれば良いのです。

つまり、エンジンの出力軸がセカンダリギアから2速に接続されている時はモーターは3速から動力を伝えれば、モーターはエンジン回転数よりも低い回転数で動作することができるため、より高いトルクを発生させることができます。エンジンの出力軸がセカンダリギアから2速から3速に変更する場合は単にクラッチを変えれば良いだけです。このとき、モーターとエンジン回転数は同期します。4速になったときはモーターは5速でアシストします。

上記が正しい理解だと思っていますが、いかがでしょうか。検索してみるとライターの方も同様の予測をしていました。多分、この理解でおおむね間違っていないと思います。

ホンダのワンモーターハイブリッドについての想像、とか

少し疑問なのは、エンジンの出力軸が偶数段に接続されている時、モーターの出力段は奇数段(1, 3, 5, 7速)から自由に選ぶことができるのか、何か制限があるのかという点です。上記の説明のように、モーターの変速ギアがエンジン側偶数段の1段上であれば加速時の変速タイミングでモーター側ギアの変速が必要ないのでスムーズに変速することができます。しかし、たとえばエンジン側が2速、モーター側が5速であった場合などは3速への変速タイミングでメインシャフト側を瞬時に3速に切り替えたのちに変速しなければならないため、制御が難しくなると思われます。

まあ、あるギアから次にハイギアに変速するか、ローギアに変速するかは分からない(ドライバーの操作による)ことを考えれば、制御が難しかろうとやらなければならないのかな・・・。

ともかく、以上のような仕組みによってエンジンが高回転になったとしてもモーターはそれよりも低回転領域で動作することができます。いやー、よっくできてますね。大したもんだわ。THS-2も凄いですがi-DCDも凄いことをやっていますね。

ただ、前回の記事にも書きましたが変速制御は非常に難しくなるでしょう。ホンダはi-DCDでリコールを連発しましたが、まあなるべくしてなったのだと思います。

次回の記事で詳細を書きますが、上記のような考えをプログラムで実装し、i-DCD車種でも全開加速時の速度変化シミュレーションができるようになりました。そこで分かったことは、エンジン出力が偶数段に接続されている時、その変速段+1段のハイギアでモーターを回転させてもあまりうまみが無いということです。エンジン側ギア-モーター側ギアの組み合わせが2-3速のときはモーターの最大出力領域(スペック表を見ると1300-2000rpm)を使い切ることができますが、4-5速の組み合わせではモーター側回転数が十分に下がらず最大出力領域を使うことができません。4-7速であればうまいこと最大出力領域を使えるのですが、そういうことは可能なんですかね。

おそらく、可能なのではないかという気がします。可能だからこそ制御の自由度が広がり、広がりすぎたから制御が複雑になってリコールを頻発させたのでは…という気がします。

いずれにせよ、0-100km/hの加速シミュレーションでは4-5速の組合せであろうと4-7速の組合せであろうと結果に大差は無く、せいぜい0.5秒程度の差にしかなりませんでした。まあモデルが間違っているという可能性もありますけど。