「ターボなら高出力」は間違い

ダウンサイジングエンジンやディーゼルエンジンが搭載された車に対して「この車はターボだから凄い(高出力である、最高速が高い、加速力がある)」などと言う人をたまに見ますが、厳密に言えば間違いです。ここではそれを説明します。

ディーゼルエンジンの場合

一般的なガソリンエンジンの場合、スロットルバルブとアクセルペダルが何らかの形で接続されていて、アクセルを踏めばスロットルバルブが開く構造になっています。吸気量によってエンジン出力を調整しようとするのがガソリンエンジンです。

しかし、ディーゼルエンジンには吸気量を絞るスロットルバルブがなく、代わりにエンジン出力の制御は燃料噴射量によって調節します。が、これでは自由度が小さいため排気タービンなどの過給器を組み合わせて制御の幅を広げようとする設計が乗用自動車だと多いです。低回転領域、高回転領域のどちらにも対応するためにタービンを二つ組み合わせるような場合もあります。

この場合、出力の増大ではなく、制御の幅を広げることを目的として過給器を利用します。平均的な車よりもより高出力にするかどうかは完全にメーカーが行うセッティングのさじ加減によって決まり、ターボが付いていればイコール凄い(加速、最高速、トルク、出力が平均的な車よりも優れている)とは言えません。また、メーカーのさじ加減によって出力の増大をいくぶんかは加味したとしても、多くの場合は排ガス規制に引っ掛かりますので昔のターボ車(ツインターボ車)からイメージされるほどの大出力を持つような車はあまりありません。

もしディーゼルターボの車に乗り「パワーがあった」と感じたり、実際にカタログスペック上で大出力を誇っていたならば、それはたまたまメーカーがそういう出力のセッティングにしているからそうなのであって、ターボだからパワーがあったというのは厳密には間違いです。

ダウンサイジングエンジンの場合

ダウンサイジングエンジンは車格に比べてかなり小さい排気量のエンジンを搭載し、なるべくスロットルバルブを開き切った状態が長くなるようにして効率を高めようという設計思想で作られています。スロットルバルブを開けて何が嬉しいかというと、一般的なガソリンエンジンでは全開に近い運転のほうがより高効率であるという点が嬉しいです。しかしながら車格に比べて小さいエンジンではいくら全開走行と言えどもパワーが不足するため、それを過給器によって底上げしてあげようという発想で作られています。

この場合、小さいエンジンを車体に見合う程度までに出力アップさせてあげようとすることが目的なので、それを超えて平均的な車よりもより高出力にするかどうかは完全にメーカーが行うセッティングのさじ加減によって決まり、ターボが付いていればイコール凄い(加速、最高速、トルク、出力が平均的な車よりも優れている)とは言えません。また、メーカーのさじ加減によって出力の増大をいくぶんかは加味したとしても、多くの場合は排ガス規制に引っ掛かりますので昔のターボ車(ツインターボ車)からイメージされるほどの大出力を持つような車はあまりありません。

さらに言えば、(ディーゼルエンジンでもそうですが)NOx発生の抑制や燃焼温度を低くすることを目的としてEGR(排気再循環)を積極的に行っていたりするため、ブースト圧力と出力が正比例するようなこともありません。

もしダウンサイジングエンジンが搭載された車に乗り「パワーがあった」と感じたり、実際にカタログスペック上で大出力を誇っていたならば、それはたまたまメーカーがそういう出力のセッティングにしているからそうなのであって、ターボだからパワーがあったというのは厳密には間違いです。

昔の車の場合

昔の車は主に大出力を得るために過給器を利用していました。今ほど排ガス規制が厳しくなかったため、メーカーも大出力の車を作りやすかったですし、ユーザーの方もエンジン出力が高いことをメリットとしてとらえる人が今よりも多かったという背景もあります。しかし、燃焼を制御する技術が今ほど優れてはいなかったため、ノッキングが発生しやすい状態でした。これに対応するため、圧縮比を低くし、また、燃料を余計に吹いて気化熱でシリンダ内を冷やすという方式が取られることが多かったです。これらは燃費の悪化に直結するため、「ターボは速いけど燃費が悪い」というイメージが醸成されました。

現在のターボは先に述べたように、効率の向上や、それを目的として制御の幅を広げるために利用されているため、ターボであるから早い、もしくは、ターボであるから燃費が悪い、とは言い切れません。