蓄電池のセールス

私の家には一条の夢発電という太陽光パネルが付いていまして、一体全体なにが夢なのかというと、初期費用がゼロで夢の太陽光発電を始められるという商品です。

日光の照射量というのはこれまでの統計データが積み重なって実際に得られる利益の予測が立てやすく、さらに政府が再生可能エネルギーの固定価格買取制度を推進したために、初期投資が回収しやすいです。この点に目を付けて一条工務店はフィリピンに太陽光パネル生産設備を設置し、さらに子会社が初期資金を金利1%(当時)で融資、パネル売り上げの利益とローンの金利分とでかなりおいしい商売でした。夢発電は一条にとっての夢のような商品と言えるというオチがつきますね。

いまではこういうビジネスモデルは珍しくもなんともないですが、こういうことをやり始めたのは一条あたりが初めではなかったかと思います。

そういうわけで、元来から私はソーラーパネル好きで、タミヤから出てるドラえもんのソーラーカーが欲しくて欲しくてたまらない子供でしたから夢発電を契約するのは当然の成り行きでした。で、今も我が家のパネルは電力を生み出し続けているわけです。

蓄電池

と、まあそういう流れになっているのですが、今の家に入居した当初から、数か月に1度の頻度で色々なところから蓄電池設置サービスの営業マンがうちに来るようになりました。

これは、おそらく何かの経路で太陽光発電設備がある住宅のリストみたいなものが出回っているのではないかというような気がします。なぜうちが太陽光発電をしていると分かったのか、と問うたときがありますが、「屋根を見て判断した」と言っています。しかし、我が家は住宅がそれなりに密集したところに建てられているため、屋根を視認できる位置は非常に限られています。近くの山から見下ろしたときと、近くにある坂道を上の方まで上ったところからの二か所でしか私は我が家の屋根を確認できる場所を知りません。

さらに言えば、一条の屋根は「ソーラーパネルぶき」です。つまり、屋根の上にパネルが載るのではなく、屋根がパネルになっているような構造を取ります。それなりに注意深く観察しないと分からない筈です。ピンポイントの場所からでしか確認できない、かつ、それなりに注意して見ないと分からないのにソーラーパネルが載っていると分かるはずがないと思うのです。ちなみに、パワーコンディショナーも見えない位置にあります。

そういう訳で私はパネル搭載住宅のリストが出回っていると思うのですが、まあそれは本論ではないので置いときます。

本論は蓄電池にメリットがあるかどうかです。セールスマンは口をそろえて言います。「夜間電力を貯め込んで日中に使えば高い昼間電力を支払わなくてもいいので電気代が安くなる」と。しかし、実際に計算してみましたがどう考えても高価な蓄電池の初期投資をペイできるほどではないです。計算したExcelファイルがどこかに行ってしまったので書きませんが、代わりに「太陽光発電システムと蓄電池による経済学的永久機関」というふざけきった記事を挙げてみます。これは夜間電力で蓄電池に貯め込んだ電力を昼間にパワーコンディショナー経由で不正に売電を行うことを想定して利益をシミュレーションしたものですが、「安い深夜電力を高い売電価格で売る」という無茶苦茶な想定をしたとしても初期投資を回収するまでに16年以上かかるという結果になりました。対して、リチウムイオン電池はそれほど寿命が長くはありません。初期投資を回収する前に寿命が尽きるのがオチだとおもいます。

そういう結果を知っている私はセールスマンに「コスト面でのメリットは無いでしょ。初期投資は絶対回収できないでしょ」と言うと、今度は決まって「蓄電池の本当のメリットは災害時、停電時に非常用の電源を確保できる」という利点を主張してきます。何かそういうマニュアルが全国的に配布されているかのごとく、どのセールスマンも同じことを言います。

彼らの言い分はこうでした。「こないだ(2014年4月27日)、多摩八王子で大規模な停電があったでしょ。困ったでしょ。東日本大震災でも停電が発生したでしょ。復旧に最大20日かかった地域もあるんですよ。その間電気が使えないと困るでしょ。蓄電池があれば日中に発電した電力で電化製品が使えますよ」と。

しかし私はそれも疑問です。人の感覚にもよるでしょうが、私は明らかに不経済すぎると思います。何年に一度起こるかどうかわからない停電、地震のために数百万の蓄電池を導入するのは賢い選択なのでしょうか。高価な蓄電池を導入して得られるメリットは「停電時に電気が使える」、それだけです。復旧に20日間かかった地域もあったとか言っていますが、そこに住んでいる人は20日間も電気の無い環境で過ごしたんですかね。どこか電気が通じていて暖房が効くところに避難するんじゃないですかね。避難してりゃ家に電気が通じようと通じまいと関係ないです。さらに、万事がうまく行って電気が使えてラッキーと思っても、使える電気はせいぜい数kWh。あまり熱を発生させたり熱を除去したりする家電製品は使えないですね。私はそんな制限がたくさんある商品を数百万も出して買おうとは思いません。小型の発電機を買った方がずっと有効利用できる気がします。それですら数万円のオーダーですからまだ高いと思いますが。

私だったら、停電対策として何かやるにしても、せいぜい鉛蓄電池が搭載されたキャンプ用のAC100V電源とLED照明を用意しておくことくらいだと思います。夜間の照明と携帯電話の充電さえできれば後は我慢するという考えです。太陽光発電パネルが載っていれば系統と切り離した状態で使えるコンセントが普通は設置されます。それに接続すれば日中は再充電も可能です。ただ鉛蓄電池は自己放電が結構激しく、また放電しきるとバッテリーがダメになるので定期的に充電する必要があります。なので、長期保管する場合はちょっと面倒です。

まとめると、あらゆる方面から検討しても私にとって蓄電池は良い商品ではないです。蓄電池にもうちょっとブレイクスルーが起きて大幅に安くなるかエネルギー密度が増えるかとか、寿命が実質無限になる(性能劣化が無い)とかしないと導入する気にはなれません。

だからセールス来なくていいよ、と思うのですが、どこにそれを言えばよいのか分かりません。これまで一応話は聞いて断るという方法を取ってきましたが、もうインターホン越しに「絶対買わないんで。バハハーイ」とか言って断った方が良いんですかね(営業マンにとっても)?