マツダはマツコネを諦めた?

11月19日追記;本記事は大部分が間違っています。「そもそも現行のマツコネがVisteonである」、このキーワードを念頭に置いて筆者の勘違いを笑うネタ記事としてお楽しみください。

続報→「【訂正と続報?】Visteonのシステムがmazdaへ提供」


またいつものようにマツダ愛あふれる私がマツダ情報を探していたところ、VisteonがマツダのCXシリーズ、Mazda2, 3向けにインフォテインメントシステムを提供というニュースを発見しました。Visteonの発表なのでガセということは無いと思います。

Visteon Supplies Extensive Range of Cockpit Electronics for Global Mazda Cross-Vehicle Line

私は知らなかったのですが、Visteonという米国の自動車部品メーカーでディスプレイを多用したインフォテインメント(information + entertainment)システムを開発しているそうで、同社のシステムがマツダに提供されるようです。Visteonのシステムを採用したコンセプトイメージは以下(繰り返しますがコンセプトです)。

Visteon HABIT cockpit concept understands personal preferences

Visteon Cockpit Concept Learns A Driver’s Preferences To Deliver A More Meaningful Driving Experience

インフォテインメントシステムという点ではマツダコネクトとあからさまに競合します。Visteonが提供するのがディスプレイシステムのみでインフォテインメントシステムはマツコネを継続搭載…ということも無いわけではないですが、元記事ではインフォテインメントシステムを中心に紹介していますし、昨今のマツコネをめぐる一連の流れを考えてもそのままという訳には行かないでしょう。

これが採用されればマツダコネクトは短命に終わることになります。「継続的なアップデートにより古くならないシステム」を目指していたはずが、1年あまりでギブアップということです。マツコネをマシに動かすためのアップデート作業が負債として残るだけです。しかも、その労力は本来ソフトウェアの開発時に投入すべきでした。

このブログではマツダコネクトとマツダのソフトウェアシステムに対する考え方に対して何度も批判してきました。私はマツダコネクトを使っているわけではないのですが、一連の流れを見てるとソフト開発そのものに対して真摯に付き合っていない、もっとフランクに言ってしまえばソフトを舐めてるように思えるのです。

マツダコネクトは本当に「古くならない」のか

上記記事で私は

「ホワイトレーベルのソフトを買ってちょろっとカスタマイズ&ローカライズして売ればぼろ儲けやん」という発想で取り組めばこの試みは確実に失敗する。

と指摘しました。マツダの経営陣&開発陣が本当にそう思っているかどうかは確かめようがないのですが、しかし私の眼にはそう映ります。だって、あからさまに日本向けの作り込みが不足しています(都市部での道路の重なりが多数あることを考慮していない)し、リリースしてから修正を重ねるという方法もそうですし。アップデートでユーザーが期待するのはふつう、機能のバージョンアップでしょう。修正ではない筈です。修正とはつまり出来が悪いソフトをリリースしてしまったから必要になるのですから(私もソフト屋なのでこう言い切るのは抵抗があるのですが)。

今回のVisteonの件でも、「買ったシステムが悪かったからすげ替えよう」というような印象を受けます。マツダコネクトがこれほど短期間でコケた上、こんなにすぐ採用を決定するのです。もし本当にそう思っているなら舐め腐った態度と言ってよいでしょう。

何が悪かったのか、今後どうすれば良いのかというのをマツダ社内で検討したのでしょうか?真剣に検討していればもう少し時間が掛かっても良いような気がします。まあ、それができていればマツコネの失敗はそもそも無かったような気がしますが…というのは上から目線で言いすぎでしょうか。

マツダへの批判は一先ず置いておいて、単にユーザーの目から見れば先進的なシステムの搭載というのは悪いニュースではありません。もちろん、このシステムも盛大に失敗してコケるという可能性があり得ないとも言い切れませんが、1度大きな失敗を経験しているわけですから、二度目はもっとうまくやるでしょう。やれなかったらそれはバカと言われます。

やっぱ上から目線になってしまいますね。早くプレマシーのモデルチェンジをやってくれ。

【追記】

「Visteonのシステムを卸すからと言ってマツコネのリプレースとみなすのは短絡的ではないか」と指摘されてかなりイラっときたのでもうちょっと詳しく書いてみたいと思います。

まず、マツダコネクトの中身はハンガリーのNNGという会社が作っているインフォテインメントシステムをマツダがカスタマイズしたものです。また、NNGの中の人が「問題を解決するためにハンガリーから日本に技術者を期限付きで集結させている」と言っていますから、開発リソースの一部(その程度は不明)はマツダ社内の人間ではないと思います。この人たちは期限付きと言っている通り、マツダコネクトの問題が解決されれば(もしくは契約期限なのか)解散することとなるはずです。

つまり、マツダ社内にはマツダコネクトの不具合を改修するために必要な技術者を常時保持していないというところまでは言えると思います。その規模の開発リソースで、今度はVisteon由来のシステム開発とマツダコネクトの継続的な修正と機能向上を達成できるでしょうか(いや、無理じゃないでしょうか)というのが私の主張です。

マツダは昔から社外ナビを多少カスタマイズしてもらって自社の車に搭載していました。他のメーカーのように自社標準のナビを持っていません。それを考えると制御や組み込み以外の高級(CPUから見て)なソフトウェア開発のノウハウが蓄積されていないのではないかと思えます。関連子会社を見てもソフト開発をメインにしている所は有りません。単に不要だったからでしょう。(別にその方針が間違いだとまでは言いません。マツダはトヨタやホンダに比べれば小さい会社ですから、そんなサブシステムに投資しても効果は薄い)

もちろん、Visteonのシステムを開発するときにまた外注で外から(Visteonから)大量の技術者を確保して埋め合わせするという可能性もありますが、それと同時にマツダコネクトが今後もずっと機能向上をしていけるかというと疑問符が付きます。なぜならばそもそもマツダコネクトがうまく行っていて、今後も注力していくつもりであればVisteonのシステムを導入する必要は無いからです。うまく行っていないシステムとこれからうまく行くかもしれないシステムの二つがあるならば、後者にお金をかけたいというのはごく自然な判断でしょう。(そしてその自然な判断は間違っていると思います)

これは私の個人的意見ですが、マツダが「マツダコネクト」というモノを作り、車の中で良いHMIと先進的なインフォテインメントシステムを継続的に提供していきたいならば、まずは外注を辞めて自社内に大規模な開発リソースを抱えるべきだと思います。予算の都合上それができないならば、第二に信頼できるパートナー(たとえば富士重工と日立オートモティブシステムズの関係がそれにあたるでしょう)を見つけて長期的に付き合っていくことを模索すべきだと思います。

そのどちらもできないならば全く別のプランを考えるべきです。なぜか。現代のソフトというのは高度に複雑化しており、開発対象のシステムを良く知らない人間がポンと入っても大して役に立たないばかりか、潜在的なバグをまき散らしたりコミュニケーションを複雑化させたりという問題を引き起こすのが世の常だからです。長期的に保守・機能向上していきたいなら、同じチームを維持することが必須です。もちろんそれが唯一の方法ではありませんが、マツダの方針にはそのあたりの明確なポリシーが見えてきません。

ただ、念のためもう一度繰り返しますと、冒頭に述べたとおりVisteonが提供するシステムにはインフォテインメントシステムが含まれているという確証は有りません。なので、たとえばメーターパネル類のみをVisteonが提供、マツダコネクトはそのまま開発継続ということもあり得ます。その場合は上記に書いてあることのほとんどは間違いになります。ただし、MC後の北米(米国?)CX-5にはTomTomナビが載るという記事もありましたから、現時点では私はその点でもマツダコネクトは将来的にリプレースされるのでは、という予測に傾倒しています。

以上は少なくともマツダコネクトユーザーの皆さんにとっては良いニュースではないかもしれません。ただ、マツダはマツダコネクトを搭載した時に「マツダコネクトは継続的に機能向上する」と明言したわけです。それが嘘でないことを信じるほかないでしょう。

またもう一つのフォローを入れておくと、元記事ではマツダのグローバルモデルに搭載すると言及されています。日本仕様車に同様に搭載されるかどうかも未知数です。この記事はあくまでもマツダの方針はおかしいんじゃないか?というのを言いたいのであって、日本国内のマツダコネクトがマツダによって見放されたというローカルなことに言及しているわけではないです。日本国内のマツダコネクトがどうなるかまでは全くわかりません。