地熱発電を優先購入~読売新聞から

12日の読売新聞の一面にタイトルのような記事が掲載されていました。

再生エネ購入、地熱優先へ…太陽光偏重を見直し

私なりに紙面の文章を要約すると次のような感じ。

地熱発電は太陽光などと比べて天候に左右されずに安定的に発電できる。また、発電コストも安い。しかし新規の開発は進んでいない。それは、1年前後で開発できる太陽光発電が先に送電網を使う権利を得てしまい、開発に10年程度かかる地熱の事業者への枠が確保できない。現状、太陽光が6900万kWに対し地熱は1万kW。政府は今後、地熱を優遇して固定価格買取制度を抜本的に見直す。地熱発電が増えれば電気料金の上昇に抑制がかかると期待できる。地熱発電の比率は12年で0.3%、これを30年に1%まで引き上げる。

感想

理にかなっていますし、そうすべきだと思いますが、効果は薄いでしょう。

地熱発電の普及が進まない最も大きな理由は、建築候補地がとても少ないし、見つけるのに苦労するからです。日本は有数の地震大国で地熱の資源量も世界3位だそうですが、だからといってバカスカと簡単に建設できるものではありません。

地熱発電の候補地を見つけるのは温泉を掘り当てるのに似ています。何年もかけて調査を行い、高温の蒸気が得られそうな場所を見つけて、掘り当てて、発電所を建設します。ようやく見つけたとしても国立公園に指定されている地域で開発ができないなんてこともままあります。それでついに適した地域を見つけ、やっとこさ掘ってみた結果、結局40~50℃のいい湯加減になりそうな温度の温水しか出てこず、結局温泉として地域住民が使うことになったなんてケースもあります。最終的に万事うまく行って発電所を建設する段になっても、大体そういう場所は僻地にありますから、発電所の建設には通常より時間もコストもかかります。私の実家周辺にはいくつかの地熱発電所があり、小学生の時に見学に行きましたが、よくもまあこんなところに大規模な設備を建設したものだと関心した記憶があります。

こういうことがよくあるのが地熱発電なので、開発に10年もかかってしまうのです。

また、全てが万事うまく行ったとしても、地熱発電で得られる発電量は微々たるものです。しかも、減衰します。温泉もそうですが、泉脈から取れるお湯の量は無限ではないので、段々細って行きます。するとまた別の所を掘ってみなくては行けません。泉脈に掘っていって幾分かは改善しますが、最終的には泉脈自体が枯渇します。

政府が目標とする30年までに発電量比率0.7%の増というのはずいぶんと慎ましい数字に見えますが、その背景にはこういったことがあります。「電気代の上昇抑制が期待できる」それはそのとおりですが、実感できることは無いでしょう。

それでも太陽光より地熱を優先すると決めたのは、地熱は太陽光や風力とは違って「安定している」というメリットがあるからです。現状、電力会社が再生可能エネルギーを受け入れられない理由となっているのが「不安定な電力は買い取れない」ということですから、安定している電力である地熱を優先的に買い取るというのは理にかなっています。理にかなっていますが、先に述べたように時間がかかるし発電量も大きいわけではないですから、効果は薄いです。

ではなぜこのような決定をしたのでしょうか。しないよりした方がマシという意味もあるでしょう。それも真っ当でごもっともな理由だと思います。しかしそれよりも、「固定価格買取制度の見直しを抜本的に進める」、この点から目を逸らさせたいからではないかと個人的には思っています。他に何も手立てを打たず、固定価格買取制度の見直しだけを進めれば、再生可能エネルギーの売電業者から批判を浴びますから。

いずれにせよ、今回のような決定は間違っていないと思います。固定価格買取制度の見直しもいつかはやらないといけないでしょう。

住宅用太陽光パネルを検討していた皆さんにとっては災難としか言えないと思いますが、しかし根本的な解決も難しい問題であると思います。